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第840回 オールカマーで有利なローテーションを見極める

2014/9/25(木)

今年のオールカマーは例年の中山ではなく新潟の芝2200mで行なわれる。コースが異なれば、これまでのデータもあまり参考にならないと考えるのが道理だ。そんななか、数少ない例年と同じファクターと言えるのが、秋開催が始まって3週目に行なわれるという「開催時期」である。つまり、前走でどのレースを使っていれば有利なのか、前走の時期はどのあたりがベストなのか、その前走でどのぐらいの着順を収めていればいいのか、といったデータであれば今年も参考にできるはずだ。そこで、過去10年のデータから「ローテーション」に着目してオールカマーのレース傾向を調べてみたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 出走間隔別成績

出走間隔 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
連闘 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
中1週 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
中2週 1-  2-  1- 13/ 17 5.9% 17.6% 23.5% 13% 59%
中3週 1-  3-  2- 16/ 22 4.5% 18.2% 27.3% 303% 88%
中4〜8週 3-  1-  3- 23/ 30 10.0% 13.3% 23.3% 39% 39%
中9〜24週 4-  4-  4- 30/ 42 9.5% 19.0% 28.6% 114% 74%
中25週以上 1-  0-  0-  7/  8 12.5% 12.5% 12.5% 91% 27%

表1は前走からの出走間隔別成績。上から順に見ていくと、前走から「連闘」あるいは「中1週」の詰まった間隔ではまったく結果が出ていないことがわかる。次いで、「中2週」「中3週」「中4週」「中4〜8週」「中9〜24週」は、ほぼ互角の好走率。そして、「25週以上」では、10年1着のシンゲンこそいるものの、残りの7頭はすべて掲示板にも載っておらず、全体としては苦戦している。まとめると、連闘、中1週の詰まった間隔か、中25週以上の長い休み明け以外の出走間隔であれば、全体としては際立った有利不利はないと考えていいだろう。

■表2 前走クラス別成績(障害戦は除く)

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1000万下 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1600万下 0-  0-  0-  7/  7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
オープン特別 0-  1-  0- 19/ 20 0.0% 5.0% 5.0% 0% 10%
G3 2-  5-  4- 42/ 53 3.8% 13.2% 20.8% 197% 64%
G2 4-  1-  3- 18/ 26 15.4% 19.2% 30.8% 54% 75%
G1 4-  3-  2-  9/ 18 22.2% 38.9% 50.0% 96% 94%

表2は前走クラス別成績で、延べ30頭の1〜3着馬のうち、29頭までが前走で重賞を使っていたことがわかる。一方、前走が条件戦だった馬の好走例はなく、前走がオープン特別だった馬の好走例も06年2着のコスモバルクのみ。そして、同馬は地方所属馬なので、前走が重賞以外だった中央所属馬の好走例は、過去10年のオールカマーではなかったことになる。今年の登録馬はすべて中央所属馬となっており、まずは前走で重賞に出走していた馬を重視したいところだ。

■表3 中2〜8週出走馬限定・前走クラス別成績(障害戦は除く)

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1000万下 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1600万下 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
オープン特別 0- 1- 0-11/12 0.0% 8.3% 8.3% 0% 16%
G3 1- 4- 3-24/32 3.1% 15.6% 25.0% 208% 72%
G2 4- 1- 2-10/17 23.5% 29.4% 41.2% 83% 85%
※出走例のあるクラスのみ

表3は、前走から中2〜8週の間隔で出走した馬に限った前走クラス別成績。前走から中2〜8週で芝2200mのオールカマーに出走ということは、この表はサマー2000シリーズに参戦していた馬の成績と読み替えることも可能だろう。ここで安定した成績を残しているのは前走G2出走馬。ただし、このうち3勝は07年から09年にかけてオールカマー3連覇を達成したマツリダゴッホ1頭が稼いでいるので、見た目の数字より割引する必要があるかもしれない。とはいえ、マツリダゴッホの成績を除外しても【1.1.2.10】で勝率7.1%、複勝率28.6%と、それでも前走G3出走馬より好走率は高い。前走から中2〜8週の間隔で出走してくる馬については、前走の格を素直に尊重したほうがいいかもしれない。なお、この中2〜8週の前走G2出走馬に該当するのは、すべて前走で札幌記念に出走していた馬となっている。

■表4 中9〜24週出走馬限定・前走クラス別成績(障害戦は除く)

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
オープン特別 0- 0- 0- 8/ 8 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G3 1- 1- 1- 8/11 9.1% 18.2% 27.3% 345% 101%
G2 0- 0- 1- 5/ 6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 85%
G1 3- 3- 2- 8/16 18.8% 37.5% 50.0% 62% 92%

表4は、中9〜24週で出走した馬に限った前走クラス別成績。こちらは、春競馬終了後に休養に入ってオールカマーが秋初戦となる馬、もしくは、サマー2000シリーズに本格参戦することなく早々に切り上げた馬の前走クラス別成績とも言い換えられる。こちらで圧倒的に高い好走率を残しているのが、前走G1出走馬。なかでも、前走宝塚記念出走馬に限ると【3.2.1.2】と抜群の成績を残している。出走間隔は多少開くが、同じ芝2200m戦で相手関係は楽になるだけに、前走宝塚記念というローテーションが有利になるのは当然かもしれない。前走が札幌記念以外の前走G2組はすべてここに該当するが、該当6頭のうち好走例は3着に1頭だけ。休み明けの前走G2組は、あまりいいローテーションとはならないようだ。その一方で、前走G3出走馬の場合は、表3で見た中2〜8週の場合より高い好走率をマークしているので見逃せない。つまり、オールカマーの前走G3出走馬については、サマー2000シリーズを戦い抜いた組より、夏場に無理をしなかった組のほうがやや有利という傾向が出ているということだ。

■表5 前走G1出走馬限定・前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走1着 1- 1- 0- 1/ 3 33.3% 66.7% 66.7% 46% 76%
前走2着 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 140%
前走3着 1- 0- 1- 1/ 3 33.3% 33.3% 66.7% 183% 166%
前走4着 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 65%
前走5着 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 730% 220%
前走6〜9着 1- 0- 0- 4/ 5 20.0% 20.0% 20.0% 62% 32%
前走10着以下 0- 1- 0- 2/ 3 0.0% 33.3% 33.3% 0% 106%

表5は、前走G1出走馬に限った前走着順別成績。さすがにレベルの高いG1だけあって、10着以下からでも巻き返した例はあり、前走着順だけで取捨するのは難しいようだ。それでも、前走のG1で5着以内なら【3.2.2.3】とさすがに好成績を収めている。前走のG1で5着以内に入ったのに凡走した3頭の内訳は、3歳馬が2頭と、故障により1年3カ月ぶりの休み明け(中64週)となった08年のエイシンデピュティ。つまり、同年春のG1で5着以内に入り、中9〜24週の普通の休み明けで出走してきた4歳以上の古馬であれば信頼性は極めて高いとみていいだろう。

■表6 前走G2出走馬限定・前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走1着 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走2着 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 70% 55%
前走3着 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走4着 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走5着 0- 1- 2- 2/ 5 0.0% 20.0% 60.0% 0% 192%
前走6〜9着 3- 0- 1- 3/ 7 42.9% 42.9% 57.1% 182% 127%
前走10着〜 0- 0- 0- 9/ 9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表6は、前走G2出走馬に限った前走着順別成績。ここでの注目は、好走例が「前走5着」か「前走6〜9着」に集中していることだ。前走1〜4着から好走したのは08年1着のマツリダゴッホしかおらず、前走10着以下の好走例は皆無となっている。この組で中心となるのは、前走札幌記念出走馬。つまり、札幌記念であまり走りすぎず、かといって10着以下に大敗することもなく、ひとケタ着順には収まっていた馬を狙ってみたい。

■表7 前走G3出走馬限定・前走着順別成績(障害戦は除く)

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走1着 0- 2- 1- 0/ 3 0.0% 66.7% 100.0% 0% 156%
前走2着 0- 1- 1- 5/ 7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 58%
前走3着 1- 0- 1- 3/ 5 20.0% 20.0% 40.0% 1334% 196%
前走4着 0- 1- 0- 5/ 6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 63%
前走5着 0- 0- 1- 1/ 2 0.0% 0.0% 50.0% 0% 105%
前走6〜9着 0- 1- 0-14/15 0.0% 6.7% 6.7% 0% 26%
前走10着以下 1- 0- 0-14/15 6.7% 6.7% 6.7% 253% 40%

表7は、前走G3出走馬に限った前走着順別成績。これを見ると、前走G3出走馬の場合は、5着以内に入っていたかどうかがひとつの分水嶺になっていることがわかる。前走1〜5着なら【1.4.4.14】で複勝率39.1%、複勝回収率106%なのに対し、前走6着以下では【1.1.0.28】で複勝率6.7%、複勝回収率33%と大差になっているからだ。なお、前走6着以下から好走した12年2着のダイワファルコンと13年1着のヴェルデグリーンには、いずれも中9週以上の休み明けという共通点があった。つまり、サマー2000シリーズに本格参戦して夏場も休みなく走った前走G3出走馬が、前走で6着以下に敗れているようだとお釣りが残っていない、と判断すべきなのかもしれない。

【結論】

2014/2/22 東京11R ダイヤモンドS(G3)1着 1番 フェイムゲーム

2013/7/7 福島11R 七夕賞(G3)1着 4番 マイネルラクリマ

最後にもう一度、ローテーションの観点からのオールカマーの好走条件をまとめておこう。なにはともあれ大事なのが、前走で重賞に出走していることだった。そのなかでも前走G1出走馬の場合は5着以内に入っていれば非常に堅実で、前走宝塚記念組が好成績を収めていた。次に、前走G2出走馬で多くを占めるのが札幌記念組で、そこで5〜9着に入っていた馬の成績がよく、前走が札幌記念以外のG2で中9週以上の休み明けとなる馬にはやや不振傾向があった。前走G3出走馬については、前走G2組とは逆に、休み明けの馬も意外と好成績で、前走6着以下から巻き返した例もある。一方、休み明けにならない場合は前走で5着以内に入っておくことが重要だった。

このことを踏まえて、今年の登録馬22頭のなかからローテーション的に有力と思われる馬を探していきたい。

まず、5頭いる前走G1出走馬に好走率が非常に高い前走5着以内の馬は見当たらないが、好相性の宝塚記念以来となるフェイムゲームは見逃せないだろう。その宝塚記念は6着も、3着馬との差はわずかに0秒1。兄に06年のオールカマーを制したバランスオブゲームがいる血統からも、注目の1頭だ。

前走G2出走馬に該当するのは2頭いる。人気を集めそうなのは前走の目黒記念を制したマイネルメダリストだが、前走G2組で相性の悪い中9週以上での出走となるのは気になるところ。むしろ、ローテーション的には、前走の札幌記念で9着だったナカヤマナイトのほうに注目してみたい。近走着順は冴えないが、2年前の当レース勝ち馬でもある。

前走G3出走馬は、中8週以内の場合は前走5着以内が必須で、この条件を満たすのは前走小倉記念1着のサトノノブレス、前走新潟記念2着のクランモンタナの2頭。また、前走G3出走馬の場合は、中9〜24週の休み明けとなる馬が意外な好成績を残しており、今年該当するのはマイネルラクリマ1頭のみ。七夕賞3着のあとサマー2000シリーズには本格参戦せず、ここまで待機したローテーションが功を奏すかどうか、注目してみたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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