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第1249回 この時期特有の「スーパー未勝利戦」を分析

2018/9/10(月)

4回中山・阪神(平年)の3歳未勝利戦では、「キャリア5戦以下」か「前走5着以内」の馬が1回のみ出走できるという制限が課せられている。そのため「スーパー未勝利戦」と呼ばれることもある。そこで今回は、このスーパー未勝利戦について、主に前走着順とキャリアに着目してデータを読み解いてみたい。集計期間は2013〜2017年の5年間。なお、中山競馬場の改修が行なわれた2014年は、4回中山ではなく、3回新潟を集計対象とする。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 41-  36-  19-  44/ 140 29.3% 55.0% 68.6% 69% 91%
2番人気 17-  20-  21-  82/ 140 12.1% 26.4% 41.4% 49% 65%
3番人気 30-  17-  22-  71/ 140 21.4% 33.6% 49.3% 135% 96%
4番人気 14-  18-  18-  90/ 140 10.0% 22.9% 35.7% 88% 84%
5番人気 9-  10-  10- 111/ 140 6.4% 13.6% 20.7% 67% 59%
6番人気 9-   6-   9- 116/ 140 6.4% 10.7% 17.1% 84% 61%
7番人気 5-   5-  11- 119/ 140 3.6% 7.1% 15.0% 47% 63%
8番人気 5-   5-   7- 123/ 140 3.6% 7.1% 12.1% 101% 72%
9番人気 5-  11-   6- 118/ 140 3.6% 11.4% 15.7% 100% 123%
10番人気〜 5-  12-  17- 904/ 938 0.5% 1.8% 3.6% 16% 46%

表1は人気別成績。1番人気は勝率が若干低いものの、連対率と複勝率は悪くなく、複勝回収率も91%と水準以上で、軸馬としてはまずまず信頼できそうだ。しかし、2番人気の数字は総じて低調。むしろ狙い目は3番人気で、勝率〜複勝回収率の5項目すべてで2番人気を上回るほどの数字を残している。続く4番人気も水準以上。また、8番人気や9番人気といったダークホースの成績もなかなか侮れない。ただし、10番人気以下になると数字が大きく落ち込んでしまう。

■表2 キャリア別成績

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
0戦 1-   0-   2-  34/  37 2.7% 2.7% 8.1% 43% 94%
1戦 2-   3-   2- 147/ 154 1.3% 3.2% 4.5% 9% 33%
2戦 11-  10-  18- 228/ 267 4.1% 7.9% 14.6% 50% 70%
3戦 15-  13-  14- 287/ 329 4.6% 8.5% 12.8% 54% 55%
4戦 19-  21-  25- 365/ 430 4.4% 9.3% 15.1% 34% 51%
5戦 30-  22-  20- 328/ 400 7.5% 13.0% 18.0% 63% 75%
6戦 6-   9-  13-  56/  84 7.1% 17.9% 33.3% 26% 83%
7戦 13-   9-  13-  65/ 100 13.0% 22.0% 35.0% 52% 84%
8戦 7-   9-   6-  78/ 100 7.0% 16.0% 22.0% 65% 49%
9戦 10-   7-   6-  50/  73 13.7% 23.3% 31.5% 147% 69%
10戦〜 26-  37-  21- 140/ 224 11.6% 28.1% 37.5% 91% 91%

2018/1/14 京都11R 日経新春杯(G2) 1着 7番 パフォーマプロミス

表2はキャリア別成績。この表を見ると、キャリアは多いほうが安定した成績を収めていることがわかる。たとえば複勝率ベースで見ていくと、キャリア5戦までは20%に届かないのに対して、キャリア6戦以上はすべて20%以上。もっといえば、キャリア8戦以外は30%以上となっている。一方、キャリアの浅い馬は苦戦傾向。特にキャリア0戦、つまりスーパー未勝利戦がデビューとなる馬や、キャリア1戦の好走率はかなり低い。今年の日経新春杯を制したパフォーマプロミスは、15年9月のスーパー未勝利戦でデビュー勝ちを収めているが、これはどちらかといえば例外的な結果とみたほうがよさそうだ。

■表3 前走2着馬のキャリア別成績

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1戦 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2戦 3-  0-  0-  6/  9 33.3% 33.3% 33.3% 144% 61%
3戦 3-  3-  0-  5/ 11 27.3% 54.5% 54.5% 50% 72%
4戦 6-  4-  3-  9/ 22 27.3% 45.5% 59.1% 132% 94%
5戦 7-  4-  1- 14/ 26 26.9% 42.3% 46.2% 153% 81%
6戦 3-  5-  5- 12/ 25 12.0% 32.0% 52.0% 33% 108%
7戦 7-  1-  3-  9/ 20 35.0% 40.0% 55.0% 77% 76%
8戦 2-  2-  2- 18/ 24 8.3% 16.7% 25.0% 34% 43%
9戦 0-  4-  1- 11/ 16 0.0% 25.0% 31.3% 0% 43%
10戦〜 9- 10-  7- 27/ 53 17.0% 35.8% 49.1% 67% 73%

ここからはより細かく、前走着順を限定したキャリア別成績を確認していきたい。表4は、前走2着馬に限ったキャリア別成績で、表2とはまったく異なる傾向が出ていることがわかるだろう。表2ではキャリアを重ねた馬が高い好走率を記録していたが、前走2着馬に限るとキャリアが浅い馬も互角以上の数字を残している。なかでも優秀なのがキャリア4〜6戦のあたりで、キャリア2戦の勝率、単勝回収率も高い。また、キャリア3戦や7戦の好走率も良好だ。このデータを見る限り、前走2着というしっかりした成績を残している馬であれば、キャリアの浅さを十分に補えるようだ。その一方でキャリア10戦以上の好走率も高いが、回収率は水準に届かず、人気に推される傾向も見受けられる。

■表4 前走3着馬のキャリア別成績

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1戦 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2戦 0-  1-  0-  1/  2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 85%
3戦 1-  1-  3-  9/ 14 7.1% 14.3% 35.7% 16% 66%
4戦 3-  1-  1- 13/ 18 16.7% 22.2% 27.8% 105% 63%
5戦 4-  3-  0- 12/ 19 21.1% 36.8% 36.8% 155% 75%
6戦 2-  2-  1- 13/ 18 11.1% 22.2% 27.8% 58% 51%
7戦 4-  3-  3- 14/ 24 16.7% 29.2% 41.7% 72% 61%
8戦 1-  3-  3- 18/ 25 4.0% 16.0% 28.0% 11% 50%
9戦 2-  2-  1- 12/ 17 11.8% 23.5% 29.4% 97% 57%
10戦〜 8- 12-  5- 34/ 59 13.6% 33.9% 42.4% 82% 122%

表4は、前走3着馬に限ったキャリア別成績。好走率、回収率ともに優秀なのはキャリア5戦の馬。これを含むキャリア3戦から7戦にかけての、ほどほどのキャリアを積んだ馬の数字がいい。また、キャリア10戦以上の豊富な戦歴を重ねた馬の好走率も高く、狙ってみる価値がありそうだ。

■表5 前走4、5着馬のキャリア別成績

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1戦 1-  0-  1-  8/ 10 10.0% 10.0% 20.0% 64% 36%
2戦 0-  1-  3- 10/ 14 0.0% 7.1% 28.6% 0% 65%
3戦 2-  1-  1- 13/ 17 11.8% 17.6% 23.5% 100% 71%
4戦 3-  2-  3- 29/ 37 8.1% 13.5% 21.6% 58% 56%
5戦 3-  4-  7- 43/ 57 5.3% 12.3% 24.6% 30% 98%
6戦 1-  2-  6- 22/ 31 3.2% 9.7% 29.0% 11% 82%
7戦 2-  5-  7- 42/ 56 3.6% 12.5% 25.0% 34% 97%
8戦 4-  4-  1- 42/ 51 7.8% 15.7% 17.6% 107% 52%
9戦 8-  1-  4- 27/ 40 20.0% 22.5% 32.5% 227% 85%
10戦〜 9- 15-  9- 79/112 8.0% 21.4% 29.5% 107% 83%

表5は、前走4、5着馬に限ったキャリア別成績。この場合は、キャリアによる好走率に大きな差は見られないようだ。そのなかでも比較的数字がいいのはキャリア9戦や10戦以上。これだけ十分なキャリアがあり、前走4、5着というとあまり上積みがなさそうにも思えるが、実際には面白い存在となる。

■表6 前走6〜9着馬のキャリア別成績

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1戦 1-  0-  1- 19/ 21 4.8% 4.8% 9.5% 38% 69%
2戦 5-  3- 11- 54/ 73 6.8% 11.0% 26.0% 42% 100%
3戦 5-  5-  5- 83/ 98 5.1% 10.2% 15.3% 79% 56%
4戦 5-  8-  7-108/128 3.9% 10.2% 15.6% 41% 53%
5戦 11-  7-  6-119/143 7.7% 12.6% 16.8% 76% 61%

表6は、前走6〜9着馬に限ったキャリア別成績。なお、先述した通り、キャリア6戦以上の馬は前走5着以内でなければスーパー未勝利戦には出走できないため、ここでの対象はキャリア5戦以内のみとなる。やはりというべきか、表3〜5に比べて全体の好走率は大きくダウン。強いて挙げればキャリア2戦の複勝率、複勝回収率の数字がいいが、勝率や単勝回収率は他と差がなく、取り立てて狙えるというほどではない。

■表7 前走10着以下馬のキャリア別成績

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1戦 0-  3-  0-115/118 0.0% 2.5% 2.5% 0% 28%
2戦 3-  5-  4-157/169 1.8% 4.7% 7.1% 53% 58%
3戦 4-  3-  5-175/187 2.1% 3.7% 6.4% 40% 51%
4戦 2-  5- 10-202/219 0.9% 3.2% 7.8% 11% 40%
5戦 5-  4-  7-146/162 3.1% 5.6% 9.9% 36% 80%

表7は、前走10着以下馬に限ったキャリア別成績。当然ではあるのだが、キャリアを問わず厳しい好走率にとどまっている。前項と合わせて、スーパー未勝利戦において、前走で掲示板を外していた馬が巻き返すのは容易ではないことが見てとれるデータとなっている。

■表8 種牡馬別成績(着別度数順)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
ゼンノロブロイ 10- 3- 5-46/64 15.6% 20.3% 28.1% 164% 72%
ダイワメジャー 7- 1- 3-48/59 11.9% 13.6% 18.6% 77% 39%
ハーツクライ 6- 5- 2-47/60 10.0% 18.3% 21.7% 90% 57%
アドマイヤムーン 6- 0- 1-26/33 18.2% 18.2% 21.2% 172% 52%
キングカメハメハ 5-11-11-65/92 5.4% 17.4% 29.3% 21% 75%
ディープインパクト 5-11- 7-55/78 6.4% 20.5% 29.5% 21% 70%
ステイゴールド 5- 2- 3-56/66 7.6% 10.6% 15.2% 111% 61%
ゴールドアリュール 4- 2- 1-40/47 8.5% 12.8% 14.9% 96% 36%
ディープスカイ 4- 0- 2-11/17 23.5% 23.5% 35.3% 136% 156%
シンボリクリスエス 3- 5- 3-39/50 6.0% 16.0% 22.0% 36% 77%
ヴィクトワールピサ 3- 4- 1-15/23 13.0% 30.4% 34.8% 65% 63%
アグネスタキオン 3- 1- 1-15/20 15.0% 20.0% 25.0% 100% 143%
シニスターミニスター 3- 1- 1-10/15 20.0% 26.7% 33.3% 166% 78%
サウスヴィグラス 3- 0- 2-19/24 12.5% 12.5% 20.8% 35% 36%
キンシャサノキセキ 3- 0- 1-19/23 13.0% 13.0% 17.4% 220% 82%

最後に、表8でスーパー未勝利戦における種牡馬別成績(着別度数順)を確認しておきたい。なお、このデータはキャリアや前走着順を問わない。最多の10勝を挙げたのはゼンノロブロイで、勝率15.6%、単勝回収率164%も優秀だ。昨年のJRAリーディング(賞金順)では17位だったことを思えばずいぶん順位を上げており、スーパー未勝利戦に強い種牡馬といってもいいのではないか。4位のアドマイヤムーンは6勝に対して2、3着は計1回しかない極端な成績ながら、勝率18.2%、単勝回収率172%はいずれもゼンノロブロイを上回るほど。興味深いのが、現在の二強種牡馬といえるキングカメハメハ(5位)とディープインパクト(6位)が似たような成績を残していること。どちらも5勝に対して2着11回と倍以上の数を記録し、単勝回収率21%も同じ。語弊があるかもしれないが、このクラスの種牡馬になると優秀な産駒はスーパー未勝利戦より前に勝ち上がり済みで、詰めの甘い産駒が多く出走しているのかもしれない。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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