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第1260回 神戸新聞杯勝ち馬不在の菊は波乱か!?

2018/10/18(木)

今週は、3歳クラシック最終戦の菊花賞が行われる。今年は、日本ダービーで世代の頂点を極め、トライアルの神戸新聞杯も制したワグネリアンが不在の一戦となった。しかし、他の陣営にとってはチャンス拡大。最後の1冠はどんな結果が待っているのか、過去の傾向を分析してみよう。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JV馬天楼 for データde出〜たを利用した。

■表1 東西別成績

所属 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
関東馬 0-0-1-44/45 0.0% 0.0% 2.2% 0% 11%
関西馬 10-10-9-106/135 7.4% 14.8% 21.5% 57% 85%

2016/10/23 京都11R 菊花賞(G1) 1着 3番 サトノダイヤモンド (栗東・池江泰寿厩舎)

まずは、この菊花賞でもっともはっきりした傾向が出ている、所属(東西)別成績から見ておきたい。過去10年、表にある通り関東馬の馬券圏内好走はわずか1回、14年のゴールドアクター3着のみ。1番人気馬こそいなかったが、2〜4番人気でも16年のディーマジェスティ(2番人気4着)など11頭すべてが圏外に終わった。 他のG1ではチャンピオンズC(旧JCダート含む)で関西馬【9.9.9.98】や、有馬記念の同【9.10.7.92】などもあるが、連対全馬、3着以内30頭中29頭が関西馬というのは群を抜いている。関東馬によほど好材料が揃った馬がいるか、関西馬が不安を抱えた馬ばかりでないかぎり、関西馬を中心に拾いたいレースだ。

■表2 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 6-1-1-2/10 60.0% 70.0% 80.0% 149% 113%
2 0-2-0-8/10 0.0% 20.0% 20.0% 0% 31%
3 1-0-2-7/10 10.0% 10.0% 30.0% 69% 82%
4 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 27%
5 1-2-0-7/10 10.0% 30.0% 30.0% 134% 102%
6 0-0-2-8/10 0.0% 0.0% 20.0% 0% 89%
7 1-1-2-6/10 10.0% 20.0% 40.0% 232% 193%
8 1-0-0-9/10 10.0% 10.0% 10.0% 192% 60%
9 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 115%
10 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 77%
11〜 0-1-2-77/80 0.0% 1.3% 3.8% 0% 38%

人気別では、1番人気が連対率70.0%、単複の回収率110%超をマークするなどの好成績。冒頭で触れたように、今年は神戸新聞杯優勝馬不在の影響が気になるが、例年通りなら1番人気を嫌う理由はない。その他では、5〜9番人気に高回収率が多く見られ、合計では【3.4.5.38】で複勝率24.0%、単複の回収率はともに111%。中位人気勢には要注目だ。

■表3 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 6番人気以下
1枠 3-1-1-15/20 15.0% 20.0% 25.0% 137% 103% 1-1-0-10/12
2枠 3-3-0-14/20 15.0% 30.0% 30.0% 86% 110% 0-2-0-13/15
3枠 1-0-1-18/20 5.0% 5.0% 10.0% 116% 56% 1-0-1-14/16
4枠 0-0-0-20/20 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-14/14
5枠 0-1-2-17/20 0.0% 5.0% 15.0% 0% 48% 0-0-1-13/14
6枠 0-2-2-16/20 0.0% 10.0% 20.0% 0% 114% 0-1-2-15/18
7枠 3-2-3-22/30 10.0% 16.7% 26.7% 32% 95% 0-0-3-16/19
8枠 0-1-1-28/30 0.0% 3.3% 6.7% 0% 17% 0-0-0-22/22

枠番では、まず4枠の3着以内好走馬不在が目につく。対して、内の1〜2枠や、6枠の複勝率が高い。また、表の右にある6番人気以下の成績も併せて見ると、3枠は好走2頭がともに6番人気以下、そして6枠は好走4頭中3頭が6番人気以下。まとめると、1〜3枠、6〜7枠が良く、4、5、8枠は割り引きたい。なお、馬番では7〜9番枠と、18番枠が、過去10年全馬4着以下に終わっている。枠順確定後には参考にしたいデータだ。

■表4 前走クラス、レース別成績(レースは好走馬輩出レース)

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
500万下 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1000万下 1-0-4-36/41 2.4% 2.4% 12.2% 46% 90%
1600万下 0-0-0-7/7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
OPEN特別 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G3 0-0-0-4/4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G2 9-10-6-97/122 7.4% 15.6% 20.5% 47% 68%
G1 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
地方 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
神戸新聞杯 8-6-5-51/70 11.4% 20.0% 27.1% 64% 79%
(同レース2着以下) 4-5-4-49/62 6.5% 14.5% 21.0% 61% 77%
セントライト記念 1-3-1-45/50 2.0% 8.0% 10.0% 26% 45%
野分特別 1-0-0-3/4 25.0% 25.0% 25.0% 480% 150%
札幌記念 0-1-0-1/2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 250%
兵庫特別 0-0-2-6/8 0.0% 0.0% 25.0% 0% 182%
支笏湖特別 0-0-1-0/1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 520%
阿賀野川特別 0-0-1-0/1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 1110%
(神戸新聞杯以外計) 2-4-5-99/110 1.8% 5.5% 10.0% 29% 58%

前走クラス別で好走馬が出ているのは、1000万条件とG2のみ。レース別では、3着以内30頭中19頭が神戸新聞杯組と、他を圧倒している。今年は同レースの勝ち馬が不在だが、2着以下の馬でも複勝率21.0%など、他のレースの合計や、1000万条件組よりも十分に高い好走確率を記録する。

■表5 神戸新聞杯優勝馬不在年の菊花賞(00年以降)

馬名 人気 着順 前走 前走人気 前走着順
00 エアシャカール 2 1 神戸新聞杯 1 3
トーホウシデン 3 2 セントライト記念 1 2
エリモブライアン 6 3 神戸新聞杯 6 7
02 ヒシミラクル 10 1 神戸新聞杯 7 6
ファストタテヤマ 16 2 札幌記念 11 13
メガスターダム 3 3 神戸新聞杯 4 4
04 デルタブルース 8 1 九十九里特別 1 1
ホオキパウェーブ 4 2 セントライト記念 2 2
オペラシチー 6 3 朝日チャレンジC 2 7
08 オウケンブルースリ 1 1 神戸新聞杯 2 3
フローテーション 15 2 神戸新聞杯 14 12
ナムラクレセント 9 3 神戸新聞杯 7 6
17 キセキ 1 1 神戸新聞杯 2 2
クリンチャー 10 2 セントライト記念 4 9
ポポカテペトル 13 3 阿賀野川特別 2 1

表5は、菊花賞が10月に繰り上がった00年以降、神戸新聞杯優勝馬が不在だった年の菊花賞成績をまとめたものである。神戸新聞杯は07年(表では08年)より現行の2400mに延長されているが、まずは全体を見てみると、00年以外は6番人気以下の穴馬が複数馬券に絡んでいることがわかる。その00年は人気順だけ見ると比較的平穏だが、この年は単勝1.9倍の断然人気に推されたダービー馬・アグネスフライト(神戸新聞杯2着)が5着に敗退した。 また、神戸新聞杯距離延長後の2回は、08年のオウケンブルースリ(同年は神戸新聞杯2着のブラックシェルも不在)、昨年のキセキと、菊花賞1番人気かつ、神戸新聞杯最先着馬が優勝。2〜3着には9番人気以下が食い込み、いわゆる「ヒモ荒れ」の形だった。

■表6 神戸新聞杯2着以下からの好走馬

馬名 人気 着順 前走人気 前走着順 前々走 3走前以前G1
08 オウケンブルースリ 1 1 2 3 1000万1着 なし
フローテーション 15 2 14 12 ダービー8着 皐月賞11着
ナムラクレセント 9 3 7 6 1000万1着 なし
09 セイウンワンダー 6 3 5 3 ダービー13着 朝日杯FS1着
10 ビッグウィーク 7 1 5 3 1000万1着 なし
11 ウインバリアシオン 2 2 2 2 ダービー2着 なし
12 ユウキソルジャー 7 3 9 4 1000万1着 なし
13 サトノノブレス 5 2 2 3 1000万2着 なし
14 トーホウジャッカル 3 1 9 3 1000万2着 なし
サウンズオブアース 4 2 8 2 ダービー11着 なし
15 リアルスティール 2 2 1 2 ダービー4着 皐月賞2着
16 エアスピネル 6 3 2 5 ダービー4着 朝日杯FS2着
17 キセキ 1 1 2 2 1000万1着 なし

過去10年に戻り、神戸新聞杯2着以下からの好走馬一覧(13頭)を見てみたい。この中で、菊花賞を制した4頭はすべて、前々走1000万条件出走馬(本年の神戸新聞杯組では該当なし)。それ以外の馬のうち6頭が前々走で日本ダービーに出走しており、このうち4頭はG1連対実績馬。残りのうちフローテーションとサウンズオブアースは、G2連対実績と京都での優勝実績があった。ほかに、全13頭中11頭は神戸新聞杯5着以内だったが、6着以下から巻き返した2頭はともに、神戸新聞杯優勝馬不在の08年だったため、今年は同タイプの馬がいても大幅な減点には至らない。

■表7 前走セントライト記念からの好走馬

馬名 人気 着順 前走人気 前走着順 前々走 3走前以前G1
09 フォゲッタブル 7 2 7 3 阿賀野川特別2着 なし
11 トーセンラー 3 3 3 2 ダービー11着 皐月賞7着
12 スカイディグニティ 5 2 14 2 阿賀野川特別6着 なし
15 キタサンブラック 5 1 6 1 ダービー14着 皐月賞3着
17 クリンチャー 10 2 4 9 ダービー13着 皐月賞4着

表4で神戸新聞杯に次いで好走が多かった、前走セントライト記念からの好走馬5頭は、昨年のクリンチャーを除き同レース3着以内で、馬券圏内確保が目安。また、前々走で日本ダービーに出走していた馬(本年のセントライト記念組全馬が該当)なら、ダービーは2桁着順大敗も、3走前の皐月賞をひと桁着順にまとめていたことで共通している。

■表8 前走その他のレースからの好走馬

馬名 人気 着順 前走 人気 着順 前々走 オープン実績
09 スリーロールス 8 1 野分特別 3 1 1000万5着(9月) 毎日杯8着
10 ビートブラック 13 3 兵庫特別 5 1 1000万7着(9月) 白百合S5着
13 バンデ 3 3 兵庫特別 1 1 セントライト記念6着 青葉賞15着
14 ゴールドアクター(東) 7 3 支笏湖特別 1 1 500万1着(8月) 青葉賞4着
16 レインボーライン 9 2 札幌記念 4 3 ダービー8着 アーリントンC1着
17 ポポカテペトル 13 3 阿賀野川特別 2 1 1000万6着(7月) 青葉賞4着

最後に表8は、神戸新聞杯、セントライト記念以外からの好走馬である。まず6頭すべての前走は8月中旬以降、そしてオープンか重賞への出走経験を持っていた。このうち、前走が1000万条件以外(札幌記念)だったレインボーラインは重賞優勝実績があり、前々走の日本ダービーはひと桁着順だった。これ以外の5頭は、前走1000万条件の優勝に加え、前々走が7月以降だったことも共通点だ。

【結論】

表2にあったように1番人気が好結果を出す一戦だが、今年候補になるブラストワンピースは、新潟記念からという異例のステップ(表4)に加え、連対のない関東馬(表1)である。一方のエタリオウも、表は掲載しなかったが、過去10年好走がない1勝馬。さらに、日本ダービー出走→神戸新聞杯2着以下のステップは優勝がなく(表6)、G1連対実績がないことも減点材料(同)。どちらが1番人気でも、全幅の信頼は置きづらい。

2017/12/28 中山11R ホープフルステークス(G1) 1着 7番 タイムフライヤー

そこで、表2で中位人気が高回収率を記録していたことや、表5から今年は人気薄の好走が期待できそうなことから、3着以内の穴候補を探ってみたい。まず、圧倒的に好走馬の多い前走神戸新聞杯組(表4)からはタイムフライヤー。G1連対実績(ホープフルS優勝)を持つ前々走日本ダービー出走馬で(表6)、神戸新聞杯6着も、同レース優勝馬不在の年ならチャンスがある。もう1頭はステイフーリッシュで、G1ではホープフルS3着と連対に届いていないが、これは「G2連対+京都優勝」実績(京都新聞杯1着)で補える。

セントライト記念組では、皐月賞ひと桁着順→日本ダービー2桁着順(表7)の関西馬・グレイル。また、関東馬は大きな減点にはなるが、ジェネラーレウーノも同様のステップで、こちらは3連勝を含む4勝馬、セントライト記念優勝、皐月賞3着など、15年の優勝馬・キタサンブラックと共通点の多いことが売りになる。その他の組からは、重賞経験があり、前走8月中旬以降の1000万条件1着、前々走も7月以降(表8)だったカフジバンガードを挙げたい。

一方、人気どころではまず皐月賞馬・エポカドーロ。神戸新聞杯で2着以下だったダービー出走馬は勝っていないことは気になるものの(表6)、他に大きな減点はない馬だ。また、先に不安材料を挙げたエタリオウは、神戸新聞杯優勝馬不在の08年、17年に、同レース最先着馬が優勝しているというプラス材料もある。ブラストワンピースも、表8のレインボーラインと同じく重賞優勝実績のあるダービーひと桁着順馬で、可能性は残る。とはいえ、今年は穴馬に多くのチャンスがありそうなだけに、これら人気馬に偏らないような馬券の組み立てをしたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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