第1185回 まだクラシックに間に合う! 3歳新馬戦を分析|競馬情報ならJRA-VAN

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第1185回 まだクラシックに間に合う! 3歳新馬戦を分析

2018/1/29(月)

2015/1/31 東京5R 3歳新馬 1着 14番 キタサンブラック

今回は「3歳新馬戦」について調べてみたい。この時期の新馬戦というとデビューが遅れたような印象もあるが、先ごろ引退したキタサンブラックも15年1月31日の3歳新馬戦でデビュー。3カ月後の皐月賞でも3着に好走しており、クラシックに間に合う馬が現れる可能性も残されている。そんな3歳新馬戦に特有といえるようなレース傾向があるのかどうか、データを確認してみたい。集計期間は2013年1月5日〜2018年1月21日。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 牡牝別成績

性別 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
牡馬・セン馬 189- 181- 176-1834/2380 7.9% 15.5% 22.9% 84% 86%
牝馬 120- 125- 130-1899/2274 5.3% 10.8% 16.5% 61% 67%

表1は牡牝別成績で、セン馬は牡馬に含めている。こうして見ると、牡馬の数字が明らかに牝馬より高いことがわかるだろう。もちろん、牡馬の好走率が高いのは3歳新馬戦に限ったことではなく、一般的な傾向でもあるのだが、回収率についても牡馬のほうがだいぶ高い。これも一般論として、仕上がりが早いのは牝馬とされるが、3歳新馬戦デビューとなるとそのアドバンテージを失ってしまうのではないか。データからはそのようにも読み取れる。

■表2 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 97-  47-  34- 129/ 307 31.6% 46.9% 58.0% 77% 77%
2番人気 60-  55-  37- 155/ 307 19.5% 37.5% 49.5% 84% 84%
3番人気 32-  43-  44- 188/ 307 10.4% 24.4% 38.8% 61% 76%
4番人気 25-  31-  37- 214/ 307 8.1% 18.2% 30.3% 63% 73%
5番人気 28-  18-  24- 237/ 307 9.1% 15.0% 22.8% 92% 65%
6番人気 10-  27-  27- 242/ 306 3.3% 12.1% 20.9% 55% 76%
7番人気 17-  24-  22- 243/ 306 5.6% 13.4% 20.6% 102% 99%
8番人気 12-  16-  24- 253/ 305 3.9% 9.2% 17.0% 99% 106%
9番人気 11-   8-  16- 271/ 306 3.6% 6.2% 11.4% 107% 87%
10番人気〜 17-  37-  41-1801/1896 0.9% 2.8% 5.0% 58% 69%

表2は人気別成績。上から順に見ていこう。標準的な1番人気(2017年の中央競馬全体で勝率33.5%、連対率52.0%、複勝率65.0%)と比較した場合、3歳新馬戦の1番人気は勝率が若干低く、連対率と複勝率はさらに低い。以下、2番人気こそ標準レベルの好走率をキープしているが、3〜6番人気の好走率も標準より若干低く、人気サイドの信頼性は総じて落ちるようだ。反面、7〜9番人気は好走率、回収率ともに標準以上の数字を残している。といっても、7番人気でも勝率5.6%だから実際には狙いづらいかもしれないが、穴を狙ってみるという発想は持っておいてもいい。なお、10番人気以下は一般的な数字と同程度となっている。

■表3 枠番別成績

馬場 枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1枠 19- 19- 12-172/222 8.6% 17.1% 22.5% 64% 79%
2枠 12- 15- 18-191/236 5.1% 11.4% 19.1% 34% 62%
3枠 13- 16- 15-200/244 5.3% 11.9% 18.0% 56% 66%
4枠 15- 11- 23-201/250 6.0% 10.4% 19.6% 33% 73%
5枠 20- 16- 15-201/252 7.9% 14.3% 20.2% 85% 61%
6枠 18- 13- 10-213/254 7.1% 12.2% 16.1% 51% 66%
7枠 16- 19- 17-219/271 5.9% 12.9% 19.2% 44% 78%
8枠 20- 25- 22-207/274 7.3% 16.4% 24.5% 81% 118%
ダート 1枠 23- 16- 25-239/303 7.6% 12.9% 21.1% 44% 68%
2枠 14- 16- 32-256/318 4.4% 9.4% 19.5% 34% 72%
3枠 20- 25- 19-262/326 6.1% 13.8% 19.6% 145% 87%
4枠 15- 19- 15-283/332 4.5% 10.2% 14.8% 78% 57%
5枠 27- 26- 17-270/340 7.9% 15.6% 20.6% 114% 97%
6枠 28- 25-  9-280/342 8.2% 15.5% 18.1% 75% 57%
7枠 22- 26- 25-270/343 6.4% 14.0% 21.3% 93% 93%
8枠 27- 19- 32-269/347 7.8% 13.3% 22.5% 88% 89%

表3は芝ダート別に枠番別成績を表したもの。芝ダートともに共通していえるのは、内枠の回収率が低めで、外枠の回収率が高いこと。たとえば芝の1枠と8枠を比較したとき、好走率はほぼ互角なのに、1枠の単勝回収率64%、複勝回収率79%に対して、8枠は単勝回収率81%、複勝回収率118%となっている。この傾向はダートでもほぼ同様だ。

■表4 厩舎別成績(着別度数順)

厩舎 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
田村康仁 11- 5- 3-35/54 20.4% 29.6% 35.2% 265% 178%
藤原英昭 10- 3- 9-20/42 23.8% 31.0% 52.4% 56% 73%
角居勝彦 8-10- 4-20/42 19.0% 42.9% 52.4% 93% 90%
藤岡健一 8- 7- 3-20/38 21.1% 39.5% 47.4% 133% 137%
木村哲也 7- 1- 7-20/35 20.0% 22.9% 42.9% 92% 94%
中内田充正 7- 0- 1- 8/16 43.8% 43.8% 50.0% 303% 107%
堀宣行 6- 2- 2-13/23 26.1% 34.8% 43.5% 77% 80%
清水久詞 6- 1- 4-23/34 17.6% 20.6% 32.4% 117% 72%
菊沢隆徳 6- 1- 2-33/42 14.3% 16.7% 21.4% 110% 79%
古賀慎明 6- 0- 2-24/32 18.8% 18.8% 25.0% 159% 64%
大竹正博 5- 3- 3-32/43 11.6% 18.6% 25.6% 124% 65%
大久保龍志 4- 8- 4-25/41 9.8% 29.3% 39.0% 206% 104%
奥平雅士 3- 9- 4-41/57 5.3% 21.1% 28.1% 51% 168%
池上昌弘 3- 3- 2-19/27 11.1% 22.2% 29.6% 110% 109%

表4は厩舎別成績で、着別度数順の上位10厩舎および、好走率と回収率が高い11位以下の4厩舎を掲載した。いずれ劣らぬ優秀な数字が並んでいるが、2位の藤原英昭厩舎や3位の角居勝彦厩舎を押さえて1位となったのは田村康仁厩舎。今年1月14日の中山3Rでもミズカゼで14番人気1着の大穴をあけており、実に侮れない存在となっている。また、群を抜く勝率43.8%を記録したのが6位の中内田光正厩舎で、こちらも要注目だ。

■表5 生産者別成績(着別度数順)

生産者 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
ノーザンファーム 66- 43- 39-197/345 19.1% 31.6% 42.9% 111% 101%
社台ファーム 28- 38- 34-290/390 7.2% 16.9% 25.6% 34% 75%
ダーレー・ジャパン・ファーム 10-  8-  9- 57/ 84 11.9% 21.4% 32.1% 245% 124%
社台コーポレーション白老ファーム 9- 10-  7- 83/109 8.3% 17.4% 23.9% 62% 66%
千代田牧場 7-  3-  4- 65/ 79 8.9% 12.7% 17.7% 62% 54%
岡田スタツド 5-  8-  4- 44/ 61 8.2% 21.3% 27.9% 49% 185%
フジワラフアーム 5-  6-  4- 33/ 48 10.4% 22.9% 31.3% 262% 129%
グランド牧場 4-  3-  0- 19/ 26 15.4% 26.9% 26.9% 108% 65%
ケイアイファーム 4-  1-  1- 10/ 16 25.0% 31.3% 37.5% 248% 111%
谷川牧場 4-  1-  0- 20/ 25 16.0% 20.0% 20.0% 159% 92%

表5は生産者別成績で、着別度数順の上位10生産者を掲載した。ダントツの66勝を挙げたのがノーザンファーム。昨年まで8年連続でリーディングブリーダーに輝く実績通りの結果ではあるが、単複の回収率も100%以上となっており、3歳新馬戦では馬券的にも狙うべき存在といえる。さらに高い回収率残したのが、3位のダーレー・ジャパン・ファーム。3歳新馬戦で多く組まれるダートの成績が優秀ということは特筆すべきで、狙える機会が多くありそうだ。

■表6 種牡馬別成績(着別度数順)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
ディープインパクト 32- 25- 14- 68/139 23.0% 41.0% 51.1% 93% 113%
キングカメハメハ 18- 14- 12-110/154 11.7% 20.8% 28.6% 89% 70%
クロフネ 16- 13- 12-107/148 10.8% 19.6% 27.7% 167% 92%
マンハッタンカフェ 14- 11- 12- 96/133 10.5% 18.8% 27.8% 109% 118%
エンパイアメーカー 11-  8- 11- 90/120 9.2% 15.8% 25.0% 87% 99%
ゴールドアリュール 10-  9-  3- 80/102 9.8% 18.6% 21.6% 150% 74%
ハーツクライ 10-  8- 13- 77/108 9.3% 16.7% 28.7% 50% 62%
ネオユニヴァース 10-  8-  9- 74/101 9.9% 17.8% 26.7% 83% 105%
ダイワメジャー 9-  6- 10- 71/ 96 9.4% 15.6% 26.0% 51% 58%
ゼンノロブロイ 9-  1-  4- 74/ 88 10.2% 11.4% 15.9% 87% 43%
シンボリクリスエス 6- 10- 14- 68/ 98 6.1% 16.3% 30.6% 46% 192%
パイロ 6-  4-  3- 19/ 32 18.8% 31.3% 40.6% 114% 149%
キンシャサノキセキ 4-  6-  6- 28/ 44 9.1% 22.7% 36.4% 59% 115%
プリサイスエンド 3-  2-  4- 30/ 39 7.7% 12.8% 23.1% 349% 187%
バトルプラン 3-  2-  1- 19/ 25 12.0% 20.0% 24.0% 294% 86%

表6は種牡馬別成績で、着別度数順の上位10種牡馬および、好走率と回収率が高い11位以下の5種牡馬を掲載した。ご覧の通り、3歳新馬戦に限ってもディープインパクトとキングカメハメハが1位と2位を占める構図は、ここ数年のリーディング順と変わらない。特にディープインパクトは回収率も優秀で、馬券的にも狙い目といえる。また、2017年の種牡馬リーディングと比較して順位を上げているのが、3位のクロフネ(2017年総合7位)、4位のマンハッタンカフェ(同8位)、5位のエンパイアメーカー(同15位)、6位のゴールドアリュール(同9位)、8位のネオユニヴァース(同13位)といったあたり。一方、9位のダイワメジャー(同5位)や7位のハーツクライ(同4位)、表に載らなかったが30位のステイゴールド(3位)などは、総合リーディングより順位を下げている。いずれも実績十分の一流種牡馬ではあるが、3歳新馬戦はあまり得意とはいえないようだ。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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