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第1340回 今年も穴馬が激走か!? レパードSを分析する

2019/8/1(木)

今年で11回目を迎える3歳限定のダート重賞・レパードS。創設からしばらくは人気馬が強いレースだったが、近年は波乱度が増し、一昨年は3連単80万馬券、昨年も67万馬券が飛び出した。今年はどんな結果が待っているのか、過去の傾向を分析したい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JV馬天楼 for データde出〜たを利用した。

■表1 1〜3着馬の人気と馬連、3連単配当

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
1着馬人気 1 2 1 2 1 1 1 2 11 5
2着馬人気 3 6 2 3 4 7 3 1 12 10
3着馬人気 7 1 12 1 2 9 11 6 1 9
馬連 920円 1,720円 570円 1,230円 780円 5,050円 1,050円 260円 95,320円 23,100円
3連単 10,050円 9,470円 61,470円 7,580円 4,970円 134,570円 49,790円 6,040円 807,250円 671,670円

2018/8/5 新潟11R レパードステークス(G3)
 1着 6番 グリム 5番人気

レパードSは過去10年、1、2番人気馬が計【8.2.4.6】で複勝率は70.0%と、人気馬が強いレースだ。ただ表1からわかるように、前半5年(2009〜2013年)は、そのうち4回で1、2番人気の双方が3着以内に入っていたのに対し、後半の5年(2014〜2018年)では2016年の1回のみ。9番人気以下の好走が増え、特に近2年は2頭が馬券に絡んで大波乱。また、昨年は1番人気馬が初めて馬券圏内から姿を消した。3連単では、9番人気以下が馬券に絡めば安くても5万馬券近くにはなり、絡まなければ1万円程度までに収まっている。

■表2 9番人気以下・3着以内馬の前走

馬名 人気 着順 前走 クラス(中央馬) 人気 着順
11 タナトス 12 3 佐賀・バルーンC 500万 1 1
14 ランウェイワルツ 9 3 大井・ジャパンダートダービー オープン 3 5
15 タマノブリュネット 11 3 川崎・スパーキングNCh 1000万 1 1
17 ローズプリンスダム 11 1 大井・ジャパンダートダービー オープン 6 8
サルサディオーネ 12 2 中京・3歳以上500万下 500万 2 1
18 ヒラボクラターシュ 10 2 中京・濃尾特別 1000万 5 4
ビッグスモーキー 9 3 福島・安達太良S 1600万 2 5

波乱の立役者となっている、9番人気以下の好走馬は7頭。このうち4頭を前走地方競馬遠征馬が占め、ジャパンダートダービー組と条件戦交流競走組が2頭ずつ。そして中央競馬の条件戦組3頭は、旧500万条件から1600万条件まで1頭ずつと、そのステップは多様だ。

■表3 9番人気以下・3着以内馬の主な実績等

馬名 着順 前走 前走着順 主な実績等
14 ランウェイワルツ 3 ジャパンダートダービー 5 伏竜S(オープン)1着
17 ローズプリンスダム 1 8 鳳雛S(オープン)1着
11 タナトス 3 条件戦 1 前走500万(交流)・6馬身差
15 タマノブリュネット 3 前走1000万(交流)・1馬身半差
17 サルサディオーネ 2 前走500万・5馬身差
18 ヒラボクラターシュ 2 4 3歳馬限定戦【2.1.0.0】
18 ビッグスモーキー 3 5 2、3歳馬限定戦(ダ)【2.3.0.1】

表3は、表2の7頭を前走別に、ジャパンダートダービー出走馬、条件戦1着馬、条件戦敗退馬に分けたものである。まずジャパンダートダービー組の2頭は、既にオープン勝ちの実績があり、前走の敗戦で人気を下げたパターンだ。また、条件戦1着馬のうち、500万条件の2頭は後続を離して勝っており、1000万条件(交流)のタマノブリュネットも1馬身半の差をつけていた。そして条件戦敗退馬2頭は、同世代同士の戦いなら底を見せていなかったのが共通点。ビッグスモーキーの馬券圏外1回は、全日本2歳優駿(Jpn1)5着だった。これらに該当する穴馬がいれば、今年も荒れる可能性はあるだろう。

■表4 1〜7番人気馬の前走クラス別成績

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 過去5年
500万 0-1-0-8/9 0.0% 11.1% 11.1% 0% 58% 0-1-0-3/4
1000万 2-4-3-14/23 8.7% 26.1% 39.1% 21% 68% 0-0-0-7/7
1600万 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-0/0
OPEN特別 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 230% 0-1-0-0/1
中央G3 3-0-0-8/11 27.3% 27.3% 27.3% 151% 67% 3-0-0-8/11
中央G2 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-2/2
中央G1 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-0/0
地方 4-2-2-13/21 19.0% 28.6% 38.1% 63% 66% 1-1-1-6/9
海外 0-0-1-0/1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 110% 0-0-1-0/1

ここからは、3着以内の好走馬30頭から、表2〜3の7頭を除いた23頭が該当する、本競走7番人気以内馬にかぎったデータを見ていきたい(8番人気馬は5着2回、7着以下8回)。まず表4は前走クラス別の成績で、過去10年では地方競馬出走馬と1000万条件出走馬の好走が多い。ただ、1000万条件組は近5年【0.0.0.7】(8番人気以下を含めても【0.1.0.20】)と、買いづらくなった印象を受ける。

■表5 本競走7番人気以内・前走ジャパンダートダービー組の好走馬

馬名 人気 着順 前走人気 前走着順 前々走
09 スーニ 3 2 1 6 兵庫チャンピオンシップ2着
10 ミラクルレジェンド 2 1 4 4 あおぎりS(3歳1000万)1着
11 ボレアス 1 1 4 2 ユニコーンS3着
12 ホッコータルマエ 2 1 6 5 青梅特別(3歳上1000万)1着
13 ケイアイレオーネ 2 3 5 3 ユニコーンS3着
15 クロスクリーガー 1 1 1 2 兵庫チャンピオンシップ1着
16 ケイティブレイブ 1 2 3 2 兵庫チャンピオンシップ1着

前走地方競馬出走馬の大半を占めるのが、大井のジャパンダートダービー組だ。その好走馬7頭に4〜7番人気馬はおらず(出走5頭)、馬券に絡んだのは3番人気以内に推された人気馬ばかり。また、7頭中5頭は2走前にダート重賞で3着以内、残る2頭は2走前に1000万条件を勝ち上がっていたことが共通点だ。

■表6 本競走7番人気以内・前走ユニコーンS組の好走馬

馬名 人気 着順 前走人気 前走着順 主なオープン実績
14 アジアエクスプレス 1 1 1 12 朝日杯FS1着
16 グレンツェント 2 1 3 3 青竜S1着
18 グリム 5 1 2 9 青竜S1着

前走中央G3組の好走馬3頭はすべてユニコーンS出走馬で、同レースで3番人気以内に推され、連対を外していた(2頭は掲示板外)。また、3頭すべてオープン・重賞(芝も含む)優勝実績を持つ馬だった。

■表7 本競走7番人気以内・前走その他のレースからの好走馬

馬名 人気 着順 前走 クラス 人気 着順 500万条件優勝後のダート戦着順推移
09 トランセンド 1 1 麒麟山特別 1000万 1 1 1着
スタッドジェルラン 7 3 瀬波温泉特別 1000万 1 3 2着→2着→2着→3着
10 グリッターウイング 6 2 瀬波温泉特別 1000万 1 2 2着
ソリタリーキング 1 3 鷹取特別 1000万 1 1 2着→4着→1着
11 タカオノボル 2 2 麒麟山特別 1000万 6 1 1着
12 ナムラビクター 3 2 御嶽特別 1000万 2 1 3着→1着
イジゲン 1 3 彦星賞 1000万 1 1 4着→1着
13 インカンテーション 1 1 濃尾特別 1000万 1 1 4着→3着→1着
サトノプリンシパル 4 2 御嶽特別 1000万 2 1 3着→10着→1着
14 クライスマイル 7 2 500万下 500万 1 1 不出走(ダート2戦2勝)
15 ダノンリバティ 3 2 白百合S オープン 4 8 不出走(初ダート)
16 レガーロ 6 3 兵庫ChS Jpn2 3 4 2着(Jpn1)→6着→9着→4着
17 エピカリス 1 3 ベルモントS G1 1着→1着→2着(UAEダービー)→消

最後に表7は、ジャパンダートダービー、ユニコーンS以外からの好走馬である。表4で触れたように、以前は1000万条件組の好走が目立ったが、ここ5年は傾向が一変した。その近5年の好走馬4頭を見ると、クライスマイルはデビューから2連勝で、ダノンリバティは初ダート(芝で毎日杯2着)。そしてレガーロとエピカリスはダート重賞連対実績馬。ひと言でまとめると、未知の魅力を感じさせる馬か、既にダート重賞で結果を出している馬、となるだろうか。
なお、13年まで多くの好走馬を輩出していた1000万条件組は近走の「安定感」がポイント。500万条件を勝ち上がった後の、馬券圏外敗退は1回まで。それも4着には入っていることが好走の条件だ(9頭中8頭)。

【結論】

2019/7/6 福島12R 1勝クラス 1着 14番 ブリッツェンシチー 8番人気

表1にあったように、レパードSは9番人気以下の穴馬が馬券に絡むかどうかで配当が大きく変わってくる。今年の穴候補はいずれも抽選対象の2勝馬だが、出走がかなえば、まずブリッツェンシチーに注目したい。前走の1勝クラスを3馬身差で制しており、表3ではタナトスやサルサディオーネと同じパターンになる。この2頭の6、5馬身差に比べると、本馬の3馬身差はやや物足りないが、今年は後述する7番人気以内の候補馬にもデータをすんなりクリアする馬がおらず、この馬が激走してもまったく不思議はない。
その他では、1勝クラスを2馬身半差で勝ったアヴァンセ。そして前走が条件戦ではなくオープン特別だが、デビュー4戦すべて同世代との戦いで1、3、1、3着のハヤブサナンデクンあたりが人気次第で挙げられる。ほかにも、前走2勝クラス優勝馬が9番人気以下になるなど、表3に近い条件を満たす馬がいれば狙っていきたい。

一方、7番人気以内が予想される馬では、表5のジャパンダートダービー組からデルマルーヴルが筆頭格。同レースで2着に好走し、今回3番人気以内に推されるのは間違いない。2走前が「重賞3着以内」ではなく「海外遠征(UAEダービー)で4着」という点がネックだが、国内の重賞3着より難易度は高そうなだけに、大きな減点は必要ないだろう。
表6のユニコーンS組では、11着敗退を喫したヴァイトブリック。同レース3番人気以内ではなく4番人気、そしてオープン勝ちがなく重賞2着と、こちらも好走条件からやや外れるものの、今年のメンバーならチャンスはある。
そして表7(その他のレース)では、近年の傾向から前走2勝クラス以外の馬を探ると、デビュー3戦1、2、1着で未知の魅力たっぷりのリープリングスター。ノドの手術と去勢で約半年ぶりの実戦になるが、強さを増して戻ってくる可能性もありそうだ。

【追記】

抽選の結果、上記の中ではブリッツェンシチーとリープリングスターが除外になった。よって、アヴァンセとハヤブサナンデクンが「9番人気以下」になった際の穴候補。人気サイドなら、デルマルーヴルとヴァイトブリックの2頭だ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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