第953回 秋の古馬G1・3連戦を再検証|競馬情報ならJRA-VAN

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第953回 秋の古馬G1・3連戦を再検証

2015/10/26(月)

今週日曜には東京競馬場で秋の天皇賞が行われ、ここからジャパンC、有馬記念と続く「秋の古馬G1・3連戦」がいよいよスタートする。天皇賞そのもののデータ分析は木曜掲載分で行うこととして、月曜掲載分の今回は、その「秋の古馬G1・3連戦」すべて同一年に出走した馬の成績を振り返ってみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念すべて出走した馬(過去15年)

3戦出走 優勝馬
00 4頭 テイエムオペラオー(3連勝)
01 3頭 なし
02 4頭 シンボリクリスエス(天・有)
03 3頭 シンボリクリスエス(天・有)
04 2頭 ゼンノロブロイ(3連勝)
05 7頭 ヘヴンリーロマンス(天)、ハーツクライ(有)
06 2頭 なし
07 5頭 メイショウサムソン(天)
08 2頭 なし
09 2頭 なし
10 2頭 ブエナビスタ(天)
11 6頭 トーセンジョーダン(天)、ブエナビスタ(J)
12 3頭 エイシンフラッシュ(天)
13 2頭 なし
14 4頭 エピファネイア(J)、ジェンティルドンナ(有)

まず表1は、00年以降の15年間について、この「秋の古馬G1・3連戦」すべてに出走した馬の数を調べたものである。15年で51頭、年平均では3.4頭が該当しているが、3戦すべてを制したのは2頭のみ。ただ、00年のテイエムオペラオーから04年のゼンノロブロイまでの間には、シンボリクリスエスが2年連続で「出走3回優勝2回」を達成。3連戦をこなし、最後の有馬記念まで勝ち切る馬も多い5年間だった。

2004/10/31 東京11R 天皇賞(秋)(G1)1着 13番 ゼンノロブロイ

これ以前といえば「有馬記念は余力重視」と言われ、古馬が有馬記念を勝つなら3戦のうち2戦以下しかしていない馬や(サクラローレルなど)、3戦しても天皇賞やジャパンCで掲示板を外していた馬(イナリワン、オグリキャップなど)。そして菊花賞に出走した3歳馬(新表記・ナリタブライアンなど)の勝利が目立った。そんな常識を覆したのが00年のテイエムオペラオーや、04年のゼンノロブロイだったのである。

しかしその後は再び、3連戦完走馬にとって冬の時代になり、05年以降の10年間では3連勝どころか、3戦2勝すら皆無である(10年のブエナビスタは、ジャパンCで1位入線2着降着だった)。また、3戦のうちひとつでも勝つなら、まず天皇賞を制するのが近道で、昨年のエピファネイア、ジェンティルドンナのように、「ジャパンCだけ」「有馬記念だけ」という馬は10年で4頭しか出ていない。

ただ、逆に言うと、この10年でも天皇賞馬の半数、過去15年では天皇賞馬15頭中9頭と3分の2近くが、3戦すべてに出走した馬だった。ほかに、昨年のジェンティルドンナなど2〜3着馬もいるため(表4)、今の段階で「この馬は全部出そうだから、天皇賞は目いっぱいには仕上げてこない」などと考えるのは避けるのが無難だ。

■表2 「秋の古馬G1・3連戦」参戦レース数別成績

参戦状況 成績(3戦計) 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
05 全参戦 2-2-2-15/21 9.5% 19.0% 28.6% 442% 112%
2戦以下 1-1-1-28/31 3.2% 6.5% 9.7% 34% 43%
06 全参戦 0-1-0-5/6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 71%
2戦以下 3-2-3-27/35 8.6% 14.3% 22.9% 27% 48%
07 全参戦 1-1-1-12/15 6.7% 13.3% 20.0% 19% 29%
2戦以下 2-2-2-28/34 5.9% 11.8% 17.6% 185% 107%
08 全参戦 0-1-0-5/6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 380%
2戦以下 3-2-3-34/42 7.1% 11.9% 19.0% 110% 50%
09 全参戦 0-0-1-5/6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 63%
2戦以下 3-3-2-38/46 6.5% 13.0% 17.4% 41% 41%
10 全参戦 1-3-0-2/6 16.7% 66.7% 66.7% 36% 95%
2戦以下 2-0-3-40/45 4.4% 4.4% 11.1% 38% 52%
11 全参戦 2-2-2-12/18 11.1% 22.2% 33.3% 203% 239%
2戦以下 1-1-1-26/29 3.4% 6.9% 10.3% 7% 25%
12 全参戦 1-0-3-5/9 11.1% 11.1% 44.4% 184% 93%
2戦以下 2-3-0-37/42 4.8% 11.9% 11.9% 22% 25%
13 全参戦 0-0-1-5/6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 203%
2戦以下 3-3-2-36/44 6.8% 13.6% 18.2% 43% 37%
14 全参戦 2-1-0-9/12 16.7% 25.0% 25.0% 146% 65%
2戦以下 1-2-3-34/40 2.5% 7.5% 15.0% 27% 44%

ここからは、00〜04年とは傾向が変わった05年以降の10でみていきたい。表2は、天皇賞(秋)から有馬記念の3戦のうち、3戦すべてに出走した馬と、2戦以下だった馬の成績(3戦トータル)を比較したものである。連対率でみれば、10年のうち7回で「全参戦」馬が「2戦以下」の馬を上回っている。また、「全参戦」馬が一度も馬券に絡めなかった年はない。そもそも、3戦すべてに出走するほどなら「強い馬」という面もあるのだろう。昨年のジェンティルドンナのように有馬記念を勝つには至らなくても、3連続3着のルーラーシップ(12年)や、1→2→2着のブエナビスタ(10年)のような例も見られる。

■表3 全3戦出走馬のうち、1戦でも馬券に絡んだ馬

馬名 着順 着順差
天皇賞 JC 有馬 天-JC 天-有 JC-有
05 ヘヴンリーロマンス 1 7 6 -6 -5 1
ゼンノロブロイ 2 3 8 -1 -6 -5
ハーツクライ 6 2 3 4 3 -1
リンカーン 15 4 3 11 12 1
06 スウィフトカレント 2 8 12 -6 -10 -4
07 メイショウサムソン 1 3 8 -2 -7 -5
ポップロック 4 2 5 2 -1 -3
08 アドマイヤモナーク 12 12 2 0 10 10
09 エアシェイディ 8 5 3 3 5 2
10 ブエナビスタ 1 1降2 2 -1 -1 0
ペルーサ 2 5 4 -3 -2 1
11 トーセンジョーダン 1 2 5 -1 -4 -3
ブエナビスタ 4 1 7 3 -3 -6
トゥザグローリー 5 11 3 -6 2 8
エイシンフラッシュ 6 8 2 -2 4 6
ジャガーメイル 9 3 11 6 -2 -8
12 エイシンフラッシュ 1 9 4 -8 -3 5
ルーラーシップ 3 3 3 0 0 0
13 トーセンジョーダン 11 3 14 8 -3 -11
14 ジェンティルドンナ 2 4 1 -2 1 3
エピファネイア 6 1 5 5 1 -4

2014/12/28 中山10R 有馬記念(G1)1着 4番 ジェンティルドンナ

秋の古馬G1・3戦すべてに出走した馬のうち、3戦の中で1回でも馬券に絡んだ馬を抽出したのが表3である。表の右の「着順差」は、「天皇賞とジャパンCの着順差」「天皇賞と有馬記念の着順差」そして「ジャパンCと有馬記念の着順差」を見ている。比較して着順が悪くなっていればマイナスだ。
この表からわかるように、3戦すべてに出走した馬が1回でも馬券に絡むと、後にその着順を上回るのは至難の業。つまり、秋の天皇賞で2〜3着に敗れてしまうと、その後のジャパンC、有馬記念を連戦すればほぼ勝てないのである。同様にジャパンC2〜3着馬も、有馬記念を勝てていない。
そんな傾向を覆したのが昨年2→4→1着で、引退レースの有馬記念を制したジェンティルドンナだった。これをきっかけに、表1にあったテイエムオペラオー、シンボリクリスエス、そしてゼンノロブロイのような時代にまた戻るのか、それとも昨年がたまたまそうなっただけなのか。今年はそんな視点でも、天皇賞から続くG1・3戦を見てみたいところだ。

■表4 3戦全戦出走馬のうち、秋の天皇賞で3着以内に入った馬

馬名 宝塚後の夏競馬 秋初戦 天皇賞 JC 有馬
05 ヘヴンリーロマンス 札幌記念1着 1 7 6
ゼンノロブロイ 英遠征2着 2 3 8
06 スウィフトカレント 新潟記念4着 オールカマー4着 2 8 12
07 メイショウサムソン 休養 1 3 8
10 ブエナビスタ 休養 1 1降2 2
ペルーサ 休養 毎日王冠5着 2 5 4
11 トーセンジョーダン 札幌記念1着 1 2 5
12 エイシンフラッシュ 休養 毎日王冠9着 1 9 4
ルーラーシップ 休養 3 3 3
14 ジェンティルドンナ 休養 2 4 1

表4は、秋のG1・3戦すべてに出走した馬のうち、天皇賞で3着以内に入った馬10頭である。もともと3戦する予定の馬なら夏全休で秋初戦を天皇賞に設定しても良さそうなものだが、天皇賞に宝塚記念以前からの休み明けで出走したのは4頭(40%)だけ。夏競馬以降に札幌記念や毎日王冠などを使った馬が半数以上の6頭を占めている。

■表5 3戦全戦出走馬のうち、ジャパンCで3着以内に入った馬

馬名 宝塚後の夏競馬 秋初戦 天皇賞 JC 有馬
05 ゼンノロブロイ 英遠征2着 2 3 8
ハーツクライ 休養 6 2 3
07 メイショウサムソン 休養 1 3 8
ポップロック 休養 京都大賞典2着 4 2 5
10 ブエナビスタ 休養 1 1降2 2
11 トーセンジョーダン 札幌記念1着 1 2 5
ブエナビスタ 休養 4 1 7
ジャガーメイル 休養 京都大賞典4着 9 3 11
12 ルーラーシップ 休養 3 3 3
13 トーセンジョーダン 札幌記念13着 11 3 14
14 エピファネイア 休養 6 1 5

続いて表5は、同様にジャパンCで3着以内に入った馬11。こちらは天皇賞と違い、半数を超える6頭(54.5%)が、夏競馬を休み秋初戦に天皇賞を選んでいた。また、秋に1度使った馬では、その初戦は表4では毎日王冠2頭、オールカマー1頭だったのに対し、こちらは同距離の京都大賞典2頭と、少々違う傾向が出ている。

■表6 3戦全戦出走馬のうち、有馬記念で3着以内に入った馬

馬名 宝塚後の夏競馬 秋初戦 天皇賞 JC 有馬
05 ハーツクライ 休養 6 2 3
リンカーン 休養 京都大賞典1着 15 4 3
08 アドマイヤモナーク 休養 京都大賞典2着 12 12 2
09 エアシェイディ 新潟記念4着 8 5 3
10 ブエナビスタ 休養 1 1降2 2
11 トゥザグローリー 休養 5 11 3
エイシンフラッシュ 休養 6 8 2
12 ルーラーシップ 休養 3 3 3
14 ジェンティルドンナ 休養 2 4 1

そして最後に表6は、有馬記念で3着以内に入った9頭。ここまで3戦全出走馬を見て、馬券に絡んだのは天皇賞が10頭、ジャパンCが11頭、そして有馬記念が9頭と大差はない。3戦の内容にもよるだろうが、単に「3戦すべてに出ていた」という理由で、有馬記念の「消し」材料としてしまうのは避けたい。また、天皇賞前の秋競馬出走馬2頭は、ともに京都大賞典だったという点は、ジャパンCに近い。
そして9頭中6頭(66.7%)が、夏から秋序盤は全休して天皇賞が秋初戦だった。さらに言えば、宝塚記念後の夏競馬出走馬は、天皇賞好走馬では4/10、ジャパンCは3/11、そして有馬記念は1/10。いずれにしても「3戦全出走馬」なら、天皇賞からジャパンC、そして有馬記念と3連戦が進むにつれ、夏競馬出走馬や、天皇賞前の秋競馬に1度使われた馬は好走しづらくなる傾向だ。

以上、秋の古馬G1・3連戦、いわゆる「秋の古馬三冠」レース全戦出走馬について、いくつかデータを拾ってみた。天皇賞の段階では、まだどの馬が全戦出走するかわからない上、表4の好走馬を見ても臨戦過程はバラバラな印象がある。そのため木曜掲載分では、別の視点から天皇賞を分析する予定だ。ただ、ジャパンC、そして有馬記念と進めば、表3や、表5〜6に挙げたような傾向が見えてくる。目の前の天皇賞を当てたいのはもちろんだが、ジャパンCや有馬記念に至る過程のひとつとしても、この天皇賞も楽しみたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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