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第1073回 スーパーG2と呼ばれる阪神Cを展望する

2016/12/19(月)

今年も様々な出来事があった中央競馬もいよいよ今度の週末で最終週を迎える。1年を締めくくる有馬記念は日曜日に行なわれるが、前日の阪神Cも忘れてはならない。定量戦で行なわれるG2は札幌記念と阪神Cの2レースのみで、俗にスーパーG2と呼ばれることもある格式の高い一戦。過去10年の結果からレースの傾向を展望してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 2-  1-  1-  6/ 10 20.0% 30.0% 40.0% 72% 65%
2番人気 1-  0-  1-  8/ 10 10.0% 10.0% 20.0% 39% 46%
3番人気 2-  1-  0-  7/ 10 20.0% 30.0% 30.0% 161% 94%
4番人気 1-  0-  1-  8/ 10 10.0% 10.0% 20.0% 98% 57%
5番人気 0-  3-  2-  5/ 10 0.0% 30.0% 50.0% 0% 197%
6番人気 0-  1-  0-  9/ 10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 31%
7番人気 0-  1-  2-  7/ 10 0.0% 10.0% 30.0% 0% 144%
8番人気 4-  0-  0-  6/ 10 40.0% 40.0% 40.0% 620% 178%
9番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
10番人気〜 0-  4-  2- 81/ 87 0.0% 4.6% 6.9% 0% 68%

表1は人気別成績。まず目につくのが、1、2番人気の成績があまりよくないことだ。複勝率ベースでは8番人気まで大きな差がなく、上位人気を安易に信用するのは危ない。また、偶然の偏りかもしれないが、8番人気が過去10年で4勝も挙げている。こうしてデータを見ると、1、2番人気を積極的に狙う理由はなく、ある程度の印が打たれている馬であれば互角と考えたほうが的中につながるのではないか。

■表2 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1枠 1- 0- 1-17/19 5.3% 5.3% 10.5% 24% 18%
2枠 1- 1- 2-16/20 5.0% 10.0% 20.0% 110% 171%
3枠 0- 0- 0-20/20 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
4枠 1- 1- 2-16/20 5.0% 10.0% 20.0% 72% 135%
5枠 2- 1- 0-17/20 10.0% 15.0% 15.0% 127% 82%
6枠 0- 0- 0-20/20 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
7枠 4- 4- 3-17/28 14.3% 28.6% 39.3% 106% 135%
8枠 1- 4- 1-24/30 3.3% 16.7% 20.0% 8% 73%

表2は枠番別成績。過去10年で4勝の7枠が、好走率を示す3項目でトップの数値を記録している。狙っていた馬が7枠に入った場合は、さらに評価を上げてもいいだろう。また、8枠も連対率2位、複勝率2位タイとなかなかの好走率を記録しており、外枠にアドバンテージがあるのかもしれない。残る1〜6枠に関しては、3枠と6枠に入った馬がすべて凡走に終わっている点は気になるところ。それ以外の1、2、4、5枠は、ほぼイーブンか1枠のみ若干好走率が落ちるといったところである。

■表3 重賞勝利実績の有無

実績 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
重賞未勝利馬 1- 2- 5-67/75 1.3% 4.0% 10.7% 29% 69%
重賞勝ち馬 9-  9-  4- 80/102 8.8% 17.6% 21.6% 75% 87%
G1勝ち馬 5- 2- 0-12/19 26.3% 36.8% 36.8% 243% 129%

表3は、出走時点で重賞勝ちのある馬と重賞未勝利馬の成績を比較したもの。また、G1勝ち馬に限った成績を一番下に付記している。この表を見ると、重賞勝ち馬のほうが好成績を収めていることが一目瞭然。1、2着に入るためには重賞勝ちの実績が欲しいところで、重賞未勝利馬は好走しても3着までという傾向が見られる。また、重賞勝ち馬のなかでもG1馬の成績が非常に優秀なことも見逃せない。先に阪神CはG2のなかでも格式が高いと述べた通り、高い実績を持つ馬ほど有利と考えていいだろう。

■表4 重賞未勝利で好走した馬の一覧

年度 人気 着順 馬名 同年の主な成績
07年 5 3 ブルーメンブラット オーロC(芝1400m・OP特別)1着
08年 8 1 マルカフェニックス 北九州記念2着
1 2 ファリダット 京阪杯2着
7 3 リザーブカード 関屋記念2着、富士S2着
10年 15 3 マイネルフォーグ バレンタインS(芝1400m・OP特別)3着
11年 13 3 フラガラッハ 阪急杯3着
15年 5 2 ダンスディレクター CBC賞2着
1 3 ビッグアーサー 北九州記念2着、京阪杯2着

表4は、出走時点で重賞未勝利だった阪神C1〜3着馬の一覧で、各馬が同年に収めていた主な成績を記載している。この表を見ると、重賞未勝利だった8頭のうち5頭は、同年に行なわれた芝1200〜1600mの重賞で2着に入っていたことがわかる。つまり、近い距離の重賞で連対するだけの実力はすでに示していたということだ。

残る3頭は、07年のブルーメンブラット、10年のマイネルフォーグ、11年のフラガラッハで、いずれも阪神Cでは3着まで。このうち、フラガラッハは同条件(阪神芝1400m)の阪急杯で3着に入っており、ブルーメンブラットは前走で芝1400mのオープン特別・オーロCを勝利していた。同年の実績で見劣るマイネルフォーグも、芝1400mのオープン特別・バレンタインSで3着に入ったことはあった。重賞未勝利かつ同年の重賞で2着に入ったこともない馬は、同年にオープンクラスの芝1400mで好走していることが最低条件と考えたい。

■表5 重賞未勝利で好走した馬の一覧

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1600万下 0-  0-  0-  8/  8 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
オープン特別 2-  0-  2- 40/ 44 4.5% 4.5% 9.1% 51% 71%
G3 1-  3-  2- 34/ 40 2.5% 10.0% 15.0% 55% 47%
G2 2-  0-  1- 11/ 14 14.3% 14.3% 21.4% 103% 138%
G1 5-  7-  4- 53/ 69 7.2% 17.4% 23.2% 57% 98%
※集計対象は中央のレースのみ

表5は前走クラス別成績。連対率、複勝率ベースで見たとき、前走で格が高いレースに出走していた馬ほど高い数値を残していることで共通している。1600万下に出走していた馬では通用せず、オープン特別やG3だった馬も全体的に苦戦する一方、G2やG1だった馬の好走率は高い。やはり、阪神Cでは実績や格を重んじたほうがよさそうだ。

■表6 前走レース別成績

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
マイルCS・G1 4- 6- 4-38/52 7.7% 19.2% 26.9% 57% 114%
スワンS・G2 2- 0- 1- 9/12 16.7% 16.7% 25.0% 120% 161%
京阪杯・G3 1- 2- 1-25/29 3.4% 10.3% 13.8% 76% 42%
オーロC 1- 0- 1-12/14 7.1% 7.1% 14.3% 58% 50%
キャピタルS 1- 0- 0-11/12 8.3% 8.3% 8.3% 120% 40%
JCダート・G1 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 1010% 360%
JBCスプリント・G1 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 180%
フェブラリーS・G1 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 490%
CBC賞・G3 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 320%
チャレンジC・G3 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 330%
アンドロメダS 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 1960%

表6は前走レース別成績で、出走例の多いマイルCS組と京阪杯組に関しては後述する。この2レース以外で相性がいいのはスワンS組。競馬場こそ異なるが、芝1400mのG2という条件は阪神Sと同じで、好走率が高いのも納得だ。オープン特別で出走例が多いのは、いずれも東京のオーロCとキャピタルS。どちらも特筆するほどの成績ではないが、芝1600mのキャピタルSより芝1400mのオーロCのほうが高い好走率を記録している点は覚えておいていいだろう。そのほか、JCダート、JBCスプリント、フェブラリーSと、前走でダートG1に出走していた馬の好走例が3頭あることも面白い傾向だ。

■表7 前走マイルCS出走馬の各種データ

条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走着順 前走1〜5着 1- 0- 1- 6/ 8 12.5% 12.5% 25.0% 31% 51%
前走6〜9着 1- 1- 0- 6/ 8 12.5% 25.0% 25.0% 98% 76%
前走10着〜 2- 5- 3-26/36 5.6% 19.4% 27.8% 53% 136%
前走4角通過順 1〜4番手 1- 4- 2-12/19 5.3% 26.3% 36.8% 81% 192%
5〜9番手 0- 0- 0-11/11 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
10番手〜 3- 2- 2-15/22 13.6% 22.7% 31.8% 65% 103%

表7は、前走マイルCS出走馬の前走着順別成績と前走4角通過順別成績を示したものである。まず、前走着順に関して注目すべきは、マイルCSで掲示板を確保した「前走1〜5着」、ひとケタ着順には収まった「前走6〜9着」、ふたケタ着順に大敗した「前走10着〜」の好走率がほとんど変わらない点。むしろ「前走10着〜」のほうが人気を落とすためだろう、複勝回収率136%と高い数値を残している。端的にいえば、阪神CはマイルCS大敗からの巻き返しが十分に可能なレースということだ。

続いて、前走4角通過順別のデータも興味深い傾向が出ている。マイルCS組の好走例は、「4角1〜4番手」と先行していた馬か、逆に「4角10番手〜」と後ろから行っていた馬に限られ、「4角5〜9番手」と中団から進んだ馬の好走例は皆無なのだ。

このふたつのデータを総合すると、マイルCS組で狙ってみたいのは「先行したもののバテて10着以下」か「追い込み不発で10着以下」のどちらかに当てはまる馬ということになる。

■表8 前走京阪杯出走馬の各種データ

条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走着順 前走1〜5着 1- 2- 1-10/14 7.1% 21.4% 28.6% 157% 87%
前走6着〜 0- 0- 0-15/15 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走4角通過順 1〜6番手 0- 0- 0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
7番手〜 1- 2- 1-15/19 5.3% 15.8% 21.1% 116% 64%

表8は、前走京阪杯出走馬の前走着順別成績と前走4角通過順別成績を示したもの。こちらはマイルCS組以上に明確な傾向が出ている。まず、前走着順は1〜5着に入っていることは絶対条件。そして、好走した5頭すべてが4角を7番手以降で通過していた。つまり京阪杯組の場合、そこで差す競馬をして掲示板に載っていた馬のみ狙えばいいということになる。

■表9 阪神芝1400m重賞1〜3着実績の有無

実績 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
あり 5- 4- 1-34/44 11.4% 20.5% 22.7% 87% 120%
なし 5-  7-  8-113/133 3.8% 9.0% 15.0% 45% 66%

阪神Cは、09、10年のキンシャサノキセキ、11、12年のサンカルロ、13、14年のリアルインパクトと、連覇する馬の印象が強いレースでもある。そこで、出走時点で「阪神芝1400m重賞の1〜3着実績」を持っていた馬と持たなかった馬の成績を比較したのが表9。やはりというべきか、好走率、回収率ともに「実績あり」のほうが明らかに高い数値を記録している。「実績なし」だからといって好走できないわけではないが、それ以上に「実績あり」の馬には要注意と考えたい。

【結論】

2016/11/20 京都11R マイルチャンピオンシップ(G1) 1着 16番 ミッキーアイル

今年の阪神Cで注目すべきは、マイルCS1着のミッキーアイル、同2着のイスラボニータが揃って出走登録をしてきたことだ。いずれもG1勝ち馬であり、G1馬の好走率が高いことは表3の項で確認した通り。ただし、マイルCSの着順は阪神Cとの関連性が低いことも表7の項で述べた。もちろん両馬とも無視するわけにはいかないが、マイルCS1、2着を必要以上に重くみる必要はないのかもしれない。

また、マイルCSで4角通過順が5〜9番手だった馬の好走例がないことも先述した。4角1番手だったミッキーアイルは問題ないが、4角6番手だったイスラボニータにとっては気分が悪い。同条件の阪急杯で1、2着の実績を考慮しても、この2頭ではミッキーアイルのほうを重視するのが妥当だろう。

2014/10/5 新潟11R スプリンターズステークス(G1) 1着 18番 スノードラゴン

ほかにマイルCS組は2頭いるが、スノードラゴンが4角5番手、フィエロも4角8番手というのがネック。ただし、スノードラゴンは3角を3番手で通過しており、マイルCSで狙ってみたい「先行したもののバテて10着以下」のパターンに合致しているとはいえる。好走率の高いG1馬でもあり、こちらは押さえておいてもいいのではないか。

京阪杯組には「4角を7番手以降で通過して1〜5着」という絶対条件があることを表8の項で述べた。出走登録のある3頭のうち、この条件を満たすのは4角7番手から5着に入ったラインハートのみとなっている。

あとは、昨年の阪神Cで1、2着のロサギガンティアダンスディレクターは外れないところ。また、今年のファルコンSなど全5勝を芝1400mで挙げているトウショウドラフタ、前走で同条件のオープン特別・タンザナイトSを制しているサンライズメジャーまでを圏内と考えたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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