第1091回 新人騎手のデビュー時とその後の成績に関係は?|競馬情報ならJRA-VAN

JRA公式データ配信サービス JRA-VAN JRA公式データ配信サービス JRA-VAN

  • メール:office@jra-van.jp
  • 受付時間:10:00〜17:00
  • ※競馬開催のない土日祝・火曜を除く
  • ホーム
  • サイトマップ
  • JRA-VAN広場

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第1091回 新人騎手のデビュー時とその後の成績に関係は?

2017/2/27(月)

今週は、他の新社会人よりひと月早く、5名の新人が騎手としての道を歩み始める。1週目から有力馬への騎乗機会があるかといった報道もされるが、騎手人生も長ければ30年以上。必ずしもスタートがすべてではないはずだ。そこで今回は、3月から2年目以降となる騎手の、デビュー当初の成績を見てみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。なお、集計期間は本年2月19日まで、対象はJRA競馬学校卒業生とし、地方競馬出身騎手・外国人騎手は除いている。

■表1 昨年デビュー騎手(通算勝利数上位3名)の成績

騎手 通算 1年目 初勝利 騎乗初日 騎乗2日目
木幡巧也 48勝 45勝 3月27日 31戦目 0-0-1-4 0-0-1-2
坂井瑠星 34勝 25勝 4月2日 35戦目 0-1-0-3 0-0-0-3
荻野極 26勝 20勝 4月10日 29戦目 0-0-0-1 0-0-0-3

2016/6/26 東京10R 清里特別 1着 10番 グラスエトワール (木幡巧也騎手)

まず表1は、この3月でデビュー2年目を迎える騎手のうち、現時点の通算勝利数上位3名である。昨年は木幡巧也騎手が、2位の坂井瑠星騎手に20勝差という圧倒的な成績を残した。今年も木幡巧也騎手が初日に2勝と好スタートを切ったが、その後は坂井瑠星騎手と荻野極騎手がじわじわと差を詰めにかかっている。 この3名に共通するのは、初勝利が30戦目前後、デビューから1カ月ほどということ。特段「遅い」というわけでもないが、例年1週目、2週目に初勝利を挙げる新人騎手も少なからず見られる中で、決して早かったわけでもない。もちろん彼らがこの先、どんな実績を重ねていくかはまったくわからないが、少なくとも1年目に関しては、少々初勝利が遅かろうと、開幕週に連対がなかろうと、この世代ではあまり関係がないことはわかる。

■表2 13〜15年デビュー騎手(通算勝利数上位2名)の成績

デビュー年 騎手 通算 1年目 初勝利 騎乗初日 騎乗2日目
2015年 鮫島克駿 74勝 39勝 3月14日 6戦目 0-0-0-4 0-0-0-1
加藤祥太 68勝 30勝 3月14日 8戦目 0-0-1-2 0-0-0-2
2014年 松若風馬 168勝 47勝 3月2日 2戦目 0-0-0-1 1-0-1-2
石川裕紀人 101勝 12勝 6月1日 47戦目 0-0-0-1 0-0-0-2
2013年 岩崎翼 74勝 12勝 5月19日 81戦目 0-0-1-2 0-0-2-2
城戸義政 48勝 4勝 6月29日 67戦目 0-1-0-3 0-0-0-1

2017/2/5 京都11R きさらぎ賞(G3) 1着 7番 アメリカズカップ (松若風馬騎手)

続いて表2では、13〜15年デビュー騎手の、現時点での通算勝利数上位2名を調べてみた。この中で対照的なのは、2014年デビューの松若風馬騎手と石川裕紀人騎手だ。ともに初日は1鞍の騎乗だったことだけは共通しているが、松若風馬騎手は2日目・デビュー2戦目に初勝利を挙げ、6月15日にはマーメイドSで重賞初騎乗。年末まで47勝を積み重ねた。 一方の石川裕紀人騎手は、初めて馬券に絡んだのが5月4日、初勝利はデビュー47戦目の6月1日。デビュー年は12勝に終わったが、翌年は40勝をマークして年末には有馬記念でG1初騎乗。昨年も43勝を挙げ、現在は通算100勝を突破している。その間、松若騎手も順調に勝ち鞍を伸ばし、重賞4勝(直近ではきさらぎ賞のアメリカズカップ)を挙げるなど差は詰まってこそいないものの、スタート時の差を考えれば石川騎手も「食らいついている」と言えるだろう。

■表3 16年、17年リーディング10位以内騎手の成績

デビュー年 騎手 通算 1年目 初勝利 騎乗初日 騎乗2日目
2002年 田辺裕信 646勝 8勝 8月3日 63戦目 0-0-0-3 0-0-0-1
1987年 武豊 3877勝 69勝 3月7日 5戦目 0-1-0-3 1-0-0-0
1996年 福永祐一 1948勝 53勝 3月2日 初戦 2-0-0-6 1-0-0-7
2004年 吉田隼人 703勝 3勝 4月24日 48戦目 0-0-0-4 0-0-0-4
1996年 和田竜二 1058勝 33勝 3月16日 12戦目 0-0-0-2 0-0-0-3
2004年 川田将雅 1051勝 16勝 3月20日 4戦目 0-0-0-2 1-0-0-1

最後に表3は、本年のリーディングで10位以内の騎手に、昨年3位の川田将雅騎手(本年は負傷による休養あり)を加えた成績である。中でも、ここにきて注目を集めているのは田辺裕信騎手。詳しくはケンタロウ氏が2月6日掲載分「第1085回 リーディングを快走! 田辺裕信騎手をデータから分析」で取り上げているが、デビューした2002年は8勝で、初勝利は63戦目の8月3日と、デビュー当初は大苦戦を強いられた。重賞初勝利はデビュー10年目の2011年(アンタレスS・ゴルトブリッツ)。そのころから安定してリーディング上位を争うようになり、今年は集計期間内では3位(JRA競馬学校卒業生では1位)の18勝を挙げている。また、吉田隼人騎手も当初は勝ち鞍が伸びなかった1人で、04年は田辺騎手も下回るわずか3勝。3年目に60勝を挙げるなど早めに結果を出してきたが、現在のリーディング上位の中では初年度の勝ち鞍が目立って少ない。

ちなみに、JRA通算4000勝も視野に入ってきた武豊騎手は、1年目から69勝、秋には京都大賞典(トウカイローマン)で重賞制覇と結果を出している。しかし「名人・武邦彦の息子」として注目されたデビュー当初は、3月は4勝、そして4月は勝利なし。5月に【12.7.9.32】勝率20.0%、複勝率46.7%という素晴らしい成績を残し、ここから勝ち星を量産した。当時は馬券の「全国発売」がごく一部のレースに限られたため、数字だけではなく騎乗ぶりも含め全国のファンに広く知られたのは翌年になってからである。 また、表にはないが、先週で現役生活を終えた弟の武幸四郎新調教師は、2日目にマイラーズC制覇(オースミタイクーン)という衝撃のデビューを果たしたことは、当時は競馬と無縁だった方でも最近の報道でご存じだろう。しかしマイラーズC前までは【0.0.1.12】。4〜5着こそ計4回あったものの、苦戦している印象のほうが強かった。同じ「衝撃のデビュー」でも、初騎乗から2連勝を飾った福永祐一騎手とは対照的だ。 ほかにも、通算勝利数2位の横山典弘騎手の1年目は8勝止まり。表の中では川田将雅騎手が、若手が騎乗機会や騎乗馬に恵まれやすい関西所属ながら16勝。ともに好スタートとまでは言い難い初年度成績から、現在の地位を築くに至っている。

以上、近年デビューした騎手や、最近のリーディング上位騎手について、ざっとデビュー当初の成績を振り返ってみた。全体としては、4月あたりまでには初勝利を挙げたいとか、やはり関西のほうが初年度に好成績を残した上で後々の成績も伴っている騎手が多い印象だが、「スタートがすべてではない」ことだけは確かだ。表1〜2の、現時点での通算勝利数上位で名前が挙がらなかったジョッキーでももちろん、今後の追い上げや逆転の可能性は十分に残されている。今週デビューを飾る新人ジョッキーも、デビュー時の騎乗や結果だけに注目するのではなく、その成長過程も楽しみに見ていきたいものだ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)

ページトップへ戻る

競馬予想のJRA-VAN