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第1018回 今年も波乱になるか? マーメイドSを分析

2016/6/9(木)

G1は、春競馬の総決算となる宝塚記念までお休みで、今週の重賞は日曜日に東西で行なわれるふたつのG3となる。昨年の当コーナーでは東京のエプソムCを調査しているので、今年は阪神のマーメイドSを分析したい。毎年のように波乱の決着となっているが。その理由は何なのか。2006年が京都開催となったため、2007年〜2015年の過去9回の結果から考えてみたい。データ分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 2-  1-  1-  5/  9 22.2% 33.3% 44.4% 62% 66%
2番人気 2-  0-  2-  5/  9 22.2% 22.2% 44.4% 111% 90%
3番人気 1-  0-  0-  8/  9 11.1% 11.1% 11.1% 71% 26%
4番人気 0-  1-  1-  7/  9 0.0% 11.1% 22.2% 0% 56%
5番人気 0-  1-  1-  7/  9 0.0% 11.1% 22.2% 0% 64%
6番人気 0-  0-  1-  8/  9 0.0% 0.0% 11.1% 0% 42%
7番人気 1-  2-  0-  6/  9 11.1% 33.3% 33.3% 137% 130%
8番人気 1-  0-  0-  8/  9 11.1% 11.1% 11.1% 173% 47%
9番人気 1-  0-  0-  8/  9 11.1% 11.1% 11.1% 245% 82%
10番人気 0-  2-  2-  5/  9 0.0% 22.2% 44.4% 0% 272%
11番人気 0-  0-  0-  9/  9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
12番人気 1-  0-  0-  8/  9 11.1% 11.1% 11.1% 1292% 317%
13番人気 0-  1-  1-  5/  7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 441%
14番人気 0-  1-  0-  5/  6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 136%
15番人気 0-  0-  0-  3/  3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
16番人気 0-  0-  0-  3/  3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表1は人気別成績。これを見れば、人気薄がしばしば馬券に絡んでいることは一目瞭然だ。延べ27頭の好走馬のうち、6番人気以下が14頭と半数以上を占め、10番人気以下にも8頭もいる。人気に頼らず、あくまで馬本位の予想をしていくのが重要なレースといえる。

■表2 ハンデ別成績

ハンデ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
48キロ 1-  0-  0-  3/  4 25.0% 25.0% 25.0% 2907% 715%
49キロ 0-  0-  0-  5/  5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
50キロ 0-  2-  1- 10/ 13 0.0% 15.4% 23.1% 0% 163%
51キロ 0-  0-  0- 12/ 12 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
52キロ 0-  2-  1- 12/ 15 0.0% 13.3% 20.0% 0% 192%
53キロ 6-  2-  4- 20/ 32 18.8% 25.0% 37.5% 169% 134%
54キロ 0-  1-  1- 12/ 14 0.0% 7.1% 14.3% 0% 28%
55キロ 1-  1-  0- 13/ 15 6.7% 13.3% 13.3% 37% 58%
55.5キロ 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
56キロ 1-  1-  1- 11/ 14 7.1% 14.3% 21.4% 88% 72%
56.5キロ 0-  0-  1-  0/  1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 230%
57キロ 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
※該当例のあるハンデのみ

表2はハンデ別成績。過去9回のマーメイドSで6勝と抜群の強さを誇るのがハンデ53キロだ。そもそもの出走数が多いこともあるが、2、3着の数も多く、回収率も単勝169%、複勝134%と非常に優秀だ。この53キロをひとつの基準として、「ハンデ52キロ以下」と「ハンデ54キロ以上」で分けると、前者は【1.4.2.41】、勝率2.0%、複勝率14.3%、単勝回収率237%、複勝回収率160%、後者は【2.3.3.38】、勝率4.3%、複勝率17.4%、単勝回収率39%、複勝回収率55%となっている。好走率は後者のハンデ54キロ以上が若干有利ながらも、回収率は前者のハンデ52キロ以下が明らかに高い。荒れる重賞ということを考えれば、ハンデ52キロ以下のほうを重視したほうがいいかもしれない。

■表3 前走からの斤量増減別成績

前走斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
今回増 1-  3-  3- 20/ 27 3.7% 14.8% 25.9% 45% 118%
増減なし 2-  2-  1- 22/ 27 7.4% 14.8% 18.5% 102% 116%
今回減 6-  4-  5- 58/ 73 8.2% 13.7% 20.5% 203% 114%

表3は前走と比べて斤量が増えた馬(今回増)、増減なしの馬、減った馬(今回減)の成績を比較したもの。まず1着に注目すると、「今回減」が過去9回で6勝を挙げており、単勝回収率も203%と非常に高い。勝率8.2%も3つの区分でもっとも高く、軸馬選びで迷ったら「今回減」の馬を重視する作戦は有力だ。ただし、ならば「今回増」の馬が不利かといえば、そうとも言い切れないのがマーメイドSの難解なところ。勝率3.7%、単勝回収率45%と勝ち切れない傾向はあるものの、複勝率25.9%はもっとも高く、複勝回収率118%では無視できない。「今回増」の馬を1着固定にはしづらいが、相手に買っておきたい成績とはいえる。

■表4 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
3歳 0-  0-  0-  4/  4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
4歳 2-  1-  4- 29/ 36 5.6% 8.3% 19.4% 15% 41%
5歳 5-  5-  3- 48/ 61 8.2% 16.4% 21.3% 256% 126%
6歳 2-  3-  1- 14/ 20 10.0% 25.0% 30.0% 132% 253%
7歳以上 0-  0-  1-  5/  6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 71%

表4は年齢別成績。一般に牝馬はピークの期間が短く、高齢まで活躍する馬は少ないものだが、マーメイドSはまったく逆の傾向が出ている。4歳より5歳、5歳より6歳の好走率が高いという意外な数字が出ているのだ。このこともマーメイドSに波乱の決着が多い一因と考えていいだろう。なお、今年は3歳馬の登録はなかったが、過去9回で出走した4頭すべて6着以下。京都開催のため今回は集計対象外とした2006年にソリッドプラチナムが3歳馬として勝利を挙げているものの、通常の阪神開催では苦戦が続いている。

■表5 馬体重別成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
419キロ以下 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
420〜439キロ 1- 2- 3-10/16 6.3% 18.8% 37.5% 138% 185%
440〜459キロ 5- 3- 1-22/31 16.1% 25.8% 29.0% 92% 107%
460〜479キロ 2- 2- 5-30/39 5.1% 10.3% 23.1% 338% 171%
480〜499キロ 1- 2- 0-25/28 3.6% 10.7% 10.7% 20% 60%
500キロ以上 0- 0- 0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表5はレース当日の馬体重別成績。これを見て気づくのは、大型馬が意外なほど苦戦していることだ。500キロ以上で出走した延べ10頭はすべて4着以下に敗れ、480〜499キロも【1.2.0.25】と苦戦傾向が目立つ。その一方で、複勝率ベースで見ると、419キロ以下の小型馬を除けば馬体重が軽いゾーンになるほど高い数字を記録。また、440〜459キロのゾーンが過去9回で5勝、勝率16.1%と中型馬が1着になるケースが多くなっている。直線に急坂が設けられている阪神コースだけに、パワーの面で有利な大型馬向きかと思いきや、マーメイドSでは小型馬や中型馬のほうが好成績を残していることをしっかりと覚えておきたい。

■表6 前走クラス別成績

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
500万下 0-  0-  0-  3/  3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1000万下 2-  2-  0-  9/ 13 15.4% 30.8% 30.8% 912% 355%
1600万下 3-  2-  3- 30/ 38 7.9% 13.2% 21.1% 61% 59%
オープン特別 2-  2-  1- 14/ 19 10.5% 21.1% 26.3% 98% 136%
G3 1-  1-  0- 15/ 17 5.9% 11.8% 11.8% 130% 94%
G2 1-  0-  1-  7/  9 11.1% 11.1% 22.2% 62% 224%
G1 0-  2-  4- 22/ 28 0.0% 7.1% 21.4% 0% 56%

表6は前走クラス別成績。注目すべきは、過去9回で前走G1出走馬が勝ったことが1回もないことだ。前走でG1に出走していただけあって、ここで1〜3番人気に推された馬も少なからずいるのだが、その成績は【0.0.3.7】と3着が精一杯となっている。また、前走でG2やG3に出走していた馬の成績も特筆すべきほどではなく、これもマーメイドSが荒れる一因とみて間違いないだろう。重賞以外のレースに出走した馬で好走例が多いのは、1600万下、オープン特別、1000万下の順。前走が500万下でなければ、条件戦から上がってきたばかりの馬も十分狙えるようだ。

■表7 前走重賞出走馬・前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走1着 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走2着 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走3着 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走4着 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走5着 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走6〜9着 1- 1- 1-10/13 7.7% 15.4% 23.1% 43% 65%
前走10着以下 1- 2- 4-23/30 3.3% 10.0% 23.3% 73% 145%

表7、表8では「前走重賞出走馬」と「前走非重賞出走馬」に分けて、前走の着順別成績を見てみたい。まず、「前走重賞出走馬の前走着順別成績」を示したものが表7だが、実に意外な結果が出ている。前走重賞で1〜5着に入った馬は合わせて【0.0.0.11】と、1頭も3着以内に入っていないのだ。マーメイドSは春シーズンの終わりに位置するレース。春競馬を戦い抜き、前走の重賞でもいい走りを見せた馬が、その状態を維持して出走するのはなかなか難しいのかもしれない。

■表8 前走非重賞出走馬・前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走1着 2- 4- 1-14/21 9.5% 28.6% 33.3% 31% 124%
前走2着 1- 0- 0- 3/ 4 25.0% 25.0% 25.0% 82% 37%
前走3着 1- 0- 0- 4/ 5 20.0% 20.0% 20.0% 128% 48%
前走4着 1- 0- 0- 6/ 7 14.3% 14.3% 14.3% 222% 61%
前走5着 0- 1- 0- 4/ 5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 164%
前走6〜9着 2- 1- 3-10/16 12.5% 18.8% 37.5% 804% 326%
前走10着以下 0- 0- 0-15/15 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表8は、「前走非重賞出走馬の前走着順別成績」。重賞より格が落ちるだけに前走でも好走していることが必要条件になるかと思いきや、前走6〜9着馬の好走例も多く、好走率も高いのは驚きだ。しかも、このなかにはオープン特別だけでなく、08年1着のトーホウシャイン(前走1000万下9着)、同年3着のソリッドプラチナム(前走1600万下7着)、12年3着のメルヴェイユドール(前走1600万下7着)と、条件戦で苦戦していた馬も3頭含まれている。さすがに10着以下に敗れていると厳しいようだが、条件戦で掲示板にも載れなかった馬だからと軽視しないように心がけたい。

【結論】

2016/5/15 東京9R テレ玉杯 1着 10番 ゴールドテーラー

表6や表8で確認した通り、マーメイドSでは前走で重賞以外のレースに出走していた馬が侮れず、前走10着以下でなければ十分に狙える。また、波乱傾向が強いことを考慮すると、ある程度は手広く構えておいたほうがいいレースでもあるだろう。

今年の登録馬のなかで最初に注目したいのはゴールドテーラーだ。すでに6歳の牝馬で、前走時で424キロという小型馬。常識的には狙いづらいところではあるのだが、ことマーメイドSに限っては年齢、馬体重ともに好走率の高いゾーンに合致。前走1000万下出走馬の好走率も高く、思い切って狙ってみる価値はある。条件戦組では、前走434キロのレッドオリヴィアの名前も挙げておきたい。

2015/9/27 阪神10R ムーンライトハンデ 1着 2番 ウインリバティ

マーメイドSで抜群の成績を残しているハンデ53キロの組では、該当する3頭のウインリバティハピネスダンサーリラヴァティはいずれも面白そうな存在だ。ウインリバティは前走の福島牝馬Sで11着だが、前走重賞組ならふたケタ着順からの巻き返した例が7例もあり、マーメイドSでは消耗していない点がかえって好材料になる可能性もある。直近の勝利が同条件の阪神芝2000mだった点ことを考えても、不気味な存在だ。

上位人気が予想されるシュンドルヴォンナムラアンも、致命的な条件に合致しているわけではなく、もちろん狙える馬であることは間違いない。ただし、再三述べてきた通り、マーメイドSは波乱の傾向が非常に強い。ならば、穴目の馬を狙ったほうが期待値は大きいのではないか、というのが筆者の考えである。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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