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第952回 二冠馬不在となった今年の菊花賞を読み解く

2015/10/22(木)

ドゥラメンテが無事であれば、三冠をかけた一戦となるはずだった今年の菊花賞。代わって菊の大輪を咲かせるのは、皐月賞2着のリアルスティールか、ダービー2着のサトノラーゼンか、神戸新聞杯を圧勝して一躍注目を集めるリアファルか、それとも別の馬か。過去10年の結果からレースを占ってみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 5-  1-  1-  3/ 10 50.0% 60.0% 70.0% 91% 90%
2番人気 0-  2-  0-  8/ 10 0.0% 20.0% 20.0% 0% 33%
3番人気 1-  0-  4-  5/ 10 10.0% 10.0% 50.0% 69% 124%
4番人気 1-  1-  0-  8/ 10 10.0% 20.0% 20.0% 84% 49%
5番人気 0-  2-  0-  8/ 10 0.0% 20.0% 20.0% 0% 65%
6番人気 0-  2-  1-  7/ 10 0.0% 20.0% 30.0% 0% 115%
7番人気 1-  1-  2-  6/ 10 10.0% 20.0% 40.0% 232% 193%
8番人気 2-  0-  0-  8/ 10 20.0% 20.0% 20.0% 634% 136%
9番人気 0-  0-  1-  9/ 10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 65%
10番人気以下 0-  1-  1- 86/ 88 0.0% 1.1% 2.3% 0% 22%

表1は人気別成績。1番人気は過去10年で5勝を挙げ、複勝率70.0%。昨年のワンアンドオンリーは9着に敗れたものの、1番人気全体としてはなかなかの信頼度と言えるだろう。一方の2番人気は、2着2回を除くとすべて馬券圏外と不振傾向がある。以下、8番人気まではいずれも複勝率20.0%以上を記録しており、いわゆる中穴クラスの馬まではマークが必要になりそうだ。10番人気以下の人気薄に関しては、あまり期待できない数値が出ている。

■表2 「前走と同騎手」と「乗り替わり」の比較

騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走と同騎手 10-  7-  9- 95/121 8.3% 14.0% 21.5% 91% 72%
乗り替わり 0-  3-  1- 53/ 57 0.0% 5.3% 7.0% 0% 34%

表2は「前走と同騎手が騎乗した馬」と「前走から騎手が乗り替わりになった馬」の成績を比較したものである。ご覧の通り、10年の菊花賞を制したのは、すべて前走と同騎手が騎乗した馬だった。2着馬や3着馬についてもほぼ同様の傾向が出ており、前走と同騎手が騎乗した馬を重視したい。

■表3 前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1着 5-  2-  4- 43/ 54 9.3% 13.0% 20.4% 45% 64%
2着 1-  3-  1- 16/ 21 4.8% 19.0% 23.8% 40% 58%
3着 4-  3-  2- 14/ 23 17.4% 30.4% 39.1% 339% 150%
4着以下 0- 2- 3-75/80 0.0% 2.5% 6.3% 0% 31%

表3は前走着順別成績。10年の菊花賞好走馬30頭のうち、25頭は前走でも1〜3着に入っていた馬が占めている。対して、前走4着以下から巻き返して好走を果たした馬は5頭のみ。数だけでなく、好走率で見ても前走1〜3着と前走4着以下では大きな差がついており、前走着順はそのまま菊花賞の着順に直結する重要なファクターと考えたほうがいいだろう。

■表4 前走4着以下馬の前走レース別成績

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
神戸新聞杯 0- 2- 3-36/41 0.0% 4.9% 12.2% 0% 61%
それ以外 0- 0- 0-39/39 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

前項で、前走4着以下だった馬の巻き返しが難しいことを確認したが、少ないながらも巻き返しに成功した馬もいる。そうした馬について調べてところ、前走4着以下から好走を果たした馬の前走はすべて神戸新聞杯だったことがわかった。裏を返すと、神戸新聞杯以外のレースで4着以下に敗れた馬が巻き返した例は、過去10年では皆無ということになる。

■表5 前走レース別成績(好走例のある重賞のみ)

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
神戸新聞杯・G2 9- 7- 5-47/68 13.2% 23.5% 30.9% 135% 95%
セントライト記念・G2 0- 2- 2-42/46 0.0% 4.3% 8.7% 0% 28%
京都大賞典・G2 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 290%

表5は、対象を好走例のある重賞に限った前走レース別成績。ふたつのトライアルG2で明暗が分かれていることが確認できるだろう。10年、神戸新聞杯は勝ち馬9頭を含む計21頭の好走馬を送り出している一方で、セントライト記念から菊花賞を勝った馬は1頭もおらず、好走率でも大きく水を開けられている。まずは神戸新聞杯組を重視するのがセオリーだ。なお、前走が重賞以外のレースで好走した馬は4頭おり、表10の項で後述する。

■表6 神戸新聞杯1着馬の前走4角通過順別成績(07年以降)

前走4角通過順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
6番手以内 3- 1- 0- 1/ 5 60.0% 80.0% 80.0% 88% 92%
7番手以降 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表4と表5の項で、神戸新聞杯の重要性についてはご理解いただけたことだろう。そこで大事になってくるのが、神戸新聞杯でどのようなレースをしていれば菊花賞好走につながりやすいか、ということである。ここからはそれを調べていこう。なお、表6〜表8のデータに関しては、神戸新聞杯が現在の条件(阪神芝2400m)になった07年以降を集計対象とする。

まず、神戸新聞杯1着馬を見ていこう。ここで重要なのが、神戸新聞杯の4角通過順だ。神戸新聞杯を4角6番手以内から勝った馬が菊花賞でも高い確率で好走しているのに対し、7番手以降から差し切った07年のドリームジャーニーは菊花賞5着、09年のイコピコも同4着と馬券圏内にひと息届かなかった。神戸新聞杯で一定以上の先行力を見せて勝っていれば、菊花賞での信頼性は相当に高い。

■表7 神戸新聞杯2、3着馬の前走人気別成績(07年以降)

前走人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1〜3番人気 1- 2- 0- 4/ 7 14.3% 42.9% 42.9% 52% 85%
4番人気以下 3- 1- 1- 2/ 7 42.9% 57.1% 71.4% 550% 242%

次いで、神戸新聞杯2、3着馬について調べると興味深いデータが見つかった。表7の通り、神戸新聞杯で1〜3番人気から2、3着に入った馬より、4番人気以下から2、3着に入った馬のほうが、菊花賞では好成績を収めているのだ。複勝率42.9%の前者を無視することはできないが、後者に該当する馬がいればそちらを重視したいところだ。

■表8 神戸新聞杯4着以下の好走馬(07年以降)

年度 人気 着順 馬名 神戸新聞杯 種牡馬 母父
人気 着順
08 15 2 フローテーション 14 12 スペシャルウィーク リアルシャダイ
9 3 ナムラクレセント 7 6 ヤマニンセラフィム サクラショウリ
12 7 3 ユウキソルジャー 9 4 トーセンダンス オースミタイクーン

神戸新聞杯が2400mになった07年以降、神戸新聞杯4着以下だった馬の成績は【0.1.2.35】。この数少ない好走例である3頭について調べたところ、血統的に面白い共通項があったので紹介した。08年2着のフローテーションは、92年の菊花賞馬ライスシャワーの父であるリアルシャダイを母父に持っていた。同様に、08年3着のナムラクレセントの母父サクラショウリも、87年の菊花賞馬サクラスターオーの父。そして、12年3着のユウキソルジャーは、父がトーセンダンスだった。同馬は競走馬としては未勝利に終わったものの、ダンスインザダークの全弟にあたる良血馬で、ダンスインザダークといえば自身が菊花賞を勝ち、種牡馬としても3頭の菊花賞馬を送り出している。すなわち、神戸新聞杯4着以下から巻き返した3頭は、いずれも菊花賞に縁の深い父や母父を持っていたのである。3000mという未知の距離を走るにあたって、血統が大いに威力を発揮したのだろう。

■表9 セントライト記念出走の好走馬

年度 人気 着順 馬名 セントライト記念 春二冠の成績
人気 着順 皐月賞 ダービー
07 1 3 ロックドゥカンブ 1 1 不出走 不出走
09 7 2 フォゲッタブル 7 3 不出走 不出走
11 3 3 トーセンラー 3 2 7着 11着
12 5 2 スカイディグニティ 14 2 不出走 不出走

表9は、セントライト記念組の好走馬を一覧にまとめたものである。注目ポイントはふたつ。ひとつは、セントライト記念で3着以内に入っていること。もうひとつは、皐月賞とダービーのいずれにも不出走だった馬が4頭中3頭を占めていることだ。つまり、セントライト記念組に関しては、ここに来て力をつけてきた上がり馬が狙い目と言えるのではないだろうか。

■表10 前走条件戦出走の好走馬

年度 人気 着順 馬名 前走
レース名 条件 着順
09 8 1 スリーロールス 野分特別・1000万下 阪神芝1800m 1
10 13 3 ビートブラック 兵庫特別・1000万下 阪神2400 1
13 3 3 バンデ 兵庫特別・1000万下 阪神2400 1
14 7 3 ゴールドアクター 支笏湖特別・1000万下 札幌芝2600m 1

表10は、前走で条件戦に出走していた好走馬をまとめたものである。まず、4頭すべてに共通するのが1000万下の特別戦で1着だったことで、これは絶対条件と考えていいだろう。そして、4頭中3頭に共通するのが阪神のレースだったことと、2400m以上のレースだったこと。前走で条件戦に出走していた馬に関しては、これらのポイントを満たしているかどうかをチェックしておきたい。

【結論】

2015/9/27 阪神11R 神戸新聞杯(G2)1着 6番 リアファル

2015/2/15 東京11R 共同通信杯(G3)1着 1番 リアルスティール

まずは神戸新聞杯組から見ていきたい。表6の項で確認した通り、神戸新聞杯1着馬のチェックポイントは4角通過順だった。今年の該当馬リアファルの4角通過順は1番手だったので、しっかりとクリアしている。もちろん有力馬と見るべきだろう。

神戸新聞杯2、3着馬に関しては、1〜3番人気だった馬より、4番人気以下だった馬のほうが菊花賞で好成績という逆転現象が起きている。そうなると、神戸新聞杯で1番人気2着だったリアルスティールより、7番人気3着だったトーセンバジルを狙ってみたいところだったが、残念ながら後者は菊花賞の登録がない。前述の通り、神戸新聞杯1〜3番人気から2、3着でも複勝率42.9%なのでリアルスティールにも好走の可能性は十分にあるだろう。

神戸新聞杯4着以下から巻き返すには、その父か母父に菊花賞で好成績を収める種牡馬が入っていることが条件だった。今年の登録馬では母父にサンデーサイレンス(産駒が菊花賞4勝)が入るレッドソロモンマッサビエルの2頭が該当する。サンデーサイレンスは菊花賞に強いというより、全方位的に強い種牡馬だったので微妙なところもあるが、条件には合致しているので一応は押さえておきたい。

全体的には苦戦傾向のセントライト記念組だが、好走しているのは春二冠不出走の上がり馬であるケースが多い。その観点でいくと、皐月賞、ダービーともに1着のキタサンブラック、2着のミュゼエイリアンより、どちらも不出走だった3着のジュンツバサのほうが面白いかもしれない。ダービー2着のサトノラーゼンは、春の実績があることがセントライト記念組にとってはかえってマイナスとなり、7着に敗れたことも割引材料とせざるをえない。

最後に前走1000万下組では、2500mの九十九里特別を勝って臨むスティーグリッツと、阪神の能勢特別1着のワンダーアツレッタにチャンスがありそうだ。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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