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第1112回 種牡馬がカギ? ヴィクトリアマイルを占う

2017/5/11(木)

今週は東京競馬場でヴィクトリアマイルが行われる。先週行われたNHKマイルCは混戦の末、アエロリットが勝利した。同馬の父はクロフネ。クロフネ自身が01年にNHKマイルCを制しており、産駒としても15年にクラリティスカイが同レースを制していた。つまりNHKマイルCにゆかりがある種牡馬が結果を出したというわけだ。今週のヴィクトリアマイルでも似たような傾向があるレースだ。そこで、今回は種牡馬を切り口として、今年のヴィクトリアマイルを展望してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 ヴィクトリアマイル好走馬の血統と前走成績

着順 馬名 人気 種牡馬 前走レース 前着
16年 1 ストレイトガール 7 フジキセキ 阪神牝馬G2 9
2 ミッキークイーン 1 ディープインパクト 阪神牝馬G2 2
3 ショウナンパンドラ 2 ディープインパクト 産経大阪G2 3
15年 1 ストレイトガール 5 フジキセキ 高松宮記G1 13
2 ケイアイエレガント 12 キングカメハメハ 京都牝馬G3 1
3 ミナレット 18 スズカマンボ 福島牝馬G3 5
14年 1 ヴィルシーナ 11 ディープインパクト 阪神牝馬G2 11
2 メイショウマンボ 3 スズカマンボ 産経大阪G2 7
3 ストレイトガール 6 フジキセキ 高松宮記G1 3
13年 1 ヴィルシーナ 1 ディープインパクト 産経大阪G2 6
2 ホエールキャプチャ 12 クロフネ 阪神牝馬G2 14
3 マイネイサベル 5 テレグノシス 福島牝馬G3 2
12年 1 ホエールキャプチャ 4 クロフネ 中山牝馬HG3 5
2 ドナウブルー 7 ディープインパクト 中山牝馬HG3 11
3 マルセリーナ 3 ディープインパクト 阪神牝馬G2 2
11年 1 アパパネ 2 キングカメハメハ マイラーG2 4
2 ブエナビスタ 1 スペシャルウィーク DWCG1 8
3 レディアルバローザ 3 キングカメハメハ 中山牝馬HG3 1
10年 1 ブエナビスタ 1 スペシャルウィーク DSCG1 2
2 ヒカルアマランサス 8 アグネスタキオン 阪神牝馬G2 13
3 ニシノブルームーン 11 タニノギムレット 中山牝馬HG3 1
09年 1 ウオッカ 1 タニノギムレット DDFG1 7
2 ブラボーデイジー 11 クロフネ 福島牝馬G3 1
3 ショウナンラノビア 7 フレンチデピュティ 卯月SH1600 1
08年 1 エイジアンウインズ 5 フジキセキ 阪神牝馬G2 1
2 ウオッカ 1 タニノギムレット DDFG1 4
3 ブルーメンブラット 4 アドマイヤベガ 阪神牝馬G2 2
07年 1 コイウタ 12 フジキセキ ダービーHG3 2
2 アサヒライジング 9 ロイヤルタッチ 阪神牝馬G2 8
3 デアリングハート 8 サンデーサイレンス ダービーHG3 6
サンデーサイレンス系
ミスタープロスペクター系
ヴァイスリージェント系
ロベルト系
その他

まずは過去10年のヴィクトリアマイルで好走した馬について調べてみた(表1参照)。比較的歴史が浅いG1レースでありながら、ヴィルシーナ、ストレイトガールという2頭の馬が連覇を果たしている。その他にもホエールキャプチャやブエナビスタ、ウオッカといった実力馬が複数回このレースで好走している。リピーターが出現しやすいレースであり、すでにヴィクトリアマイルで好走経験がある馬は、それだけで有力と言えるだろう。

そして血統面においても大きな特徴がある。主に父方、種牡馬に注目すると特定系統馬の好走が目立つ。まずは、ヘイロー系の中でもサンデーサイレンスの血を引く馬。特に近年はフジキセキやディープインパクト産駒の好走が多い。同一馬が好走しやすいので、どうしてもそのような傾向は出てくるのだが、過去10年で見ても偏りがあると感じる。そしてミスタープロスペクター系。特にキングカメハメハ産駒が有力。ケイアイエレガント、アパパネ、レディアルバローザと異なる馬がそれぞれ好走している点が興味深く、評価できるポイントだ。このレースにおける相性の良さがうかがえる。

あとはヴァイスリージェント系。先週のアエロリットと同じクロフネ産駒に注目できる。ノーザンダンサー系は全般的に不振なのだが、ヴァイスリージェント系だけは勝負になっている。あとはタニノギムレットなどのロベルト系。この4系統が全30頭の好走馬中、29頭を占めるという結果になった。

次に前走成績について見ていく。ステップレースとしては阪神牝馬S組が多い。ほぼ毎年1頭は馬券になっているという傾向だ。同レースは昨年から芝1600mとなっているが、その傾向は変わっていない。ただ、難しい点は同レースの好走馬ばかりが走っているわけではない点だ。ストレイトガールやヴィルシーナが連覇を果たした年は、ともに前哨戦で大きく敗れていた。13年2着のホエールキャプチャもそうだ。そのため本番ではかなり人気を落とした。近年はこの手のタイプの馬が、結果的に穴馬として好走を果たしている。

穴という意味では、前走1着馬にも注目すべきだろう。15年に12番人気で2着に入ったケイアイエレガントは、前走京都牝馬Sで1着だった。10年に11番人気で3着だったニシノブルームーンも前走中山牝馬Sを勝っていた。09年2着のブラボーデイジーも同様。前走で重賞を勝っていないながらも軽視されているケースが多々ある。普通はG1となると、「家賃が高くなる」という傾向も当然あるのだが、ヴィクトリアマイルに関してはそうではない。格下のレースであっても前走で勝って勢いをつけている馬が、穴になりやすい。

その他、実績的なことで言えば、過去に桜花賞や古馬のG1で好走経験がある馬がおもしろい。07年のコイウタは桜花賞で3着。ストレイトガールは、14年に前走高松宮記念で3着と好走していた。ヴィルシーナやホエールキャプチャはクラシックで勝てなかったが、G1で善戦を続けていた馬。ブエナビスタやアパパネ、ウオッカといった総合力が高い実績馬が勝っているレースでもあり、最終的には地力が高い馬の方が勝ちやすいことは間違いないだろう。

■表2 ヴィクトリアマイルの種牡馬成績(過去10年)

順位 種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1 フジキセキ 4- 0- 1- 4/ 9 44.4% 44.4% 55.6% 1172 347
2 ディープインパクト 2- 2- 2-13/19 10.5% 21.1% 31.6% 165 97
3 クロフネ 1- 2- 0- 9/12 8.3% 25.0% 25.0% 60 186
4 キングカメハメハ 1- 1- 1-13/16 6.3% 12.5% 18.8% 25 83
5 タニノギムレット 1- 1- 1- 2/ 5 20.0% 40.0% 60.0% 34 234
6 スペシャルウィーク 1- 1- 0- 1/ 3 33.3% 66.7% 66.7% 50 73
7 スズカマンボ 0- 1- 1- 2/ 4 0.0% 25.0% 50.0% 0 2195
8 アグネスタキオン 0- 1- 0- 7/ 8 0.0% 12.5% 12.5% 0 106
9 ロイヤルタッチ 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0 810
10 アドマイヤベガ 0- 0- 1- 2/ 3 0.0% 0.0% 33.3% 0 70
11 フレンチデピュティ 0- 0- 1- 3/ 4 0.0% 0.0% 25.0% 0 137
12 サンデーサイレンス 0- 0- 1- 3/ 4 0.0% 0.0% 25.0% 0 197
13 テレグノシス 0- 0- 1- 1/ 2 0.0% 0.0% 50.0% 0 180
14 マンハッタンカフェ 0- 0- 0- 8/ 8 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
15 ダンスインザダーク 0- 0- 0- 8/ 8 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
16 ステイゴールド 0- 0- 0- 9/ 9 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
17 ハーツクライ 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
18 メジロマックイーン 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
19 アグネスデジタル 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
20 ブライアンズタイム 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
21 ゼンノロブロイ 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
サンデーサイレンス系
ミスタープロスペクター系
ヴァイスリージェント系
ロベルト系
その他

最後に種牡馬傾向について、もう少し詳しく見ておきたい。表2は過去10年のヴィクトリアマイル出走馬の種牡馬成績。最多の4勝をマークしているフジキセキが、最大の注目血統。ストレイトガールの連覇だけでなく、エイジアンウインズ、コイウタと別々の馬が結果を出している点も評価できる。

ディープインパクト産駒は2勝。サンデーサイレンス系の中でも、よりスピードと決め手に秀でた血統が有利と考えられる。というのもマンハッタンカフェ、ダンスインザダーク、ステイゴールド、ハーツクライといった産駒が一度も好走を果たしていないからだ。サンデー系の中でも、芝3000m以上のG1にも適性があるタイプは苦戦している印象だ。ただ、スペシャルウィークやスズカマンボ産駒は結果を出しており、一概に中長距離タイプがダメだとは言えない。ひとまずは、フジキセキやディープインパクト産駒を中心に、すでに好走馬を輩出している種牡馬を優先的に考えてみたいところだ。

【結論】

それでは今年のヴィクトリアマイルを展望していく。出走予定馬は表3の通り。

■表3 今年のヴィクトリアマイル出走予定馬

馬名 種牡馬 前走レース 前着 注目の実績
アスカビレン ブラックタイド 六甲S 1  
アットザシーサイド キングカメハメハ 阪神牝馬G2 8 桜花賞3着
アドマイヤリード ステイゴールド 阪神牝馬G2 2  
ウキヨノカゼ オンファイア 福島牝馬G3 1 スプリンターズS3着
オートクレール デュランダル 春興SH1600 2  
クイーンズリング マンハッタンカフェ 阪神牝馬G2 15  
クリノラホール ダイワメジャー 阪神牝馬G2 11  
ジュールポレール ディープインパクト 阪神牝馬G2 3  
スマートレイアー ディープインパクト 京都記念G2 2  
ソルヴェイグ ダイワメジャー 高松宮記G1 9 スプリンターズS3着
デンコウアンジュ メイショウサムソン 福島牝馬G3 4  
ヒルノマテーラ マンハッタンカフェ 阪神牝馬G2 9  
フロンテアクイーン メイショウサムソン 福島牝馬G3 2  
ミッキークイーン ディープインパクト 阪神牝馬G2 1 ヴィクトリアM2着
リーサルウェポン ディープインパクト 福島牝馬G3 5  
ルージュバック マンハッタンカフェ 金鯱賞G2 8  
レッツゴードンキ キングカメハメハ 高松宮記G1 2 桜花賞1着
サンデーサイレンス系
ミスタープロスペクター系
その他

2017/4/8 阪神11R サンスポ杯阪神牝馬S(G2) 1着 6番 ミッキークイーン

まず種牡馬に注目すると、出走予定馬の大半がサンデーサイレンス系という構成。決してめずらしいことではないが、簡単には絞りにくい。最大の注目となるフジキセキ産駒が今年は不在であり、ディープインパクト産駒に注目せざるを得ない。該当馬はジュールポレール、スマートレイアー、ミッキークイーン、リーサルウェポンの4頭。そのうち実績最上位はミッキークイーン。G1・2勝馬であり、昨年のヴィクトリアマイルでは2着。すでに今回のレースで好走しており、同レースの傾向にピッタリと合致する。前走は阪神牝馬Sで1着と、臨戦過程の面でも申し分ない。よって、最有力候補として推奨する。

その他のディープインパクト産駒ではリーサルウェポンとジュールポレールは実績的に格下。スマートレイアーは重賞勝ちの実績もあり、G1では秋華賞2着の実績がある。ただ、ヴィクトリアマイルはすでに3回出走していながら、好走実績がない。同一馬が複数回好走しやすいレースなので、逆に買いにくいタイプであると言える。

2017/2/18 京都11R 京都牝馬ステークス(G3) 1着 10番 レッツゴードンキ

別のサンデーサイレンス系では、アスカビレンウキヨノカゼが気になる。前者がブラックタイド、後者がオンファイア産駒だが、ディープインパクトとは全兄弟という血統。そしてともに前走は1着。ウキヨノカゼには過去にスプリンターズS3着という実績もある。ダイワメジャー産駒だが、ソルヴェイグにもスプリンターズS3着の実績がある。

別の系統からはアットザシーサイドレッツゴードンキ。ともにキングカメハメハ産駒でこのレースに実績がある。そして前者は前走阪神牝馬8着だが、過去に桜花賞3着の実績。後者は人気になるだろうが、実績は十分だ。ミッキークイーンを中心に、このあたりを相手候補として考えてみたい。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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