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第1367回 秋の新潟リーディングジョッキー・藤田菜七子騎手の成績を振り返る

2019/11/4(月)

先日終了した今年の3回新潟(10月5日〜27日)のリーディングジョッキーとなったのは、9勝をマークした藤田菜七子騎手だった。女性騎手が開催リーディングを獲得するのは史上初。快挙と言っていいだろう。そんな彼女の同開催での成績を少し振り返ってみることにする。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 2019年3回新潟開催の騎手別成績(平地)

順位 騎手 キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1 藤田菜七子 4年目 9- 5- 7-30/51 17.6% 27.5% 41.2% 91 90
2 斎藤新(西) 1年目 6- 5- 4-21/36 16.7% 30.6% 41.7% 123 108
3 菅原明良 1年目 5- 5- 3-32/45 11.1% 22.2% 28.9% 128 92
4 西村淳也(西) 2年目 4- 5- 2-23/34 11.8% 26.5% 32.4% 99 72
5 横山武史 3年目 3- 4- 4-39/50 6.0% 14.0% 22.0% 25 45
6 柴山雄一 15年目 3- 2- 0-22/27 11.1% 18.5% 18.5% 47 45
7 丸山元気 11年目 2- 4- 3-21/30 6.7% 20.0% 30.0% 30 49
8 吉田隼人 16年目 2- 2- 8-28/40 5.0% 10.0% 30.0% 8 64
9 勝浦正樹 23年目 2- 1- 4-20/27 7.4% 11.1% 25.9% 81 91
10 大塚海渡 1年目 2- 1- 0- 7/10 20.0% 30.0% 30.0% 564 137

表1は2019年3回新潟開催の騎手別成績(平地)。藤田菜七子騎手は【9.5.7.30】という成績だった。勝ち星は9で、2位の斎藤新騎手に3つの差をつけた。連対率27.5%、複勝率41.2%もいい数字であり、全体的に好走率は高かった。また、単勝回収率は91%で、複勝回収率は90%。女性騎手としてどうしても人気を集めやすいイメージはあるのだが、そんな中でこの回収率ならば悪くない。リーディングジョッキーとしてふさわしい好走率を残しており、馬券的な妙味も追える。

この開催のリーディング上位は若手騎手が占めた。藤田菜七子騎手がデビューから4年目で、あとは3年目以内のルーキーが多かった。特に1年目の斎藤新騎手は立派な成績。連対率や複勝率は、藤田菜七子騎手よりも高い。そして単・複の回収率はともに100%以上。馬券的な妙味が十分あることを示した。

■表2 藤田菜七子騎手のレース別成績(2019年3回新潟)

順位 レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1 1勝クラス・牝 4- 0- 0- 2/ 6 66.7% 66.7% 66.7% 260 111
2 1勝クラス 3- 2- 3- 5/13 23.1% 38.5% 61.5% 66 101
3 未勝利* 1- 2- 0- 8/11 9.1% 27.3% 27.3% 58 107
4 粟島特別・1勝 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 1600 350
5 未勝利・牝* 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0 60
6 1勝クラス・若 0- 0- 1- 5/ 6 0.0% 0.0% 16.7% 0 20
7 新馬 0- 0- 1- 1/ 2 0.0% 0.0% 50.0% 0 85
8 柏崎特別・2勝 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0 260
9 新馬・牝 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0 440
10 北陸S・3勝 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
11 飛翔特別・1勝 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
12 飛翼特H・2勝 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
13 鳥屋野H・2勝 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
14 菅名岳特・2勝 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
15 十日町特・1勝 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
16 岩船特別・1勝 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
17 稲光特別・1勝 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

2019/10/6 新潟10R 粟島特別 1着 3番 エピックスター

次に藤田菜七子騎手の成績をもう少し詳しくみていくことにする。表2は同騎手のレース別成績だ。最も多くの勝ち星を挙げたのは1勝クラスの牝馬限定戦で4勝。次に1勝クラス(牡馬混合戦)で3勝。残る2勝は未勝利戦と特別戦の粟島特別だった。

つまり9勝のうち8勝が減量の恩恵を受けられる平場戦だった。JRAは昨年秋、ルール改正を行い女性騎手の減量制度を変更した。詳細は割愛するが、藤田菜七子騎手にとっては非常に有利な変更となったのだ。従来であれば1キロ減のところを、いまだに3キロ減で騎乗できている。その威力をまざまざと見せつけるような成績の傾向が出ている。また、平場戦において女性騎手は、キャリアや通算勝ち星に関係なく、今後永久的に2キロ減で騎乗できるようになった。藤田菜七子騎手の平場戦は常に注目となるだろう。

■表3 藤田菜七子騎手のコース別成績(2019年3回新潟)

順位 コース 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1 新潟・ダ1200 3- 4- 1- 7/15 20.0% 46.7% 53.3% 58 121
2 新潟・ダ1800 3- 1- 0- 5/ 9 33.3% 44.4% 44.4% 116 70
3 新潟・芝1200 1- 0- 2- 0/ 3 33.3% 33.3% 100.0% 213 153
4 新潟・芝1800外 1- 0- 1- 2/ 4 25.0% 25.0% 50.0% 400 162
5 新潟・芝2000外 1- 0- 0- 2/ 3 33.3% 33.3% 33.3% 170 66
6 新潟・芝1600外 0- 0- 2- 2/ 4 0.0% 0.0% 50.0% 0 175
7 新潟・芝1400 0- 0- 1- 3/ 4 0.0% 0.0% 25.0% 0 42
8 新潟・ダ2500 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
9 新潟・芝1000 0- 0- 0- 5/ 5 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
10 新潟・芝2200 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
11 新潟・芝2000 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

続いて藤田菜七子騎手のコース別成績(表3参照)を見ておくことにする。3回新潟開催ではダート1200mとダート1800mでそれぞれ3勝をマークした。一気に逃げて押し切れることもある短距離だけでなく、道中で息が入り、コーナーを4回通過する1800mでもしっかりと好成績を残したのは立派だ。

芝も1勝ずつながら、1200m、外回りの1800mおよび2000mで勝利した。意外だったのは芝1000mの成績。一直線の新潟芝1000mはよく勝っているイメージだったが、【0.0.0.5】だった。この開催はたまたま、結果が出なかったのだろう。

■表4 2019年3回新潟開催・特別戦の騎手別成績

順位 騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1 川須栄彦 2- 0- 0- 2/ 4 50.0% 50.0% 50.0% 197 95
2 蛯名正義 2- 0- 0- 0/ 2 100.0% 100.0% 100.0% 770 275
3 丸山元気 1- 2- 1- 7/11 9.1% 27.3% 36.4% 50 58
4 勝浦正樹 1- 1- 1- 6/ 9 11.1% 22.2% 33.3% 68 136
5 斎藤新 1- 1- 0- 3/ 5 20.0% 40.0% 40.0% 172 170
6 中谷雄太 1- 1- 0- 5/ 7 14.3% 28.6% 28.6% 370 82
7 吉田隼人 1- 0- 5- 9/15 6.7% 6.7% 40.0% 12 56
8 柴田善臣 1- 0- 2- 4/ 7 14.3% 14.3% 42.9% 91 100
9 横山武史 1- 0- 1-15/17 5.9% 5.9% 11.8% 35 19
10 藤田菜七子 1- 0- 1- 8/10 10.0% 10.0% 20.0% 160 61
11 西田雄一 1- 0- 1- 4/ 6 16.7% 16.7% 33.3% 46 41
12 西村淳也 1- 0- 0- 8/ 9 11.1% 11.1% 11.1% 40 15
13 横山和生 1- 0- 0- 8/ 9 11.1% 11.1% 11.1% 45 15
14 杉原誠人 1- 0- 0- 3/ 4 25.0% 25.0% 25.0% 310 82
15 田中勝春 1- 0- 0- 2/ 3 33.3% 33.3% 33.3% 636 116
16 高倉稜 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 775 170

2019/10/27 新潟10R 寺泊特別 1着 13番 ノーブルアース

最後に3回新潟開催の特別戦の騎手成績(表4参照)を調べた。藤田菜七子騎手は、特別戦はわずか1勝にとどまった。では、特別戦は誰がたくさん勝っているのかという疑問が湧く。全部で18鞍あったが、複数勝利したのはわずか2人。あとは、さまざまな騎手が1勝ずつを挙げていた。藤田菜七子騎手が特別少ないわけではなかった。注目したいのは2位の蛯名正義騎手。10月26日の柏崎特別を5番人気のメイショウグロッケで勝利。翌日の寺泊特別を4番人気のノーブルアースで制した。トップジョッキーがG1の裏開催に参戦するケースは、やはり「勝算あり」と読むべきだろう。勝浦正樹騎手や柴田善臣騎手、田中勝春騎手も1番人気ではない馬で勝利していた。賞金が高く、減量制度も利かない特別戦では、ベテランジョッキーの技術・経験が頼りになる

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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