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第1079回 持ち込み馬の歴史、そしてソウルスターリングに注目する理由とは?

2017/1/16(月)

先日2016年JRA賞競走馬部門が発表され、年度代表馬にはキタサンブラックが輝いた。その他の部門では最優秀2歳牝馬に選出されたソウルスターリングに、筆者としては注目をしている。超がつく良血馬であるという点はもちろんのことだが、Frankel産駒の持ち込み馬であるということ、なおかつ日本の馬場には不向きであるサドラーズウェルズの系統馬である点に非常に興味を持っている。今回は過去の持ち込み馬の歴史を振り返りながら、同馬の今後の可能性について考えてみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 過去に日本競馬で活躍した持ち込み馬(1987年以降の生まれ)

馬名 着度数 収得賞金 種牡馬 主な実績
エイシンフラッシュ 6- 3- 6-10 20650 King's Best 日本ダービー、天皇賞(秋)
ビワハヤヒデ 10- 5- 0- 1 20160 Sharrood 菊花賞、天皇賞(春)
サクラローレル 9- 5- 4- 3 13950 Rainbow Quest 天皇賞(春)、有馬記念
ローエングリン 10- 4- 5-26 12235 Singspiel マイラーズC
サトノクラウン 4- 0- 1- 4 11150 Marju 香港ヴァーズ
キングカメハメハ 7- 0- 1- 0 9325 Kingmambo 日本ダービー、NHKマイルC
マーベラスクラウン 7- 5- 2- 6 9050 Miswaki ジャパンC
ニシノフラワー 7- 1- 3- 5 9025 Majestic Light 桜花賞、スプリンターズS
アドマイヤコジーン 6- 3- 2-11 8725 Cozzene 朝日杯3歳S、安田記念
フェデラリスト 5- 1- 0- 8 8250 Empire Maker 中山記念
ワンカラット 5- 2- 2-17 8100 Falbrav オーシャンS
フルーキー 7- 4- 3-10 7850 Redoute's Choice チャレンジC
ワイルドフラッパー 5- 3- 1- 5 7840 Ghostzapper エンプレス杯
ケイアイガーベラ 9- 1- 2- 5 7625 Smarty Jones カペラS
ピイラニハイウェイ 6- 5- 4-23 7350 Silver Deputy 浦和記念
アドマイヤタイシ 4-11- 5-11 7000 Singspiel 鳴尾記念2着ほか
ネームヴァリュー 4- 0- 1-12 6550 Honour and Glory 帝王賞
トーヨーリファール 6- 3- 2-19 6325 Relaunch 平安S
メジロダーリング 8- 5- 4-15 5510 Green Desert アイビスSD
ナリタキングオー 5- 4- 0-16 5250 Wild Again スプリングS
スズカコーズウェイ 6- 3- 4-29 5250 Giant's Causeway 京王杯SC
ゴールデンジャック 4- 5- 3-17 5200 Afleet 4歳牝馬特別
ワイルドブラスター 8- 6- 1-17 5190 Wild Again マーチS
ピットファイター 8- 3- 0-10 5125 Pulpit 武蔵野S
マイネルモルゲン 7- 2- 6-22 4650 Mt. Livermore 京成杯AH
ソウルスターリング 3- 0- 0- 0 4450 Frankel 阪神JF
グラスボンバー 7-10- 6-35 4250 Machiavellian 福島記念
フリートストリート 6- 1- 0-11 4150 Street Sense エルムS
エーシンメンフィス 5- 2- 2- 8 4000 Medaglia d'Oro 愛知杯
フサイチコンコルド 3- 1- 1- 0 3950 Caerleon 日本ダービー
フサイチピージェイ 6- 4- 1- 8 3850 Awesome Again ベテルギウスS
ビワハイジ 4- 1- 0- 5 3775 Caerleon 阪神3歳牝馬S
  • ※種牡馬の色区分(色なしはその他)
  • ミスタープロスペクター系
  • サドラーズウェルズ系

表1は過去に日本競馬で活躍した持ち込み馬(1987年以降の生まれ)をまとめた。基本的には収得賞金が多い順番となっている。まず、話の前提となる持ち込み馬とは、簡単に言うと外国で種付け・受胎されても、日本で生まれた場合はこの扱いとなる。TARGET frontier JVの表記では、種牡馬は外国産馬と同じく英字となっているが、表1の馬はすべて日本の牧場で生まれた産駒だ。ソウルスターリングの母親であるスタセリタは、海外のG1を6勝もしている名牝であり、父のFrankelも繋養先はイギリス。つまり一見は、外国産馬と判断してしまいそうだが、厳密には持ち込み馬なのだ。

過去に持ち込み馬として活躍した馬にはエイシンフラッシュやビワハヤヒデ、サクラローレルなどがいる。牡馬のクラシックや古馬の大レースで名勝負を演じて勝利を収めた馬がいる。キングカメハメハなどは現役時代もさることながら引退後、種牡馬としての活躍も素晴らしい。また、最近ではソウルスターリングの阪神JF制覇だけでなく、サトノクラウンが香港ヴァーズを制する活躍を見せた。

1992/4/12 阪神10R 桜花賞(G1) 1着 9番 ニシノフラワー

同じ牝馬としてはニシノフラワーが、1991年に阪神JFの前身である阪神3歳牝馬Sを優勝。翌年は桜花賞とスプリンターズSを勝った。また、95年にはビワハイジがやはり阪神3歳牝馬Sを優勝している。ソウルスターリング以前に、牝馬の持ち込み馬が2歳女王となったケースはあった。その他ではゴールデンジャックが94年のオークスで2着と好走している。ソウルスターリングの当面の活躍としては、牝馬三冠でどこまで活躍できるかというのがある。そして、ニシノフラワーのG1勝ち鞍数を超えることができるかが、注目ポイントだと考えられる。

もう一つの大きな注目点は、ソウルスターリングの父がガリレオの直仔で、サドラーズウェルズの系統であること。同系統は欧州では主流のトップサイアーだ。しかし、日本では主流とは言えない血統だからだ。日本の軽くて速い時計が出る芝では適性を欠くというのが、常識的な見解になっている。

これまで走った持ち込み馬であるエイシンフラッシュやキングカメハメハ、マーベラスクラウンのミスタープロスペクター系。ビワハヤヒデはフォルティノ系でサクラローレルはレッドゴッド系だが、広義ではともにナスルーラの系統。日本の芝G1、それもクラシックディスタンスで活躍したのはこれぐらいしかいない。サンデーサイレンスが日本に入ってからは、その牙城を崩すことが非常に困難となっている。

ノーザンダンサー系は細かく分類すると、ダート寄りのヴァイスリージェント系、短距離寄りのダンチヒ系と、日本では見て取れる。サドラーズウェルズ系で最も賞金を獲得しているのはローエングリン。あとはアドマイヤタイシ、エーシンメンフィスといったところがランクインしている程度で、同系統は日本でほとんど活躍していないというのが現状だ。

■表2 日本で活躍したサドラーズウェルズ系産駒(1987年以降の生まれ)

馬名 着度数 収得賞金 種牡馬 主な実績
テイエムオペラオー 14- 6- 3- 3 41150 オペラハウス 有馬記念などG1・7勝
メイショウサムソン 9- 7- 2- 8 29275 オペラハウス 二冠、天皇賞・春秋
ロゴタイプ 6- 3- 3-14 13875 ローエングリン 皐月賞、安田記念
ミヤビランベリ 7- 2- 5-11 12600 オペラハウス 目黒記念
ローエングリン 10- 4- 5-26 12235 Singspiel マイラーズC
ライブコンサート 8- 6- 4-30 8500 Singspiel 京都金杯
ヤマトマリオン 4- 2- 0-13 7880 オペラハウス 東海S
アドマイヤタイシ 4-11- 5-11 7000 Singspiel  
テイエムアンコール 6- 7- 3-26 6950 オペラハウス 大阪杯
アサクサデンエン 8- 4- 5-12 6600 Singspiel 安田記念
トーセンクラウン 6- 6- 5-27 5450 オペラハウス 中山記念
アクティブバイオ 6- 5- 1-35 4835 オペラハウス 日経賞
マストビートゥルー 7- 2- 7-22 4700 オペラハウス  
ミラクルオペラ 5- 2- 6- 4 4585 オペラハウス マーキュリーC
ソウルスターリング 3- 0- 0- 0 4450 Frankel 阪神JF

サドラーズウェルズ系についてもう少し調べるため、持ち込み馬の制限を取り払い、全馬を対象にしてみた(表2参照)。同系統の代表馬はオペラハウス産駒のテイエムオペラオー。皐月賞でG1初制覇を果たし、古馬になって本格化。レースっぷりに派手さはなかったが、抜群の安定感でG1・7勝を挙げた。また、同じくオペラハウス産駒のメイショウサムソンもクラシック二冠に加え、天皇賞の春秋制覇の快挙を果たした。そして、昨年の安田記念を制したロゴタイプは、3歳時に皐月賞を制している。

2000/12/24 中山9R 有馬記念(G1) 1着 7番 テイエムオペラオー

いずれもクラシックで活躍はしたが、どちらかと言うと叩き上げタイプ。使われつつ力をつけていった印象だ。そして本格化すると爆発的な破壊力を秘めるというのが、特徴とも言える。G1勝ちがなかった馬にはミヤビランベリ、ローエングリン、ライブコンサート、アクティブバイオがおり、やはりキャリアを重ねるごとにタフになり、息の長い活躍をしているのが特徴。そう考えると、ソウルスターリングはここまで3戦3勝。完全なエリート街道を歩んでおり、これまでの馬たちとは一線を画すイメージだ。

いずれにしてもここで言いたいのは、サドラーズウェルズ系産駒がそれほど多くないということ。成功したと言えるのはオペラハウス産駒のみで、それでもコンスタントに活躍馬を出したタイプではなかった。Singspielは本馬自身が、現役時代に外国馬としてジャパンCを勝った実績があった。産駒はアサクサデンエンを筆頭にマイル重賞での活躍が目立つ。それ以外にもサドラーズウェルズ系の馬は走っているが、実際にはオペラハウスとSingspiel産駒ぐらいしか結果を残せていない。

したがって、ソウルスターリングがいかに超良血馬であっても、日本の馬場には適応しにくいタイプだと言える。それがここまで活躍できているのは驚きの一言。同馬が突然変異の怪物なのか、はたまた地力の違いでここまでカバーしているだけなのか。Frankel産駒全般の特徴がどのようになるかも含め、同馬の今後の足跡が非常に気なり、楽しみでもあるのだ。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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