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第1089回 急死したゴールドアリュールを追悼する

2017/2/20(月)

競走馬としては2002年の最優秀ダートホースに輝き、種牡馬としても自身の適性を伝えて数々のダートG1馬を送り出してきたゴールドアリュール。当コーナーでは第221回で取り上げているが、すでに8年以上前のこととなる。種牡馬としてのデータから、先日亡くなったばかりの名馬の蹄跡を今一度振り返ってみたい。集計期間は、産駒が初出走した2007年7月1日〜2017年2月19日。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 中央重賞を勝ったゴールドアリュール産駒

馬名 重賞勝ち
エスポワールシチー 09年JCダート、10年フェブラリーSなど4勝
コパノリッキー 14、15年フェブラリーS、15年東海S
ゴールドドリーム 17年フェブラリーS
シルクフォーチュン 11年プロキオンS、12年根岸Sなど3勝
フーラブライド 13年愛知杯、14年中山牝馬S
タケミカヅチ 09年ダービー卿CT
レッドアルヴィス 14年ユニコーンS

2003/2/23 中山11R フェブラリーステークス(G1) 1着 5番 ゴールドアリュール

表1は、これまでに中央重賞を制したゴールドアリュール産駒を一覧にまとめたものである。中央重賞を勝った7頭のうち、芝の重賞を勝ったのはフーラブライドとタケミカヅチの2頭で、残る5頭はすべてダートの重賞勝ち馬となっている。自身がダートを得意としていたように、産駒もやはりダートに向きなのは明らかだ。

また、ダートを得意とする種牡馬だけあって、中央では重賞を勝っていなくても、地方交流重賞で顕著な活躍を見せた産駒も少なくない。その筆頭格がスマートファルコンだ。中央所属ながら中央のレースに出走したのは3歳8月のKBC杯が最後で、以降は7歳1月の川崎記念まで24戦続けて地方交流重賞に出走。G1は6勝、重賞は計19勝を挙げ、12年ドバイワールドCを最後に引退した。ほかにもオーロマイスターとクリソライトが交流G1を勝っている。

2017/2/19 東京11R フェブラリーステークス(G1) 1着 3番 ゴールドドリーム

さらに、現4歳世代にはゴールドドリーム、現3歳世代にも昨年の北海道2歳優駿で2着に2秒4もの大差をつけたエピカリスという逸材が出ており、まだまだ種牡馬として活躍が見込めただけに、返す返すもその死は惜しまれる。報道によると、今年も5頭に種付けを済ませていたとのこと。来年無事に誕生すれば、数は少ないものの2018年生まれの世代がラストクロップとなる。もちろん、2017年生まれの世代までは多くの産駒がデビューするので、今後もしばらくダートを中心に活躍馬を送り出すことだろう。

■表2 年度別成績

年度 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率 中央順位 地方順位
2007年 11-   6-   8-  51/  76 14.5% 22.4% 32.9% 98% 90% 97位 158位
2008年 45-  40-  32- 278/ 395 11.4% 21.5% 29.6% 134% 111% 27位 9位
2009年 67-  75-  73- 492/ 707 9.5% 20.1% 30.4% 54% 80% 17位 3位
2010年 59-  43-  50- 509/ 661 8.9% 15.4% 23.0% 69% 77% 18位 1位
2011年 67-  56-  57- 626/ 806 8.3% 15.3% 22.3% 82% 69% 15位 1位
2012年 79-  86-  85- 781/1031 7.7% 16.0% 24.2% 81% 85% 14位 2位
2013年 96-  93-  83- 784/1056 9.1% 17.9% 25.8% 80% 73% 11位 3位
2014年 99-  78-  85- 824/1086 9.1% 16.3% 24.1% 112% 75% 10位 1位
2015年 84-  83-  73- 776/1016 8.3% 16.4% 23.6% 63% 75% 10位 2位
2016年 90-  93-  63- 812/1058 8.5% 17.3% 23.3% 79% 69% 12位 2位
2017年 13-  12-  10- 115/ 150 8.7% 16.7% 23.3% 119% 71% 14位 4位
合計 710- 665- 619-6048/8042 8.8% 17.1% 24.8% 83% 77% - -
2017年の成績は2月19日現在、中央順位は2月13日現在、地方順位は2月18日現在

表2は年度別成績。まず言えるのは、初年度産駒がデビューした2007年から優秀な成績を残していたこと。その後、産駒が増えてからは好走率を落としているが、これは優れた種牡馬には共通して起こる現象である(産駒のデビュー当初は少頭数戦になりがちな2、3歳の限定戦が多くを占め、その後は古馬混合戦の割合が増えていくため)。また、2012年以降の年間出走数や好走率が極めて安定していることも注目に値する。初年度産駒からエスポワールシチー、スマートファルコン、オーロマイスターとG1馬を3頭も出したことで種牡馬としての地位を早々に確立し、その後も期待に応え続けてきたことが見てとれる。

これまで中央のリーディング順位は14年と15年の10位が最高となっている。意外な印象もあるが、種牡馬リーディングは獲得賞金で決められ、中央では得意とするダート重賞の数が少ないため不利な面がある。その点、ダート中心の地方競馬に限ったランキングでは10年、11年、14年と三度のリーディングサイアーに輝くなど上位の常連となっており、しっかりと本領を発揮している。

■表3 クラス別成績(芝ダート別)

  クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
新馬 17-  14-  11- 156/ 198 8.6% 15.7% 21.2% 142% 88%
未勝利 24-  34-  29- 378/ 465 5.2% 12.5% 18.7% 53% 64%
500万下 33-  27-  25- 405/ 490 6.7% 12.2% 17.3% 70% 62%
1000万下 13-  21-  27- 161/ 222 5.9% 15.3% 27.5% 59% 104%
1600万下 6-  10-   7-  79/ 102 5.9% 15.7% 22.5% 54% 86%
OPEN特別 3-   4-   5-  71/  83 3.6% 8.4% 14.5% 60% 53%
G3 3-   1-   5-  58/  67 4.5% 6.0% 13.4% 81% 64%
G2 0-   5-   4-  54/  63 0.0% 7.9% 14.3% 0% 46%
G1 0-   1-   0-  18/  19 0.0% 5.3% 5.3% 0% 20%
ダート 新馬 52-  44-  49- 300/ 445 11.7% 21.6% 32.6% 121% 103%
未勝利 216- 187- 194-1544/2141 10.1% 18.8% 27.9% 84% 79%
500万下 199- 190- 166-1609/2164 9.2% 18.0% 25.6% 78% 77%
1000万下 78-  71-  49- 635/ 833 9.4% 17.9% 23.8% 84% 73%
1600万下 30-  26-  27- 309/ 392 7.7% 14.3% 21.2% 48% 80%
OPEN特別 18-  18-  12- 145/ 193 9.3% 18.7% 24.9% 57% 58%
G3 7-   7-   5-  50/  69 10.1% 20.3% 27.5% 117% 80%
G2 1-   0-   0-   2/   3 33.3% 33.3% 33.3% 83% 50%
G1 5-   2-   2-  23/  32 15.6% 21.9% 28.1% 887% 177%

表3はクラス別成績を芝ダート別で示したもの。やはり、全体的にダートのほうが好走率は高く、特に上級クラスの芝では苦戦傾向が見受けられる。ただし、芝でも新馬戦に限っては好走率も悪くなく、単勝回収率142%と非常に高い数値が残っているので要注意だ。ダートでも新馬戦の数値が非常に優秀なことを考慮すると、そもそも新馬戦から動いてくる種牡馬と判断すべきで、デビュー戦から積極的に狙っていきたい。

■表4 騎手別成績(着別度数上位10騎手+注目5騎手)

騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
内田博幸 25- 27- 19- 79/150 16.7% 34.7% 47.3% 79% 88%
福永祐一 24- 23- 16- 75/138 17.4% 34.1% 45.7% 68% 79%
武豊 23- 17- 22- 99/161 14.3% 24.8% 38.5% 58% 74%
小牧太 23- 17- 11- 90/141 16.3% 28.4% 36.2% 227% 124%
蛯名正義 22- 21- 16-128/187 11.8% 23.0% 31.6% 78% 79%
三浦皇成 21- 22- 17-117/177 11.9% 24.3% 33.9% 125% 97%
岩田康誠 21- 18- 18- 95/152 13.8% 25.7% 37.5% 93% 85%
戸崎圭太 20- 10-  8- 71/109 18.3% 27.5% 34.9% 219% 81%
幸英明 19- 24- 20-124/187 10.2% 23.0% 33.7% 112% 86%
川田将雅 19- 14- 15- 75/123 15.4% 26.8% 39.0% 59% 74%
田辺裕信 16-  9- 15-100/140 11.4% 17.9% 28.6% 273% 106%
松若風馬 8-  7-  3- 44/ 62 12.9% 24.2% 29.0% 268% 145%
酒井学 8-  7-  7- 66/ 88 9.1% 17.0% 25.0% 199% 120%
木幡初広 4-  3-  6- 54/ 67 6.0% 10.4% 19.4% 197% 90%
古川吉洋 13-  8- 13- 93/127 10.2% 16.5% 26.8% 133% 88%

表4は騎手別成績。着別度数上位10騎手と、それ以外で単勝回収率が高い5騎手をピックアップしている。ゴールドアリュール産駒で最多の25勝を挙げているのは内田博幸騎手。地方競馬出身でダートホースの扱いには手慣れた内田騎手が、ダート得意のゴールドアリュールで最多勝というのは大いに納得がいく。4位の小牧太騎手、7位の岩田康誠騎手、8位の戸崎圭太騎手も地方競馬の出身だ。また、ゴールドアリュールの現役時代に主戦を務めた武豊騎手が3位というのも、これまた納得するしかない。単勝回収率でピックアップした騎手では、やはり田辺裕信騎手に注目。14年フェブラリーSで最低人気のコパノリッキーをG1ホースに導いたのは今も記憶に新しい。

■表5 厩舎別成績(着別度数上位10厩舎+注目5厩舎)

厩舎 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
小崎憲 17- 11- 10- 49/ 87 19.5% 32.2% 43.7% 96% 126%
小島茂之 15- 17-  9- 77/118 12.7% 27.1% 34.7% 86% 91%
大久保洋吉※ 15- 14-  8- 71/108 13.9% 26.9% 34.3% 86% 81%
村山明 15-  8-  5-103/131 11.5% 17.6% 21.4% 334% 103%
斎藤誠 14-  7- 11- 70/102 13.7% 20.6% 31.4% 84% 73%
南井克巳 14-  5- 12- 89/120 11.7% 15.8% 25.8% 195% 89%
吉田直弘 12- 13-  4- 71/100 12.0% 25.0% 29.0% 59% 62%
五十嵐忠男 12-  7- 10- 70/ 99 12.1% 19.2% 29.3% 198% 80%
新開幸一 11-  8-  5- 47/ 71 15.5% 26.8% 33.8% 147% 89%
藤岡健一 11-  8-  3- 40/ 62 17.7% 30.6% 35.5% 118% 76%
音無秀孝 9-  9-  7- 20/ 45 20.0% 40.0% 55.6% 424% 148%
中尾秀正 3-  5-  1- 34/ 43 7.0% 18.6% 20.9% 354% 88%
木原一良 6-  7-  5- 27/ 45 13.3% 28.9% 40.0% 204% 110%
宮徹 9-  8-  2- 57/ 76 11.8% 22.4% 25.0% 183% 98%
牧浦充徳 4-  4-  3- 50/ 61 6.6% 13.1% 18.0% 183% 63%
※大久保洋吉厩舎は15年2月に解散

表5は厩舎別成績。着別度数上位10厩舎と、それ以外で単勝回収率が高い5厩舎をピックアップしている。最多の17勝を挙げた小崎憲厩舎は、スマートファルコンの所属厩舎として知られる。とはいえ、この馬で勝利を荒稼ぎしたわけではない。同馬は3歳春の皐月賞後に転厩して小崎厩舎所属となり、3歳夏以降は地方交流重賞ばかりを走ったため、この17勝のうちスマートファルコンによるものは1勝しかない。つまり、小崎厩舎はそもそもゴールドアリュール産駒を育てるのが得意であり、そうした厩舎だからこそスマートファルコンもあれほどの活躍ができたとも言えるのではないか。その他の上位厩舎を見ても、3位の大久保洋吉厩舎(15年2月に解散)はオーロマイスター、4位の村山明厩舎はコパノリッキー、単勝回収率424%と抜群の音無秀孝厩舎はクリソライトと、ゴールドアリュール産駒のG1ホースを育てた厩舎は総じて好成績を収めていることがわかる。

■表6 母の父別成績(着別度数上位10種牡馬+注目5種牡馬)

母の父 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
ブライアンズタイム 32- 21- 24-243/320 10.0% 16.6% 24.1% 68% 56%
トニービン 31- 25- 20-262/338 9.2% 16.6% 22.5% 118% 80%
サクラユタカオー 23- 11- 19-146/199 11.6% 17.1% 26.6% 93% 82%
アフリート 22- 23- 26-195/266 8.3% 16.9% 26.7% 128% 108%
エルコンドルパサー 19- 22- 23-178/242 7.9% 16.9% 26.4% 102% 103%
サクラバクシンオー 19- 20- 13-172/224 8.5% 17.4% 23.2% 84% 73%
フレンチデピュティ 16- 12- 10- 83/121 13.2% 23.1% 31.4% 104% 97%
マルゼンスキー 14- 18- 11- 82/125 11.2% 25.6% 34.4% 55% 92%
フォーティナイナー 14- 11-  9-116/150 9.3% 16.7% 22.7% 103% 74%
ティンバーカントリー 13-  6- 11- 73/103 12.6% 18.4% 29.1% 426% 125%
キングカメハメハ 8-  7-  5- 40/ 60 13.3% 25.0% 33.3% 198% 98%
アジュディケーティング 11-  6-  7- 48/ 72 15.3% 23.6% 33.3% 166% 99%
コマンダーインチーフ 8-  2-  2- 31/ 43 18.6% 23.3% 27.9% 162% 114%
ダンシングブレーヴ 10- 13-  6- 62/ 91 11.0% 25.3% 31.9% 144% 160%
デヒア 4-  4-  3- 32/ 43 9.3% 18.6% 25.6% 130% 96%

表6は母の父別成績。着別度数上位10頭と、それ以外で単勝回収率が高い5頭をピックアップしている。最多の32勝を挙げたのは母の父ブライアンズタイム。単複の回収率が物足りない印象ではあるが、この組み合わせの勝ち上がり率は46.4%と高く、なんといってもエスポワールシチーという大物を出しているのだから相性が悪いとは考えにくい。そのほか、クリソライトの母の父エルコンドルパサーが5位、ゴールドドリームの母の父フレンチデピュティが7位、タケミカヅチの母の父マルゼンスキーが8位、コパノリッキーの母の父ティンバーカントリーが10位と、重賞勝ち馬を送り出した組み合わせの多くが上位に入っており、ゴールドアリュールとの相性の良さを伺わせる結果となっている。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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