第941回 ポスト・サクラバクシンオーを考える|競馬情報ならJRA-VAN

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第941回 ポスト・サクラバクシンオーを考える

2015/9/14(月)

芝短距離戦線の種牡馬成績で長年上位にいたのがサクラバクシンオー。自身も93〜94年のスプリンターズSを連覇したように、一時代を築いた快速スプリンターであり、その特徴は産駒にも十分受け継がれた。芝短距離界の代名詞と言えるほど大きな存在だったが、残念ながら11年に死去。産駒は現3歳世代が最後であり、今年デビューする2歳馬はいない。そこで今回は、ポスト・サクラバクシンオーをテーマに考えてみたい。明日の芝短距離界の勢力図を予測してみたい。

■表1 今年の芝1000〜1200mの種牡馬成績(9/6まで)

順位 種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1 サクラバクシンオー 20- 10-  8-102/140 14.3% 21.4% 27.1% 86 67
2 ダイワメジャー 15- 13- 26-147/201 7.5% 13.9% 26.9% 38 76
3 アドマイヤムーン 11- 13-  8- 88/120 9.2% 20.0% 26.7% 99 89
4 マンハッタンカフェ 9-  5-  3- 50/ 67 13.4% 20.9% 25.4% 108 70
5 キンシャサノキセキ 8- 10-  6- 58/ 82 9.8% 22.0% 29.3% 37 63
6 ディープインパクト 8-  8-  7- 82/105 7.6% 15.2% 21.9% 35 46
7 マイネルラヴ 8-  4-  2- 53/ 67 11.9% 17.9% 20.9% 214 108
8 ゼンノロブロイ 8-  0-  0- 49/ 57 14.0% 14.0% 14.0% 147 47
9 ハーツクライ 7-  7-  3- 28/ 45 15.6% 31.1% 37.8% 111 129
10 タイキシャトル 7-  5- 10- 62/ 84 8.3% 14.3% 26.2% 88 111
11 スウェプトオーヴァーボード 6-  6-  1- 81/ 94 6.4% 12.8% 13.8% 40 51
12 ストーミングホーム 6-  4-  7- 18/ 35 17.1% 28.6% 48.6% 70 108
13 ヨハネスブルグ 5- 11- 10- 50/ 76 6.6% 21.1% 34.2% 50 176
14 ファルブラヴ 5-  8-  2- 48/ 63 7.9% 20.6% 23.8% 32 46
15 キングカメハメハ 5-  7-  4- 88/104 4.8% 11.5% 15.4% 51 64
16 ブライアンズタイム 5-  1-  3- 21/ 30 16.7% 20.0% 30.0% 214 95
17 パイロ 5-  1-  2- 12/ 20 25.0% 30.0% 40.0% 259 77
18 キングヘイロー 4-  4-  5- 43/ 56 7.1% 14.3% 23.2% 196 126
19 エンパイアメーカー 4-  3-  0- 18/ 25 16.0% 28.0% 28.0% 42 58
20 コマンズ 4-  2-  3- 26/ 35 11.4% 17.1% 25.7% 74 77
21 メイショウサムソン 4-  2-  2- 20/ 28 14.3% 21.4% 28.6% 297 115
22 ブラックタイド 4-  1-  6- 33/ 44 9.1% 11.4% 25.0% 79 98
23 マツリダゴッホ 3-  7-  6- 68/ 84 3.6% 11.9% 19.0% 15 93
24 シンボリクリスエス 3-  6-  2- 39/ 50 6.0% 18.0% 22.0% 91 58
25 グラスワンダー 3-  5-  4- 44/ 56 5.4% 14.3% 21.4% 25 59
26 ステイゴールド 3-  4-  4- 60/ 71 4.2% 9.9% 15.5% 21 64
27 デュランダル 3-  4-  1- 33/ 41 7.3% 17.1% 19.5% 43 198
28 ジャングルポケット 3-  2-  6- 31/ 42 7.1% 11.9% 26.2% 39 97
29 フジキセキ 3-  2-  5- 47/ 57 5.3% 8.8% 17.5% 19 57
30 ディープスカイ 3-  2-  1- 17/ 23 13.0% 21.7% 26.1% 48 43
※出走回数10回以上に限る。

まずは今年の芝1000〜1200mにおける種牡馬成績を見ていこう(表1参照)。出走回数が10回以上の種牡馬を対象に、9/6開催終了時点までのレースを集計した。勝ち鞍のトップはサクラバクシンオー。まだ、時期的に2歳世代不在の影響は少ないだろうが、現時点で【20.10.8.102】という成績。この夏はベルカントがアイビスSDと北九州記念を連勝。さすがの存在感を見せている。しかし、今後出走馬そのものが減っていくことは確実。芝短距離のリーディングサイアー争いが、あらたな局面を迎えることになるだろう。

2015/8/23 小倉11R TV西日本北九州記念(G3)1着 3番 ベルカント

2位はダイワメジャーで【15.13.26.147】。3位はアドマイヤムーンで【15.13.26.147】という成績。だが、勝率・連対率・複勝率を見ると、いずれもサクラバクシンオーの方が好成績。ポスト・サクラバクシンオーの座を狙える存在ではあるが、決して安泰ではないだろう。

そもそもダイワメジャーやアドマイヤムーンの現役時代のイメージは、スプリンターではない。前者はマイルCS連覇や安田記念制覇からマイラーのイメージが強く、距離は2000mまでもこなした。代表産駒を調べてみると、高松宮記念を制したコパノリチャードやNHKマイルを制したカレンブラックヒルがいる。その他ではダイワマッジョーレ、エピセアロームらがいる。確かに活躍距離には特徴がある。今のところは1600m以下が主戦場であることは間違いなさそうで、スプリンターの大物を輩出する下地は感じる。

後者のアドマイヤムーンは宝塚記念やJC制覇に代表されるように、完全に中距離馬としてイメージがある。芝1600m以下はほとんど走ったことがなかったが、もしかしたらマイル戦ぐらいまではこなすことができたかもしれない。代表産駒はハクサンムーン。すでにG1級のスプリンターを輩出している点は強調できる。その他産駒はレオアクティブ、アルキメデス、ファインチョイス。現時点では芝2000m以上の実績馬は出ておらず、現役時代のイメージとは異なる。短い距離に適性が振れていると言えるだろう。

表1で4位以下の種牡馬についても見ていく。勝ち鞍は上位に及ばなくても、勝率などで目をひく馬に注目すべきだろう。前述したサクラバクシンオーの勝率・連対率・複勝率と比較し、すべての項目で同馬を上回っている馬が何頭かいる。

■表2 注目種牡馬のデータ

種牡馬 系統 重賞勝ち産駒
サクラバクシンオー ナスルーラ ベルカント
ダイワメジャー ヘイロー コパノリチャード
アドマイヤムーン ミスタープロスペクター ハクサンムーン
ハーツクライ ヘイロー ジャスタウェイ
ストーミングホーム ミスタープロスペクター ティーハーフ
パイロ ボールドルーラー シゲルカガ
メイショウサムソン ノーザンダンサー  

まずは9位のハーツクライ。現役時代は有馬記念でディープインパクトを破る快挙。血統的にはダイワメジャーと同じくサンデーサイレンスの系統だが、ハーツクライの方が距離適性は長めである。代表産駒はワンアンドオンリー、ジャスタウェイ、ヌーヴォレコルトであり、すでに輝かしい大物を輩出している。逆に短距離重賞勝ち馬はほとんどおらず、ツルマルレオン(北九州記念)がいるぐらいだ。今年の良績の内訳をみると、大半が下級条件によるもの。特に1600万クラス以上での出走例はわずか1つしかない。したがって、本質的にはやはり中長距離がベストだろう。短距離でバリバリ出世していくような産駒が、今後出てくるかといえば疑問だ。下級条件でのみ、強いという点をおさえておけばいいだろう。

2015/6/21 函館11R 函館スプリントS(G3)1着 9番 ティーハーフ

12位のストーミングホームも優秀な成績。特に複勝率が48.6%と高く、表1のベスト30の中では最も優秀だ。現役時代は英チャンピオンS(10F)などを制覇。02年にはJCの出走で来日している。よって、自身は中距離馬。血統的にはミスタープロスペクター系で、アドマイヤムーンと同じだ。日本での代表産駒はティーハーフ。今夏の函館スプリントSを制した。その他ではサドンストームらがおり、短距離適性は高い血統と言える。産駒数はそれほど多くないものの、この距離での安定度は強みと言えそうだ。

17位のパイロは勝率が25.0%と非常に高い。現役時代はアメリカで走り、フォアゴーS(ダート7F)など重賞4勝。ダートでの強烈な末脚が武器だった。父はプルピットで、エーピーインディの系統。日本ではシンボリインディ(NHKマイルC)やアラタマインディ(小倉記念)が同系統であり、パイロ産駒が芝でも活躍する点は不思議ではない。代表産駒であるシゲルカガは、今年2月の山城S(京都芝1200m)を勝ってオープンクラス入り。その後はダートに転向していきなり千葉Sを制覇。6月の北海道スプリントCではダノンレジェンドらを下して重賞初制覇を果たした。芝・ダートを問わない活躍が印象的だ。産駒がますます増えていくはずで、今後注目したい種牡馬だ。

最後に21位のメイショウサムソンを取り上げる。現役時代は皐月賞・日本ダービー、天皇賞春秋制覇と、輝かしい実績を残した。高いポテンシャルは十分感じさせるが、このような形で注目する機会があるとは、正直意外だと言える。血統的にも欧州色が強い。テイエムオペラオーと同系統であり、芝中長距離で本格化を果たすようなタイプだからだ。

産駒は12年にデビューするも、同年は中央では未勝利。かなり厳しいスタートとなった経緯があるだけに、短い距離は苦手である可能性が高かった。翌年から勝ち鞍が出ており、1700〜2000mを中心に活躍。また、1400〜1600mよりも2100〜2400mの方が勝率などが高いため、自身同様、中長距離タイプと見るべきだろう。晩成型で未知の面は残すが、芝短距離のリーディングで上位にくるシーンは想像しにくい。ただ、ダートよりは芝の方が良さそう。今年、芝短距離で実際好走した馬たちを見ると、芝で一変したケースが少なくない。そうした点に注意しながら、今後は見守っていきたい。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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