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第1407回 中穴狙いがベスト!? ダービー卿チャレンジトロフィーを分析

2020/3/30(月)

今週土曜日に中山競馬場でダービー卿チャレンジトロフィー(以下、ダービー卿CT)が行われる。古馬によるマイル重賞で、ヴィクトリアマイルや安田記念につながる一戦だ。同時にハンデ戦でもあるので上がり馬にも十分チャンスが巡ってきそうだ。いつものように過去10年のデータからレースを分析していくことにする。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 過去10年のダービー卿CT出走馬の脚質別成績(2011年を除く)

脚質/上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
平地・逃げ 2-  1-  0-  8/ 11 18.2% 27.3% 27.3% 146 70
平地・先行 3-  4-  1- 25/ 33 9.1% 21.2% 24.2% 102 81
平地・中団 3-  2-  6- 41/ 52 5.8% 9.6% 21.2% 51 65
平地・後方 1-  2-  2- 43/ 48 2.1% 6.3% 10.4% 6 36
3F  1位 3-  1-  1-  5/ 10 30.0% 40.0% 50.0% 226 176
3F  2位 1-  0-  2- 11/ 14 7.1% 7.1% 21.4% 118 52
3F  3位 0-  2-  2-  5/  9 0.0% 22.2% 44.4% 0 155
3F 〜5位 1-  1-  1- 13/ 16 6.3% 12.5% 18.8% 45 70
3F 6位〜 4-  5-  3- 83/ 95 4.2% 9.5% 12.6% 34 37

まずは過去10年(阪神で行われた2011年を除く。以下同様)のダービー卿CT出走馬の脚質別成績を調べた。逃げが2勝、先行と中団がそれぞれ3勝、後方が1勝。比較的バランスが取れた分布になっている。脚質による有利・不利はあまり気にしなくてもよさそうだ。上がり3F(ハロン)1位馬の成績は【3.1.1.5】で勝率30.0%、連対率40.0%、複勝率50.0%。回収率は単・複ともに100%を超えている。上がり3ハロン1位をマークできそうな瞬発力に長けた馬には注目したい。ただ、勝率や連対率の数字そのものは良くも悪くもない印象。瞬発力が鋭い馬だけが勝ちやすいわけではなく、早めに仕掛けて押し切りたい馬にも勝機はある。

■表2 過去10年のダービー卿CT出走馬の人気別成績(2011年を除く)

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1〜3人気 3-  3-  3- 18/ 27 11.1% 22.2% 33.3% 60 62
1〜5人気 8-  6-  4- 27/ 45 17.8% 31.1% 40.0% 140 91
6〜 人気 1-  3-  5- 90/ 99 1.0% 4.0% 9.1% 16 45
10〜人気 0-  1-  0- 62/ 63 0.0% 1.6% 1.6% 0 7

続いて過去10年の人気別成績を調べた。1〜3番人気で区切ると【3.3.3.18】という成績。若干物足りない数字だろうか。上位人気馬はやや苦戦している。しかし、1〜5番人気で区切った場合は【8.6.4.27】という成績。一気に好走馬が増え、勝ち馬は3頭から8頭になった。つまり、4番〜5番人気馬がよく好走しているという傾向だ。

6番人気以下は【1.3.5.90】という成績。勝ち馬は1頭と少なく、2着馬も3頭と控えめ。しかし、3着馬が5頭出ている。また、10番人気以下は【0.1.0.62】という成績。意外なことに二けた人気馬の好走がほとんどない。伏兵馬は6〜9番人気までに留まっており、大穴馬が突っ込んでくるケースはかなり少ない。

■表3 過去10年のダービー卿CTの配当(2011年を除く)

日付 単勝 馬連 馬単 3連複 3連単
19年 600 2350 4550 13120 59280
18年 650 3890 6770 27990 126530
18年 1110 2070 4820 2100 15660
15年 1300 6110 12830 6930 59230
14年 310 1640 2310 14860 51710
14年 690 9170 15340 63310 318790
12年 920 1970 4290 2770 16390
12年 730 5760 10910 28420 163170
10年 1660 2860 6930 6160 42880

それに伴い配当もやや控えめになっている(表3参照)。過去10年、馬連の最高配当は2014年の9170円。万馬券が一度も出ていないのだ。3連複や3連単はそれなりに高配当が出ているものの、それでも驚くような超高配当は出ていない。かといって人気サイドで決まるわけでもない。中穴馬券が見込みやすい傾向だ。

■表4 ダービー卿CT1〜5番人気馬の前走クラス別成績(2011年を除く過去10年)

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
3勝 4- 1- 0- 5/10 40.0% 50.0% 50.0% 248 105
OPEN特別 1- 2- 1- 6/10 10.0% 30.0% 40.0% 111 86
G3 3- 2- 0-11/16 18.8% 31.3% 31.3% 170 83
G2 0- 1- 2- 3/ 6 0.0% 16.7% 50.0% 0 118
G1 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
重賞 3- 3- 2-15/23 13.0% 26.1% 34.8% 118 89

2019/3/30 中山11R ダービー卿CT(G3) 1着 2番 フィアーノロマーノ

では具体的に本命馬を探すためにはどうすればいいか。前述した1〜5番人気馬の好成績に注目し、ヒントを得たいところだ。表4では前走クラス別成績を調べることにした。前走3勝(1600万)クラス成績が【4.1.0.5】と非常に優秀だった。2019年にはフィアーノロマーノ(前走ファイナルS1着)が優勝を果たすなど、4頭もの優勝馬が出ている。前走3勝クラスを勝ち上がったばかりの昇級馬はかなり有力だ。ダービー卿CTで昇級馬が5番人気以内に支持された場合、非常に期待できる本命候補になる。

その他では前走オープン特別組や前走G3組が有力。いずれも連対率は約30%ある。G2組やG1組は出走頭数そのものが少ないものの、好走率は芳しくない。全重賞でひとくくりにすると、前走条件クラスやオープン特別組よりも成績が悪くなる。

■表5 ダービー卿CTで6番人気以下で好走した馬(2011年を除く過去10年)

人気 着順 馬名 前走レース名 前人 前着 過去の主な実績
19年 7 3 マイスタイル 小倉大賞HG3 2 10 19年京都金杯2着
18年 6 2 キャンベルジュニア 阪神カッG2 5 11 17年ダービー卿CT2着
18年 9 3 ストーミーシー 東京新聞G3 12 10 16年NZT2着
15年 9 3 インパルスヒーロー 東風S 12 3 13年NHKマイルC2着
14年 9 2 カオスモス 東風S 2 4 13年アーリントンC2着
14年 8 3 インプロヴァイズ 韓国馬事1600 2 1  
12年 10 2 オセアニアボス 阪急杯G3 5 4 11年スワンS3着
12年 7 3 ネオサクセス 中山記念G2 11 5  
10年 7 1 ショウワモダン 東風S 5 3 10年中山記念3着

続いてダービー卿CTを6番人気以下で好走した馬たちを見ていく(表5参照)。中穴馬券を取るためには、伏兵馬を見つける際のポイントも押さえておく必要がある。19年3着(7番人気)だったマイスタイルは、同じ年の京都金杯で2着と好走していた。ところが前走小倉大賞典で10着と敗れてしまったことで、人気を落としたと考えられる。18年2着キャンベルジュニア(6番人気)は前年のダービー卿CTで2着と好走していたが、前走阪神Cで11着と敗れていた。このように近年は、過去に芝1600mの重賞で連対実績があった馬が巻き返すというパターンが定番だ。3歳限定のアーリントンCやニュージーランドT、NHKマイルCで連対実績がある馬もチェックしておきたい。

2010/4/4 中山11R ダービー卿CT(G3) 1着 7番 ショウワモダン

10年は7番人気のショウワモダンが優勝。同馬はその後安田記念を優勝するに至った実力馬だが、ダービー卿CT以前にはマイル重賞で好走した実績はなかった。ただ、2走前に中山記念で3着と好走していた。12年2着のオセアニアボス(10番人気)も過去の目ぼしい実績は、11年のスワンS3着ぐらいだった。このように以前はG2で善戦実績がある馬が穴を開けていた。場合によってはこの手のタイプも穴になることを覚えておきたい。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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