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第1436回 波乱のハンデ重賞・七夕賞を分析する

2020/7/9(木)

今週は福島競馬場でサマー2000シリーズの開幕戦・七夕賞が行われる。かつては1番人気馬が勝てないレースとして有名で、1979年から2004年までなんと26連敗を喫していた。その後は1番人気馬も4頭が勝利を飾っているものの、3連単の配当は過去10年のうち9回(3着同着が1回あり10通り)が8万馬券以上と、荒れ模様であることに変わりはない。そんな波乱の一戦をJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して分析したい。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 2-1-2-5/10 20.0% 30.0% 50.0% 74% 86%
2 1-2-1-6/10 10.0% 30.0% 40.0% 45% 86%
3 2-0-0-8/10 20.0% 20.0% 20.0% 141% 54%
4 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 58%
5 1-2-0-7/10 10.0% 30.0% 30.0% 120% 86%
6 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 23%
7 1-1-2-6/10 10.0% 20.0% 40.0% 177% 211%
8 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 46%
9 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
10〜 3-1-5-54/63 4.8% 6.3% 14.3% 277% 195%

2018/7/8 福島11R 七夕賞(G3) 1着 4番 メドウラーク(11番人気)

過去10年、1番人気は【2.1.2.5】。2005年に26連敗で止まってから数年に一度は勝利を収めているが、ここ10年の連対率30.0%、複勝率50.0%は1番人気馬としては物足りない。その一方で、10番人気以下の馬が【3.1.5.54】と9頭も馬券に絡み、単複の回収率も非常に高い。2桁人気馬の3勝(過去10年)は、JRA重賞としてはフェアリーSと並んでトップ。また、馬券圏内9頭は京阪杯(10頭)に次ぐ2位である。

■表2 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 10番人気以下 同複勝率
4歳 2-1-1-7/11 18.2% 27.3% 36.4% 84% 82% 該当なし
5歳 5-3-2-32/42 11.9% 19.0% 23.8% 247% 104% 2-1-0-10 23.1%
6歳 2-5-7-38/52 3.8% 13.5% 26.9% 31% 211% 0-0-4-15 21.1%
7歳 1-0-0-25/26 3.8% 3.8% 3.8% 387% 49% 1-0-0-15 6.3%
8歳 0-1-1-12/14 0.0% 7.1% 14.3% 0% 88% 0-0-1-7 12.5%
9歳以上 0-0-0-8/8 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-7 0.0%

年齢別では【2.1.1.7】の4歳馬が複勝率36.4%の好成績。3着以内の好走馬数が多いのは5、6歳馬で、10番人気以下で馬券に絡んだ9頭中7頭もこの5、6歳馬だった。7歳以上のベテラン馬は劣勢だ。

■表3 ハンデ別成績

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 10番人気以下
〜49kg 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0 0-0-0-1
50kg 0-0-1-2/3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 886% 0-0-1-1
51kg 0-0-0-5/5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-4
52kg 2-0-1-7/10 20.0% 20.0% 30.0% 375% 485% 1-0-1-4
53kg 0-0-2-16/18 0.0% 0.0% 11.1% 0% 61% 0-0-1-10
54kg 1-1-0-21/23 4.3% 8.7% 8.7% 438% 66% 1-0-0-10
55kg 1-4-5-22/32 3.1% 15.6% 31.3% 170% 160% 1-1-2-10
56kg 1-1-0-21/23 4.3% 8.7% 8.7% 52% 36% 0-0-0-14
56.5kg 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
57kg 4-2-1-17/24 16.7% 25.0% 29.2% 74% 58%
57.5kg 1-0-0-4/5 20.0% 20.0% 20.0% 164% 60%
58kg 0-2-1-4/7 0.0% 28.6% 42.9% 0% 145%
58.5kg 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

ハンデ別の成績をみると、51キロ以下の軽ハンデ馬は連対なし(今年は該当馬不在)。57〜58キロを課された馬の連対率が高い。ただ、56キロ以上を背負った2桁人気馬は【0.0.0.14】に終わっているため、大穴狙いなら55キロ以下の馬から激走候補を探したい。

■表4 枠番別成績(中山代替の2011年を除く)

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 10番人気以下
1枠 1-0-1-14/16 6.3% 6.3% 12.5% 75% 87% 0-0-1-7
2枠 1-2-0-13/16 6.3% 18.8% 18.8% 25% 65% 0-1-0-2
3枠 1-1-0-14/16 6.3% 12.5% 12.5% 340% 73% 1-0-0-6
4枠 3-1-3-9/16 18.8% 25.0% 43.8% 790% 430% 2-0-1-4
5枠 0-2-3-13/18 0.0% 11.1% 27.8% 0% 107% 0-0-1-5
6枠 3-1-2-12/18 16.7% 22.2% 33.3% 89% 250% 0-0-2-3
7枠 0-0-0-18/18 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-11
8枠 0-2-1-15/18 0.0% 11.1% 16.7% 0% 46% 0-0-0-8

枠番別(中山代替の2011年を除く)の成績は、4枠が複勝率43.8%、そして6枠が同33.3%。その間の5枠は勝利こそないものの複勝率は27.8%と高いため、この4〜6枠に注目したい。しかし、すぐ外の7枠は【0.0.0.18】。馬番7番は【0.1.3.5】で複勝率44.4%を記録しており、「七夕賞」というレース名にちなんで買うなら、7枠よりも馬番7番のほうが良さそうだ。

■表5 前走クラス別成績

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
2勝(1000万) 0-0-1-0/1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 380%
3勝(1600万) 0-0-1-8/9 0.0% 0.0% 11.1% 0% 295%
OPEN(非L) 3-2-5-26/36 8.3% 13.9% 27.8% 346% 257%
OPEN(L) 0-1-0-1/2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 110%
中央G3 6-4-2-58/70 8.6% 14.3% 17.1% 146% 56%
中央G2 1-1-1-24/27 3.7% 7.4% 11.1% 12% 28%
中央G1 0-1-1-5/7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 130%
海外 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 640%

前走クラス別では、中央G3組【6.4.2.58】と、オープン特別組(L含む)【3.3.5.27】で3着以内馬31頭中23頭を占める。ただ、G3組は馬券圏外に敗れた馬も多く、勝率〜複勝率はさほど高くない。対してオープン特別組は複勝率が高く、回収率も優秀だ。
なお、条件戦組で好走した2頭は、2017年3着のソールインパクトが前走芝2400m、2018年3着のパワーポケットが前走ダート1600mと、芝2000mの七夕賞とは距離が400m違うレースに出走していた。今年はこういったタイプの登録馬は不在である。

■表6 前走オープン特別からの好走馬

馬名 性齢 ハンデ 人気 着順 前走 距離 人気 着順
2010 ドモナラズ 牡5 52 11 1 福島テレビOP 芝18 7 4
バトルバニヤン 牡6 57 2 3 福島テレビOP 芝18 6 1
2012 ミキノバンジョー 牡5 55 7 3 福島テレビOP 芝18 5 1
2013 マイネルラクリマ 牡5 57 1 1 都大路S 芝18 1 2
タガノエルシコ 牡8 55 14 3 米子S 芝16 8 8
2014 ニューダイナスティ 牡5 55 10 2 仁川S ダ20 8 10
2015 マデイラ 牡6 52 16 3 福島民報杯 芝20 13 10
2016 オリオンザジャパン セ6 53 11 3 アハルテケS ダ16 8 4
2018 メドウラーク 牡7 54 11 1 米子S 芝16 8 11
マイネルサージュ 牡6 55 4 2 福島民報杯 芝20 5 1
2019 クレッシェンドラヴ 牡5 55 2 2 福島民報杯(L) 芝20 2 2

前走オープン特別からの3着以内好走馬は表6の11頭。この組で注目したいのは前走着順と本競走での人気で、どちらも「4以内または10以下」が狙いになる。前走着順は11頭中7頭が4着以内で、3頭が10着以下。前走5〜9着で好走したのは1頭のみだった。また、七夕賞での人気は4頭が4番人気以内、6頭が10番人気以下で、5〜9番人気の好走馬はやはり1頭にとどまる。なお、この組は5歳馬から8歳馬までが好走しているが、中では5歳馬が【2.2.1.1】で複勝率83.3%と抜群だ。

■表7 前走中央重賞からの好走馬

馬名 人気 着順 前走 人気 着順 G2以上実績
2010 アルコセニョーラ 6 2 ヴィクトリアM 17 17 (エ女王杯7着)
サンライズベガ 1 3 大阪杯(G2) 3 10 京都新聞杯3着
2011 イタリアンレッド 7 1 マーメイドS 3 4 (ローズS15着)
タッチミーノット 2 2 新潟大賞典 1 6 (大阪杯6着)
アニメイトバイオ 4 3 エプソムC 3 7 ローズS1着
2012 アスカクリチャン 14 1 東京新聞杯 11 10 未経験
トーセンラー 1 2 鳴尾記念 5 3 セントライト記念2着
2014 メイショウナルト 5 1 鳴尾記念 7 11 オールカマー2着
マイネルラクリマ 1 3 エプソムC 4 2 (中山記念4着)
2015 グランデッツァ 2 1 鳴尾記念 3 5 スプリングS1着
ステラウインド 8 2 目黒記念 5 12 青葉賞3着
2016 アルバートドック 3 1 エプソムC 5 7 京都新聞杯3着
ダコール 5 2 新潟大賞典 5 4 (日経新春杯4着)
2017 ゼーヴィント 1 1 アメリカJCC 1 2 アメリカJCC2着
マイネルフロスト 5 2 鳴尾記念 7 3 日本ダービー3着
2019 ミッキースワロー 3 1 エプソムC 2 10 セントライト記念1着
ロードヴァンドール 12 3 天皇賞(春) 7 12 金鯱賞2着

表7は前走中央重賞組の好走馬17頭である。このうち、2014年以降の10頭中8頭に共通するのが、七夕賞よりもグレードが上のG1やG2で3着以内の実績を持っていたことだ。残る2頭、2014年3着のマイネルラクリマは前年の本競走優勝馬、そして2016年2着のダコールは前年の新潟大賞典優勝馬だった。G1やG2での好走歴がなければ、本競走と同じ芝2000mのG3優勝実績くらいは欲しい。

【結論】

2020/4/19 福島11R 福島民報杯 1着 10番 マイネルサーパス(2番人気)

七夕賞は前走G3組とオープン特別組で好走馬の3分の2以上を占めており、特にオープン特別組が好成績を残している。今年の注目は、まずオープン特別(表6)の福島民報杯(L)を勝ってきたマイネルサーパス。福島芝は【2.1.0.0】の好相性で、昨年のこの時期にはラジオNIKKEI賞で2着の実績もあるだけに、この組の好走条件「今回4番人気以内」も恐らくクリアできるだろう。
ほかに、オープン特別組で好成績を残す5歳馬としてバレリオや、「前走10着以下」かつ「今回10番人気以下」になりそうなアウトライアーズあたりに一発の可能性がある。前走重賞組では、昨年の金鯱賞(G2)3着で表7をクリアするエアウィンザーを挙げたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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