第1244回 北の短距離決戦を制する馬は? キーンランドC分析|競馬情報ならJRA-VAN

競馬予想・競馬情報ならJRA-VAN

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第1244回 北の短距離決戦を制する馬は? キーンランドC分析

2018/8/23(木)

サマースプリントシリーズの第5戦・キーンランドC。夏には違いないがもう8月も下旬、秋のG1シリーズ開幕戦・スプリンターズSへ向けたステップともなる一戦だ。近年の出走馬では、11年のカレンチャン、14年のスノードラゴンがここをステップに、スプリンターズSでタイトルを獲得している。今年はどの馬がシリーズ制覇や、秋のG1へ前進するのか。過去の傾向を見てみよう。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JV馬天楼 for データde出〜た を利用した。

■表1 人気別成績 

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 函館除く
1 1-4-3-2/10 10.0% 50.0% 80.0% 19% 107% 1-3-3-2
2 3-2-0-5/10 30.0% 50.0% 50.0% 141% 93% 3-2-0-4
3 2-0-1-7/10 20.0% 20.0% 30.0% 128% 60% 2-0-1-6
4 1-0-2-7/10 10.0% 10.0% 30.0% 52% 67% 0-0-2-7
5 0-0-2-8/10 0.0% 0.0% 20.0% 0% 61% 0-0-2-7
6 0-2-1-7/10 0.0% 20.0% 30.0% 0% 118% 0-2-0-7
7 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-9
8 1-0-1-8/10 10.0% 10.0% 20.0% 291% 157% 1-0-1-7
9 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 61% 0-1-0-8
10 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-9
11〜 2-1-0-50/53 3.8% 5.7% 5.7% 344% 64% 2-1-0-44

2016/8/28 札幌11R キーンランドC 1着 14番 ブランボヌール (2番人気)

過去10年、 1番人気は【1.4.3.2】で複勝率80.0%と安定はしているが、優勝したのは11年、単勝190円のカレンチャンのみで、単勝回収率は19%。1着候補には2〜3番人気あたりのほうが良さそうな傾向だ。また、函館で代替された13年が4→1→6番人気の決着だったため、札幌にかぎると、4〜7番人気は優勝なしの【0.2.4.30】で2連対のみ。上位人気以外なら、8番人気以下から一発のありそうなタイプを探したい。

■表2 性齢別成績

性別 年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 1〜3番人気 同複勝率
牡・セン 3歳 0-1-0-11/12 0.0% 8.3% 8.3% 0% 9% 0-1-0-1/2 50.0%
4歳 0-1-2-9/12 0.0% 8.3% 25.0% 0% 55% 0-1-0-3/4 25.0%
5歳 2-1-2-15/20 10.0% 15.0% 25.0% 56% 38% 2-1-2-2/7 71.4%
6歳 0-2-0-25/27 0.0% 7.4% 7.4% 0% 41% 0-0-0-4/4 0.0%
7歳以上 2-1-1-23/27 7.4% 11.1% 14.8% 676% 127% 0-0-0-1/1 0.0%
牝馬 3歳 1-0-1-8/10 10.0% 10.0% 20.0% 56% 31% 1-0-1-0/2 100.0%
4歳 3-3-2-8/16 18.8% 37.5% 50.0% 75% 97% 3-3-1-1/8 87.5%
5歳 2-0-2-12/16 12.5% 12.5% 25.0% 214% 131% 0-0-0-2/2 0.0%
6歳 0-1-0-7/8 0.0% 12.5% 12.5% 0% 76% 該当なし
7歳以上 0-0-0-5/5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

性齢別では、4歳牝馬が複勝率50.0%などの好成績。また、1〜3番人気にかぎると、牡・セン馬なら5歳、牝馬なら3〜4歳が高複勝率を記録している。今年該当馬がいれば、少々他のデータに不安があっても抑えておきたい。

■表3 枠番別成績(札幌開催のみ)

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 4番人気以下 同連対率
1枠 0-0-1-14/15 0.0% 0.0% 6.7% 0% 8% 0-0-0-11/11 0.0%
2枠 1-0-2-12/15 6.7% 6.7% 20.0% 42% 82% 0-0-1-11/12 0.0%
3枠 1-2-0-14/17 5.9% 17.6% 17.6% 949% 167% 1-1-0-13/15 13.3%
4枠 2-1-0-15/18 11.1% 16.7% 16.7% 46% 25% 0-0-0-15/15 0.0%
5枠 1-1-2-14/18 5.6% 11.1% 22.2% 20% 58% 0-1-1-11/13 7.7%
6枠 2-1-1-14/18 11.1% 16.7% 22.2% 144% 91% 1-1-1-13/16 12.5%
7枠 1-2-3-12/18 5.6% 16.7% 33.3% 161% 92% 1-0-2-11/14 7.1%
8枠 1-2-0-15/18 5.6% 16.7% 16.7% 31% 52% 0-1-0-13/14 7.1%

札幌開催時の枠番別では、「4番人気以下を含む3連対以上」を記録しているのが6、7、8枠。ほかに3枠も悪くないが、全体としては外優勢傾向だ。特に1、2枠で4番人気以下になると【0.0.1.22】で10年ベストロケーションの3着があるのみ。全人気でも1、2枠は12年のパドトロワ(3番人気1着)以外は連対がないため、1、2枠は割引が必要だろう。

■表4 前走クラス、レース別成績(レースは出走5頭以上)

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1000万下 0-0-0-4/4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1600万下 1-2-1-6/10 10.0% 30.0% 40.0% 291% 116%
OPEN特別 2-2-2-49/55 3.6% 7.3% 10.9% 332% 76%
G3 5-4-5-47/61 8.2% 14.8% 23.0% 38% 61%
G2 1-0-0-4/5 20.0% 20.0% 20.0% 96% 34%
G1 1-2-2-9/14 7.1% 21.4% 35.7% 40% 96%
地方 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
海外 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
函館スプリントS 3-1-4-24/32 9.4% 12.5% 25.0% 37% 38%
アイビスSD 2-1-0-16/19 10.5% 15.8% 15.8% 61% 44%
UHB賞 1-1-1-28/31 3.2% 6.5% 9.7% 68% 33%
UHB杯 1-1-1-17/20 5.0% 10.0% 15.0% 807% 159%
CBC賞 0-2-1-5/8 0.0% 25.0% 37.5% 0% 210%

前走クラス別で好走馬が多いのはG3組。好走確率が高いのは1600万条件組になる。レース別で芝1200mのオープン特別・UHB杯、UHB賞は、ともに代替開催絡みもあって少々わかりづらいが、UHB杯は11年まで行われており、函館から中3週。UHB賞は12年以降で、札幌前半から中1〜2週で行われている。UHB賞になってからは、好走確率がやや下がっている印象だ。

■表5 前走函館スプリントSからの好走馬

馬名 人気 着順 前走人気 前走着順
08 キンシャサノキセキ 1 3 1 1
09 グランプリエンゼル 1 3 1 1
10 ワンカラット 2 1 2 1
11 カレンチャン 1 1 1 1
14 ローブティサージュ 3 1 6 2
15 ティーハーフ 1 3 4 1
16 シュウジ 1 2 2 2
レッツゴードンキ 3 3 7 3

多くの好走馬を輩出する、前走函館スプリントSからの好走馬が表5である。この組はまず、同レース4着以下では【0.0.0.19】と好走なし。また、好走したのは全馬が本競走1〜3番人気。「同レース3着以内+本競走3番人気以内」の条件を満たすと、【3.1.4.3】複勝率72.7%と、かなり信頼性は高くなる。また、函館スプリントSでも4番人気以内だった馬が好走馬8頭中6頭を占める。

■表6 前走1〜3着からの好走馬(函館スプリントS除く)

馬名 人気 着順 前走 人気 着順
08 ビービーガルダン 2 2 札幌日刊(1600) 1 1
10 ジェイケイセラヴィ 6 2 アイビスSD 3 2
11 パドトロワ 4 3 UHB杯 1 1
12 パドトロワ 3 1 アイビスSD 7 1
ダッシャーゴーゴー 1 2 CBC賞 1 3
テイエムオオタカ 4 3 札幌日刊(1600) 1 1
13 フォーエバーマーク 4 1 アイビスSD 3 2
ストレイトガール 1 2 UHB賞 2 1
14 レッドオーヴァル 1 2 札幌日刊(1600) 1 1
15 ウキヨノカゼ 8 1 TVh杯(1600) 10 1

函館スプリントS組の好走馬が全馬前走1〜3着だったため、他のレースもまずは前走1〜3着から連続して好走した馬を見てみたい。10頭中9頭に共通するのは、北海道の芝1200m・1600万かオープン特別で1着だったか、アイビスサマーダッシュで馬券に絡んだ馬で、その他からはCBC賞3着のダッシャーゴーゴー1頭のみ。函館スプリントS以外の1〜3着馬なら、「北海道の芝1200m(1600万以上)1着、またはアイビスSD好走」が条件だ。

■表7 前走5着以下からの好走馬(函館スプリントS除く)

馬名 人気 着順 前走 人気 着順 北海道実績 芝12重賞
08 タニノマティーニ 16 1 UHB杯 6 5 UHB杯1着 函館SS4着
09 ビービーガルダン 2 1 マイラーズC 6 8 キーンランドC2着 阪急杯1着
ドラゴンウェルズ 13 2 UHB杯 9 5 UHB杯5着 オーシャンS8着
10 ベストロケーション 8 3 CBC賞 2 14 不出走 不出走
11 ビービーガルダン 6 2 安田記念 17 15 キーンランドC1着 キーンランドC1着
13 シュプリームギフト 6 3 UHB賞 3 9 UHB賞1着 函館SS2着
14 マジンプロスパー 5 3 高松宮記念 10 18 不出走 CBC賞1着
15 トーホウアマポーラ 9 2 CBC賞 9 7 不出走 CBC賞1着
16 ブランボヌール 2 1 NHKマイルC 15 6 函館2歳S1着 函館2歳S1着
17 エポワス 12 1 UHB賞 1 7 UHB賞1着 函館SS3着
ソルヴェイグ 2 2 ヴィクトリアM 9 5 函館SS1着 函館SS1着
ナックビーナス 5 3 高松宮記念 12 8 キーンランドC5着 オーシャンS2着

そして最後に、前走4着以下(前走4着の好走はないため5着以下)からの好走馬は表7の12頭になる。もっとも判断が難しいグループだが、11年以降の8頭に限ると、まず芝1200mの重賞で3着以内の実績を持つことが条件。そして、そのうち5頭には北海道の芝1200mオープン・重賞での勝利実績があった。重賞や北海道での実績を欠く馬が、前走でも馬券圏外に敗退しているようでは、ここでの好走は難しい。また、この表にアイビスサマーダッシュ組がいないように、同レース5着以下は【0.0.0.12】で、函館スプリントS同様、狙えるのは好走馬のみになる。

【結論】

上位人気が安定しているキーンランドC。上位人気以外なら、思い切った穴馬を狙う手もあるレースだ。前走別で好走馬が多いのはG3組、好走確率は1600万組が高い。函館スプリントSや、アイビスサマーダッシュ組で狙えるのは同レース好走馬のみ。前走5着以下なら、芝1200m重賞の実績に加え、北海道でのオープン・重賞勝ちの実績も持つのが理想だ。

2018/1/8 中山11R カーバンクルS 1着 6番 ナックビーナス

今年も前走で函館スプリントSに出走した馬が4頭登録しており、このうち好走したのは2着ヒルノデイバローと、3着ナックビーナス。ナックビーナスは同レース1番人気で、恐らく今回も上位人気と、人気面の条件もクリアしそうなため(表5)、この2頭では、まずナックビーナスが上位。ヒルノデイバローは押さえ候補あたりになる。

函館スプリントS組以外では、好走確率の高い1600万(表4)・函館日刊スポーツ杯を勝ってきたダノンスマッシュ。開催日程の関係で同レースからの好走馬3頭は「札幌日刊スポーツ杯」(表6)だったが、15年にはウキヨノカゼが函館芝1200mのTVh杯から連勝しており、北海道の芝1200m・準オープン優勝なら問題ないだろう。また、同レースでは3着だったクリーンファンキーが、次走オープンのUHB賞を制して、こちらも条件をクリア。斤量4キロ増はやや気になるものの、候補には入れておきたい1頭だ。

ほかに、レッツゴードンキは表7で函館でのオープン・重賞勝ちはないが(一昨年本競走3着)、芝1200m重賞連対はあり好走可能。そしてもう1頭、京王杯スプリングC勝ちのムーンクエイクは表6の条件には当てはまらないものの、もし3番人気以内なら、表2で好走確率の高かった「5歳牡・セン馬の1〜3番人気」になるため、当日の人気を見て判断を下したい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)