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第1035回 炎天下に強いジョッキーは?

2016/8/8(月)

8月に入り、1カ月予報によれば、これからお盆あたりまでは全国的に厳しい暑さが続くとのこと。手綱をとるジョッキーも、いくらアスリートといっても厳しいことには変わりない。そこで今回は、酷暑に強そうなジョッキーを探ってみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用し、集計対象は北海道開催を除く8月(新潟・小倉)の過去5年とした。

■表1 8月の新潟・小倉騎手成績(11〜15年、31勝以上)

騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
浜中俊 65-50-34-203/352 18.5% 32.7% 42.3% 61% 70%
川田将雅 54-62-41-185/342 15.8% 33.9% 45.9% 69% 88%
内田博幸 44-30-22-195/291 15.1% 25.4% 33.0% 65% 66%
北村宏司 43-44-39-276/402 10.7% 21.6% 31.3% 68% 81%
幸英明 39-41-47-332/459 8.5% 17.4% 27.7% 46% 91%
和田竜二 37-28-20-249/334 11.1% 19.5% 25.4% 129% 79%
北村友一 36-31-36-264/367 9.8% 18.3% 28.1% 98% 102%
田辺裕信 32-18-37-240/327 9.8% 15.3% 26.6% 85% 84%
蛯名正義 31-35-30-209/305 10.2% 21.6% 31.5% 53% 72%
小牧太 31-27-19-220/297 10.4% 19.5% 25.9% 101% 94%
松山弘平 31-24-23-274/352 8.8% 15.6% 22.2% 64% 62%
戸崎圭太 31-23-24-127/205 15.1% 26.3% 38.0% 83% 81%

過去5年、8月の新潟・小倉開催における騎手成績(勝ち鞍順)は表1の通りで、浜名騎手、川田騎手が複勝率を40%台に乗せる好成績。内田博騎手も川田騎手に迫る勝率15%台で、勝ち鞍は第3位につける。また、戸崎騎手は中央移籍後の3年間で31勝を挙げて勝ち鞍は9位タイ。好走確率は内田博騎手と互角以上だ。まずこの4騎手は、8月の新潟・小倉での注目騎手と考えていいだろう。ただ、これでは単に「8月に強い騎手」。もうひと押しして、「酷暑」に強そうな騎手を探りたいところだ。

本来であれば気温によっての成績を知りたいが、残念ながらそのようなデータは公表されていない。そこで、レース毎に発表されている天候別の成績を調べてみたい。この時期に外を歩くと、信号待ちの際には電柱の陰にすら隠れたいもの。競馬場のコースには待避所があるとはいえ、パドックや返し馬、そして集合合図がかかってからは炎天下にいる時間もあるだけに、晴天時と曇天時や雨で違いが出ても不思議はない。

■表2 上位騎手の天候による成績比較

騎手 曇、小雨、雨 複勝率差
勝率 連対率 複勝率 勝率 連対率 複勝率
浜中俊 20.6% 34.8% 45.1% 15.5% 29.7% 38.5% 6.6%
川田将雅 14.1% 32.6% 42.4% 17.7% 35.4% 50.0% -7.6%
内田博幸 17.4% 26.2% 33.8% 10.4% 24.0% 31.3% 2.5%
北村宏司 8.9% 21.0% 29.9% 14.9% 23.1% 34.7% -4.8%
幸英明 6.8% 16.0% 27.4% 10.7% 19.4% 28.1% -0.7%
和田竜二 11.4% 17.7% 24.6% 10.7% 21.4% 26.4% -1.8%
北村友一 11.6% 19.7% 28.8% 7.7% 16.6% 27.2% 1.6%
田辺裕信 10.9% 14.5% 24.9% 7.5% 17.0% 30.2% -5.3%
蛯名正義 10.5% 20.2% 30.7% 9.1% 26.0% 33.8% -3.1%
小牧太 10.2% 19.3% 25.3% 10.7% 19.8% 26.7% -1.4%
松山弘平 8.5% 16.4% 22.6% 9.1% 14.9% 21.7% 0.9%
戸崎圭太 10.9% 23.9% 35.5% 23.9% 31.3% 43.3% -7.8%

2015/8/1 小倉11R KBC杯 1着 10番 ランウェイワルツ (浜中俊騎手)

その天候別の成績(勝率、連対率、複勝率)は表2の通り。表1でトップだった浜中騎手は、晴の複勝率がそれ以外(曇、小雨、雨)を6.6ポイント上回るほか、勝率でも5ポイント以上高い成績を残している。また、3位の内田博騎手は複勝率の差はわずかで、連対率は晴のほうが低いくらいだが、なにより晴天時の勝率が17.4%と、曇〜雨より7ポイントも高い。この両騎手は、8月でも特に炎天下で強いと考えられそうだ。

一方、2位の川田騎手は晴天時に複勝率を7.6ポイント落としているが、それでも連対率32.6%、複勝率42.4%は十分な好成績と言えるもの。むしろ、曇〜雨の成績が良すぎると言ってもいいだろう。

同様に戸崎騎手も曇〜雨で勝率23.9%などの好成績を残すが、晴天時の成績は彼としては少々物足りない。大井や川崎でナイター慣れしていたわけでもなかろうが、この4名の中では8月の晴天時には少々割り引きたくなる成績だ。なお、表1では24勝でランク外になってしまったが、武豊騎手も晴天時の勝率9.9%、曇〜雨の勝率24.5%と、戸崎騎手と似た傾向にある。

■表3 4騎手の天候別成績比較

騎手 天候 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 平均人気
浜中俊 42-29-21-112/204 20.6% 34.8% 45.1% 67% 75% 3.3人気
曇〜雨 23-21-13-91/148 15.5% 29.7% 38.5% 54% 63% 3.5人気
川田将雅
26-34-18-106/184 14.1% 32.6% 42.4% 53% 78% 3.5人気
曇〜雨 28-28-23-79/158 17.7% 35.4% 50.0% 87% 101% 3.4人気
内田博幸 34-17-15-129/195 17.4% 26.2% 33.8% 65% 68% 4.8人気
曇〜雨 10-13-7-66/96 10.4% 24.0% 31.3% 66% 61% 4.8人気
戸崎圭太 15-18-16-89/138 10.9% 23.9% 35.5% 42% 74% 4.4人気
曇〜雨 16-5-8-38/67 23.9% 31.3% 43.3% 169% 96% 4.4人気

上記4騎手の成績を、もう少し詳しく見てみたい。表3はそれぞれ、着度数や単複の回収率も含めて比較したものだが、まず一番右の欄にあるように、晴天時とそれ以外で騎乗馬の平均人気に大きな差は出ていない。

そんな中、晴天時の好走確率が高かった浜中騎手や内田博騎手も、単勝回収率は70%未満と今ひとつ。良く馬券に絡んではいるものの、買い続けて儲かるような回収率にはなっていない。馬連や3連単などの組み合わせでひと工夫が必要だ。

これに対し、曇〜雨のほうが良かった川田騎手や戸崎騎手は、単複の回収率はいずれも80%台後半以上で、特に戸崎騎手は単勝回収率169%を記録。川田騎手も複勝回収率が100%を超えてきている。当初の「酷暑に強い騎手」という視点からは外れるが、8月でも雨が降っていたり、日が陰っていたりするときには、川田騎手や戸崎騎手は積極的に狙いたい成績だ。

■表4 天候「晴」の単勝回収率ベスト5(騎乗100回以上)

騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 曇〜単回収 曇〜複回収
鮫島良太 5-7-4-88/104 4.8% 11.5% 15.4% 347% 121% 21% 49%
和田竜二 20-11-12-132/175 11.4% 17.7% 24.6% 150% 93% 106% 63%
岩田康誠 21-10-14-73/118 17.8% 26.3% 38.1% 128% 89% 82% 70%
北村友一 23-16-18-141/198 11.6% 19.7% 28.8% 127% 120% 64% 81%
柴田大知 14-14-16-203/247 5.7% 11.3% 17.8% 119% 74% 107% 83%

2012/8/25 小倉12R 3歳上500万 1着 10番 メイショウイザヨイ (鮫島良太騎手) 14番人気

では、「酷暑で儲かる騎手」は誰なのか。表4は、同期間に天候「晴」のレースに100回以上騎乗した騎手の、単勝回収率ベスト5である。群を抜いてトップに立ったのは鮫島良騎手で、単勝14番人気馬で2勝を挙げるなど、単勝回収率はなんと347%を記録した。曇〜雨では3着以内11回中、6番人気以下はわずか3回で、複勝回収率も49%止まり。しかし晴天時は3着以内16回中10回を6番人気以下で記録し、複勝回収率でも121%という、炎天下の穴男だ。

ただ、鮫島良騎手は好走確率がさほど高くはないため、買い続けて当たりを待つ必要がある。特別レースだけ、日曜だけなど、一部のレースを買う方でも恩恵にあずかれそうなのは北村友騎手だ。こちらは晴天時の3着以内57回のうち、単勝30倍以上の馬が計8回。対して曇〜雨では3着以内46回のうち1回にとどまる。好走確率も全体的に上々だけに、今日は暑いから北村友騎手を買ってみよう、といった買い方でもチャンスはありそうだ。

■表5 同期間、北海道開催上位騎手(24勝以上)の天候による成績比較

騎手 曇、小雨、雨 複勝率差
勝率 連対率 複勝率 勝率 連対率 複勝率
福永祐一 21.7% 36.3% 46.5% 22.9% 37.1% 54.3% -7.8%
三浦皇成 12.4% 29.5% 37.3% 9.4% 21.9% 33.3% 4.0%
横山典弘 16.5% 24.8% 35.5% 23.3% 27.9% 32.6% 2.9%
柴山雄一 9.2% 15.3% 24.5% 3.9% 13.2% 19.7% 4.8%
池添謙一 7.7% 14.1% 23.9% 22.0% 37.3% 42.4% -18.5%

ここまで、新潟・小倉開催のデータを分析してきたが、最後に北海道開催についても軽く触れておきたい。札幌とて、新潟や小倉ほどではないだけの話で、真夏の炎天下はじりじりと暑いものである。表には24勝以上を挙げた上位5名を挙げており、晴天時に好成績を残すのは、三浦騎手と柴山騎手だ。

横山典騎手は複勝率が上がる一方で、勝率や連対率は低下しており、一概には言い難い。そして勝ち鞍トップの福永騎手は、晴天時の複勝率こそマイナスになっているものの、それでも46.5%の好成績。勝率、連対率は差がないだけに、晴天時が悪いわけではない。 一方、池添騎手は明らかに曇〜雨のほうが好成績。複勝率の18.5ポイント差のほか、晴天時には勝率や連対率も大きく低下している。数は少ないものの小雨〜雨では【3.3.2.2】複勝率80.0%を記録するだけに、今夏の札幌でも雨が降ったら買いと覚えておきたい。

以上、8月の新潟・小倉開催を中心に、天候による騎手成績の違いを中心に調べてみた。炎天下で強い騎手がいる一方で、逆に同じ8月でも曇天や雨が降っていた方が良い騎手も見られた。「小倉競馬場の天候が晴れから曇りに変わりました」などというアナウンスを耳にしたときには、「暑いことには変わりない」などと片付けず、ちょっとこのデータを思い出して馬券の参考にしていただきたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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