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第1430回 波乱傾向が強い函館スプリントSを分析する

2020/6/18(木)

今週は日曜に東京で3歳ダート重賞のユニコーンS、函館で函館スプリントSと2鞍の重賞が組まれている。今回のデータde出〜たでは、サマースプリントシリーズ第1戦の函館スプリントSをピックアップ。2015年以降近5年のデータから波乱傾向が強い同レースを分析、馬券で狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 函館スプリントS 近5年の3着以内馬一覧

年(馬場/頭数) 着順 馬名 勝ちタイム 人気 4角通過順 上がり3F 前半600m通過
2019
(稍重/7頭)
1 カイザーメランジェ 1分8秒4 5 1 34秒0 34秒4
2 アスターペガサス 1馬身1/2 2 2 34秒0
3 タワーオブロンドン クビ 1 5 33秒5
2018
(良/16頭)
1 セイウンコウセイ 1分7秒6 3 1 34秒5 33秒1
2 ヒルノデイバロー ハナ 10 5 33秒9
3 ナックビーナス クビ 1 3 34秒3
2017
(良/13頭)
1 ジューヌエコール 1分6秒8 3 5 33秒9 32秒2
2 キングハート 2馬身1/2 4 7 34秒2
3 エポワス クビ 7 9 34秒1
2016
(良/16頭)
1 ソルヴェイグ 1分7秒8 12 2 34秒3 33秒4
2 シュウジ ハナ 2 4 34秒0
3 レッツゴードンキ 1馬身1/4 7 7 34秒0
2015
(良/16頭)
1 ティーハーフ 1分8秒3 4 14 34秒0 33秒0
2 アースソニック 2馬身1/2 14 14 34秒7
3 レンイングランド ハナ 12 12 34秒9

まず表1は近5年の函館スプリントS3着以内馬一覧。例年は開幕週の日曜メインとして実施されているが、今年は2週目に行われる。昨年は直前に除外馬が多く出たことで7頭立てと少なく、勝ち時計は1分8秒4。15年も1分8秒3と掛かっているが、16〜18年にかけて1分8秒を切る速い時計が出ている。17年は前半600m32秒2とかなりのハイペースで1分6秒8とレコードタイムが出たが、標準的な良馬場ならば1分7秒台の決着となりそうだ

3着以内馬の4コーナー通過順を見ると、追い込み決着となった15年以外はすべて9番手以内で決まっている。かなりのハイペースで先行勢が総崩れ、かつ時計の掛かる馬場でない限りは後方からでは厳しい。

最後に人気順を見ると、1番人気馬が【0.0.2.3】と3着2回で連対馬が出ていない。2番人気馬も【0.2.0.3】で勝ち馬なし。3番人気馬が2勝、4・5・12番人気馬が1勝ずつ。2・3着馬も下位人気まで分布しており、人気薄の激走が目立っている。少頭数だった昨年を除いて、3連単は5万円以上の配当となっており、波乱傾向が強い一戦だ。

■表2 函館スプリントS 近5年の枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
1枠 1- 0- 1- 6/ 8 12.5% 12.5% 25.0% 73 68
2枠 0- 1- 0- 7/ 8 0.0% 12.5% 12.5% 0 31
3枠 0- 1- 0- 6/ 7 0.0% 14.3% 14.3% 0 45
4枠 0- 0- 2- 6/ 8 0.0% 0.0% 25.0% 0 81
5枠 1- 1- 0- 7/ 9 11.1% 22.2% 22.2% 70 95
6枠 1- 0- 0- 8/ 9 11.1% 11.1% 11.1% 80 30
7枠 1- 1- 1- 7/10 10.0% 20.0% 30.0% 157 209
8枠 1- 1- 1- 6/ 9 11.1% 22.2% 33.3% 437 247

表2は枠番別成績。小回りの函館コースで内枠有利と想像されるものの、近5年では7・8枠の複勝率が30%を超えている。これら外の7・8枠から3着以内に好走した6頭中4頭は5番人気以下の伏兵で、複勝回収率は200%を超えている

■表3 函館スプリントS 近5年の年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
3歳 2- 2- 1- 6/11 18.2% 36.4% 45.5% 423 262
4歳 1- 1- 2- 5/ 9 11.1% 22.2% 44.4% 174 134
5歳 2- 0- 1-15/18 11.1% 11.1% 16.7% 67 35
6歳 0- 1- 0-14/15 0.0% 6.7% 6.7% 0 92
7歳以上 0- 1- 1-13/15 0.0% 6.7% 13.3% 0 73

表3は年齢別成績。黄色で強調した3歳馬、4歳馬が好成績をあげている。ともに複勝率40%以上で、5歳以上を大きく引き離している。今年は3歳馬の出走予定がなく、4歳馬は要注目だ。5歳馬は一昨年のセイウンコウセイら2勝をあげるも、複勝率は高くない。3着以内馬3頭はすべて上位4番人気以内だった。なお、6歳以上の勝利はなかった。

■表4 函館スプリントS 近5年の前走レース別成績

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
桜花賞 2- 0- 0- 1/ 3 66.7% 66.7% 66.7% 1553 373
韋駄天S 1- 1- 0- 6/ 8 12.5% 25.0% 25.0% 196 243
京王杯SC 1- 0- 1- 6/ 8 12.5% 12.5% 25.0% 73 28
彦根S(1600万下) 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 630 250
NHKマイルC 0- 1- 1- 3/ 5 0.0% 20.0% 40.0% 0 312
鞍馬S 0- 1- 0- 2/ 3 0.0% 33.3% 33.3% 0 106
阪急杯 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0 610
葵S 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0 210
高松宮記念 0- 0- 1-13/14 0.0% 0.0% 7.1% 0 11
大阪―ハンブルクC 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0 490
ヴィクトリアM 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0 320
その他のレース 0- 0- 0-22/22 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

表4は前走レース別成績。出走数が最も多い高松宮記念組から連対馬が出ていないことが波乱続きとなっている最大の要因だ。馬券圏内に入ったのは一昨年3着のナックビーナスのみ。格上と思われる高松宮記念組だが、意外に求められている適性が異なるのかもしれない。前走桜花賞やNHKマイルC、京王杯SCを走った馬から2頭ずつ好走馬が出ているように、単純に1200mではなく、それ以上の距離適性が必要なのだろう。

■表5 函館スプリントS 近5年の前走からの距離増減別成績

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
同距離 1- 2- 1-25/29 3.4% 10.3% 13.8% 21 32
今回延長 1- 1- 0- 6/ 8 12.5% 25.0% 25.0% 196 243
今回短縮 3- 2- 4-22/31 9.7% 16.1% 29.0% 169 139

表5は前走からの距離増減別成績。表4とも関連するが、今回距離短縮となる馬が一昨年のセイウンコウセイ(前走京王杯SC12着)ら3勝をあげ、複勝率29.0%でトップだ。昨年は3着タワーオブロンドン(前走京王杯SC1着)が該当しており、毎年1頭は3着以内に入っている。3着以内馬9頭中5頭は7番人気以下の伏兵だった。

また今回距離延長となる馬も15年2着アースソニック、昨年1着カイザーメランジェと好走。両馬は過去にダート戦を走った経験があった。なお、同距離組は15年ティーハーフ(前走彦根S1着)の1勝のみで、複勝率は最も低い。

■表6 函館スプリントS 近5年の前走からの斤量増減別成績

前走斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
増減無し 1- 2- 1-12/16 6.3% 18.8% 25.0% 36 103
今回増 1- 0- 1-18/20 5.0% 5.0% 10.0% 78 28
今回減 3- 3- 3-23/32 9.4% 18.8% 28.1% 165 156

表6は前走からの斤量増減別成績。今回斤量減の馬が17年ジューヌエコールら3勝をあげ、複勝率28.1%でトップ。昨年は2着アスターペガサスが該当しており、毎年1頭は3着以内に入っている。増減なしの馬は一昨年のセイウンコウセイが勝利しており、連対率は斤量減の馬と並んでいる。斤量増の馬は少頭数だった昨年の1・3着馬のみ。二ケタ頭数だった15〜18年にかけては16頭出走して、すべて5着以下に敗れていた。

<結論>

■表7 今年の函館スプリントSの出走予定馬(6/17時点)

馬名 性齢/斤量 前走成績
ダイアトニック 牡5/58(+1) 高松宮記念 3着
フィアーノロマーノ 牡6/57(+1) 阪急杯 2着
ライトオンキュー 牡5/56(0) 京阪杯 1着
シヴァージ 牡5/56(-1) 高松宮記念 5着
ティーハーフ 牡10/57(0) 高松宮記念 8着
エイティーンガール 牝4/54(-1) 鞍馬S 3着
ダイメイフジ 牡6/56(-1) 栗東S 14着
ジョーマンデリン 牝4/54(0) UHB杯(3勝クラス) 1着
グランドボヌール 牡6/56(0) オーシャンS 4着
アリンナ 牝6/54(-1) バーデンバーデンC(3勝クラス) 1着
スイープセレリタス 牝4/54(-1) 晩春S(3勝クラス) 1着
マリアズハート 牝4/54(+1) 春雷S 2着
リュウノユキナ 牡5/56(0) 欅S 6着
メイショウショウブ 牝4/54(0) ポラリスS 15着
ミキノドラマー 牡7/56(+2) 韋駄天S 11着
スリーケープマンボ セン5/56(+1) 大阪―ハンブルクC(3勝クラス) 15着
ホープフルサイン 牡4/56(-1) 船橋S(3勝クラス) 15着
ビリーバー 牝5/54(0) UHB杯(3勝クラス) 6着

※フルゲート16頭。ホープフルサイン以下は除外対象。

2020/5/3 東京10R 晩春ステークス 1着 7番 スイープセレリタス 2020/6/14 函館11R UHB杯 1着 6番 ジョーマンデリン  

今年の出走予定馬は表7のとおり。

1番人気に支持されるのは前走高松宮記念3着のダイアトニックだろう。前走はゴール前で進路が狭くなる不利があり、スムーズなら勝ち負けになっていた可能性が高い。ただ、不振の高松宮記念組、5歳馬で斤量増と近年のレース傾向からは積極的に買う要素は少ない。

これまでのデータから好成績の4歳勢、なかでも距離短縮で斤量減と買い要素が揃ったスイープセレリタスを筆頭に挙げたい。前走勝利に導いた丸山騎手が引き続き騎乗予定で、重賞でも好勝負できるだろう。また、同じく4歳牝馬のジョーマンデリンは先週のUHB杯を快勝。今回は連闘となるが、前走の勝ちタイムだけ走れば好勝負必至だ。

他では今回斤量減のエイティーンガールも本格化が目立っており、見逃せない一頭。近3走は2ケタ着順に敗れているが、スムーズに先行するとしぶといメイショウショウブも距離短縮で一変しておかしくない。今回はこれら4歳牝馬4頭を中心に馬券を組み立てたい。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。


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