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第1217回 東京芝2500m以上ハンデ重賞の傾向は?

2018/5/21(月)

今週末はいよいよダービー。競馬の祭典に向けて気もそぞろ、という方も少なくないことだろう。しかも、同日の最終レースにはG2の目黒記念まで組まれている。つまり、ダービー馬券の結果を問わず、もうワンチャンスが残されているというわけだ。

ところで、現在芝2500m以上の長距離で行なわれるハンデ重賞は、この目黒記念のほかに、アルゼンチン共和国杯、ダイヤモンドSと3レースあり、すべて東京競馬場で行なわれるという共通点がある。そこで今回は「東京芝2500m以上のハンデ重賞」に関するデータを調べてみたい。集計期間は2010年以降の計25レース(目黒記念とアルゼンチン共和国杯は各8レース、今年すでに行なわれたダイヤモンドSは9レース)。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 種牡馬別成績(着別度数順)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
ハーツクライ 8- 4- 1-22/35 22.9% 34.3% 37.1% 124% 76%
キングカメハメハ 3- 1- 3-21/28 10.7% 14.3% 25.0% 791% 198%
ゼンノロブロイ 2- 2- 2-23/29 6.9% 13.8% 20.7% 34% 47%
ステイゴールド 2- 1- 0-17/20 10.0% 15.0% 15.0% 115% 43%
マヤノトップガン 2- 1- 0- 9/12 16.7% 25.0% 25.0% 209% 67%
ディープインパクト 1- 3- 5-23/32 3.1% 12.5% 28.1% 13% 85%
ジャングルポケット 1- 2- 0-15/18 5.6% 16.7% 16.7% 17% 33%
アドマイヤドン 1- 1- 0- 2/ 4 25.0% 50.0% 50.0% 52% 72%
ダンスインザダーク 1- 0- 2-11/14 7.1% 7.1% 21.4% 15% 47%
アグネスタキオン 1- 0- 0- 5/ 6 16.7% 16.7% 16.7% 126% 43%
スターリングローズ 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 635% 175%
スクリーンヒーロー 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 210% 120%
King's Best 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 670% 280%
ダイワメジャー 0- 1- 1- 8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 59%
マンハッタンカフェ 0- 1- 1-11/13 0.0% 7.7% 15.4% 0% 81%
ネオユニヴァース 0- 1- 1-10/12 0.0% 8.3% 16.7% 0% 26%
グラスワンダー 0- 1- 1- 5/ 7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 138%
ゴールドアリュール 0- 1- 0-13/14 0.0% 7.1% 7.1% 0% 30%
ニューイングランド 0- 1- 0-12/13 0.0% 7.7% 7.7% 0% 86%
キングヘイロー 0- 1- 0- 5/ 6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 38%
タニノギムレット 0- 1- 0- 4/ 5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 48%
ダイタクリーヴァ 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 450%
スウェプトオーヴァーボード 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 230%
※連対歴がある種牡馬のみ掲載

2017/5/28 東京12R 目黒記念(G2) 1着 12番 フェイムゲーム

表1は種牡馬別成績で、連対歴のある23頭を掲載した。1位はハーツクライで、2位以下に大差をつける8勝を記録。フェイムゲーム1頭で5勝を荒稼ぎしたのも大きいが、同馬を除いても【3.3.1.20】という成績で、1位の座は不動だ。特に、1、2番人気に推された場合は【7.2.1.4】と、かなり信頼度を誇っている。対照的に、2位のキングカメハメハは穴が多い。12年ダイヤモンドSでは単勝190.0倍のケイアイドウソジンが15番人気1着の激走を見せ、目黒記念でもヒットザターゲットが15年に11番人気1着、16年に8番人気3着。17年ダイヤモンドSで6番人気2着のラブラドライドもいる。3位のゼンノロブロイは最後の好走が13年アルゼンチン共和国杯3着のルルーシュで、14年以降に走った述べ13頭がすべて4着以下というのは気のなるところ。6位のディープインパクトは計9回の好走を記録も、勝ったのは12年目黒記念のスマートロビンしかない。この条件でディープインパクト産駒を本命に据える場合は、2、3着に落ちるケースも想定しておくのが無難だろう。

■表2 騎手別成績(着別度数順)

騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
北村宏司 3- 0- 1-14/18 16.7% 16.7% 22.2% 63% 37%
蛯名正義 2- 4- 0-14/20 10.0% 30.0% 30.0% 103% 74%
内田博幸 2- 1- 2-14/19 10.5% 15.8% 26.3% 68% 63%
福永祐一 2- 1- 1- 3/ 7 28.6% 42.9% 57.1% 145% 135%
横山典弘 2- 0- 0-13/15 13.3% 13.3% 13.3% 134% 35%
C.ルメール 2- 0- 0- 3/ 5 40.0% 40.0% 40.0% 436% 136%
戸崎圭太 1- 3- 3- 5/12 8.3% 33.3% 58.3% 105% 129%
M.デムーロ 1- 1- 1- 3/ 6 16.7% 33.3% 50.0% 33% 88%
三浦皇成 1- 1- 1- 9/12 8.3% 16.7% 25.0% 25% 60%
吉田豊 1- 1- 0-15/17 5.9% 11.8% 11.8% 1117% 207%
安藤勝己 1- 0- 2- 1/ 4 25.0% 25.0% 75.0% 157% 180%
武豊 1- 0- 1- 7/ 9 11.1% 11.1% 22.2% 24% 50%
小牧太 1- 0- 1- 0/ 2 50.0% 50.0% 100.0% 1265% 605%
池添謙一 1- 0- 0- 4/ 5 20.0% 20.0% 20.0% 152% 52%
吉田隼人 1- 0- 0- 6/ 7 14.3% 14.3% 14.3% 30% 17%
R.ムーア 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 105% 55%
勝浦正樹 1- 0- 0- 3/ 4 25.0% 25.0% 25.0% 170% 57%
A.クラストゥス 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 670% 280%
※1着歴がある騎手のみ掲載

表2は騎手別成績で、1着歴のある18騎手を掲載した。トップとなったのは北村宏司騎手だが、3勝はすべてフェイムゲームで挙げたもの。その意味では、2勝2着4回をすべて異なる馬で記録した2位の蛯名正義騎手のほうが、この条件で信用できるジョッキーといえるかもしれない。4位の福永祐一騎手は関西所属ということもあって騎乗機会は7回と少ないが、16年目黒記念1着のクリプトグラムや16年アルゼンチン共和国杯1着のシュヴァルグランなど、騎乗した際はしっかりと結果を出している。7位の戸崎圭太騎手は2、3着どまりのケースも多いものの、複勝率58.3%と高い確率で馬券に絡んでくる。もちろん、5戦2勝のクリストフ・ルメール騎手や、6戦して好走3回のミルコ・デムーロ騎手も忘れてはならない。1着歴がなかったため表には掲載しなかったが、7戦して3着3回の川田将雅騎手も侮れない存在だ。

■表3 厩舎別成績(着別度数順)

厩舎 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
宗像義忠 5- 1- 0- 7/13 38.5% 46.2% 46.2% 256% 109%
友道康夫 2- 2- 1- 9/14 14.3% 28.6% 35.7% 90% 65%
池江泰寿 2- 0- 1-14/17 11.8% 11.8% 17.6% 55% 35%
堀宣行 1- 2- 0- 2/ 5 20.0% 60.0% 60.0% 42% 108%
藤沢和雄 1- 1- 2- 5/ 9 11.1% 22.2% 44.4% 42% 94%
庄野靖志 1- 1- 0- 1/ 3 33.3% 66.7% 66.7% 66% 120%
梅田智之 1- 1- 0- 1/ 3 33.3% 66.7% 66.7% 143% 140%
加藤敬二 1- 0- 1- 4/ 6 16.7% 16.7% 33.3% 421% 201%
松田国英 1- 0- 1- 9/11 9.1% 9.1% 18.2% 40% 34%
藤原英昭 1- 0- 0- 2/ 3 33.3% 33.3% 33.3% 210% 70%
田中清隆 1- 0- 0-15/16 6.3% 6.3% 6.3% 101% 27%
田村康仁 1- 0- 0- 5/ 6 16.7% 16.7% 16.7% 3166% 548%
鮫島一歩 1- 0- 0- 3/ 4 25.0% 25.0% 25.0% 407% 90%
須貝尚介 1- 0- 0- 2/ 3 33.3% 33.3% 33.3% 423% 116%
宮徹 1- 0- 0- 2/ 3 33.3% 33.3% 33.3% 253% 86%
畠山重則 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 335% 140%
池江泰郎 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 110% 70%
牧田和弥 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 680% 230%
中川公成 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 210% 120%
※1着歴がある厩舎のみ掲載

表3は厩舎別成績で、1着歴のある19騎手を掲載。なお、加藤敬二厩舎、畠山重則厩舎、池江泰郎厩舎は、すでに厩舎が解散済みである。トップの宗像義忠厩舎が記録した5勝2着1回は、すべてフェイムゲームによるもの。その点、2位の友道康夫厩舎は、13年目黒記念1着のムスカテール、16年アルゼンチン共和国杯1着のシュヴァルグラン、同3着のヴォルシェーブと都合3頭が好走を果たしている。ほかに好走を3回以上記録しているのは3位の池江泰寿厩舎、4位の堀宣行厩舎、5位の藤沢和雄厩舎と、東西を代表する名門厩舎ばかり。もちろん、前述の友道厩舎も関西トップクラスの厩舎だ。迷ったときはリーディング上位の厩舎を狙うというのも、ひとつの作戦として成立するかもしれない。

■表4 ハンデ別成績(牡馬・セン馬のみ)

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
今走ハンデ 48キロ 0-  0-  0-  9/  9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
49キロ 0-  0-  0-  2/  2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
50キロ 0-  0-  1- 10/ 11 0.0% 0.0% 9.1% 0% 115%
51キロ 1-  2-  2- 12/ 17 5.9% 17.6% 29.4% 95% 169%
52キロ 0-  2-  1- 14/ 17 0.0% 11.8% 17.6% 0% 61%
53キロ 1-  1-  1- 32/ 35 2.9% 5.7% 8.6% 19% 28%
54キロ 4-  0-  7- 66/ 77 5.2% 5.2% 14.3% 47% 47%
55キロ 3-  5-  8- 50/ 66 4.5% 12.1% 24.2% 301% 107%
56キロ 6-  7-  2- 53/ 68 8.8% 19.1% 22.1% 49% 54%
56.5キロ 0-  1-  1-  2/  4 0.0% 25.0% 50.0% 0% 100%
57キロ 5-  2-  0- 29/ 36 13.9% 19.4% 19.4% 110% 46%
57.5キロ 0-  1-  1- 17/ 19 0.0% 5.3% 10.5% 0% 22%
58キロ 4-  0-  1- 14/ 19 21.1% 21.1% 26.3% 151% 85%
58.5キロ 1-  3-  0-  4/  8 12.5% 50.0% 50.0% 33% 103%
59キロ 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走比 今回減 8- 11- 12-160/191 4.2% 9.9% 16.2% 123% 70%
増減なし 8-  7-  9-111/135 5.9% 11.1% 17.8% 68% 59%
今回増 9-  6-  4- 44/ 63 14.3% 23.8% 30.2% 57% 65%

表4はハンデに関するデータをまとめたもので、ここでは牡馬およびセン馬のみを集計対象とした。上から順に見ていくと、48キロや49キロで好走した馬はいない。50キロも3着1回しかなく、あまりハンデが軽すぎるのもよくないようだ。51キロは複勝率29.4%、複勝回収率169%と要注意。好走が多いのは54〜56キロのあたり。そして、58キロと58.5キロも合わせて【5.3.1.18】、勝率18.5%、複勝率33.3%、単勝回収率116%、複勝回収率90%と好成績を収めており、重いハンデを課された馬もあまり苦にしていないようだ。

その下に掲載したのは、前走と比べて斤量が「今回減」「増減なし」「今回増」となった馬のデータを比較したもの。この数値を見る限り、穴をあけるのは「今回減」の馬、手堅く走っているのは「今回増」の馬となっている。

なお、牝馬の成績はハンデを問わず【0.1.0.16】と苦戦の様子が見てとれる。唯一の好走馬は16年目黒記念2着のマリアライトで、同馬は前年のエリザベス女王杯勝ち馬。G1勝ち馬レベルでなければ牝馬の好走は難しいそうだ。

■表5 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
3歳 1-  0-  3-  0/  4 25.0% 25.0% 100.0% 50% 325%
4歳 11-  6-  8- 48/ 73 15.1% 23.3% 34.2% 63% 81%
5歳 5- 11-  5- 83/104 4.8% 15.4% 20.2% 30% 61%
6歳 4-  4-  4- 73/ 85 4.7% 9.4% 14.1% 260% 86%
7歳以上 4-  4-  5-127/140 2.9% 5.7% 9.3% 45% 34%

表5は年齢別成績。3歳の出走はすべて秋開催のアルゼンチン共和国杯のもので、4頭すべてが好走を収めている。出てきたら要チェックだ。古馬に関しても、基本的には若い馬の好走率がいい。ただし、6歳や7歳以上の馬の好走例も決して少なくはなく、高齢だからという理由だけで消すのは危険といえる。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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