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第1072回 ミスエルテの運命は? 朝日杯FSを占う

2016/12/15(木)

今週は朝日杯FSが行われる。阪神芝1600mに舞台を移して、今年が3回目となる。注目の1頭はミスエルテ。牝馬による参戦で、1980年のテンモン以来となる36年ぶりの快挙を目指す。先週、阪神JFで同じフランケル産駒のソウルスターリングが快勝したことで、本馬にも俄然期待が高まる状況になったと言っていいだろう。そこで、今回はミスエルテが前走勝利したファンタジーSのラップに注目し、同馬の運命を予測してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 過去2年の朝日杯FSの結果

着順 馬名 人気 前走レース名 前着 種牡馬 母父馬
15年 1 リオンディーズ 2 新馬 1 キングカメハメハ スペシャルウィーク
2 エアスピネル 1 デイリーG2 1 キングカメハメハ サンデーサイレンス
3 シャドウアプローチ 11 京王杯2G2 3 ジャングルポケット フレンチデピュティ
14年 1 ダノンプラチナ 1 ベゴニア500* 1 ディープインパクト Unbridled's Song
2 アルマワイオリ 14 デイリーG2 4 マツリダゴッホ ピルサドスキー
3 クラリティスカイ 3 いちょう 1 クロフネ スペシャルウィーク

表1は過去2年の朝日杯FSの上位馬。現在の阪神芝1600mで行われるようになったのが14年からなので、直近の2年の結果を重視すべきだろう。わずか2回分のデータなので、正確な判断ができるかどうかはわからないが、現時点でわかることを調べてみることにする。

まず、1番人気は連対率が100%。小回りの中山から外回りの阪神に変わり、実力馬が力を発揮しやすい状況にあることは想像がつく。だが、一方で二けた人気馬が2回好走。昨年は11番人気のシャドウアプローチが3着、14年はアルマワイオリが14番人気で2着に激走した。人気通りの堅い決着にはなっていない。

シャドウアプローチは2走前にききょうSを勝利。アルマワイオリは2走前にもみじSを勝っていた。つまり、ともに芝1400mのOP特別を勝っていたという共通項があった。同時に、芝1600mの重賞勝ち馬も好走を果たしている。デイリー杯2歳Sを勝っていたエアスピネルであり、いちょうS(重賞)を勝っていたクラリティスカイだ。

そして、血統面にも大きな特徴がある。父の系統は様々だが、現役時代に日本ダービーもしくはJCを勝っていた種牡馬が並ぶ。この場合はキングカメハメハ、ジャングルポケット、ディープインパクトが該当。母父にまで広げてみると、スペシャルウィーク、ピルサドスキーが該当。つまり、過去2年の好走馬6頭は、父か母父に日本ダービーやJCの勝ち馬を持っていた

■表2 過去10年のファンタジーSの勝ち馬とレースラップ

勝ち馬 勝ちタイム レースラップタイム 阪神JF
06年 アストンマーチャン 1.20.3 12.5-11.0-11.4-11.1-11.2-11.4-11.7 2着
07年 オディール 1.21.1 12.5-10.9-11.0-11.2-11.3-11.6-12.6 4着
08年 イナズマアマリリス 1.23.7 12.4-11.4-12.3-12.8-12.2-11.3-11.3 5着
09年 タガノエリザベート 1.21.2 12.2-10.7-11.6-12.0-11.9-11.3-11.5 6着
10年 マルモセーラ 1.22.3 12.3-10.9-11.6-11.8-11.4-12.1-12.2 12着
11年 アイムユアーズ 1.21.3 12.3-10.6-11.2-11.8-11.8-11.6-12.0 2着
12年 サウンドリアーナ 1.20.8 12.7-10.9-11.1-11.2-11.8-11.5-11.6 17着
13年 ベルカント 1.21.1 12.3-10.9-11.1-11.5-11.3-12.0-12.0 ※10着
14年 クールホタルビ 1.21.7 12.3-11.1-11.9-12.0-11.6-11.3-11.5 14着
15年 キャンディバローズ 1.21.9 12.3-11.0-12.1-12.3-11.5-11.2-11.5 9着
16年 ミスエルテ 1.21.8 12.5-11.2-11.8-11.8-12.0-11.1-11.4
※ベルカントは朝日杯FS

次に今回、注目を集めるミスエルテについて分析してみることにする。同馬は前走ファンタジーSを勝っているので、過去10年の同レースの勝ち馬とレースラップにスポットを当ててみた(表2参照)。

周知の通り、ファンタジーSは阪神JFのステップレース。牝馬限定戦であり、通常ほとんどの馬が次走は阪神JFに出走している。過去10年の勝ち馬の阪神JFでの着順は、アストンマーチャンとアイムユアーズの2着が最高成績。敗れていた馬の中で本番に巻き返して優勝した例はあるものの、トライアルレースとしての関連性はやや薄い印象だ。阪神JFも同じ阪神芝1600mの舞台で行われているため、朝日杯FSとの関連性を考える上でも重要な結果だと言える。

無論、同じファンタジーSでも年ごとにレースレベルが異なるので、勝ち馬すべてを軽視するわけにはいかない。強い内容を示していれば、次走阪神JFでいい競馬をしていることもまた事実なのだ。例えば、06年に優勝したアストンマーチャンのレースラップに注目しよう。テンの1ハロンを除き、ゴールまで一貫して11秒台のラップを刻んでいた。その他の年では道中のどこかで12秒台のラップが刻まれており、06年のレースがいかに厳しいレースであったかがうかがえる。

11年に優勝したアイムユアーズもラスト1ハロンだけ12秒0となってしまったが、全体的には道中緩みがなかった。同馬も次走阪神JFでは2着と好走しており、ファンタジーSで強さを示していたからこその結果だと感じる。12年にサウンドリアーナが勝った年もかなり厳しいラップが刻まれた。同馬は本番で17着と惨敗したが、ファンタジーSで2着だったローブティサージュが本番で優勝を飾った。また、09年も勝ち馬のタガノエリザベートは本番で6着だったが、2着のベストクルーズが阪神JFで3着と好走。ファンタジーSでいかに厳しい流れを経験しているかどうかが、重要なポイントだと言えそうだ。

2016/11/5 京都11R KBS京都賞ファンタジーS(G3) 1着 1番 ミスエルテ

その点を踏まえて今年のファンタジーSのレースラップタイムを見てみると、ラスト3ハロン目だけが12秒0だったが、その他は11秒台のラップが刻まれていた。全体的には非常に惜しい内容で、決して悪くはない。仮に阪神JFに出走していれば、有力馬と判断してもいい内容であった。実際には過去10年で阪神JFの優勝馬が出ていないので単勝では推奨しにくいが、馬券圏内という意味では十分に有力だと見ておきたい。


■表3 今年の朝日杯FS出走予定馬

馬名 前走レース 前着 種牡馬 母父馬
アシャカリアン 未勝利* 1 サマーバード ヘクタープロテクター
アメリカズカップ 野路菊S 1 マンハッタンカフェ Coronado's Quest
クリアザトラック 新馬 1 ディープインパクト フレンチデピュティ
サトノアレス ベゴニア500* 1 ディープインパクト Danehill
サングレーザー デイリーG2 3 ディープインパクト Deputy Minister
タガノアシュラ 黄菊賞500* 1 マンハッタンカフェ パラダイスクリーク
ダイイチターミナル 京王杯2G2 8 コンデュイット ウイニングチケット
ダンビュライト サウジアG3 2 ルーラーシップ サンデーサイレンス
トーホウドミンゴ 未勝利* 1 ネオユニヴァース マイネルラヴ
トラスト 東京スポG3 5 スクリーンヒーロー エイシンサンディ
トリリオネア 未勝利* 1 Dubawi Green Desert
ヒロシゲグローリー 未勝利* 1 エイシンアポロン サクラバクシンオー
ビーカーリー デイリーG2 7 アドマイヤマックス クロフネ
ブルベアバブーン もちの木500* 1 プリサイスエンド スペシャルウィーク
ボンセルヴィーソ デイリーG2 2 ダイワメジャー サクラローレル
マテラレックス 百日草特500* 11 ルーラーシップ フジキセキ
ミスエルテ ファンタG3 1 Frankel Pulpit
モンドキャンノ 京王杯2G2 1 キンシャサノキセキ サクラバクシンオー
リンクスゼロ 兵庫ジG2 8 アドマイヤマックス ホワイトマズル
レッドアンシェル もみじS 1 マンハッタンカフェ Storm Cat
レヴァンテライオン 京王杯2G2 11 Pioneerof the Nile Ghostzapper
※フルゲートは18頭。

それでは今年の朝日杯FSの出走予定馬を見ていこう。予定馬は表3の通り。

現時点でどの馬が1番人気となるか不明だが、おそらく圧倒的に人気を集める馬はいない可能性が高い。昨年などとは違いかなり混戦ムードの予感がする。メンバーの中に、マイルの重賞を勝っている馬がいないことがそうした要因になっている。デイリー杯2歳などは、レベルが高ければ善戦馬でも押せると思うが、今年はそのような雰囲気にはない。それならば未知である分、サウジアラビアロイヤルC2着のダンビュライトを押さえるべきか。

2016/11/27 東京7R ベゴニア賞 1着 8番 サトノアレス

血統面に注目すると案外候補が絞られる。父にディープインパクト、ネオユニヴァース、そしてスクリーンヒーローを持つ馬。母父にウイニングチケットとスペシャルウィークを持つ馬となる。1勝馬やダート実績馬もいるが、その中では前走ベゴニア賞を勝っているサトノアレスに注目してみたい。臨戦過程は14年に優勝したダノンプラチナと同じ。阪神芝1600mでの決め手勝負には元々向いている血統に見える。

あとは血統面を度外視し、前走もみじSを勝っているレッドアンシェル。本馬は穴馬でない可能性が高いが、芝1400mのOP特別を勝っている点が強調材料。京王杯SCを勝っているモンドキャンノも当然注目。ミスエルテはフランケル産駒で、どうしても血統面の傾向には合致しない。ファンタジーSの内容を評価し、連下候補としてみる。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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