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第1292回 今年最初のG1を制する馬は? フェブラリーSを分析する

2019/2/14(木)

2017/2/19東京11R フェブラリーS(G1) 1着 2枠3番 ゴールドドリーム

東京競馬場のダート1600mを舞台に争われるG1・フェブラリーS。今年は2016年の優勝馬モーニン、17年のゴールドドリーム、そして昨年のノンコノユメと、近年の優勝馬がずらりと顔を揃えた。これら実績馬に対し、6連勝で前走の東海Sを制したインティや、9戦7勝・重賞2連勝中のコパノキッキングといった新勢力がどう挑むのか。この注目の一戦を、過去10年の傾向から分析してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JV馬天楼 for データde出〜たを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 3-2-3-2/10 30.0% 50.0% 80.0% 73% 107%
2 2-1-2-5/10 20.0% 30.0% 50.0% 101% 97%
3 1-2-1-6/10 10.0% 30.0% 40.0% 67% 86%
4 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 107% 116%
5 0-3-0-7/10 0.0% 30.0% 30.0% 0% 72%
6 1-0-1-8/10 10.0% 10.0% 20.0% 206% 80%
7 1-0-2-7/10 10.0% 10.0% 30.0% 243% 143%
8 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
9 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 60%
10 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
11〜 1-0-0-58/59 1.7% 1.7% 1.7% 461% 56%

過去10年、1番人気は複勝率80.0%と安定しており、2、4番人気も単複の回収率100%前後と上々。間の3番人気も複勝率40.0%なら悪くはなく、この1〜4番人気の合計で【7.6.7.20】複勝率50.0%。5〜7番人気も3着以内の好走馬8頭を出し、8番人気以下は【1.1.0.87】。単勝オッズでは、27倍未満が好走馬30頭中29頭を占める。2014年に単勝2万7210円を記録したコパノリッキー(16番人気)は例外中の例外だ。

■表2 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 1〜4番人気 同連対率
1枠 1-0-1-18/20 5.0% 5.0% 10.0% 33% 19% 1-0-1-2/4 25.0%
2枠 3-2-1-14/20 15.0% 25.0% 30.0% 44% 87% 3-1-0-1/5 80.0%
3枠 0-1-3-16/20 0.0% 5.0% 20.0% 0% 66% 0-0-2-2/4 0.0%
4枠 0-1-0-19/20 0.0% 5.0% 5.0% 0% 6% 0-1-0-3/4 25.0%
5枠 0-1-4-14/19 0.0% 5.3% 26.3% 0% 56% 0-0-3-3/6 0.0%
6枠 2-0-1-17/20 10.0% 10.0% 15.0% 71% 29% 2-0-1-3/6 33.3%
7枠 2-4-0-14/20 10.0% 30.0% 30.0% 1386% 217% 1-3-0-3/7 57.1%
8枠 2-1-0-17/20 10.0% 15.0% 15.0% 224% 67% 0-1-0-3/4 25.0%

枠番別で優勝馬を輩出するのは、内の1、2枠と、外の6〜8枠。3〜5枠は計【0.3.7.49】と勝ち切れず、このうち1〜4番人気馬は【0.1.5.8】と、好走しても連対までは届かない馬が多い。4番人気以内で2着に入った1頭・ノンコノユメ(16年、単勝2.4倍)は、頭ひとつ抜けた1番人気に推されながら2着に「敗れた」形だった。

■表3 年齢別成績(牡・セン馬)

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 1〜4番人気 同複勝率
4歳 4-3-1-23/31 12.9% 22.6% 25.8% 976% 158% 2-2-1-6/11 45.5%
5歳 4-3-4-17/28 14.3% 25.0% 39.3% 50% 76% 4-2-3-4/13 69.2%
6歳 2-1-2-28/33 6.1% 9.1% 15.2% 106% 65% 1-1-2-5/9 44.4%
7歳 0-2-2-31/35 0.0% 5.7% 11.4% 0% 22% 0-1-1-5/7 28.6%
8歳 0-1-1-17/19 0.0% 5.3% 10.5% 0% 50% 該当なし
9歳以上 0-0-0-4/4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

牡・セン馬の年齢別では、4、5歳馬が4勝、2着3回ずつ。5歳馬は3着も4回を数え、複勝率は39.3%と抜けている。また、1〜4番人気馬の成績でも5歳馬は、複勝率69.2%と安定感が目立つ。なお、牝馬は16年にホワイトフーガが5番人気で10着に敗退するなど、【0.0.0.9】に終わっている。

■表4 前走クラス、レース別成績(レースは好走馬輩出レース)

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1600万下 0-1-0-1/2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 100%
OPEN特別 1-0-0-10/11 9.1% 9.1% 9.1% 2473% 300%
中央G3 3-2-1-66/72 4.2% 6.9% 8.3% 55% 30%
中央G2 2-1-1-12/16 12.5% 18.8% 25.0% 55% 68%
中央G1 3-2-2-10/17 17.6% 29.4% 41.2% 60% 60%
地方 1-4-6-28/39 2.6% 12.8% 28.2% 52% 78%
海外 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
根岸S 3-2-1-51/57 5.3% 8.8% 10.5% 70% 38%
東海S 2-1-1-10/14 14.3% 21.4% 28.6% 62% 78%
ジャパンCダート 2-0-1-4/7 28.6% 28.6% 42.9% 74% 58%
川崎記念 1-3-2-10/16 6.3% 25.0% 37.5% 128% 89%
チャンピオンズC 1-2-1-2/6 16.7% 50.0% 66.7% 83% 103%
フェアウェルS 1-0-0-0/1 100.0% 100.0% 100.0% 27210% 3310%
東京大賞典 0-1-4-10/15 0.0% 6.7% 33.3% 0% 109%
アレキサンドライトS 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 200%

表4は、前走クラス、レース別の成績。根岸S組には、昨年の同レースを取り消したベストウォーリア(本競走10着、出走前走はG3・武蔵野S7着)を含んでいる。

前走クラス別では、中央G1組が複勝率41.2%をマーク。ジャパンCダートがチャンピオンズCになった14年(本競走としては15年)以降は、同66.7%の好成績だ。レース別で最多の好走馬6頭を輩出する根岸S組は、複勝率10.5%にとどまり、この組の中での選別が重要になる。そして東海Sは13年から現在の時期になり、以降6年で好走馬4頭を輩出。10年に換算すれば6.7頭と、根岸S組を上回ってくる計算になる。また、地方競馬組は【1.4.6.28】と2〜3着が多い。

なお、3着以内好走馬のうち、前走で重賞以外に出走していたのは、09年2着のカジノドライヴ(前走1600万条件1着)と、14年1着のコパノリッキー(前走オープン特別9着)の2頭のみ。ともに4歳馬で、カジノドライヴは前年5月にアメリカでG2を制覇。コパノリッキーはやはり前年5月に兵庫チャンピオンシップ(園田・Jpn2)を制しており、前走重賞組以外を狙うなら、ダートG2(Jpn2)優勝実績を持つ4歳馬。今年は該当馬不在のため、重賞組(地方競馬含む)に絞られる。

■表5 前走中央G1からの好走馬

馬名 性齢 人気 着順 前走 人気 着順
2010 エスポワールシチー 牡5 1 1 ジャパンCダート 1 1
2011 トランセンド 牡5 1 1 1 1
2014 ベルシャザール 牡6 1 3 3 1
2015 ベストウォーリア 牡5 3 3 チャンピオンズC 9 11
2016 ノンコノユメ 牡4 1 2 3 2
2017 ゴールドドリーム 牡4 2 1 2 12
2018 ゴールドドリーム 牡5 1 2 8 1

本競走好走馬のうち前走で中央競馬のG1に出走していたのは表5の7頭で、うち5頭は前走連対馬だ。「前走・中央G1連対馬(すべて本競走1番人気)」は【2.2.1.1】と、12年7着のトランセンド以外はすべて馬券に絡んでいる。残る2頭は前走で2桁着順の大敗を喫しながら、ここで2〜3番人気の支持を受けた馬だった。また表5の7頭中6頭は、表3で好走が多かった4〜5歳馬である。

■表6 前走地方競馬組の好走馬

馬名 性齢 人気 着順 前走 人気 着順 中央G1実績 1600m以下実績
2009 サクセスブロッケン 牡4 6 1 川崎記念 2 3 ジャパンCダート8着 ヒヤシンスS1着
カネヒキリ 牡7 1 3 川崎記念 1 1 ジャパンCダート1着 06年本競走1着
2010 テスタマッタ 牡4 5 2 川崎記念 4 3 未経験 3戦2勝
サクセスブロッケン 牡5 2 3 東京大賞典 2 1 前年本競走1着 前年本競走1着
2011 フリオーソ(地方) 牡7 3 2 川崎記念 1 1 ジャパンCダート7着 全日本2歳優駿1着
バーディバーディ 牡4 4 3 東京大賞典 5 3 ジャパンCダート4着 ユニコーンS1着
2012 ワンダーアキュート 牡6 2 3 東京大賞典 3 2 ジャパンCダート2着 武蔵野S1着
2013 エスポワールシチー 牡8 9 2 東京大賞典 4 5 10年本競走1着 10年本競走1着
ワンダーアキュート 牡7 7 3 川崎記念 1 2 ジャパンCダート2着 武蔵野S1着
2014 ホッコータルマエ 牡5 2 2 川崎記念 1 1 ジャパンCダート3着 かしわ記念1着
2018 インカンテーション 牡8 6 3 東京大賞典 4 7 15年本競走2着 武蔵野S1着

前走地方競馬組は、好走した11頭中9頭が前走3着以内馬。前走地方競馬組は、前走3着以内かつ、本競走で9番人気以内に推された牡・セン馬が【1.3.5.7】複勝率56.3%を記録している。表6で前走4着以下から巻き返した2頭は、既に本競走連対実績を持っていた8歳のベテランだ。

また表6の好走馬11頭中、中央競馬のダートG1で3着以内の実績がなかったのは4頭のみ。うち3頭は4歳馬で、もう1頭は地方競馬所属のフリオーソ。前走こそ地方競馬のレースだったとしても、中央のダートG1で好走歴がない5歳以上の馬は苦しい。そしてもう1点、1600m以下での実績もこの組の注目点。11頭すべてに優勝実績があり、9頭は本競走と同距離の1600m戦で重賞勝ちを飾っていた。

■表7 前走根岸S、東海Sからの好走馬

馬名 性齢 人気 着順 前走 人気 着順 ダ1600m実績 ダ1600m以下
2012 テスタマッタ 牡6 7 1 根岸S 5 3 10年本競走2着
シルクフォーチュン 牡6 4 2 4 1 南部杯3着
2016 モーニン 牡4 2 1 1 1 武蔵野S3着
2017 ベストウォーリア 牡7 5 2 3 2 南部杯1着
カフジテイク 牡5 1 3 1 1 武蔵野S3着
2018 ノンコノユメ セ6 4 1 6 1 武蔵野S1着
2013 グレープブランデー 牡5 3 1 東海S 4 1 0-1-0-0
2015 コパノリッキー 牡5 1 1 1 1 3-0-1-0
インカンテーション 牡5 5 2 3 3 0-0-0-1
2016 アスカノロマン 牡5 7 3 4 1 未経験

そして表7は、前走根岸S、東海Sからの好走馬10頭である。この2レースからの臨戦組のうち、前走1着馬は【4.1.2.6】複勝率53.8%、単複の回収率189%、159%を記録しており、勝ち馬にはまず注目前走2〜3着馬でも本競走7番人気以内なら、【1.2.0.6】連対率33.3%、単複の回収率270%、137%になる。前走4着以下は【0.0.0.37】、本競走8番人気以下は【0.0.0.45】と、ともに好走がない。

また、距離延長になる根岸S組の好走馬6頭はすべてがダート1600mの重賞で3着以内の実績を持ち、カフジテイク以外の5頭にはダート1600m以上での優勝実績(クラス問わず)もあった。一方、距離短縮となる東海S組の好走馬のうち、ダート1600m以下で優勝経験があったのは15年のコパノリッキーのみ。インカンテーションは1戦4着(500万条件)、アスカノロマンは未経験でも好走を果たした。なお、東海S組は好走4頭すべて5歳馬。根岸Sからは6歳馬が3頭と目立ち、4、5、7歳馬が各1頭となっている。

【結論】

2019/1/20(日)中京11R 東海テレビ杯東海S(G2) 1着 4枠4番 インティ

今年は前走中央G1組に、表5の条件を満たす馬は不在。そこで、過去10年で優勝馬5頭を輩出する根岸S・東海S組(表7)から中心馬を探りたい。この組は前走3着以内が好走条件で、特に勝ち馬が好成績を残している(同本文)。東海Sを制したインティは、同レースから出た好走馬4頭と同じ5歳馬。5歳の上位人気馬は特に安定している点も魅力になる(表3)。東海S組なら距離実績は不問で、7連勝でのG1初制覇も大いに期待できそうだ。

勝ち切れないながらも、複勝率は高いのが前走地方競馬組(表4、6)。今年は東京大賞典の1、2着馬・オメガパフュームとゴールドドリームが駒を進めてきた。ともに前走着順や中央G1実績に問題はなく、2頭で差がつくのは1600m戦の実績。3着1回のみのオメガパフュームよりは、一昨年の本競走優勝馬・ゴールドドリームが上位だ(表6)。

その他では、根岸S3着のクインズサターンが穴候補としておもしろい存在だが、今回7番人気以内(表1、7)に収まるかは微妙なところ。当日の人気や、枠順(表2)抽選の結果次第では、オメガパフュームをはじめ、サンライズソア、ユラノト、コパノキッキングなど、表5〜7にあった好走条件の一部を満たさない馬にもチャンスがめぐってきそうだ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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