第968回 阪神開催2年目の朝日杯FSを展望|競馬情報ならJRA-VAN

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第968回 阪神開催2年目の朝日杯FSを展望

2015/12/17(木)

今週は2歳牡馬のチャンピオン決定戦・朝日杯フューチュリティS(以下、朝日杯FS)が行なわれる。阪神での初回となった昨年も担当した筆者は、阪神開催のデータがないながらも「牡馬2歳G1を勝つために必要な資質や能力」に着目(第864回)。そこから有力馬として挙げた4頭のうち2頭が、幸運にも3着以内に入ってくれた。今年も状況はあまり変わらないが、同じようなデータを出しても芸がないので、昨年とは異なる角度から朝日杯FSを展望してみたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 2014年朝日杯FS1〜3着馬

着順 人気 馬名 上がり3F(順位) 4角通過順 前走 通算成績
レース名 コース 着順
1 1 ダノンプラチナ 35.4(1位) 12 ベゴニア賞・500万下 東京芝1600m 1 3戦2勝
2 14 アルマワイオリ 35.5(2位タイ) 12 デイリー杯2歳S・G2 京都芝1600m外 4 4戦2勝
3 3 クラリティスカイ 35.9(5位) 6 いちょうS・重賞 東京芝1600m 1 4戦2勝

表1は、昨年の朝日杯FS1〜3着馬を一覧にしたものである。阪神開催となった朝日杯FSの傾向として、まずはここから読み取れるものを考えていこう。

昨年の1〜3着馬の共通点として最初に挙げられるのが、いずれも2勝馬だったこと。昨年のデータ分析(第864回)では、2勝以上を挙げていた馬が明らかに優位と述べたが、阪神開催においてもこの傾向は変わらないとみてよさそうだ。

もうひとつ、昨年の1〜3着馬は、いずれも前走が東京や京都外回りという直線の長さが十分にあるコースの芝1600m戦だったことも共通点として挙げられる。ただし、ここには見逃せない違いもある。東京を勝ってきた1着ダノンプラチナと3着クラリティスカイは連続好走したのに対し、京都から臨んだ2着アルマワイオリは前走の4着から巻き返していることだ。朝日杯FSの舞台となる阪神は直線に坂があるコース。直線が平坦の京都より、坂のある東京のほうが直結しやすい部分があるのかもしれない。

次いで、連対した2頭の共通点として挙げられるのが、いずれも4角12番手という後ろのポジションから差して好走したこと。そして、1着のダノンプラチナは上がり1位、2着のアルマワイオリも上がり2位タイの速い上がりを記録したことである。直線の短い中山から、直線の長い阪神外回りに舞台が移り、上がりの脚の重要性が増したのだろう。3着のクラリティスカイは上がり5位タイと若干劣ったぶん、連対には至らなかったとも考えることもできそうだ。

以上のことから、直線の長いコースで速い上がりを使って好走した実績のある馬を重視するのが基本線となるのではないか。なかでも、東京で速い上がりを使って好走した差しタイプの馬に注目してみたい。

■表2 キャリア別成績

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1戦 0-  0-  0-  5/  5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2戦 4-  1-  2- 14/ 21 19.0% 23.8% 33.3% 96% 79%
3戦 4-  2-  4- 43/ 53 7.5% 11.3% 18.9% 59% 42%
4戦 1-  5-  2- 36/ 44 2.3% 13.6% 18.2% 7% 68%
5戦 1-  2-  1- 19/ 23 4.3% 13.0% 17.4% 150% 70%
6戦 0-  0-  1-  7/  8 0.0% 0.0% 12.5% 0% 48%
7戦以上 0-  0-  0-  5/ 5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表2はキャリア別成績。好走回数と好走率を見る限り、キャリア2戦で臨む馬の成績が頭ひとつ抜けている。以下、複勝率ベースではキャリア3戦、キャリア4戦、キャリア5戦の好走率はほぼ互角。このなかでは、勝ち馬4頭が出ているキャリア3戦の馬を重視したほうがいいだろう。一方、キャリア6戦になると連対例がなく、キャリア7戦以上で好走した例はない。ここまで使うと実戦経験の豊富さより、疲労や上積みのなさなどのマイナス面のほうが大きくなるのだろう。そして、キャリア1戦で好走した例も過去10年では皆無。人気になった馬がいないことを差し引いても、新馬戦を勝ち上がった直後にG1という臨戦過程が有利に働くことは、さすがにないのだろう。

■表3 ディープ産駒不出走時の阪神芝1600m・種牡馬別成績(着別度数順)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
マンハッタンカフェ 3- 0- 0- 6/ 9 33.3% 33.3% 33.3% 228% 74%
ダイワメジャー 2- 4- 3-12/21 9.5% 28.6% 42.9% 30% 88%
キングカメハメハ 2- 3- 2-31/38 5.3% 13.2% 18.4% 18% 38%
ハーツクライ 2- 3- 2-14/21 9.5% 23.8% 33.3% 54% 56%
アドマイヤムーン 2- 1- 0-10/13 15.4% 23.1% 23.1% 137% 56%
ディープスカイ 2- 0- 0- 5/ 7 28.6% 28.6% 28.6% 242% 68%
Redoute's Choice 2- 0- 0- 0/ 2 100.0% 100.0% 100.0% 460% 180%
ゼンノロブロイ 1- 4- 0-10/15 6.7% 33.3% 33.3% 36% 74%
タイキシャトル 1- 2- 0- 6/ 9 11.1% 33.3% 33.3% 35% 145%
マツリダゴッホ 1- 1- 2- 5/ 9 11.1% 22.2% 44.4% 33% 125%

今年の朝日杯FSで焦点のひとつとなるのが、舞台となる阪神芝1600mで圧倒的な強さを誇るディープインパクト産駒の登録がなかったことである。このコースでは上位人気に推されたディープ産駒を軸にレースが繰り広げられることが多く、昨年の朝日杯FSでも出走馬で唯一のディープ産駒だったダノンプラチナが勝利を収めている。

そのディープ産駒が不在となると、レースの質が変わってくるとも考えられる。そこで、ディープ産駒不在で行なわれた阪神芝1600mの種牡馬別成績を出してみた。それが表3で、集計期間は13年2月23日〜15年12月13日となっている。この条件で最多の3勝を挙げているのがマンハッタンカフェである。全9走のうち、3勝以外はすべて4着以下と極端な成績ではあるが、勝ち切れる点には魅力がある。やや勝ち切れない面はあるものの、ダイワメジャーの複勝率42.9%は優秀で、3着以内という意味では見逃せない。そのほかではハーツクライアドマイヤムーンにも注目してみる価値がありそうだ。

意外なのは、ディープインパクトと並ぶ現代の二大種牡馬と呼べるキングカメハメハの不振である。出走回数が多いこともあって着別度数順では3位に入っているが、好走率も回収率も振るわない。今年はドゥラメンテやラブリーデイなどキングカメハメハ産駒の活躍が目立つこともあり、「ディープがいなければキンカメで」と考えたくなってしまうところではあるのだが、この条件に限っては慎重に検討したほうがいいのかもしれない。

【結論】

2015/8/9 新潟5R サラ2歳新馬 1着 8番 イモータル

2015/11/7 東京11R 京王杯2歳ステークス(G2)1着 18番 ボールライトニング

表1の項で述べた通り、東京で速い上がりを使って好走した実績を持つ馬から探してみたい。その観点から挙がるのがイモータル。昨年、2頭の好走馬を送り込んだ東京芝1600mのサウジアラビアロイヤルCで差して2着に好走している。上がり4位タイという点は若干物足りない感もあるが、直線でスムーズに走れていればもうすこし詰められた可能性はある。朝日杯FSで強いキャリア2戦馬で、ディープ産駒不在時の阪神芝1600mで勝率が高いマンハッタンカフェ産駒とプラス材料も多く、有望と考える。

次に取り上げたいのが、こちらもディープ産駒不在時の当コースで好走率が高いダイワメジャー産駒の2頭、ボールライトニングショウナンライズ。前者は京王杯2歳Sを上がり3位タイで1着、後者はくるみ賞を上がり1位で1着と、いずれも東京で速い上がりを使って前走を勝ってきた。ただし、両レースとも芝1400m戦。昨年の1〜3着の前走がいずれも芝1600m戦だったことを考慮すると、そのぶんの割引は必要かもしれない。

京王杯2歳S組では2着のアドマイヤモラールと3着のシャドウアプローチも参戦を予定している。ただし、過去4戦で上がり3位以内を記録したことが1回しかない前者は、上がりの脚が不足しているか。ならば、1400mまでの距離ではあるが、過去4戦すべてで上がり3位以内だったシャドウアプローチのほうを上位にとってみたい。

今年のデイリー杯2歳Sは、逃げたシュウジが2着、4角2番手のエアスピネルが1着という逃げ・先行決着だった。もっとも、昨年の朝日杯FSは4角12番手の馬が1、2着を占める差し決着。また、デイリー杯2歳S4着のアルマワイオリが本番で2着に巻き返したことを考えても、デイリー杯2歳Sと朝日杯FSは距離こそ同じでも、異なる質のレースになりやすいのかもしれない。加えて、エアスピネルはディープ不在時の阪神芝1600mで案外なキングカメハメハ産駒という点も気になる。もちろん、両馬とも能力の高さは疑いようがなく、当日の馬場状態やレース展開が先行馬に向く可能性もあるだろうが、デイリー杯2歳Sの内容については過信しないほうがいいのかもしれない。

最後にリオンディーズ。血統背景や新馬戦の勝ち方を見る限り、素晴らしい素質を秘めた馬であることは間違いない。しかし、キャリア1戦やキングカメハメハ産駒ということを考えれば、データから推しづらいという結論を下さざるをえない。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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