第1194回 牡馬クラシックのトライアルはここから。弥生賞を展望する|競馬情報ならJRA-VAN

競馬予想・競馬情報ならJRA-VAN

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第1194回 牡馬クラシックのトライアルはここから。弥生賞を展望する

2018/3/1(木)

今週日曜に行なわれる重賞は、皐月賞トライアルの弥生賞。これまで多くの名馬が羽ばたいていった伝統のG2戦だ。今年もダノンプレミアム、ワグネリアン、ジャンダルム、オブセッションなど、クラシック路線での活躍が期待される素質馬がエントリーしている。そんな楽しみな一戦を、過去10年のデータから展望してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 5-  2-  0-  3/ 10 50.0% 70.0% 70.0% 106% 90%
2番人気 3-  1-  2-  4/ 10 30.0% 40.0% 60.0% 136% 96%
3番人気 0-  1-  1-  8/ 10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 37%
4番人気 0-  2-  0-  8/ 10 0.0% 20.0% 20.0% 0% 54%
5番人気 0-  1-  3-  6/ 10 0.0% 10.0% 40.0% 0% 133%
6番人気 1-  0-  0-  9/ 10 10.0% 10.0% 10.0% 198% 43%
7番人気 0-  1-  3-  6/ 10 0.0% 10.0% 40.0% 0% 160%
8番人気 0-  1-  0-  9/ 10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 49%
9番人気 1-  0-  0-  9/ 10 10.0% 10.0% 10.0% 291% 54%
10番人気〜 0-  1-  1- 33/ 35 0.0% 2.9% 5.7% 0% 64%

表1は人気別成績。過去10年で1、2番人気が計8勝を挙げ、1番人気は複勝率70.0%、2番人気も複勝率60.0%となかなかの高確率で好走を果たしている。反面、3、4番人気はいずれも複勝率20.0%とひと息。以下、5番人気と7番人気が複勝率40.0%と高い点にも注目。もっとも人気がなかった好走馬は10番人気の2頭で、11番人気以下の好走例はなし。まとめると、1、2番人気の信頼性は高く、狙うとすれば中穴クラスまで。あまり極端な人気薄の好走は難しいようだ。

■表2 脚質別成績

脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走 逃げ 0-  0-  0- 14/ 14 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
先行 4-  5-  2- 26/ 37 10.8% 24.3% 29.7% 93% 128%
中団 4-  3-  7- 38/ 52 7.7% 13.5% 26.9% 55% 73%
後方 2-  2-  1- 15/ 20 10.0% 20.0% 25.0% 48% 41%
マクリ 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
今走 逃げ 1-  1-  0-  8/ 10 10.0% 20.0% 20.0% 13% 60%
先行 5-  6-  3- 28/ 42 11.9% 26.2% 33.3% 83% 106%
中団 3-  2-  6- 21/ 32 9.4% 15.6% 34.4% 109% 111%
後方 1-  1-  1- 34/ 37 2.7% 5.4% 8.1% 4% 20%
マクリ 0-  0-  0-  4/  4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
※脚質はTARGET frontier JVによる分類

表2は、上半分が前走の脚質別成績で、下半分が今走(弥生賞)の脚質別成績を示している。まず「逃げ」から見ていくと、前走で逃げていた14頭は弥生賞ですべて4着以下に終わっているが、今走で逃げた場合は1勝2着1回の好走例がある。つまり、弥生賞は前走で逃げていた馬には厳しいが、いきなり逃げた馬ならチャンスがあるレースということだ。もっとも安定しているのは「先行」で、前走、今走ともに良好。「中団」の成績も悪くなく、今走の複勝率は「先行」を上回るほど。しかし、「後方」は今走の数字がだいぶ落ちる。前走で「後方」からレースを進めた馬でも、弥生賞ではもう少し前、「中団」あたりにはつけたいところだ。

■表3 キャリア別成績

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1戦 0-  0-  0-  5/  5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2戦 2-  1-  1- 10/ 14 14.3% 21.4% 28.6% 63% 43%
3戦 2-  3-  2- 22/ 29 6.9% 17.2% 24.1% 72% 72%
4戦 4-  1-  3- 18/ 26 15.4% 19.2% 30.8% 35% 66%
5戦 2-  1-  2- 16/ 21 9.5% 14.3% 23.8% 160% 91%
6戦 0-  3-  1-  8/ 12 0.0% 25.0% 33.3% 0% 177%
7戦 0-  1-  0-  8/  9 0.0% 11.1% 11.1% 0% 33%
8戦 0-  0-  1-  5/  6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 101%
9戦 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
10戦〜 0-  0-  0-  2/  2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表3はキャリア別成績で、1着馬が出ているのはキャリア2戦から5戦のゾーン。キャリア6戦も、1着馬こそ出ていないものの複勝率はもっとも高い33.3%を記録している。一方、キャリア1戦のみで好走した馬はおらず、キャリア7戦以上になっても好走率がダウンする。どうやら、キャリア2〜6戦の馬を中心に狙っていくとよさそうだ。

■表4 前走距離別成績

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
〜1400m 0-  0-  0-  2/  2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1600m 1-  4-  5- 10/ 20 5.0% 25.0% 50.0% 13% 162%
1800m 3-  3-  2- 27/ 35 8.6% 17.1% 22.9% 157% 80%
2000m 6-  3-  3- 37/ 49 12.2% 18.4% 24.5% 31% 68%
2200m〜 0-  0-  0-  3/  3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
※前走が芝のレースだった馬のみ集計

表4は前走距離別成績。なお、距離を問わず前走でダート戦を走っていた馬の好走例はなかったため、芝戦のみを集計している。ご覧の通り、好走例がある前走は芝1600m、芝1800m、芝2000mの3つだけ。前走芝1600mは1着こそ1頭のみだが、複勝率50.0%と優秀。前走芝1800mは、12年9番人気1着のコスモオオゾラ、13年6番人気1着のカミノタサハラと、過去10年で1、2番人気以外から勝った2頭がいずれも該当しており、単勝回収率が157%と高く侮れない。弥生賞と同じ前走芝2000mはもっとも安定しているが、人気にもなるようで、単複の回収率が伸びなかった点がネックとなる。

■表5 前走クラス別成績

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
新馬 0- 0- 0- 5/ 5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
未勝利 0- 1- 0- 6/ 7 0.0% 14.3% 14.3% 0% 77%
500万下 1- 2- 1-31/35 2.9% 8.6% 11.4% 56% 44%
オープン特別 2- 1- 0- 9/12 16.7% 25.0% 25.0% 35% 135%
G3 6- 3- 6-31/46 13.0% 19.6% 32.6% 100% 84%
G2 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G1 1- 3- 3- 5/12 8.3% 33.3% 58.3% 22% 150%

表5は前走クラス別成績。前走新馬戦の好走例はなく、前走未勝利戦から好走したのも2着1回だけで、勝ち上がったばかりの馬には厳しいレースとなっている。前走500万下は好走例が4頭いるものの、こちらも総じて数値は低めだ。前走オープン特別から好走した3頭はすべて若駒Sから臨戦。若駒Sで1番人気1着だった14年のトゥザワールド、16年のマカヒキの2頭は弥生賞も制しており、該当馬がいれば注目したい。成績がいいのは、前走でG1やG3に出走していた馬。今回、集計対象となった前走G1は朝日杯FSのみだが、今後は同条件の中山芝2000mで行なわれるホープフルSという馬も増えてくるだろう。なお、前走が重賞だった馬に関しては、表7〜表9の項でも触れる。

■表6 前走500万下出走馬の各種データ

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
人気 1番人気 1- 0- 0- 5/ 6 16.7% 16.7% 16.7% 330% 71%
2番人気 0- 2- 0- 4/ 6 0.0% 33.3% 33.3% 0% 131%
3番人気 0- 0- 1- 4/ 5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 68%
4番人気〜 0- 0- 0-18/18 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
着順 1着 1- 1- 0-18/20 5.0% 10.0% 10.0% 99% 46%
2着 0- 1- 1- 0/ 2 0.0% 50.0% 100.0% 0% 320%
3着〜 0- 0- 0-13/13 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表6は、前走500万下出走馬に関して、前走人気別成績と前走着順別成績を示したもの。ご覧の通り、前走人気は1〜3番人気、前走着順は1、2着を外すと好走例が見当たらないので、しっかりと戦績を確認しておきたい。

■表7 前走芝重賞出走馬の前走距離別成績

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
芝1600m 1- 3- 4- 7/15 6.7% 26.7% 53.3% 18% 161%
芝1800m 2- 1- 2-14/19 10.5% 15.8% 26.3% 186% 81%
芝2000m 4- 2- 3-18/27 14.8% 22.2% 33.3% 40% 63%

表4の項で前走距離別成績を確認したが、この表7は芝重賞に限った前走距離別成績。傾向としては表4に近いが、復習を兼ねてチェックしておきたい。

前走芝1600m重賞に該当する馬の多くは、朝日杯FSに出走していた馬。勝率6.7%と勝ち切れない面もあるが、複勝率53.3%と好走する確率は非常に高い。また、13年までの中山開催では【1.1.1.4】、14年以降の阪神開催では【0.2.2.1】と、前走朝日杯FS組は阪神開催になってから好走率がさらに上昇していることも確認しておきたい。

前走芝1800m重賞と前走芝2000m重賞についても、全体としては表4に近い傾向が出ている。これらに関しては、表8と表9の項でより細かいデータを掲載するので、そちらをご参照いただきたい。

■表8 前走芝1800m重賞出走馬の前走上がり順位別成績

前走上がり順位 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1〜3位 1- 1- 2- 3/ 7 14.3% 28.6% 57.1% 90% 142%
4位〜 1- 0- 0-11/12 8.3% 8.3% 8.3% 242% 45%

表8は前走芝1800m重賞出走馬の、前走上がり順位別成績。データを確認すると、この組は上がり1〜3位だった馬と上がり4位以下だった馬で好走率に大きな差が出ていることがわかった。芝1800m重賞で上がり1〜3位だった馬は複勝率57.1%とかなりの確率で好走しているのに対して、上がり4位以下だった12頭で好走したのは12年1着のコスモオオゾラのみ。この年の弥生賞は稍重馬場となり、あまり速い上がりを求められなかったことも好走の要因となったのかもしれない。

■表9 前走芝2000m重賞出走馬の前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1着 4- 1- 0- 6/11 36.4% 45.5% 45.5% 100% 70%
2着 0- 0- 1- 6/ 7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 31%
3着 0- 0- 1- 2/ 3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 56%
4着 0- 1- 1- 0/ 2 0.0% 50.0% 100.0% 0% 280%
5着 0- 0- 0- 0/ 0          
6着〜 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表9は前走芝2000m重賞出走馬の、前走着順別成績。注目したいのは、この組で弥生賞を勝った4頭はすべて前走でも1着だったこと。好走例自体は前走4着まであり、前走1着でなければ絶望的ということではないが、勝ち切れるかどうかでは明白な線引きがあるようだ。

【結論】

2017/12/17 阪神11R 朝日杯フューチュリティS(G1) 1着 1番 ダノンプレミアム

今年の弥生賞に登録があったのは全部で11頭。うち1頭は未出走馬となっている。頭数はやや寂しいが、出走予定のメンバーは強力。そうした馬たちが早々と出走を表明したことも、登録馬が集まりにくくなった要因となったのかもしれない。

まず、前走芝1600m重賞に該当するのは2歳王者のダノンプレミアムのみ。この組は好走率が優秀で、なかでも阪神開催になってからの朝日杯FS組がさらに好相性ということは、表7の項で確認した。先行抜け出しの脚質やキャリア3戦という点も文句なしで、あとは初出走となる2000mの距離がどうかだけだろう。

2017/11/18 東京11R 東京スポーツ杯2歳S(G3) 1着 3番 ワグネリアン

前走芝1800m重賞に該当するのもワグネリアンのみ。こちらも、この組の条件となる「前走上がり1〜3位」を、東京スポーツ杯2歳Sの上がり1位でしっかりとクリアしている。こちらは新馬戦で2000mを勝っており、距離の不安もない。本番を前にして、ディープインパクト産駒2頭によるハイレベルな戦いが繰り広げられそうだ。

前走芝2000m重賞に該当するのはジャンダルムサンリヴァルの2頭。この組が弥生賞を勝つには前走1着が必要だったが、前者は前走2着、後者は前走4着に終わっている。ただし、両馬の前走は、昨年からG1となったホープフルS。G1の格を考慮して、過去のデータより重く見ることも可能だろう。

今年の登録馬に、前走で芝のオープン特別を走っていた馬は見当たらず。そこで500万下に目を移すと、芝のレースで「前走1〜3番人気で1、2着」の条件をクリアするオブセッションリビーリングの2頭が浮かび上がった。データから有力視できる馬として、以上の計6頭を挙げておきたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)