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第1297回 新制度でさらなる活躍が期待される藤田菜七子騎手を分析

2019/3/4(月)

昨年は27勝を挙げて関東リーディング18位に入り、今年はG1初騎乗も果たした藤田菜七子騎手。3月からは恒久的な女性騎手2キロ減(平場戦のみ)の制度も導入され、その初週に勝ち鞍をマークと、ますます活躍の場を広げていきそうだ。馬券で狙っていく機会も増えそうなだけに、今回は藤田騎手のデータから得意な条件を調べてみたい。集計期間は2016年3月5日〜2019年2月24日で、デビューからちょうど3年分となる。データの集計・分析はJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

2019/3/3 小倉8R 4歳以上500万下 1着 16番アラスカノオーロラ

■表1 斤量の減量別成績

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
減量3キロ(▲) 27-  35-  26- 754/ 842 3.2% 7.4% 10.5% 31% 37%
減量2キロ(△) 17-  17-   8- 235/ 277 6.1% 12.3% 15.2% 70% 56%
減量1キロ(☆) 3-   4-   2- 106/ 115 2.6% 6.1% 7.8% 38% 25%
減量なし 3-   4-   5- 138/ 150 2.0% 4.7% 8.0% 35% 46%

表1は斤量の減量別成績。3キロ減(▲:30勝まで)の頃より、2キロ減(△:31〜50勝)になって数字がよくなったものの、昨年12月に1キロ減(☆:51〜100勝)になってからは成績を落とした。このあたりは「1キロ減なら、ベテラン騎手や2〜3キロの減量騎手に」という厩舎関係者のシビアな判断も見え隠れする。しかし、今年3月からは女性騎手2キロ減の制度が導入されたのは前述した通り。今後、通算100勝までは都合3キロ減、以降も2キロ減で騎乗できるため、減量のある平場戦ではこれまで以上の活躍が見込めそうだ。また、平場戦の成績が向上すれば、減量特典のない特別戦にも波及する可能性は十分にあるだろう。

■表2 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 6-   6-   4-  11/  27 22.2% 44.4% 59.3% 65% 83%
2番人気 8-  12-   5-  26/  51 15.7% 39.2% 49.0% 69% 83%
3番人気 7-  11-   7-  37/  62 11.3% 29.0% 40.3% 74% 86%
4番人気 8-  11-   5-  77/ 101 7.9% 18.8% 23.8% 60% 63%
5番人気 5-   3-   6-  77/  91 5.5% 8.8% 15.4% 62% 44%
6番人気 5-   6-   2-  98/ 111 4.5% 9.9% 11.7% 87% 50%
7番人気 3-   6-   2- 107/ 118 2.5% 7.6% 9.3% 38% 48%
8番人気 3-   0-   2- 115/ 120 2.5% 2.5% 4.2% 71% 30%
9番人気 3-   0-   2- 144/ 149 2.0% 2.0% 3.4% 40% 24%
10番人気〜 2-   5-   6- 541/ 554 0.4% 1.3% 2.3% 10% 29%
全体 50-  60-  41-1233/1384 3.6% 7.9% 10.9% 40% 41%

表2は人気別成績で、いちばん下に全体成績を付記した。その全体成績から見ておくと、回収率は単複ともに40%台と低め。これは特にデビュー当初、話題性の高さから過剰に人気を集める傾向があった影響も大きそうで、それは現在も無縁ではない。それでも1〜3番人気の複勝回収率はいずれも80%台と水準以上の数値を残しており、上位人気の信頼性は決して低くない。一方、10番人気以下では単勝回収率10%、複勝回収率29%にとどまり、あまり大きな穴をあけるタイプのジョッキーではないようだ。

■表3 競馬場別成績

競馬場 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
札幌 0-   0-   0-   0/   0          
函館 0-   0-   0-   0/   0          
福島 12-  14-  11- 233/ 270 4.4% 9.6% 13.7% 30% 65%
新潟 17-  16-  13- 286/ 332 5.1% 9.9% 13.9% 80% 48%
東京 7-   6-   4- 217/ 234 3.0% 5.6% 7.3% 25% 26%
中山 5-   8-   4- 267/ 284 1.8% 4.6% 6.0% 21% 26%
中京 5-  10-   7- 128/ 150 3.3% 10.0% 14.7% 23% 41%
京都 0-   1-   0-   4/   5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 36%
阪神 0-   1-   0-   7/   8 0.0% 12.5% 12.5% 0% 20%
小倉 4-   4-   2-  91/ 101 4.0% 7.9% 9.9% 57% 37%

表3は競馬場別成績。藤田騎手は関東所属なので、関東圏に属する4場での騎乗が多い。そのなかでは新潟、福島の好走率が高く、東京、中山ではやや苦戦。このあたり若手騎手らしく、まずはローカルで経験を積んでから、というところだろう。

■表4 コース別成績

コース 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
着別度数順 福島ダ1700m 5-  5-  2- 70/ 82 6.1% 12.2% 14.6% 59% 75%
新潟ダ1200m 5-  4-  6- 78/ 93 5.4% 9.7% 16.1% 98% 55%
新潟ダ1800m 5-  4-  3- 65/ 77 6.5% 11.7% 15.6% 69% 50%
福島ダ1150m 4-  4-  3- 46/ 57 7.0% 14.0% 19.3% 28% 39%
新潟芝1000m 4-  4-  2- 34/ 44 9.1% 18.2% 22.7% 176% 83%
単勝回収率順 新潟芝1000m 4-  4-  2- 34/ 44 9.1% 18.2% 22.7% 176% 83%
新潟ダ1200m 5-  4-  6- 78/ 93 5.4% 9.7% 16.1% 98% 55%
小倉芝1200m 2-  2-  1- 25/ 30 6.7% 13.3% 16.7% 78% 55%
新潟ダ1800m 5-  4-  3- 65/ 77 6.5% 11.7% 15.6% 69% 50%
東京ダ1400m 4-  3-  2- 53/ 62 6.5% 11.3% 14.5% 60% 46%

表4はコース別成績で、上半分は着別度数順、下半分は単勝回収率順(20走以上)となっている。着別度数順の上位5コースはすべて福島と新潟で占めており、これは慣れている部分も大きそうだ。また、単勝回収率順では直線コースの新潟芝1000mの数値がずば抜けて高い。特別戦初勝利を挙げるなど藤田騎手がこのコースを得意としていることは知られているが、数字の裏付けもあるわけだ。また全体的な傾向として「芝よりダートのほうが多い」ことと「短距離戦が多い」こともチェックしておきたい。

■表5 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1枠 3- 1- 2-71/77 3.9% 5.2% 7.8% 50% 25%
2枠 2- 1- 1-78/82 2.4% 3.7% 4.9% 15% 15%
3枠 3- 2- 2-51/58 5.2% 8.6% 12.1% 44% 58%
4枠 1- 5- 2-59/67 1.5% 9.0% 11.9% 29% 63%
5枠 1- 3- 3-61/68 1.5% 5.9% 10.3% 50% 60%
6枠 4- 2- 2-66/74 5.4% 8.1% 10.8% 81% 43%
7枠 1- 2- 2-73/78 1.3% 3.8% 6.4% 36% 37%
8枠 1- 4- 1-66/72 1.4% 6.9% 8.3% 24% 35%
ダート 1枠 1-  1-  1- 60/ 63 1.6% 3.2% 4.8% 4% 11%
2枠 2-  6-  5- 94/107 1.9% 7.5% 12.1% 14% 30%
3枠 4-  6-  4- 91/105 3.8% 9.5% 13.3% 45% 51%
4枠 2-  4-  4-104/114 1.8% 5.3% 8.8% 10% 22%
5枠 6-  4-  3-102/115 5.2% 8.7% 11.3% 42% 27%
6枠 6-  4-  4- 90/104 5.8% 9.6% 13.5% 65% 39%
7枠 4-  9-  3- 86/102 3.9% 12.7% 15.7% 26% 63%
8枠 9-  6-  2- 81/ 98 9.2% 15.3% 17.3% 105% 85%

表5は枠番別成績で、上半分は芝、下半分はダートを示している。より明確な傾向が出ているのはダート戦。ダートでは8枠を中心に外枠の成績がよく、内枠で苦戦している様子が見てとれる。対する芝は、内の1〜3枠で比較的勝率が高く、複勝率は真ん中あたりの3〜6枠の数値がいい。

■表6 クラス別成績

クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
新馬 1-   4-   5-  86/  96 1.0% 5.2% 10.4% 13% 45%
未勝利 16-  22-  15- 564/ 617 2.6% 6.2% 8.6% 34% 30%
500万下 29-  32-  19- 452/ 532 5.5% 11.5% 15.0% 54% 55%
1000万下 3-   2-   2-  89/  96 3.1% 5.2% 7.3% 30% 44%
1600万下 1-   0-   0-  22/  23 4.3% 4.3% 4.3% 75% 23%
オープン特別 0-   0-   0-   9/   9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G3 0-   0-   0-   7/   7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G2 0-   0-   0-   3/   3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G1 0-   0-   0-   1/   1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
平場 47-  56-  36-1095/1234 3.8% 8.3% 11.3% 41% 40%
特別 3-   4-   5- 138/ 150 2.0% 4.7% 8.0% 35% 46%

表6はクラス別成績。なお、今年から導入されたリステッド競走はオープン特別に含めている。もっとも安定しているのは500万下。そのなかでも「ローカルのダート」に絞れば勝率6.9%、複勝率19.8%に数値が上昇する。一方、新馬戦では1勝のみにとどまり、オープン特別や重賞ではまだ3着以内がない。とはいえ、昨年10月には1600万下での初勝利を挙げており、これから経験を重ねていけば上級クラスや新馬戦で勝ち負けになる馬を任される機会も増えてくるはずだ。

■表7 厩舎別成績(着別度数順)

調教師 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
小島茂之 4-  5-  1- 22/ 32 12.5% 28.1% 31.3% 128% 80%
竹内正洋 3-  2-  1- 29/ 35 8.6% 14.3% 17.1% 92% 52%
音無秀孝 3-  1-  0-  2/  6 50.0% 66.7% 66.7% 238% 220%
根本康広 2-  6-  5-205/218 0.9% 3.7% 6.0% 6% 26%
畠山吉宏 2-  3-  1- 30/ 36 5.6% 13.9% 16.7% 47% 45%
田所秀孝 2-  2-  1-  8/ 13 15.4% 30.8% 38.5% 142% 82%
加用正 2-  1-  0-  2/  5 40.0% 60.0% 60.0% 766% 306%
新開幸一 2-  0-  0- 10/ 12 16.7% 16.7% 16.7% 180% 61%
高橋文雅 2-  0-  0- 15/ 17 11.8% 11.8% 11.8% 48% 20%
高橋祥泰 2-  0-  0-  9/ 11 18.2% 18.2% 18.2% 247% 95%

表7は厩舎別成績。最多の4勝を挙げているのは小島茂之厩舎で、デビュー初年度の2016年から勝利を記録し、【2.2.0.1】と好相性のマルーンエンブレムをはじめ、勝率でも回収率でも好成績を収めている。また、音無秀孝厩舎田所秀孝厩舎加用正厩舎といった関西所属の厩舎で優秀な数字が残っている点も注目に値する。一般に関西の厩舎は減量騎手の起用に積極的ともいわれる。女性騎手2キロ減が適用される今後はローカルを中心に「藤田騎手が乗る関西馬」を狙ってみる価値はあるのではないだろうか。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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