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第1050回 春秋王者誕生なるか? スプリンターズSを分析

2016/9/29(木)

今年は外国馬の登録がなかったスプリンターズS。自然と注目はビッグアーサーに集まることとなる。秋初戦のセントウルSを勝って順調なスタートを切った春の王者は、短距離路線を完全統一することができるだろうか。過去10年のスプリンターズSのうち、新潟開催となった14年を除く9年分から分析してみたい。なお、今年は外国馬の登録がなかったので、日本馬のみを集計対象とする。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 3-  2-  0-  1/  6 50.0% 83.3% 83.3% 135% 118%
2番人気 1-  3-  0-  5/  9 11.1% 44.4% 44.4% 48% 70%
3番人気 2-  1-  0-  4/  7 28.6% 42.9% 42.9% 240% 127%
4番人気 0-  0-  0-  7/  7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
5番人気 0-  0-  1-  7/  8 0.0% 0.0% 12.5% 0% 37%
6番人気 1-  0-  1-  6/  8 12.5% 12.5% 25.0% 172% 85%
7番人気 0-  0-  2-  7/  9 0.0% 0.0% 22.2% 0% 117%
8番人気 0-  0-  1-  6/  7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 67%
9番人気 0-  1-  2-  6/  9 0.0% 11.1% 33.3% 0% 228%
10番人気以下 0-  2-  2- 54/ 58 0.0% 3.4% 6.9% 0% 104%

表1は人気別成績。集計対象の9年分で1着になった日本馬は延べ7頭。そのうち6頭は1〜3番人気に推されており、基本的には上位人気の馬が勝っている。残る1頭も6番人気だから極端な人気薄が勝った例はない。ただし、2、3着には穴馬がしばしば入っており、7番人気以下が合計で10回も好走している。いわゆるヒモ荒れの傾向が強いので手広く狙っていきたいところだ。

■表2 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1枠 1- 0- 2-13/16 6.3% 6.3% 18.8% 27% 260%
2枠 0- 3- 2-12/17 0.0% 17.6% 29.4% 0% 188%
3枠 0- 1- 2-12/15 0.0% 6.7% 20.0% 0% 122%
4枠 1- 1- 0-13/15 6.7% 13.3% 13.3% 37% 27%
5枠 2- 1- 0-13/16 12.5% 18.8% 18.8% 78% 42%
6枠 0- 0- 1-16/17 0.0% 0.0% 5.9% 0% 27%
7枠 2- 2- 2- 9/15 13.3% 26.7% 40.0% 108% 118%
8枠 1- 1- 0-15/17 5.9% 11.8% 11.8% 25% 17%

表2は枠番別成績で、まず目につくのが7枠の好走率が非常に高いこと。もっとも、両隣の6枠や8枠の成績はイマイチで、外枠有利とまではいいづらい。あくまで7枠の成績が優秀という認識にとどめておいたほうがよさそうだ。むしろ、データ的により重要と思われるのは内枠。1〜3枠から2、3着に入った馬が計10頭と非常に多く、複勝回収率も高い。表1の項でヒモ荒れの傾向が強いと述べたが、どうやら内枠に入った馬がその原動力となっているようだ。

■表3 前走レース別成績

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
セントウルS・G2 4- 5- 4-39/52 7.7% 17.3% 25.0% 45% 90%
北九州記念・G3 2- 0- 1- 6/ 9 22.2% 22.2% 33.3% 88% 448%
キーンランドC・G3 1- 3- 3-26/33 3.0% 12.1% 21.2% 33% 92%
安田記念・G1 0- 1- 0- 6/ 7 0.0% 14.3% 14.3% 0% 87%
京成杯AH・G3 0- 0- 1- 5/ 6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 75%
※好走例のあるレースのみ

表3は前走レース別成績。日本馬の前走として好走例があるのは5レースしかなく、スプリンターズSの間口は意外なほど狭いことが見てとれる。好走の多くは前走セントウルS組と前走キーンランドC組に集中しており、まずは両レースの攻略がカギを握りそうだ。この2レース以外で存在感を示しているのが前走北九州記念組。決して多くない延べ9頭の出走で勝ち馬2頭を送り出し、複勝率33.3%はセントウルSやキーンランドCを上回っている。

■表4 前走セントウルS出走馬の休み明けn戦目別成績

休み明けn戦目 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
休み明け2戦目 4- 2- 1-15/22 18.2% 27.3% 31.8% 108% 109%
休み明け3戦目 0- 1- 1- 5/ 7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 124%
休み明け4戦目 0- 2- 0- 3/ 5 0.0% 40.0% 40.0% 0% 70%
休み明け5戦目 0- 0- 1- 4/ 5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 94%
休み明け6戦目〜 0- 0- 1-12/13 0.0% 0.0% 7.7% 0% 46%

表4は、前走セントウルS出走馬の「休み明けn戦別成績」。たとえば、「休養→セントウルS→スプリンターズS」のローテーションで出走する馬は「休み明け2戦目」に、「休養→なんらかのレース→セントウルS→スプリンターズS」のローテーションで出走する馬は「休み明け3戦目」に該当し、以下も同様となる。

なんといっても注目すべきは、スプリンターズSを制した前走セントウルS組は「休み明け2戦目」に限られていることである。つまり、夏のあいだはレースを使わず、セントウルSをひと叩きしてスプリンターズSに臨むローテーションが勝利の方程式になっている。以下、休み明け3戦目や休み明け4戦目には連対例があるものの、休み明け5戦目や休み明け6戦目以上の使い詰めになると3着までが精一杯となる。前走セントウルS組に関しては極力フレッシュな馬を狙うのがベターだ。

■表5 前走でセントウルSに出走したG1馬の年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
5歳 2- 2- 0- 1/ 5 40.0% 80.0% 80.0% 302% 246%
6歳 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 220% 90%
7歳 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 120%

表5は、前走でセントウルSに出走したG1馬の年齢別成績。G1馬だけあって高齢になっても高い好走率をキープしているが、もっとも信頼できるのは5歳馬となっている。5歳のG1馬で好走できなかったのは08年のファイングレインだけで、この馬は前走のセントウルSで9着と大敗していた。つまり、セントウルSでしっかりとした着順を収めていた5歳のG1馬は、スプリンターズSでも信頼できると考えていいだろう。

■表6 前走キーンランドC出走馬の前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走1着 1- 1- 1- 5/ 8 12.5% 25.0% 37.5% 140% 132%
前走2着 0- 0- 1- 2/ 3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 83%
前走3着 0- 2- 0- 3/ 5 0.0% 40.0% 40.0% 0% 242%
前走4着以下 0- 0- 1-16/17 0.0% 0.0% 5.9% 0% 30%

表6は、前走キーンランドC出走馬の前走着順別成績。1〜3着に入っていれば合わせて【1.3.2.10】、勝率6.3%、複勝率37.5%、単勝回収率70%、複勝回収率157%という成績なのに対して、4着以下だと【0.0.1.16】と可能性が一気にしぼんでしまう。前走キーンランドC組は着順のいい馬を素直に狙うのが正解といえる。

■表7 前走キーンランドC出走馬の休み明けn戦目別成績

休み明けn戦目 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
休み明け2戦目 0- 1- 1- 5/ 7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 95%
休み明け3戦目 1- 1- 1- 3/ 6 16.7% 33.3% 50.0% 186% 178%
休み明け4戦目 0- 1- 0- 4/ 5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 210%
休み明け5戦目 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
休み明け6戦目〜 0- 0- 1-12/13 0.0% 0.0% 7.7% 0% 19%

表7は、前走キーンランドC出走馬の「休み明けn戦別成績」。セントウルS組と同じく、キーンランドC組も使い詰めになると成績ダウンの傾向が顕著で、休み明け4戦目以上の馬を合算すると【0.1.1.18】と振るわない。休み明け2戦目か3戦目となる馬を狙いたいところだ。

■表8 同年の勝利数別成績

同年勝利 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1勝以上 7- 8- 8-64/87 8.0% 17.2% 26.4% 49% 135%
0勝 0- 1- 1-38/40 0.0% 2.5% 5.0% 0% 25%

表8は、同じ年に1勝以上を挙げていた馬と、1勝も挙げられなかった馬の成績を比較したもの。当然ながら、同じ年に1勝以上を挙げていた馬の成績のほうが優秀で、同年に勝ち鞍のない馬は【0.1.1.38】と不振の傾向が強い。基本的には、同年に最低でも1勝を挙げていた馬を狙いたい。

■表9 同年に芝1200m重賞1着経験の有無

同年芝1200m重賞1着 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
あり 5- 7- 5-35/52 9.6% 23.1% 32.7% 63% 162%
なし 2- 2- 4-67/75 2.7% 5.3% 10.7% 13% 58%

表9は、同じ年に芝1200m重賞1着がある馬とない馬の成績を比較したもの。これも順当な結果が出ており、同じ年に芝1200m重賞を勝っていた馬の成績が明らかにいい。同年に芝1200m重賞1着がなかった馬の好走例も8頭あるので絶対条件とまではいえないが、チェックしておいて損はないはずだ。

【結論】

2016/9/11 阪神11R セントウルステークス(G2) 1着 1番 ビッグアーサー

スプリンターズSにおける日本馬は、同年に1勝以上していないと好走率がかなり下がってしまうことを表8の項で述べた。登録馬20頭のうち、今年1勝以上を挙げているのは、ソルヴェイグ、ダンスディレクター、ナックビーナス、ビッグアーサー、ブランボヌール、ベルカント、ミッキーアイル、レッドファルクスの8頭。さらに、今年芝1200m重賞を勝っているのはソルヴェイグ、ダンスディレクター、ビッグアーサー、ブランボヌール、レッドファルクスで、この5頭が主力を形成すると考えてもいいだろう。

このなかで最有力なのは、やはりビッグアーサーだ。表4、5で確認した前走セントウルS組で好走率の高い「休み明け2戦目」にも「5歳G1馬」にも合致しており、春秋スプリントG1制覇のチャンスはかなり大きいのではないか。同じく前走セントウルS組では、今年の勝ち鞍があり休み明け2戦目で臨むダンスディレクターの名前を挙げておきたい。

2016/8/28 札幌11R キーンランドカップ(G3) 1着 14番 ブランボヌール

もうひとつの主力ローテとなっている前走キーンランド組では1〜3着に入っておくことが重要だった。その1〜3着馬のなかで今年1勝以上挙げているのは、1着のブランボヌールしかいない。休み明け2戦目で臨む点も好感材料で、この馬も狙ってみたい。

出走例は少ないものの、出走してきたら好走率が高いのが前走北九州記念組。今年該当するのはベルカントのみとなっている。昨年も同じローテーションで13着に大敗してはいるのだが、改めて今年期待してみたい。

最後にミッキーアイルとレッドファルクスに関しては、休み明けでの出走となるのがどうか。集計対象の9年分で、休み明けの好走馬は昨年2着のサクラゴスペルしかおらず、データからは強調しづらいというのが正直なところ。能力面だけでいえば、特にG1馬のミッキーアイルは好走してもなんら不思議ないだけに、とにもかくにも当日の状態次第というところだろう。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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