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第1152回 春のG1や前哨戦との関連性は?

2017/9/28(木)

今週日曜日に中山競馬場でスプリンターズSが行われる。秋のG1開幕を飾る芝のスプリント王決定戦である。今回は春のスプリントG1である高松宮記念の優勝馬、そして前哨戦の中でも最も重要とされているセントウルS。この2つのレースの勝ち馬が、同年のスプリンターズSに出走してきた場合、どのような成績を収めているのか。そうした観点から両レースの関連性を調べ、今回のレースを占ってみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 同年の高松宮記念とセントウルS優勝馬の、スプリンターズS結果

高松宮記念優勝馬 スプ   セントウルS優勝馬 スプ
17年 セイウンコウセイ ??   ファインニードル ??
16年 ビッグアーサー 12着   ビッグアーサー 12着
15年 エアロヴェロシティ 不出走   アクティブミノル 9着
14年 コパノリチャード 12着   リトルゲルダ 不出走
13年 ロードカナロア 1着   ハクサンムーン 2着
12年 カレンチャン 2着   エピセアローム 4着
11年 キンシャサノキセキ 不出走   エーシンヴァーゴウ 3着
10年 キンシャサノキセキ 2着   ダッシャーゴーゴー 2→4着
09年 ローレルゲレイロ 1着   アルティマトゥーレ 5着
08年 ファイングレイン 10着   カノヤザクラ 7着
07年 スズカフェニックス 9着   サンアディユ 2着

今回は同年の高松宮記念やセントウルSと、スプリンターズSとの関連性という切り口からレースを分析する。そのため、まずは同年の高松宮記念とセントウルSの優勝馬を調べてみることにする(表1参照)。表は過去10年のデータ。07年は高松宮記念を制したスズカフェニックスだったが、同じ年のスプリンターズSでは9着に敗れた。翌年はファイングレインが10着だったが、09年はローレルゲレイロがスプリンターズSも制し、春秋のスプリントG1制覇したことになる。

スズカフェニックスなどは実績ある強い馬だったが、やはり同じ年に2つのスプリントG1を制することは容易ではないと言える。時期も違うし、コース形態もだいぶ異なる。昨年はややアクシデントのようなレース展開になり、ビッグアーサーが1番人気で12着と崩れた。短距離戦だけに展開や枠順で不利があると、大きく敗れてしまうケースがある。

一方、前哨戦であるセントウルSの優勝馬はどうか。こちらは施行時期が近い関係で、勝ち馬は高確率でここに出走してくる。状態もいい雰囲気で挑んでくる可能性が高い。しかし、結果は優秀とは言えない。むしろ、苦戦しているというイメージすらある。何せここ10年はスプリンターズSでの勝ち馬が出ていない。2着に好走したのも07年サンアディユと13年ハクサンムーンだけ。大崩れするケースも少ないが、勝ち切るケースが見えない。G2とはいえ、本番前の前哨戦。明らかにひと叩きで臨んでくるケースもあり、セントウルSでの勝ち負けにはあまりこだわる必要はないと言えるだろう。よって、どちらかと言えばセントウルSの優勝馬よりも高松宮記念の優勝馬の方を評価してみたい。

■表2 過去10年のスプリンターズS優勝馬

馬名 人気 前走レース名 前着 備考
16年 レッドファルクス 3 CBC賞HG3 1 連勝中
15年 ストレイトガール 1 セントウG2 4 Vマイル1着
14年 スノードラゴン 13 キーンラG3 8 高松宮記念2着
13年 ロードカナロア 1 セントウG2 2 安田記念1着
12年 ロードカナロア 2 セントウG2 2 高松宮記念3着
11年 カレンチャン 3 キーンラG3 1 連勝中
10年 ウルトラファンタジ 10 シャVG3 14 香港馬
09年 ローレルゲレイロ 6 セントウG2 14 高松宮記念1着
08年 スリープレスナイト 1 北九州記HG3 1 連勝中
07年 アストンマーチャン 3 北九州記HG3 6 前年阪神JF2着

それは実際のスプリンターズSの勝ち馬を見ても明らかだ。表2は過去10年の同レース勝ち馬。前走レースはセントウルS組が多く、主力と言えるがそこで勝っていた馬は1頭もいない。歴史的な名馬であるロードカナロアですらもセントウルSでは2年連続で2着だった。そして、同年の高松宮記念で3着以内に好走していた馬が多いことがわかる。14年スノードラゴン、12年ロードカナロア、09年ローレルゲレイロが該当する。

2016/10/2 中山11R スプリンターズステークス(G1) 1着 13番 レッドファルクス

その他の優勝馬もいくつか明確なパターンに分けられる。まずは連勝中で底を見せていない馬。08年スリープレスナイトや、11年カレンチャン、そして昨年のレッドファルクスが該当。できれば重賞を含み、連勝中で勢いがある馬がいいだろう。このようなタイプが一気に頂点まで上り詰める。それから春にマイルのG1を勝っている馬。ストレイトガールやロードカナロアが該当する。厳密に言うと、マイルもこなせるスプリンターか。かなり能力が高いタイプであり、なかなか出現しない稀有な存在であると言えるだろう。

あとは、海外馬。過去10年ではウルトラファンタジーだけだが、それ以前にはサイレントウィットネスなど、強い実績馬が来日して、期待に応えた。07年アストンマーチャンだけはやや異色のタイプ。本質的には短い距離がいい馬だったが、前年に阪神JFで2着の実績があった。やはりマイルのG1にも対応したという意味で、高い評価を下すべきなのかもしれない。

■表3 スプリンターズS出走馬の前走レース別成績(過去10年)

順位 前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率
1 セントウG2 4- 4- 4-50/62 6.5% 12.9% 19.4%
2 キーンラG3 2- 3- 5-30/40 5.0% 12.5% 25.0%
3 北九州記HG3 2- 0- 0- 7/ 9 22.2% 22.2% 22.2%
4 CBC賞HG3 1- 0- 0- 2/ 3 33.3% 33.3% 33.3%
5 シャVG3 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0%
6 安田記念G1 0- 1- 0- 7/ 8 0.0% 12.5% 12.5%
7 函館スプG3 0- 1- 0- 5/ 6 0.0% 16.7% 16.7%
8 高松宮記G1 0- 1- 0- 4/ 5 0.0% 20.0% 20.0%
9 オータムHG3 0- 0- 1- 4/ 5 0.0% 0.0% 20.0%

最後に表3はスプリンターズS全出走馬の前走レース別成績。勝ち馬に限らず、2、3着馬においてもその傾向はあまり変わらない。セントウルS組の出走が多く、好走馬もかなり出ている。次はキーンランドC組。2〜3着馬が多く、複勝率はセントウルS組よりも上だ。あとは北九州記念やCBC賞組。要は同じ年のサマースプリントシリーズからの直行馬がかなりを占める。安田記念や高松宮記念からの直行もOKだが、2着までとなっている。

【結論】

それでは今年のスプリンターズSを占ってみよう。出走予定馬は表4の通り。

■表4 今年のスプリンターズS出走予定馬

馬名 前走レース 前着 備考
シュウジ キーンラG3 13  
スノードラゴン セントウG2 8  
セイウンコウセイ 函館スプG3 4 高松宮記念1着
ダイアナヘイロー 北九州記HG3 1 連勝中
ダンスディレクター セントウG2 3  
ネロ キーンラG3 8  
ビッグアーサー 香港SG1 10  
ファインニードル セントウG2 1  
フィドゥーシア セントウG2 9  
ブリザード HKS 2 香港馬
メラグラーナ セントウG2 4  
モンドキャンノ キーンラG3 6 昨年朝日杯FS2着
ラインミーティア セントウG2 2  
レッツゴードンキ ヴィクトG1 11 高松宮記念2着
レッドファルクス 安田記念G1 3 高松宮記念3着
ワンスインナムーン 朱鷺S 1 連勝中
※フルゲート16頭。ノボバカラ他7頭が登録。

2017/3/26 中京11R 高松宮記念(G1) 1着 6番 セイウンコウセイ

まずは今年の高松宮記念を制したセイウンコウセイに注目。春秋のG1制覇はかなりハードルが高いはずだが、軽視もできない。少なくともセントウルS優勝馬ファインニードルよりも上位に評価したい。同レース勝ち馬自体が厳しいことと、連勝馬でもない点が大きい。それならば春のG1からの直行になるが、高松宮記念で2着だったレッツゴードンキ、同3着のレッドファルクスに注目してみたい。

海外からはブリザード(香港)が出走予定。実績的には見劣る感じがするが、10年に10番人気で制したウルトラファンタジーと同じ厩舎に所属。それだけでも何とも不気味な存在に映る。半信半疑ながら押さえておく手はありそうだ。あとは、穴でモンドキャンノ。昨年の朝日杯FSでは2着。近走の成績は良くないが、スプリント能力は高いと思われる。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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