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第1031回 補正タイムで読み解く今年のダービーのレベル

2016/7/25(月)

現在、夏競馬が真っ盛りだが、今回は春の牡馬クラシック戦線について振り返ってみたい。素質馬が揃い、近年稀に見るハイレベルと言われた世代だった。今回はJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用し、同ソフトが算出した補正タイムに注目。00年以降の日本ダービーにおける補正タイムを比較し、現3歳世代のレベルの高さを証明したいと思う。

■表1 2000年以降の日本ダービー優勝馬と補正タイム

優勝馬 人気 走破タイム 着差 補正タイム
16年 マカヒキ 3 2240 0 93
15年 ドゥラメンテ 1 2232 -0.3 92
14年 ワンアンドオンリー 3 2246 -0.1 90
13年 キズナ 1 2243 -0.1 92
12年 ディープブリランテ 3 2238 0 92
11年 オルフェーヴル 1 2305 -0.3 94
10年 エイシンフラッシュ 7 2269 0 89
09年 ロジユニヴァース 2 2337 -0.7 91
08年 ディープスカイ 1 2267 -0.2 91
07年 ウオッカ 3 2245 -0.5 93
06年 メイショウサムソン 1 2279 -0.1 91
05年 ディープインパクト 1 2233 -0.8 99
04年 キングカメハメハ 1 2233 -0.2 96
03年 ネオユニヴァース 1 2285 -0.1 94
02年 タニノギムレット 1 2262 -0.2 96
01年 ジャングルポケット 1 2270 -0.2 95
00年 アグネスフライト 3 2262 0 95

補正タイムに関しては、再三当コラムで紹介しているので詳細な説明は割愛させていただくが、要はスピード指数のようなもの。走破タイムの価値を知る上で、非常に参考になるものだ。表1は、補正タイムが算出されている00年以降の日本ダービー優勝馬と、その補正タイムを示した。

00年以降、日本ダービーで最も速いタイムで勝利したのは15年のドゥラメンテ。2分23秒2はレースレコードだ。しかし、補正タイムは92。低いとは言わないが、その他の年に比べて突出して高いわけではない。過去10年で言えば、キズナやディープブリランテと同等の評価となる。

一方、04年に当時のレコードで駆け抜けたのがキングカメハメハ。補正タイムは96であり、こちらの方が時計的な価値は高い。レコードの重みも違ってくる。さらに言えば、翌年同タイムで圧勝したディープインパクトの方がもっと高い。補正タイムは衝撃とも言える99。図抜けて高い数値となっている。言わずと知れた日本競馬の至宝であり、ダービーにおけるパフォーマンスだけを見ても、歴代ダービー馬とは次元が違っていた。00年以降、最も強い勝ち方をしたのはディープインパクトだと断言したい。

2011/5/29 東京11R 東京優駿(G1) 1着 5番 オルフェーヴル

一連の比較から、補正タイムにより各世代のレベルを読み解くことは十分可能だと感じている。ダービーでの補正タイムが高かった馬は名馬ばかりだし、古馬となっても活躍するケースが多い。00〜05年までは補正タイムが95〜96あたりで推移していながら、06年以降は95以上となった年が全くない点は気になるし、理由も定かではない。しかし、過去10年で言えば、トップはオルフェーヴル。近年の最強馬と呼ぶにふさわしい存在であることが、大きな後押しとなっている。

今年の日本ダービーを制したマカヒキがマークした補正タイムは93。これは過去10年で比較すると、高水準の数値。11年のオルフェーヴルよりわずかに劣るが、07年のウオッカと同等。15年のドゥラメンテよりも上回っていることになる。

過去10年でトップだった11年のオルフェーヴルは、2着のウインバリアシオンに対し、0.3秒離して勝利していた。また、07年のウオッカは2着のアサクサキングスに対し、0.5秒もの差をつけて圧勝していた。つまり、補正タイムが高水準だった11年や07年は、勝ち馬1頭がかなり強かったということになる。

■表2 今年の日本ダービーの全着順と補正タイム

着順 馬名 タイム 補正タイム 着差
1 マカヒキ 2.24.0 93  
2 サトノダイヤモンド 2.24.0 93 ハナ
3 ディーマジェスティ 2.24.1 92 1/2
4 エアスピネル 2.24.4 89 2
5 リオンディーズ 2.24.5 88 1/2
6 スマートオーディン 2.24.5 88 ハナ
7 マウントロブソン 2.24.6 87 1/2
8 レインボーライン 2.24.7 86 クビ
9 レッドエルディスト 2.24.8 85 3/4
10 プロディガルサン 2.24.9 84 クビ
11 ロードクエスト 2.25.0 83 3/4
12 アジュールローズ 2.25.1 82 1/2
13 ヴァンキッシュラン 2.25.4 79 1 3/4
14 アグネスフォルテ 2.25.4 79 クビ
15 イモータル 2.25.8 75 2 1/2
16 マイネルハニー 2.25.9 74 クビ
17 プロフェット 2.26.1 72 1 1/2
18 ブレイブスマッシュ 2.35.1 大差

それに対して今年の日本ダービーは接戦だった。表2は同レースの全着順と補正タイムの一覧。マカヒキはサトノダイヤモンドとの競り合いをハナ差、制した。2着に惜敗だったサトノダイヤモンドの補正タイムも93で、マカヒキと同じ。さらに3着に敗れた皐月賞馬ディーマジェスティも補正タイムは92とかなりの高レベル。過去10年に関して言えば、補正タイム92〜93をマークできれば優勝ラインにあるわけで、上位3頭が勝ち馬にふさわしいパフォーマンスをしていたといえる。

2016/5/29 東京10R 東京優駿(G1) 1着 3番 マカヒキ  2着 8番 サトノダイヤモンド

今年の日本ダービーは、補正タイムそのものは図抜けて高いわけではない。しかし、勝ち馬だけでなく上位3頭が僅差で高水準の走りをしたという意味で、大きな特徴がある。実力馬の層の厚さという意味で、近年稀に見るハイレベルであったと言えるだろう。

マカヒキは秋に凱旋門賞挑戦を表明しており、国内での出走は不透明。古馬のエース格だったドゥラメンテは残念ながら引退となり、秋競馬に向けての主役候補を失ったことは残念でならない。しかし、現3歳世代の層の厚さは頼もしく、今後の成長が非常に楽しみ。秋のG1戦線を大いに盛り上げてくれることを期待したい。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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