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第1200回 馬場状態も気になる? 高松宮記念を占う

2018/3/19(月)

今週は日曜日に高松宮記念が行われる。上半期の古馬スプリント王決定戦としてすっかり定着した感がある。だが、中京競馬場は大きな改装工事があり、厳密にはコースが変わっている。過去10年で見ると、11年までと12年以降のレースに分けることができる。新装オープンした12年以降が、現在のコースで行われたレースとなっている。

その点に注目しながら高松宮記念の傾向を見ていくことにする。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 過去10年の高松宮記念の結果

着順 馬名 人気 馬場 タイム 3角 4角
17年 1 セイウンコウセイ 5 1087 4 4
2 レッツゴードンキ 2 1089 13 12
3 レッドファルクス 1 1090 8 6
16年 1 ビッグアーサー 1 1067 4 4
2 ミッキーアイル 2 1068 3 3
3 アルビアーノ 3 1071 8 10
15年 1 エアロヴェロシティ 4 1085 2 3
2 ハクサンムーン 6 1086 2 2
3 ミッキーアイル 3 1086 4 4
14年 1 コパノリチャード 3 1122 2 2
2 スノードラゴン 8 1127 13 13
3 ストレイトガール 1 1129 7 8
13年 1 ロードカナロア 1 1081 9 7
2 ドリームバレンチノ 2 1083 12 11
3 ハクサンムーン 10 1083 1 1
12年 1 カレンチャン 2 1103 2 2
2 サンカルロ 3 1103 10 12
3 ロードカナロア 1 1104 4 4
11年 1 キンシャサノキセキ 3 1079 4 3
2 サンカルロ 4 1081 11 10
3 アーバニティ 11 1081 9 7
10年 1 キンシャサノキセキ 1 1086 7 6
2 ビービーガルダン 6 1086 3 4
3 エーシンフォワード 3 1086 9 11
09年 1 ローレルゲレイロ 3 1080 1 1
2 スリープレスナイト 1 1081 3 5
3 ソルジャーズソング 15 1083 9 8
08年 1 ファイングレイン 4 1071 7 7
2 キンシャサノキセキ 5 1071 4 4
3 スズカフェニックス 1 1073 16 14

表1は過去10年の高松宮記念の成績。冒頭に述べたように12年以降のレースが、現在のコースで行われたものになる。12年はカレンチャンが勝利し、1分10秒3という走破時計であった。一見平凡に見えるタイムだが、レコード決着だったのはそのためだ。翌年、ロードカナロアがマークした1分08秒1もレコード。そして、16年にビッグアーサーがマークした1分06秒7もレコード決着だ。そして、現在もこのタイムがコースレコードとなっている。

つまり12年以降、良馬場で行われた際はすべてレコード決着となっているというわけだ。さすがにこれ以上、更新するのは容易ではないが、当日の馬場状態はかなり気になるところだ。今年は天気予報によると、今のところ雨の心配はなさそうだが、果たしてどうなるか。17年と15年は稍重、14年は不良馬場で行われており、近年は良馬場でできるとは限らない状況になっている。

好走馬、特に勝ち馬の脚質を見ると、明らかな特徴が見える。3〜4コーナーを2〜4番手で通過した先行馬が勝ちやすい。逃げ馬ではなく、先行から抜け出すのが勝ちパターンだ。コース改修により、最後の直線距離が伸び、坂もできたのだが、差しやすくなっているというようなイメージはない。こうした傾向は馬場状態に左右されない。良馬場でも、道悪でも好位から進めそうな馬が狙い目となっている。

■表2 高松宮記念出走馬の前走レース別成績(過去10年)

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 主な好走馬
阪急杯G3 3- 5- 3-42/53 5.7% 15.1% 20.8% コパノリチャード
オーシャG3 3- 2- 3-59/67 4.5% 7.5% 11.9% カレンチャン
シルクロHG3 3- 1- 3-17/24 12.5% 16.7% 29.2% セイウンコウセイ
チェアG1 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% エアロヴェロシティ
京都牝馬G3 0- 1- 0- 3/ 4 0.0% 25.0% 25.0% レッツゴードンキ
スプリンG1 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% スリープレスナイト
香港SG1 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% レッドファルクス
フェブラG1 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0%  
京阪杯G3 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0%  
京都金杯HG3 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0%  
マイルチG1 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0%  
阪神カッG2 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0%  
※そのほかのレースもあり。

表2は高松宮記念出走馬の前走レース別成績(過去10年)。ステップレースである阪急杯とオーシャンSからの出走馬がかなり多い。また、シルクロードSからも勝ち馬が3頭出ており、好走率は先の2レースを上回っている。それら3つのレースで勝ち馬が9頭、2着馬が8頭、3着馬が9頭出ており、確固たる主要レースになっている。

別路線からきて好走した馬を調べると、エアロヴェロシティやレッツゴードンキ、スリープレスナイト、レッドファルクスなどがいる。いずれもすでにG1連対実績がある馬であり、実力がある馬でないと厳しいと考えられる。

■表3 前走オーシャンS組の着順別成績(過去10年)

前入線順位 着別度数 勝率 連対率 複勝率 主な好走馬
前走1着 1- 0- 0- 8/ 9 11.1% 11.1% 11.1% キンシャサノキセキ
前走2着 1- 2- 0- 7/10 10.0% 30.0% 30.0% キンシャサノキセキ
前走3着 0- 0- 0- 8/ 8 0.0% 0.0% 0.0%  
前走4着 1- 0- 1- 2/ 4 25.0% 25.0% 50.0% カレンチャン
前走5着 0- 0- 1- 3/ 4 0.0% 0.0% 25.0% アルビアーノ
前走6〜9着 0- 0- 1-14/15 0.0% 0.0% 6.7% ハクサンムーン
前走10着〜 0- 0- 0-17/17 0.0% 0.0% 0.0%  

主要3レースでの結果だが、前哨戦とはいえ着順は大事になる。例えば、オーシャンS組を見ると表3のようになる。オーシャンSでの着順別成績だが、10着以下に敗れていた馬の巻き返しはない。6〜9着からの巻き返しも厳しく、ハクサンムーンのみ。よって基本的には1〜5着に入線していた馬となる。ただ、必ずしも勝ち馬の成績が優秀というわけではない。前走4着馬の複勝率が50%で、12年にカレンチャンが1着となっている。ただ、同馬は前年のスプリンターズSの覇者。その他の好走馬も見るとキンシャサノキセキなど、G1級の実績馬が多い。

上がり馬としては前走阪急杯やシルクロードS組からの方が多い印象。同レースで好走している馬が勢いに乗り、G1でもいい走りをしている。

■表4 今年の高松宮記念の出走予定馬

馬名 前走レース名 前着 決め手
キングハート オーシャG3 1 先行
ナックビーナス オーシャG3 2 差し
ネロ オーシャG3 4 逃げ
レーヌミノル オーシャG3 6 先行
ラインスピリット オーシャG3 8 先行
リエノテソーロ オーシャG3 10 中団
スノードラゴン オーシャG3 11 後方
ジューヌエコール オーシャG3 12 中団
ラインミーティア オーシャG3 13 後方
ダイアナヘイロー 阪急杯G3 1 逃げ
レッドファルクス 阪急杯G3 3 追込
ファインニードル シルクロHG3 1 先行
セイウンコウセイ シルクロHG3 2 逃げ
ブリザード センテG1 5 不明
ノボバカラ フェブラG1 13 先行
レッツゴードンキ フェブラG1 5 後方
ダンスディレクター 阪神カッG2 2 先行
シャイニングレイ 阪神カッG2 18 先行
※フルゲート18頭。

【結論】

2017/10/1 中山11R スプリンターズステークス(G1) 1着 8番 レッドファルクス

それでは今年の高松宮記念の出走予定馬を見ていこう。昨年のスプリンターズSの好走馬や、前年の高松宮記念の好走馬が揃って出走予定となっている。ただ、逆に言うと新鮮味がやや薄い印象がある。前哨戦のオーシャンSを制したキングハートや、阪急杯を制したダイアナヘイローは新興勢力というほどではない。シルクロードSを制したファインニードルも、もはや上がり馬とは言えない。

ただ、実績十分のレッドファルクスレッツゴードンキが高確率で末脚を生かす競馬をしてくるという点で、付け入るスキがありそうだ。先行して抜け出すのが勝ちパターンであるこのレースでは、単勝狙いが妙味となるかもしれない。

2018/1/28 京都11R シルクロードステークス(G3) 1着 1番 ファインニードル

前走オーシャンSで好位から捌いて好走したのはキングハート。そして、シルクロードSを先行抜け出しで制したのがファインニードル。同レースでセイウンコウセイは逃げたが、昨年の高松宮記念を制した時は好位抜け出しだった。イメージ的にはこの3頭に勝機があってもいい。

阪急杯を勝ったダイアナヘイローは逃げなくても強い競馬ができるかどうか。人気の一角となりそうなダンスディレクターは、昨年の阪神Cからの直行で、過去に好走例がないローテーションとなっている。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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