第1236回 新潟直線1000m戦・アイビスサマーダッシュ分析|競馬情報ならJRA-VAN

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第1236回 新潟直線1000m戦・アイビスサマーダッシュ分析

2018/7/26(木)

新潟競馬場の直線芝1000mを舞台に行われるアイビスサマーダッシュも、今年で創設から18回目。今や夏競馬の風物詩と言ってもいいだろう。この特殊なコースで行われる一戦、今年はどの馬が有力なのか、過去の傾向を見てみよう。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JV馬天楼 for データde出〜たを利用した。

■表1 人気別成績   

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 過去5年
1 5-1-0-4/10 50.0% 60.0% 60.0% 151% 88% 4-1-0-0
2 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 54% 52% 0-1-0-4
3 1-2-2-5/10 10.0% 30.0% 50.0% 75% 110% 0-1-2-2
4 0-0-3-7/10 0.0% 0.0% 30.0% 0% 79% 0-0-2-3
5 0-3-0-7/10 0.0% 30.0% 30.0% 0% 83% 0-1-0-4
6 0-1-2-7/10 0.0% 10.0% 30.0% 0% 93% 0-0-1-4
7 1-0-0-9/10 10.0% 10.0% 10.0% 116% 34% 0-0-0-5
8 2-0-0-8/10 20.0% 20.0% 20.0% 517% 97% 1-0-0-4
9 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 37% 0-1-0-4
10 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 54% 0-0-0-5
11〜 0-0-2-58/60 0.0% 0.0% 3.3% 0% 41% 0-0-0-23

2015/08/02 新潟11R アイビスサマーダッシュ(G3) 1着 13番 ベルカント (1番人気)

過去10年、1番人気は【5.1.0.4】で、特に近5年は【4.1.0.0】。創設以来の17回では【6.3.1.7】と、いかに近年に好走馬が集中しているかがわかる。その他、ひと桁人気であれば広く好走馬が分散しているが、ここ5年の2桁人気はすべて馬券圏外。10年に84万馬券が出た後は、大波乱までは期待できないレースになっている。

■表2 性齢別成績

年齢・性別 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 過去5年 同複勝率
3歳 0-1-2-11/14 0.0% 7.1% 21.4% 0% 57% 0-1-1-3/5 40.0%
4歳 4-1-1-7/13 30.8% 38.5% 46.2% 112% 97% 2-0-1-1/4 75.0%
5歳 3-6-4-32/45 6.7% 20.0% 28.9% 47% 104% 1-4-1-13/19 31.6%
6歳 1-2-3-36/42 2.4% 7.1% 14.3% 30% 53% 0-0-2-20/22 9.1%
7歳以上 2-0-0-44/46 4.3% 4.3% 4.3% 91% 15% 2-0-0-21/23 8.7%
牡・セン 4-7-5-81/97 4.1% 11.3% 16.5% 57% 68% 3-2-2-37/44 15.9%
牝馬 6-3-5-49/63 9.5% 14.3% 22.2% 56% 49% 2-3-3-21/29 27.6%

年齢別では、4歳馬が大きくリード。過去5年では5歳馬も5連対を挙げるなど、5歳以下の馬の成績が良い。ただ、7歳以上のベテランが10頭で2頭好走し、その2頭ともが過去5年の1着馬。好走すれば勝ち切る可能性まであるのが7歳以上馬だ。性別では牝馬の好走確率がやや高いが、回収率も加味すると牝馬だけに注目するほどではない。

■表3 枠番別成績 

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 4番人気以下
1枠 0-0-1-16/17 0.0% 0.0% 5.9% 0% 20% 0-0-1-16/17
2枠 2-1-2-12/17 11.8% 17.6% 29.4% 40% 159% 0-0-2-10/12
3枠 0-1-0-16/17 0.0% 5.9% 5.9% 0% 31% 0-1-0-15/16
4枠 1-0-0-19/20 5.0% 5.0% 5.0% 12% 5% 0-0-0-16/16
5枠 1-1-1-17/20 5.0% 10.0% 15.0% 65% 34% 1-0-0-16/17
6枠 0-3-1-16/20 0.0% 15.0% 20.0% 0% 56% 0-2-0-12/14
7枠 1-1-5-18/25 4.0% 8.0% 28.0% 8% 76% 0-1-4-16/21
8枠 5-3-0-16/24 20.8% 33.3% 33.3% 278% 96% 2-2-0-13/17

新潟直線1000mのコースといえば外枠有利。このレースでも特に8枠は【5.3.0.16】で連対率33.3%と頭ひとつ抜けた結果を出し、ここ3年も連続連対を果たしている。内では2枠以外は複勝率ひと桁ばかり。表の右に記したように、特に4番人気以下の連対は外枠中心になっており、5〜8枠【3.5.4.57】連対率11.6%に対し、1〜4枠は【0.1.3.57】同1.6%。穴の連対候補を探す際はより外枠に注目したい。

■表4 前走クラス、レース別成績(レースは主な好走馬輩出レース)

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1000万下 0-0-2-4/6 0.0% 0.0% 33.3% 0% 80%
1600万下 1-1-1-19/22 4.5% 9.1% 13.6% 59% 44%
OPEN特別 2-6-4-56/68 2.9% 11.8% 17.6% 61% 74%
G3 7-3-2-42/54 13.0% 18.5% 22.2% 67% 53%
G2 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G1 0-0-0-6/6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
地方 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
海外 0-0-1-0/1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 350%
CBC賞 5-1-0-15/21 23.8% 28.6% 28.6% 100% 57%
函館スプリントS 2-2-2-16/22 9.1% 18.2% 27.3% 68% 76%
韋駄天S 1-2-1-11/15 6.7% 20.0% 26.7% 258% 63%
バーデンバーデンC 0-4-2-29/35 0.0% 11.4% 17.1% 0% 60%

今年は前走G2以上や、地方・海外に出走していた馬の登録がなく、JRAのG3以下から。中ではG3組の好走確率が高く、レースとしてはCBC賞や函館スプリントSと、やはりサマー2000シリーズのレースが中心。CBCの施行時期が繰り下がり、同シリーズに組み込まれた12年以降では【3.1.0.7】で連対率は36.4%まで向上している。一方、オープン特別組は同コースで春に行われる韋駄天S、そして福島1200mのバーデンバーデンCが中心になるが、G3組に勝ち馬が多い分、オープン特別組は好走してもやや勝ち切れない印象が強くなる。

■表5 前走G3からの好走馬

馬名 人気 着順 前走 人気 着順
08 カノヤザクラ 2 1 CBC賞 5 5
シンボリグラン 10 2 函館SS 10 7
09 カノヤザクラ 3 1 CBC賞 7 11
12 パドトロワ 7 1 函館SS 3 4
エーシンダックマン 5 2 CBC賞 5 7
13 ハクサンムーン 1 1 CBC賞 2 2
フォーエバーマーク 3 2 函館SS 3 3
14 セイコーライコウ 1 1 函館SS 5 4
アースソニック 3 3 函館SS 9 6
15 ベルカント 1 1 CBC賞
アースソニック 4 3 函館SS 14 2
16 ベルカント 1 1 CBC賞 2 3

前走G3組は、まず前走7着以内が好走条件で、実際に出走した(取消のベルカントを除く)11頭中10頭は7着以内。馬券に絡むまでは至らなくても、大きく負けてはいないことが条件になる。そして13年以降はここで4番人気以内だった馬しか好走していない。

■表6 前走オープン特別からの好走馬

馬名 人気 着順 前走 距離 人気 着順 芝重賞実績
08 アポロドルチェ 6 3 バーデンC 芝12 1 1 京王杯2歳S1着
09 アポロドルチェ 6 2 バーデンC 芝12 4 8 京王杯2歳S1着
10 ジェイケイセラヴィ 3 2 バーデンC 芝12 6 5 未経験
マルブツイースター 16 3 米子S 芝16 18 12 小倉2歳S1着
11 エーシンヴァーゴウ 1 1 ルミエールS 芝10 1 1 未経験
エーブダッチマン 5 2 バーデンC 芝12 8 2 CBC賞18着
アポロフェニックス 11 3 バーデンC 芝12 9 4 函館SS3着
14 フクノドリーム 5 2 バーデンC 芝12 5 5 ファンタジーS8着
16 ネロ 2 2 韋駄天S 芝10 1 2 オーシャンS4着
プリンセスムーン 3 3 韋駄天S 芝10 2 1 未経験
17 ラインミーティア 8 1 韋駄天S 芝10 3 4 ファルコンS11着
フィドゥーシア 1 2 韋駄天S 芝10 2 1 京都牝馬S18着

オープン特別組は近年やや傾向が変わってきている。ここ2年はまず、好走した4頭がすべて前走でも同コースの韋駄天Sに出走し、3番人気以内かつ4着以内だった馬。過去10年でも12頭中10頭が5着以内で、掲示板確保が条件だ。そして以前は重賞で好走実績を持つ馬も多かったが、14年のフクノドリーム以降は他のコースの重賞で馬券に絡んだ実績馬はいなかった。ネロは後に京阪杯連覇、昨年優勝したラインミーティアは次走セントウルSで2着と、ここで好走した後は他の重賞でも勝負になっているが、オープン特別組ならこのレース時点での重賞実績は不問だ。

■表7 前走条件戦からの好走馬

馬名 性齢 人気 着順 前走 距離 人気 着順
09 アルティマトゥーレ 牝5 2 3 テレビユー福島賞 芝12 1 1
10 ケイティラブ 牝6 8 1 テレビユー福島賞 芝12 9 3
13 リトルゲルダ 牝4 6 3 知多特別(1000) 芝12 2 1
15 シンボリディスコ 牡5 9 2 テレビユー福島賞 芝12 4 3
17 レジーナフォルテ 牝3 4 3 さくらんぼ特別(1000) 芝12 7 1

そして最後に条件戦組。5頭すべてに共通するのは、前走芝1200m戦で3着以内(1000万なら1着)、そして5頭中4頭は牝馬。「前走芝1200mの条件戦1〜3着の牝馬」は、【1.0.3.4】。連対したのは10年の優勝馬・ケイティラブだけだが、3連複の候補としてなら、これをクリアする馬は前走が条件戦だからといって侮るのは危険だ。

【結論】

近年は1番人気が安定し、2桁人気の好走はないアイビスサマーダッシュ。4歳を中心に3〜5歳の好走確率が高く、やはり枠は外枠中心。前走はG3組、オープン特別組の好走が多く、G3なら人気馬、オープン特別組なら近年は前走上位人気で好走した馬がまず注目。条件戦組でも特に牝馬は侮れない。

2018/06/30 福島11R テレビユー福島賞 1着 9番 レジーナフォルテ

今年の登録馬は各馬とも一長一短といったメンバー構成になった。そこでまずは3連複の軸候補として、条件戦組からレジーナフォルテを挙げたい。3歳時の昨年は1000万条件1着をステップに出走して3着に好走。その後、自己条件でも大敗があったが、4走前、そして前走と1600万条件で2勝して駒を進めてきた。今年は、好走確率の高い4歳(表2)。そして表7本文で触れた「前走芝1200mの条件戦1〜3着の牝馬」に該当し、昨年に続いて今年も好走する可能性は十分にありそうだ。ただ、1着候補に据えるには不安が残るデータでもある。

表4などで挙げたように、優勝馬は前走G3組が中心だった。今年のこの組は、他のデータも踏まえると強く推せる馬は不在だが、「前走7着以内」に注目すれば、今年は函館スプリントS6着のラインスピリット。7歳馬は表2で挙げたように、過去5年で2勝を挙げる一方で、勝てなければ馬券圏外。前記レジーナフォルテがデータ上、1着よりも3着以内としての軸候補だけに、それと組み合わせるなら悪くない。

ほかに、前走は重賞ではないが、その一発がある7歳馬に注目すると、近年好走の多い韋駄天S組で重賞未経験(表6)のアペルトゥーラ、そして芝1200mの条件戦を勝ってきた(表7)ナインテイルズあたりも、1着の候補としてはおもしろい存在だ。また、表1で触れたように、近年は1番人気が安定しており、当日の1番人気馬も軽視禁物。加えて、このコースだけに枠順(表3)加味し、もう少し候補を加えて組み立てたいところだ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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