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第1161回 2歳牝馬の新星は現れるか? ファンタジーSを展望する

2017/10/30(月)

秋のG1シリーズの中休みとなる今週。とはいえ、3連休がそのまま3日開催となって合計4つの重賞が組まれるうえに、連休初日には大井競馬場でJBC競走も行なわれる。競馬ファンにとっては、むしろいつも以上に忙しい週末になりそうだ。この盛りだくさんのなかから、今回は2歳牝馬重賞のファンタジーSを分析してみたい。集計期間は過去10年。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 1-  2-  2-  5/ 10 10.0% 30.0% 50.0% 14% 67%
2番人気 1-  0-  2-  7/ 10 10.0% 10.0% 30.0% 46% 55%
3番人気 0-  0-  3-  7/ 10 0.0% 0.0% 30.0% 0% 68%
4番人気 3-  2-  0-  5/ 10 30.0% 50.0% 50.0% 219% 138%
5番人気 1-  2-  1-  6/ 10 10.0% 30.0% 40.0% 117% 131%
6番人気 0-  1-  0-  9/ 10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 35%
7番人気 0-  2-  0-  8/ 10 0.0% 20.0% 20.0% 0% 96%
8番人気 2-  0-  0-  8/ 10 20.0% 20.0% 20.0% 418% 95%
9番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
10番人気〜 2-  1-  2- 53/ 58 3.4% 5.2% 8.6% 287% 144%

表1は人気別成績。過去10年で1、2番人気が各1勝にとどまり、3番人気の勝ち馬はなし。好走率や回収率も低調で、人気馬が苦戦している様子が見てとれる。ところが、4番人気や5番人気の成績は優秀で、特に4番人気は3勝。数字を見る限り、5番人気までに収まっていれば横一線で、6〜8番人気から好走する可能性も十分にある。また、10番人気以下の激走も5回あり、回収率はかなり高い。人気薄の激走にも注意したほうがよさそうだ。

■表2 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1枠 1- 2- 0-11/14 7.1% 21.4% 21.4% 10% 42%
2枠 0- 3- 0-12/15 0.0% 20.0% 20.0% 0% 88%
3枠 2- 1- 2-13/18 11.1% 16.7% 27.8% 460% 141%
4枠 3- 0- 1-14/18 16.7% 16.7% 22.2% 588% 141%
5枠 1- 0- 4-15/20 5.0% 5.0% 25.0% 112% 201%
6枠 1- 1- 1-16/19 5.3% 10.5% 15.8% 102% 126%
7枠 1- 0- 1-19/21 4.8% 4.8% 9.5% 21% 19%
8枠 1- 3- 1-18/23 4.3% 17.4% 21.7% 50% 59%

表2は枠番別成績。より特徴が出ているのは回収率だ。3〜6枠の単勝回収率と複勝回収率はすべて100%を超えており、真ん中あたりの枠からスタートした馬が狙い目ということがわかる。一方、1、2枠は好走率こそ悪くないものの、6〜8枠と比べると回収率で見劣る。また、外の7、8枠も苦戦の傾向が見てとれる。迷った場合などは、枠も判断材料のひとつになるだろう。

■表3 キャリア別成績

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1戦 1-  1-  0- 20/ 22 4.5% 9.1% 9.1% 6% 17%
2戦 3-  3-  4- 36/ 46 6.5% 13.0% 21.7% 55% 76%
3戦 4-  3-  4- 34/ 45 8.9% 15.6% 24.4% 121% 102%
4戦 1-  2-  2- 17/ 22 4.5% 13.6% 22.7% 419% 214%
5戦 0-  1-  0-  6/  7 0.0% 14.3% 14.3% 0% 55%
6戦 0-  0-  0-  3/  3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
7戦 1-  0-  0-  1/  2 50.0% 50.0% 50.0% 3730% 810%
8戦 0-  0-  0-  0/  0          
9戦 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表3はキャリア別成績。好走例が多く、好走率も高いキャリア2〜4戦が主力をなしている。なかでもキャリア3、4戦は回収率も高く、狙いどころといえそうだ。しかし、5戦以上のキャリアを重ねると好走率はダウン。08年にキャリア7戦のイナズマアマリリスが13番人気1着という例はあるものの、この激走が再現される確率は決して高いとはいえない。また、キャリアが1戦しかない馬も、多くは壁に跳ね返されてしまう。ただし、数少ないキャリア1戦の好走馬2頭が、12年2着のローブティサージュと16年1着のミスエルテというのは見逃せないところ。前者は次走の阪神ジュベナイルフィリーズを制し、後者も牡馬相手の朝日杯フューチュリティSに挑んで4着に入っている。つまり、キャリア1戦でファンタジーSを好走できるようなら、次の2歳G1でも期待大といえるのではないだろうか。

■表4 前走クラス別成績

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
新馬 1-  1-  0- 20/ 22 4.5% 9.1% 9.1% 6% 17%
未勝利 2-  2-  5- 17/ 26 7.7% 15.4% 34.6% 73% 198%
500万下 1-  3-  1- 39/ 44 2.3% 9.1% 11.4% 18% 23%
オープン特別 1-  1-  1- 23/ 26 3.8% 7.7% 11.5% 286% 140%
G3 3-  1-  3- 16/ 23 13.0% 17.4% 30.4% 512% 151%
G2 2-  2-  0-  1/  5 40.0% 80.0% 80.0% 540% 298%

表4は前走クラス別成績。上から順に見ていこう。前走新馬戦というのは、要するに前項で確認したキャリア1戦と同じ。そして、好走した2頭には「前走1、2番人気」「前走上がり1、2位」「ノーザンファーム生産馬」という共通項があり、これらを満たす馬がいれば狙ってみる価値はありそうだ。前走未勝利戦は、好走例が9頭と最多。3着が多く、複勝回収率198%となっているので、軸馬というよりは相手に選ぶイメージか。前走500万下と前走オープン特別は、いずれも好走率がいまひとつ。ただし、前走オープン特別は回収率がかなり高く、その点は侮れない。前走G3や前走G2の重賞組は、さすがに好走率が高い。特に前走G2はかなりの確率で好走していたのだが、該当するデイリー杯2歳Sの施行時期がファンタジーSよりあとになった、前走G2という馬が出走することは不可能になった。今後は前走G3組が中心になってくるのかもしれない。

■表5 前走未勝利戦出走馬の各種データ

条件 項目 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走人気 1〜4番人気 2- 2- 5-10/19 10.5% 21.1% 47.4% 101% 271%
5番人気〜 0- 0- 0- 7/ 7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走距離 今回延長 0- 0- 2- 7/ 9 0.0% 0.0% 22.2% 0% 355%
同距離 1- 1- 3- 7/12 8.3% 16.7% 41.7% 62% 105%
今回短縮 1- 1- 0- 3/ 5 20.0% 40.0% 40.0% 234% 140%

表5は前走未勝利戦出走馬について、前走人気別成績と前走からの距離変化をまとめたもの。このデータを見る限り、前走が未勝利戦だった場合は、そこで1〜4番人気に推されていることは絶対条件といえる。また、前走より距離延長だと3着どまりなのに対して、同距離や距離短縮のほうが明らかに高い好走率を残している点も見逃せないところだ。

■表6 前走500万下・オープン特別出走馬の前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1着 0- 1- 1-18/20 0.0% 5.0% 10.0% 0% 19%
2着 2- 2- 1- 7/12 16.7% 33.3% 41.7% 690% 211%
3着 0- 0- 0-11/11 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
4着 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
5着 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
6〜9着 0- 1- 0-12/13 0.0% 7.7% 7.7% 0% 135%
10着〜 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表6は、前走500万下およびオープン特別出走馬の前走着順別成績を示したもので、大きな特徴はふたつ。まず、好走の大半が前走1、2着馬に限られること。そして、前走1着より前走2着のほうが明らかに優秀な成績を残していることだ。しかし、前走3着以下だと【0.1.0.37】で、かなり厳しくなってしまう。昨年、12番人気のショーウェイが2着に突っ込んだ例はあるものの、この好走率では過度の期待はかけられない。

■表7 前走G3出走の好走馬

前走 人気 着順 馬名 前走
人気 着順 上がり 4角
函館2歳S 11 8 1 アイムユアーズ 5 2 1位 6番手
1 3 ファインチョイス 2 1 2位 3番手
15 1 3 ブランボヌール 1 1 2位 5番手
小倉2歳S
13 4 1 ベルカント 1 2 6位 1番手
14 14 1 クールホタルビ 7 13 15位 5番手
新潟2歳S 07 2 3 エイシンパンサー 2 4 4位 12番手

表7は、前走G3出走の好走馬を前走レース別で一覧にまとめたもの。なお、TARGET frontier JVにおける集計では10年2着のホーマンフリップも前走G3出走に含まれるが、実際には新潟2歳Sで競走除外となっており、ここでは含めないこととする。

好走例が3頭と最多なのは前走函館2歳S。3頭とも函館2歳Sで連対しており、上がりも1位か2位という好内容の走りを見せていた。こうした馬が出てきたら有力候補となりそうだが、今年の登録馬には前走函館2歳Sという馬が見当たらず。来年以降に期待したい。前走小倉2歳Sは好走例が2頭いる。より注目したいのは、小倉2歳Sで1番人気2着だったベルカントより、7番人気13着だったクールホタルビだろう。ここから巻き返したクールホタルビは、小倉2歳Sで4角5番手とある程度の先行力を見せており、ファンタジーSでも4角3番手から激走を果たした。小倉2歳S組に関しては、前走着順を問わず先行できそうなら警戒を払ったほうがいいかもしれない。前走新潟2歳S組の好走は、前述したホーマンフリップを除けばエイシンパンサーのみ。さすがに1頭では傾向を読み取りづらいが、この馬と同等以上の結果を収めているようならチャンスがあるのではないだろうか。

【結論】

2017/7/2 中京1R 2歳未勝利 1着 7番 コーディエライト

 

以上の分析に従い、今年のファンタジーS登録馬で有力と思われる馬を、前走クラスに分けてに挙げていきたい。

まずは前走G3出走馬で、今年は3頭が該当する。新潟2歳Sで2着だったのがコーディエライト。過去10年で好走例が1頭しかない前走新潟2歳S組だが、唯一の好走例となったエイシンパンサーより着順は上。キャリア3戦で臨むのも好材料で、侮れない1頭になりそうだ。モズスーパーフレアは前走小倉2歳Sで1番人気を裏切る7着に敗れたものの、4角を1番手で通過していた。表7の項で述べた通り、小倉2歳Sで先行していた事実を重く見て、巻き返しの可能性はあると考えたい。


2017/8/27 札幌5R 2歳新馬 1着 4番 ベルーガ

 

続いて、前走500万下およびオープン特別出走馬を確認する。表6の通り、この組は前走1、2着には入っておきたいところで、特に2着なら抜群の成績を収めている。今年該当するのは、もみじSで2着だったアーデルワイゼ。名牝ビワハイジの孫という血統からも注目の1頭といえるだろう。あとは、前走2着に比べると好走率は下がるが、前走中京2歳S1着のアマルフィコースト、前走カンナS1着のペイシャルアス、前走ひまわり賞1着のレグルドールの3頭もノーチャンスとはいえない。

前走未勝利出走馬の場合は1〜4番人気に収まっていることが絶対条件だったが、今年は該当馬がいない。そして、前走新馬戦出走馬からは、表4の項で述べた「前走1、2番人気」「前走上がり1、2位」「ノーザンファーム生産馬」をすべて満たすベルーガに注目だ。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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