第1057回 牡馬混合戦における「紅一点状態の牝馬」を考える|競馬情報ならJRA-VAN

JRA公式データ配信サービス JRA-VAN

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第1057回 牡馬混合戦における「紅一点状態の牝馬」を考える

2016/10/24(月)

今年の天皇賞・秋で注目される1頭が、前哨戦の毎日王冠を制したルージュバック。天皇賞・秋に出走登録した15頭のなかで唯一の牝馬である。そこで今回は「牡馬混合戦における紅一点状態で出走した牝馬の成績」について調べてみたい。集計期間は2010年1月5日から2016年10月16日で、集計対象は平地戦のみ。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 全体成績と芝ダート別成績

馬場 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
全体 130- 136- 139-2209/2614 5.0% 10.2% 15.5% 53% 55%
59-  84-  67- 801/1011 5.8% 14.1% 20.8% 55% 63%
ダート 71-  52-  72-1408/1603 4.4% 7.7% 12.2% 52% 49%

2016/10/9 東京11R 毎日王冠(G2) 1着 10番 ルージュバック

表1は「牡馬混合戦に紅一点状態で出走した牝馬」の全体成績と、芝ダート別成績を示したものである。まずは全体成績から見ていくが、好走率が高いとはいえず、単複の回収率も50%台にとどまっていることから、基本的には苦戦の傾向が認められる。最近は牝馬の活躍も著しいものの、牡馬混合戦に出走する唯一の牝馬という条件自体は今も決して楽ではないようだ。次いで芝ダート別成績に目を移すと、5項目すべての数値で芝がダートを上回っている。一般に、芝よりダートのほうがパワーを要するとされ、パワーの面で不利な牝馬が紅一点状態でダート戦に出走となると厳しい戦いを強いられるようだ。

■表2 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 32-  29-  13-  37/ 111 28.8% 55.0% 66.7% 72% 86%
2番人気 22-  22-  16-  65/ 125 17.6% 35.2% 48.0% 75% 78%
3番人気 18-  21-  14-  79/ 132 13.6% 29.5% 40.2% 75% 81%
4番人気 18-  23-  19- 102/ 162 11.1% 25.3% 37.0% 84% 87%
5番人気 12-   5-  13- 118/ 148 8.1% 11.5% 20.3% 120% 59%
6番人気 6-  14-  17- 155/ 192 3.1% 10.4% 19.3% 50% 75%
7番人気 7-   5-  11- 168/ 191 3.7% 6.3% 12.0% 77% 58%
8番人気 5-   6-  14- 218/ 243 2.1% 4.5% 10.3% 49% 62%
9番人気 4-   2-   7- 204/ 217 1.8% 2.8% 6.0% 62% 46%
10番人気以下 6-   9-  15-1063/1093 0.5% 1.4% 2.7% 28% 37%

表2は人気別成績。1番人気と2番人気の好走率は水準を若干下回っているものの、3〜5番人気は水準以上の数値を残している。紅一点状態の牝馬は、本命・対抗級の評価をされるより、もうすこし気楽に走れる立場のほうが結果を出しやすいようだ。ただし、6番人気以下の成績は総じて振るわない。ダークホースとしての激走には過度の期待を寄せないほうがいいだろう。

■表3 クラス別成績

クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
新馬 10-  16-  18- 100/ 144 6.9% 18.1% 30.6% 98% 92%
未勝利 20-  20-  24- 551/ 615 3.3% 6.5% 10.4% 28% 41%
500万下 43-  38-  38- 784/ 903 4.8% 9.0% 13.2% 42% 53%
1000万下 27-  29-  20- 346/ 422 6.4% 13.3% 18.0% 75% 57%
1600万下 12-  20-  22- 156/ 210 5.7% 15.2% 25.7% 84% 83%
オープン特別 11-   6-   6- 135/ 158 7.0% 10.8% 14.6% 88% 44%
G3 4-   4-   6-  77/  91 4.4% 8.8% 15.4% 50% 59%
G2 3-   1-   4-  42/  50 6.0% 8.0% 16.0% 20% 46%
G1 0-   2-   1-  18/  21 0.0% 9.5% 14.3% 0% 16%

表3はクラス別成績。注目に値するのが、新馬戦で勝率を除く4項目で最高の数値を残していること。つまり、紅一点状態になってでも牡馬混合の新馬戦にぶつけてきたということは、陣営の自信の表れなのかもしれない。ただし、同じ若駒のレースでも未勝利戦は数値がガクッと落ちてしまうので注意したい。そして、もうひとつ見落としてはならないのが、重賞の成績が振るわないこと。G3やG2では勝利例こそあるものの単複の回収率は低調で、G1になると勝利した例そのものがない。近年、牝馬が牡馬混合G1を勝利するケースは珍しくないが、紅一点状態となるとまた別の話になってしまうようだ。

■表4 馬体重別成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
〜399kg 1-   0-   0-  20/  21 4.8% 4.8% 4.8% 125% 19%
400〜419kg 2-   5-   6-  93/ 106 1.9% 6.6% 12.3% 24% 101%
420〜439kg 10-  11-  16- 311/ 348 2.9% 6.0% 10.6% 44% 45%
440〜459kg 34-  36-  33- 583/ 686 5.0% 10.2% 15.0% 45% 50%
460〜479kg 37-  35-  49- 598/ 719 5.1% 10.0% 16.8% 61% 62%
480〜499kg 28-  30-  24- 400/ 482 5.8% 12.0% 17.0% 60% 51%
500〜519kg 13-  12-  10- 149/ 184 7.1% 13.6% 19.0% 59% 50%
520〜539kg 5-   4-   1-  47/  57 8.8% 15.8% 17.5% 71% 58%
540kg〜 0-   3-   0-   8/  11 0.0% 27.3% 27.3% 0% 60%

表4は馬体重別成績。好走率を示す勝率、連対率、複勝率は、総じて馬体重が大きい馬ほど高い数値が残っている。牡馬混合戦に出走するにあたって、やはり馬体重はあるに越したことはないのだろう。ひとつの分水嶺といえるのが440キロのラインで、これ未満の馬体重になると好走率が大きく下がる。紅一点状態の牝馬が牡馬に挑むには、少なくとも440キロ以上は欲しいところだ。

■表5 距離別成績

距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1000m〜1300m 12-   6-   6- 126/ 150 8.0% 12.0% 16.0% 118% 52%
1400m〜1600m 28-  26-  23- 430/ 507 5.5% 10.7% 15.2% 44% 57%
1700m〜2000m 73-  76-  87-1310/1546 4.7% 9.6% 15.3% 56% 55%
2100m〜2400m 15-  21-  20- 265/ 321 4.7% 11.2% 17.4% 26% 57%
2500m〜 2-   7-   3-  78/  90 2.2% 10.0% 13.3% 46% 40%

表5は距離別成績。注目すべきは、勝率、単勝回収率ベースで見たときに「1000〜1300m」の短距離戦で明らかに高い数値を残していることだ。一方、複勝率、複勝回収率ベースで見ると、2500m以上の長距離戦の数値が若干落ちるぐらいで、それ以外の距離ではあまり大きな差がない。このデータからは、紅一点状態の牝馬が1着を獲りやすいのは短距離戦ということをチェックしておきたい。

■表6 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1枠 9- 15- 14-183/221 4.1% 10.9% 17.2% 18% 46%
2枠 11- 15- 16-240/282 3.9% 9.2% 14.9% 17% 47%
3枠 16-  9- 12-268/305 5.2% 8.2% 12.1% 71% 43%
4枠 15- 14- 18-272/319 4.7% 9.1% 14.7% 73% 49%
5枠 22- 25- 17-285/349 6.3% 13.5% 18.3% 66% 72%
6枠 14- 12- 16-301/343 4.1% 7.6% 12.2% 47% 52%
7枠 17- 25- 21-342/405 4.2% 10.4% 15.6% 31% 44%
8枠 26- 21- 25-318/390 6.7% 12.1% 18.5% 87% 77%

表6は枠番別成績。まず指摘しておきたいのが、8枠が最もいい成績を収めていること。連対率を除く4項目でトップの数値を残し、単複回収率87%、複勝回収率77%は、表1の項で確認した紅一点状態の牝馬の全体成績を大きく上回っている。同時に、内枠の1、2枠の数字が振るわないことも見逃せない。なかでも単勝回収率は1、2枠ともに10%台で、かなり人気に推された馬でしか勝ち切れない様子が伺える。このデータから読み取れるのは、紅一点状態の牝馬にとって内枠で揉まれる競馬は大きな負担になり、距離のロスはあっても8枠からスムーズな競馬をしたほうが力を発揮しやすいということだ。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)