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第856回 ディープ産駒に注目してマイルCSを分析

2014/11/20(木)

今週のG1は、秋のマイル王決定戦となるマイルCS。昨年は、2400mの京都大賞典から800mの距離短縮という異例とも言える臨戦過程だったトーセンラーが制し、ディープインパクト産駒の強さを改めて知らしめる結果となった。連覇を目指す同馬のほか、NHKマイルC勝ち馬ミッキーアイル、今秋のG1シリーズで注目される「重賞未勝利馬」フィエロなど、今年も6頭のディープインパクト産駒がエントリーしており、その取捨が馬券的中において重要なテーマとなるのは間違いない。そこで今回は、ディープインパクト産駒とそれ以外に分けたデータを中心に、過去10年のマイルCSを分析していきたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 ディープインパクト産駒のマイルCS成績

馬名 人気 着順
11年 リアルインパクト 1 5
マルセリーナ 9 6
12年 ドナウブルー 5 3
リアルインパクト 9 5
ダノンシャーク 6 6
マルセリーナ 8 11
ファイナルフォーム 3 12
13年 トーセンラー 2 1
ダノンシャーク 1 3
ドナウブルー 10 5
レッドオーヴァル 11 8
リアルインパクト 13 10

■表2 ディープインパクト産駒の安田記念成績

日付 馬名 人気 着順
11年 リアルインパクト 9 1
12年 リアルインパクト 12 6
ドナウブルー 14 10
マルセリーナ 11 17
13年 ダノンシャーク 12 3
ヴィルシーナ 7 8
14年 ダノンシャーク 9 4
ワールドエース 3 5
フィエロ 6 8
エキストラエンド 12 12
リアルインパクト 14 13
トーセンラー 8 14
ミッキーアイル 2 16

表1はマイルCSに出走したディープインパクト産駒の全成績、表2は安田記念に出走したディープインパクト産駒の全成績である。

ふたつの表を比較すると、興味深い事実に気づく。11年安田記念で9番人気1着と激走を見せたリアルインパクトは、同年のマイルCSで1番人気に推されながら5着まで。また、13年安田記念で12番人気3着とこちらも激走したダノンシャークも、同年マイルCSで1番人気の支持を集めたものの3着と勝ち切ることはできなかった。

一方、11年マイルCSで5番人気3着だったドナウブルーは翌年の安田記念で10着。また、13年マイルCSで2番人気1着のトーセンラーも翌年の安田記念で8番人気14着に敗れている。つまり、マイルCSで人気を上回って好走を収めた2頭のディープインパクト産駒は、安田記念ではいずれもふたケタ着順の大敗を喫してしまった。つまり、安田記念を得意とするディープインパクト産駒は、マイルCSでは人気ほど走れない傾向がある。逆に、マイルCSを得意とするディープインパクト産駒は、安田記念ではあまり力を発揮できないとも考えられるのだ。

今年の安田記念はかなりの不良馬場となり、特殊なレースではあったが、ダノンシャークは9番人気4着と安田記念を得意とするディープインパクト産駒らしい走りを見せていた。その一方で、トーセンラーは前述の通りこのレースで14着に大敗している。つまり、トーセンラーのほか、今年の安田記念で自身の人気を下回る着順に終わったワールドエースやフィエロ、ふたケタ着順に沈んだミッキーアイルやエキストラエンドは、マイルCSのほうが適性の高いタイプのディープインパクト産駒と判断することもできるだろう。もちろん、だからといって好走できるとは限らないわけだが、少なくとも安田記念より前進する可能性は大いにありそうだ。

■表3 前走着順別成績

種牡馬 人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
ディープインパクト 前走1着 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 140%
前走2着 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走3着 1- 0- 1- 0/ 2 50.0% 50.0% 100.0% 235% 255%
前走4着 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走5着 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走6〜9着 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走10着〜 0- 0- 0- 0/ 0          
ディープインパクト以外 前走1着 4-  4-  3- 18/ 29 13.8% 27.6% 37.9% 86% 84%
前走2着 1-  2-  2- 14/ 19 5.3% 15.8% 26.3% 14% 66%
前走3着 0-  0-  0- 16/ 16 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走4着 0-  0-  0- 12/ 12 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走5着 0-  1-  1-  8/ 10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 96%
前走6〜9着 4-  3-  1- 35/ 43 9.3% 16.3% 18.6% 182% 92%
前走10着〜 0-  0-  1- 35/ 36 0.0% 0.0% 2.8% 0% 8%

表3は、前走着順別成績をディープインパクト産駒とそれ以外で分けたものである。注目すべきは、ディープインパクト産駒の好走は前走1〜3着馬に限られ、前走4着以下からマイルCSで巻き返した例がないことだ。一方、ディープインパクト以外の産駒の場合は、前走6〜9着馬が好走したケースも少なからず見られる。

まとめると、ディープインパクト産駒は前走でも1〜3着に好走していた馬だけを狙うのが得策となる。前走で掲示板にも乗れずに凡走した馬の巻き返しを狙うのであればディープインパクト産駒以外に期待すべきだが、その場合でも前走10着以下だとさすがに厳しそうだ。

■表4 前走からの出走間隔別成績

種牡馬 出走間隔 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
ディープインパクト 連闘 0- 0- 0- 0/ 0          
中1週 0- 0- 0- 0/ 0          
中2週 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
中3週 0- 0- 1- 2/ 3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 46%
中4〜8週 1- 0- 1- 5/ 7 14.3% 14.3% 28.6% 67% 72%
中9週以上 0- 0- 0- 0/ 0          
ディープインパクト以外 連闘 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
中1週 0-  0-  0-  5/  5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
中2週 6-  5-  3- 55/ 69 8.7% 15.9% 20.3% 120% 66%
中3週 1-  2-  0- 46/ 49 2.0% 6.1% 6.1% 20% 23%
中4〜8週 2-  3-  5- 23/ 33 6.1% 15.2% 30.3% 40% 97%
中9週以上 0-  0-  0-  8/  8 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表4は、前走からの出走間隔別成績をディープインパクト産駒とそれ以外で分けたものである。ディープインパクト産駒の場合、中2週以下の好走例はなく、これまでにマイルCSで好走した馬はすべて中3週以上の出走間隔だった。具体的な前走レースでいえば、中2週のスワンSから好走した馬はおらず、好走馬3頭の前走は中3週以上となる富士S、府中牝馬S、京都大賞典が1レースずつとなっている。各々の該当例がまだ少ないとはいえ、すこし気をつけたほうがいいデータだろう。

一方、ディープインパクト産駒以外では中2週となる天皇賞・秋やスワンSからの好走も多く見られ、ディープインパクト産駒とは異なる傾向が出ている。また、中2週を上回る複勝率を残しているのが中4〜8週の組で、ここも見逃せない。ただし、主に富士S組が該当する中3週は不振傾向があるようだ。

■表5 マイルCSにおける馬体重増減別成績

種牡馬 馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
ディープインパクト 今回減 0- 0- 0- 5/ 5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
同体重 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
今回増 1- 0- 2- 2/ 5 20.0% 20.0% 60.0% 94% 130%
ディープインパクト以外 今回減 3-  4-  1- 47/ 55 5.5% 12.7% 14.5% 30% 51%
同体重 2-  2-  1- 18/ 23 8.7% 17.4% 21.7% 21% 53%
今回増 4-  4-  4- 67/ 79 5.1% 10.1% 15.2% 107% 54%

表5は、マイルCSにおける馬体重増減別成績をディープインパクト産駒とそれ以外で分けたものである。まず、ディープインパクト産駒で注目すべきなのが、馬体重が「今回減」と「同体重」だった馬はすべて凡走しており、「今回増」の馬に好走が限られている点だ。この傾向は、表4で見た「ディープインパクト産駒はマイルCSで中2週の好走例がない」というデータともリンクしているように思われるので、今一度確認していただきたい。

一方、ディープインパクト産駒以外の場合は、「同体重」だった馬の好走率が高い。「今回減」と「今回増」はほぼ互角と言える成績だが、どちらかといえば単勝回収率が107%と高い「今回増」の馬に、より注意を払ったほうがいいかもしれない。

■表6 同年に芝1400〜1600m重賞勝ちのある馬の人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1〜5番人気 6- 5- 5- 9/25 24.0% 44.0% 64.0% 162% 144%
6番人気以下 0- 1- 0-49/50 0.0% 2.0% 2.0% 0% 17%

ここまではディープインパクト産駒とそれ以外に分けたデータを見てきたが、ここから見る表6と表7は、区別をしないデータであることにご注意いただきたい。なお、表6、表7ともに日本馬に限ったデータで、今年登録のない海外馬は含めていない。

表6は「同年に芝1400〜1600m重賞勝ちのある馬」の人気別成績である。これを見ると、この実績を持った馬はマイルCSで1〜5番人気以内に推されるかどうかによって、恐ろしいほど明暗が分かれていることがわかるはずだ。同年に芝1400〜1600m重賞を勝った実績を持ち、当日も1〜5番人気に推された馬の信頼性は非常に高い。一方、6番人気以下の支持にとどまるようだと、大きな懸念材料があると判断してもいいだろう。

■表7 同年に芝1800m以上重賞勝ちがあり、距離短縮となる馬の前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走1〜3着 4- 2- 0- 5/11 36.4% 54.5% 54.5% 180% 91%
前走4着以下 0- 0- 1-12/13 0.0% 0.0% 7.7% 0% 22%

表7は、表6とは逆に「同年に芝1800m以上の重賞勝ちのある馬」についてのデータで、該当馬から「前走より距離短縮となる馬」を抽出し、その前走着順別成績を出したものである。

以前から、芝のマイルG1では中距離路線から転身してきた馬の活躍が目立っている。昨年の勝ち馬トーセンラーもデビューから主に中距離路線を走り、1600m戦の出走自体、昨年のマイルCSが初めてという馬だった。こうした事情を踏まえて調べたデータが、表7というわけである。

そして、この表を見れば、同年の芝中距離重賞で実績を残していた馬であればなんでも買えるかといえば、決してそうではないことが一目瞭然。表7の通り、「同年に芝1800m以上の重賞勝ちがあり、前走より距離短縮となる馬」の好走は、前走でも1〜3着に好走していた馬にほぼ限られるからだ。唯一の例外は04年のテレグノシスで、それでも3着まで。それに、この馬はすでにマイルG1勝ちの実績を持つ馬でもあった。そう考えると、中距離からの転身はそれほど簡単なものではなく、前走でもしっかり結果を残していた好調馬に限って狙うのが正解となりそうだ。

【結論】

2013/11/17 京都11R マイルチャンピオンシップ(G1)1着 5番 トーセンラー

2014/9/14 新潟11R 京成杯オータムハンデ(G3)1着 3番 クラレント

まず、6頭の登録があるディープインパクト産駒から考えていきたい。ここまでに述べた通り、マイルCSにおけるディープインパクト産駒は「前走4着以下」「中2週」「馬体重が今回減」に該当すると苦戦の傾向がある。したがって、当日にならないとわからない馬体重を除いて「前走1〜3着」「中3週以上」を少なくとも満たしておきたい。これを両方とも満たしたのは6頭のなかでトーセンラーだけとなっており、ディープインパクト産駒ではこの昨年の勝ち馬を筆頭に挙げたい。

スワンSで好走したミッキーアイルとフィエロは、中2週での出走がディープインパクト産駒としては不安材料になる。ただし、表5で見た通り、馬体重が「今回増」になっていればディープインパクト産駒の好走率は高い。この2頭が好走するには、中2週の反動がないことが条件で、それを見極めるための有力な材料となるのが当日の馬体重。もし前走より増えていたら狙ってみる手はあるだろう。

ディープインパクト以外の産駒については、表6のデータから、今年芝1400〜1600m重賞で1着があり、当日も上位人気に推されそうなクラレントは狙ってみたい。一方、表7のデータからは、今年芝1800m以上の重賞を勝った馬が登録馬におらず、過去に芝1800m以上の芝重賞を勝ったことのある馬まで広げたとしても前走で1〜3着に好走した馬が見当たらないので、こちらからの推奨馬はなしとしたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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