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第1590回 スター候補誕生か? シンザン記念を分析する

2022/1/6(木)

日本競馬史上2頭目のクラシック三冠馬・シンザンの功績をたたえ1967年に創設されたシンザン記念。一時はクラシックにつながりづらいレースだったが、過去10年の優勝馬ではジェンティルドンナ(2012年)やアーモンドアイ(2018年)が牝馬三冠を達成するなど、近年は後のG1で好走する馬も多く出ている。今回はそんなシンザン記念の傾向を分析してみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 3-0-1-6/10 30.0% 30.0% 40.0% 80% 55%
2 3-2-2-3/10 30.0% 50.0% 70.0% 132% 131%
3 0-0-2-8/10 0.0% 0.0% 20.0% 0% 40%
4 2-1-1-6/10 20.0% 30.0% 40.0% 198% 106%
5 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 55%
6 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
7 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 33%
8 2-1-0-7/10 20.0% 30.0% 30.0% 499% 140%
9 0-3-1-6/10 0.0% 30.0% 40.0% 0% 230%
10 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 64%
11 0-0-2-7/9 0.0% 0.0% 22.2% 0% 228%
12〜 0-0-0-28/28 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

2021/1/10 中京11R シンザン記念(G3) 1着 12番 ピクシーナイト(4番人気)

過去10年、1番人気は【3.0.1.6】で複勝率40.0%と1番人気にしてはいまひとつ。上位人気では2、4番人気が単複とも回収率100%を超えるなど好結果を残している。また、人気薄では8〜11番人気の好走が多く、合計で【2.5.3.29】複勝率25.6%をマークしている。12番人気以下の好走はないため、11番人気以内を目安としたい。なお、本年と同じく中京競馬場で代替された昨年は4→8→2番人気の順での決着だった。

■表2 前走クラス・距離別成績

前走クラス・距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
新馬 1-2-0-12/15 6.7% 20.0% 20.0% 45% 50%
未勝利 2-2-1-30/35 5.7% 11.4% 14.3% 19% 40%
1勝 4-3-4-32/43 9.3% 16.3% 25.6% 150% 124%
OPEN 0-0-0-4/4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
中央重賞未格付 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
中央G3 2-0-1-6/9 22.2% 22.2% 33.3% 102% 65%
中央G2 0-1-1-5/7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 178%
中央G1 1-2-3-15/21 4.8% 14.3% 28.6% 16% 58%
地方 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
芝1400m以下 1-0-2-31/34 2.9% 2.9% 8.8% 38% 51%
芝1600m 8-9-6-53/76 10.5% 22.4% 30.3% 95% 105%
芝1800m以上 1-1-2-14/18 5.6% 11.1% 22.2% 27% 45%
ダート 0-0-0-9/9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

前走クラス別で好走確率が高いのは中央競馬の重賞に出走していた馬で、合計で【3.3.5.27】複勝率28.9%になる。次いで1勝クラス(旧500万条件)組が【4.3.4.32】複勝率25.6%。新馬・未勝利戦を勝ち上がってきた馬はやや劣勢だ。

また前走距離別では、本競走と同じ芝1600m戦に出走していた馬が複勝率30.3%の好成績。芝1800m以上からの距離短縮馬も同22.2%と悪くないのに対し、芝1400m以下からの距離延長馬や、ダート戦に出走していた馬は苦戦傾向にある。

■表3 前走JRA重賞からの好走馬

馬名 シンザン記念 前走
人気 着順 レース 人気 着順
2013 エーシントップ 1 1 朝日杯FS 2 8
2014 ウインフルブルーム 2 2 朝日杯FS 5 3
タガノグランパ 5 3 ラNIKKEI杯2歳S 10 5
2015 グァンチャーレ 2 1 東スポ杯2歳S 7 7
ナヴィオン 3 3 朝日杯FS 5 11
2017 タイセイスターリー 4 2 デイリー杯2歳S 1 8
2018 カシアス 4 3 朝日杯FS 10 7
2020 サンクテュエール 2 1 アルテミスS 2 2
プリンスリターン 5 2 朝日杯FS 15 5
コルテジア 9 3 デイリー杯2歳S 9 8
2021 バスラットレオン 2 3 朝日杯FS 8 4

※馬名赤は牝馬

表3はシンザン記念3着以内馬のうち、前走で中央競馬の重賞に出走していた11頭である。前走でも馬券に絡んでいた馬は2頭だけだが、2桁着順に大敗していた馬も1頭のみ。また、11頭中10頭はシンザン記念で5番人気以内の支持を受けていた。このJRA重賞組で「前走芝1600m以上」「前走9着以内」を満たす馬は【3.3.4.15】複勝率40.0%。さらに本競走5番人気以内に限定すると【3.3.3.8】同52.9%になる。

■表4 前走1勝クラス(500万条件)からの好走馬

前走人気 馬名 キャリア シンザン記念 前走
人気 着順 レース 距離 人気 着順
1〜3 2012 プレミアムブルー 3戦 11 3 500万下 芝16 3 6
2013 タマモベストプレイ 2戦 3 3 秋明菊賞 芝14 2 1
2014 ミッキーアイル 3戦 1 1 ひいらぎ賞 芝16 1 1
2016 ロジクライ 4戦 8 1 千両賞 芝16 1 4
2017 ペルシアンナイト 3戦 1 3 こうやまき賞 芝16 1 1
2021 ピクシーナイト 2戦 4 1 秋明菊賞 芝14 1 3
6以下 2012 マイネルアトラクト 6戦 9 2 千両賞 芝16 8 4
2015 ロードフェリーチェ 2戦 9 2 千両賞 芝16 6 5
2016 シゲルノコギリザメ 5戦 11 3 500万下 芝12 7 1
2017 キョウヘイ 5戦 8 1 千両賞 芝16 12 2
2019 マイネルフラップ 6戦 10 2 千両賞 芝16 11 1

前走1勝クラス組は好走馬の傾向が少々掴みづらいが、表4で示した通り前走人気別にみると各馬のキャリアに大きな違いが出ていた。好走馬のうち前走3番人気以内だった馬は6頭中5頭がキャリア3戦以内(シンザン記念出走時。以下同)。前走1勝クラス1〜3番人気馬のうち、キャリア2〜3戦の馬は計【2.0.3.6】複勝率45.5%、4戦以上の馬は【1.0.0.8】同11.1%と差が大きい。

前走1勝クラス4〜5番人気からシンザン記念で好走した馬はおらず、前走6番人気以下だった馬はキャリア5戦以上なら【1.2.1.7】複勝率36.4%、4戦以下は【0.1.0.3】同25.0%と、こちらはレース経験を積んだ馬の成績が良い。ただ「前走1勝クラス」かつ「前走6番人気以下」を満たすだけでも【1.3.1.10】複勝率33.3%、単複の回収率182%、221%となるため、前走6番人気以下の馬はキャリアを気にせず狙っていく手もある。

■表5 前走新馬・未勝利戦からの好走馬

馬名 シンザン記念 前走
人気 着順 レース 距離 人気 着順
2016 ジュエラー 2 2 新馬 芝18 2 1
2018 ツヅミモン 7 2 新馬 芝16 1 1
2019 ヴァルディゼール 4 1 新馬 芝16 1 1
2012 ジェンティルドンナ 2 1 未勝利 芝16 1 1
2013 ヘミングウェイ 9 2 未勝利 芝16 1 1
2018 アーモンドアイ 1 1 未勝利・牝 芝16 1 1
2019 ミッキーブリランテ 2 3 未勝利 芝18 1 1
2021 ルークズネスト 8 2 未勝利 芝16 5 1

※馬名赤は牝馬

表5は前走新馬・未勝利戦からの好走馬8頭である。この組は表2でも触れたように重賞組や1勝クラス組に対し劣勢ではあるが、前走1番人気馬にかぎれば【3.2.1.16】複勝率27.3%と上々だ。また、シンザン記念の過去10年では前述のジェンティルドンナやアーモンドアイなど5頭の牝馬が馬券に絡んでおり、うち4頭はこの新馬・未勝利戦組から出ていた。この組の牝馬は計【2.2.0.11】複勝率26.7%、牡馬は【1.2.1.31】同11.4%となる。

もう1点、未勝利戦組の好走馬5頭をみるとすべて新馬戦で2着だった。未勝利戦組は新馬戦2着馬なら【2.2.1.9】複勝率35.7%の好成績で、新馬戦3着以下だった馬は【0.0.0.21】に終わっている。昨年2着のルークズネストのように新馬戦2着→未勝利戦5着→同1着と新馬戦と前走の間にレースを挟んでいても問題はない。

■表6 1月・中京芝1600m戦における馬番別成績(2017〜21年)

馬番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1〜3 7-6-3-44/60 11.7% 21.7% 26.7% 174% 83%
4〜6 2-4-4-50/60 3.3% 10.0% 16.7% 14% 27%
7〜9 6-5-6-40/57 10.5% 19.3% 29.8% 95% 75%
10〜12 2-4-5-42/53 3.8% 11.3% 20.8% 31% 96%
13〜 3-1-2-53/59 5.1% 6.8% 10.2% 104% 52%

最後に、1月に行われた中京芝1600m戦における馬番別成績(2017〜21年)もみておきたい。好走確率が高いのは内の1〜3番や中ほどの7〜9番。13番より外を引いた馬は【3.1.2.53】で複勝率10.2%と苦しんでいる。シンザン記念は昨年もこのコースで代替されており、1〜3着は12→3→10番の順。8枠15番を引いた1番人気のククナは4着に敗退した。

【結論】

2021/10/30 阪神2R 2歳未勝利 1着 8番 ビーアストニッシド(5番人気)

表2にあったように、前走JRA重賞組の好走確率が高いシンザン記念。前走芝1600m以上でひと桁着順(表3)だった馬はカワキタレブリービーアストニッシド、そしてレッドベルアームの3頭が登録している。このうち5番人気以内(表3)や馬番12番以内(表6)を満たす馬を上位にとりたい。

1勝クラス組に好走確率の高そうな馬(表4)は見当たらないが、一発の期待をかけるなら前走万両賞で11番人気5着のジャカランダ。新馬・未勝利戦組なら芝1600m戦を1番人気で勝ち上がってきた牝馬・ラスールあたりが出走すれば有力だ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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