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第1222回 ハンデ戦で波乱傾向が強いマーメイドSを分析する

2018/6/7(木)

先週の安田記念で春のG1シリーズが一段落し、上半期の中央競馬のG1は宝塚記念を残すのみとなった。今週は東京・阪神の2場開催で、日曜にはエプソムCとマーメイドSと2鞍の重賞が行われる。今回のデータde出〜たでは、阪神のマーメイドSをピックアップ。ハンデ戦で波乱傾向が強い同レースを2013年以降の過去5年のデータから分析する。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 マーメイドS近5年の上位3着以内馬一覧 

開催年 着順 馬名 年齢 斤量 勝ちタイム 人気 4角通過順 上がり3F 1000m通過 レース上がり
2017
(良)
1 マキシマムドパリ 牝5 55 1分59秒5 3 2 34秒8 60秒6 35秒0
2 クインズミラーグロ 牝5 54 3/4馬身 2 5 34秒7
3 アースライズ 牝5 54 ハナ 6 9 34秒5
2016
(良)
1 リラヴァティ 牝5 53 1分59秒3 6 1 35秒7 59秒6 35秒7
2 ヒルノマテーラ 牝5 51 クビ 7 11 34秒7
3 ココロノアイ 牝4 55 クビ 5 5 35秒5
2015
(良)
1 シャトーブランシュ 牝5 53 2分00秒5 8 14 33秒6 61秒5 34秒7
2 マリアライト 牝4 53 3/4馬身 1 5 34秒4
3 パワースポット 牝7 53 アタマ 10 11 34秒1
2014
(良)
1 ディアデラマドレ 牝4 53 1分59秒4 1 7 33秒9 60秒3 34秒8
2 コスモバルバラ 牝5 50 1馬身1/2 13 1 34秒9
3 フーラブライド 牝5 56 1/2馬身 2 9 34秒0
2013
(良)
1 マルセリーナ 牝5 56 1分59秒4 7 5 34秒5 60秒6 35秒0
2 アグネスワルツ 牝6 55 1/2馬身 10 1 35秒1
3 アロマティコ 牝4 54 クビ 1 11 34秒1

まず表1は近5年の上位3着以内馬一覧。すべて良馬場で行われており、勝ちタイムはスローペースとなった15年以外は1分59秒3〜5とほぼ同じタイムとなっている。4角通過順、上位馬の上がり3Fはバラバラで、ハンデ戦で斤量に差があることによって勝ちタイムが平均化されていると考えられなくもない。実績では劣る人気薄がこれだけ激走できるというのは、それだけ人気馬を負かしやすい舞台設定になっているということだ。

また、リピーターがまったくいないのもマーメイドSの特徴。同じ条件でもその時のレース展開や斤量、調子などによって、結果が大きく変わっている。

人気順では1番人気馬は【1.1.1.2】で14年ディアデラマドレが勝利し、連対率40%・複勝率60%。以下、3・6・7・8番人気馬が1勝ずつ。昨年は3着に6番人気アースライズが激走し、毎年6番人気以下の伏兵が激走している。昨年以外は3連単で10万円以上の配当が出ており、波乱傾向が強い一戦だ。

■表2 マーメイドSの枠番別成績(過去5年) 

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
1枠 1- 0- 2- 3/ 6 16.7% 16.7% 50.0% 260% 165%
2枠 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
3枠 0- 0- 0- 9/ 9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
4枠 0- 1- 0- 8/ 9 0.0% 11.1% 11.1% 0% 17%
5枠 0- 1- 1- 8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 52%
6枠 0- 1- 1- 8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 34%
7枠 2- 1- 1- 6/10 20.0% 30.0% 40.0% 165% 165%
8枠 2- 1- 0- 7/10 20.0% 30.0% 30.0% 157% 188%

表2は近5年の枠番別成績。黄色で強調した1枠、外の7枠・8枠の複勝率が高い。最内の1枠は昨年3着のアースライズなど近3年続けて3着以内馬が出ている。7枠は昨年のマキシマムドパリら近2年続けて勝利、8枠も14年ディアデラマドレら2勝とこれら外目の枠に入った馬の勝ち星が目立つ。逆に内目の2・3枠は3着以内馬が出ておらず、不振傾向となっている。

■表3 マーメイドSの年齢別成績(過去5年) 

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
3歳 0- 0- 0- 2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
4歳 1- 1- 2-12/16 6.3% 12.5% 25.0% 20% 48%
5歳 4- 3- 2-26/35 11.4% 20.0% 25.7% 127% 105%
6歳 0- 1- 0-12/13 0.0% 7.7% 7.7% 0% 50%
7歳以上 0- 0- 1- 3/4 0.0% 0.0% 25.0% 0% 107%

表3は年齢別成績。出走数が最も多い5歳馬が昨年のマキシマムドパリら4勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。昨年は上位1〜3着を独占しており、毎年1頭は3着以内に入っている。5歳馬の3着以内馬9頭中5頭が6番人気以下の伏兵だった。

複勝率で5歳馬に迫るのが4歳馬。14年ディアデラマドレが勝利しているものの、3着以内馬4頭はすべて5番人気以内。そのうち3頭は1番人気での好走だった。6歳・7歳馬は3着以内馬1頭ずつで、やはり4歳馬・5歳馬が中心といえそうだ。

■表4 マーメイドSの斤量別成績(過去5年) 

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
49kg 0- 0- 0- 7/7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
50kg 0- 1- 0- 8/9 0.0% 11.1% 11.1% 0% 143%
51kg 0- 1- 0-10/11 0.0% 9.1% 9.1% 0% 33%
52kg 0- 0- 0- 8/8 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
53kg 3- 1- 1-10/15 20.0% 26.7% 33.3% 198% 102%
54kg 0- 1- 2- 3/ 6 0.0% 16.7% 50.0% 0% 93%
55kg 1- 1- 1- 5/8 12.5% 25.0% 37.5% 71% 145%
56kg 1- 0- 1- 4/6 16.7% 16.7% 33.3% 206% 103%

表4は斤量別成績。53キロの馬が一昨年のリラヴァティら過半数の3勝をあげ、勝率・連対率トップ。この53キロから56キロまで黄色で強調したゾーンの複勝率が非常に高い。複勝回収率でも54キロを除いて、100%を超えている。今回だと53キロ以上の馬はハンデキャッパーに実力を認められていると考えた方が良いだろう。

一方で52キロ以下の軽量馬は勝ち星がなく、のべ【0.2.0.33】と不振傾向が目立つ。ハンデ戦だからといって、軽ハンデ馬に飛びつくのは危険だ。

■表5 マーメイドSの前走クラス別成績(過去5年) 

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
1000万下 0- 1- 1- 5/7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 220%
1600万下 3- 2- 0-27/32 9.4% 15.6% 15.6% 92% 46%
オープン特別 2- 1- 1- 7/11 18.2% 27.3% 36.4% 164% 156%
G3 0- 1- 0- 9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 16%
G2 0- 0- 1- 1/2 0.0% 0.0% 50.0% 0% 155%
G1 0- 0- 2- 6/8 0.0% 0.0% 25.0% 0% 41%

表5は前走クラス別成績。表の下部の前走重賞組から勝ち馬が出ておらず、前走ヴィクトリアM組を中心としたG1組の連対馬がいないところが波乱傾向の強い最大の要因となっている。

出走数が最も多い前走1600万下が一昨年のリラヴァティら最多の3勝をあげており、前走1000万下組も2・3着1回ずつ。これら格上挑戦組の好走が多いのが特徴だ。また、前走オープン特別組も昨年のマキシマムドパリ(前走大阪城S13着)ら2勝をあげ、連対率・複勝率ともに優秀だ。

■表6 マーメイドSの前走からの斤量増減別成績(過去5年) 

前走斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
今回増 2- 1- 3- 8/14 14.3% 21.4% 42.9% 129% 157%
今回減 3- 2- 2-41/48 6.3% 10.4% 14.6% 61% 62%
増減無し 0- 2- 0- 6/ 8 0.0% 25.0% 25.0% 0% 40%

表6は前走からの斤量増減別成績。出走数こそ少ないが、黄色で強調した今回斤量増の馬が昨年のマキシマムドパリら2勝をあげ、複勝率42.9%と非常に高い。今回増減なしの馬は勝ち馬こそいないものの、2着2回で連対率トップ。斤量減の馬は該当数が多く、連対率・複勝率ともに最も低かった。

■表7 マーメイドSの前走脚質別成績と前走上がり順位別成績(過去5年) 

前走脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
逃げ 0- 1- 0- 5/6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 110%
先行 2- 1- 1-17/21 9.5% 14.3% 19.0% 125% 111%
差し 1- 1- 1-19/22 4.5% 9.1% 13.6% 15% 28%
追い込み 2- 2- 3-14/21 9.5% 19.0% 33.3% 86% 91%
前走上がり順位 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
3F 1位 1- 2- 2- 4/9 11.1% 33.3% 55.6% 137% 128%
3F 2位 1- 1- 1- 4/7 14.3% 28.6% 42.9% 47% 135%
3F 3位 0- 1- 0- 5/6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 215%
3F〜5位 1- 0- 0- 8/9 11.1% 11.1% 11.1% 63% 21%
3F6位〜 2- 1- 2-34/39 5.1% 7.7% 12.8% 67% 50%

表7は前走脚質別成績と前走上がり順位別成績。前走脚質別成績では後方からの追い込みだった馬が昨年のマキシマムドパリら2勝をあげ、連対率・複勝率ともにトップだ。また、前走上がり順位別成績では上がり最速もしくは2位だった馬が好成績をおさめている。1位、2位ともに複勝回収率では100%を超えており、大きく狙ってみたいところだ。

<結論>

■表8 今年のマーメイドSの出走予定馬(6/6現在) 

馬名 年齢/斤量 前走成績 増減 前走上がり
アルジェンテ 牝5/52 うずしおS 3着 -3 1位
アンドリエッテ 牝6/51 パールS 3着 -4 3位
ヴァフラーム 牝6/50 緑風S 4着 -2 4位
エテルナミノル 牝5/55 ヴィクトリアM 17着 0 5位以下
エマノン 牝5/50 糺の森特別 1着 -5 5位以下
キンショーユキヒメ 牝5/55 福島牝馬S 1着 1 1位
スティルウォーター 牝5/48 白山特別 8着 -7 5位以下
ティーエスクライ 牝6/48 天神橋特別 5着 -4 2位
トーセンビクトリー 牝6/56 福島牝馬S 4着 2 5位以下
フェイズベロシティ 牝5/51 サンシャインS 4着 -2 1位
マユキ 牝7/48 御室特別 6着 -7 5位以下
ミエノサクシード 牝5/54 阪神牝馬S 6着 0 5位以下
ミリッサ 牝4/53 阪神牝馬S 7着 -1 5位以下
ルネイション 牝5/50 テレ玉杯 1着 -5 1位
レイホーロマンス 牝5/52 福島牝馬S 5着 -2 5位以下
ワンブレスアウェイ 牝5/53 福島牝馬S 6着 -1 5位以下

※フルゲート16頭。除外対象なし。

今年の出走予定馬は表8のとおり。

2018/4/21 福島11R 福島牝馬ステークス(G3)1着 7番 キンショーユキヒメ

これまでのデータから推奨したいのが、キンショーユキヒメミエノサクシードの2頭。キンショーユキヒメは前走の福島牝馬Sで重賞初制覇。道中後方から上がり最速の脚を使って差し切り勝ちを決めた。昨年のマーメイドSでは上がり最速で勝ち馬とコンマ1秒差の4着と健闘している。5歳馬で前走から1キロ増も買い材料で、狙い目十分だ。

ミエノサクシードは前走の阪神牝馬Sは6着に敗れたが、スローペースで瞬発力勝負になったもので度外視して良いだろう。2走前の1600万下・元町Sでじゃ上がり最速で勝利。昨年のパールSでも先日のヴィクトリアMで3着好走のレッドアヴァンセを並ぶ間もなく差し切っている。重賞勝ちこそないものの、前走から斤量据え置きは実力が認められている証といえるだろう。今回も勝ち切る場面までありそうだ。

2017/5/6 京都10R パールステークス1着 4番 ミエノサクシード

他では53キロで実力あるミリッサ、前走上がり1位のアルジェンテ、フェイズベロシティ、ルネイションあたりも穴として押さえておきたい。トップハンデのトーセンビクトリーは近走で以前のような粘りが見られず、しかも不振傾向にある6歳馬で厳しいと見る。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。


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