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第813回 「連覇が鬼門」の謎を考える

2014/6/23(月)

今週は宝塚記念が行われる。今年のレース展望は週半ばに行うこととし、今回は連覇が鬼門となっている同レースの謎について考えてみたい。芝2200mで行われる重賞としては宝塚記念の他に、エリザベス女王杯やAJC杯などがある。そして同じグランプリの有馬記念、そして同じ中距離の天皇賞(秋)。これらのレースと比較して、その謎に迫りたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 過去10年の宝塚記念の勝ち馬

馬名 性別 年齢 人気
13年 ゴールドシップ 4 2
12年 オルフェーヴル 4 1
11年 アーネストリー 6 6
10年 ナカヤマフェスタ 4 8
09年 ドリームジャーニー 5 2
08年 エイシンデピュティ 6 5
07年 アドマイヤムーン 4 3
06年 ディープインパクト 4 1
05年 スイープトウショウ 4 11
04年 タップダンスシチー 7 1

2001/6/24 阪神11R 宝塚記念(G1)1着 3番 メイショウドトウ

まずは過去10年の宝塚記念の優勝馬を振り返ってみよう(表1)。06年のみ京都芝2200mで行われたが、近年の優勝馬にはビッグネームがズラリと並ぶ。05年は11番人気のスイープトウショウが優勝、10年は8番人気のナカヤマフェスタが優勝という波乱が起きた。しかし、フロックではG1はなかなか勝てない。古馬混合のG1であれば一層レベルは高い。それなりの力がないと勝ち切るのは難しい。スイープトウショウは前走安田記念で2着と好走しており、ナカヤマフェスタは秋に凱旋門賞で2着と健闘した。

宝塚記念を語る上で忘れてはならないポイントがある。それは「連覇が鬼門」であるということ。長い歴史があるJRAのG1の中で、唯一連覇あるいは複数回の優勝馬が出てないレースが、この宝塚記念なのだ。過去10年ではタップダンスシチー、ドリームジャーニー、アーネストリーが連覇に挑んだものの、結果は残念なものに終わった。近年で最も惜しかったのは01年のテイエムオペラオーだろう。メイショウドトウに敗れて、2着となったレースだった。

同じグランプリでも有馬記念は、連覇や複数回の優勝馬は何度も出ている。それこそ昨年のオルフェーヴルは2度目の有馬記念制覇で、引退レースを飾った。上半期と下半期、気候の違いはあれど、それぞれシーズン末期のレース。お互いに調整面での難しさはあるはずだが、非常に対照的な結果が出ている。

■表2 過去10年のエリザベス女王杯の勝ち馬

馬名 性別 年齢 人気
13年 メイショウマンボ 3 2
12年 レインボーダリア 5 7
11年 スノーフェアリー 4 1
10年 スノーフェアリー 3 4
09年 クィーンスプマンテ 5 11
08年 リトルアマポーラ 3 4
07年 ダイワスカーレット 3 1
06年 フサイチパンドラ 3 7
05年 スイープトウショウ 4 2
04年 アドマイヤグルーヴ 4 2

宝塚記念と同じ芝2200mのG1として、エリザベス女王杯(表2参照)がある。このレースでは、メジロドーベル、アドマイヤグルーヴ、そしてスノーフェアリーと3頭もの馬が連覇を達成している。エリザベス女王杯が、芝2200mとなり古馬に開放となったのが96年。歴史的には宝塚記念よりも新しいのだが、このような結果が出ている。牝馬限定戦と、そうではないレースとの違いがあるのかもしれない。

■表3 過去11年のAJC杯の勝ち馬

馬名 性別 年齢 人気
14年 ヴェルデグリーン 6 2
13年 ダノンバラード 5 3
12年 ルーラーシップ 5 1
11年 トーセンジョーダン 5 1
10年 ネヴァブション 7 5
09年 ネヴァブション 6 4
08年 エアシェイディ 7 2
07年 マツリダゴッホ 4 2
06年 シルクフェイマス 7 5
05年 クラフトワーク 5 1
04年 ダンツジャッジ 5 2

では、G1以外の重賞ではどのような結果となっているか。まずはAJC杯(表3参照)を調べてみよう。今年、AJC杯はすでに行われているので、過去11年分の勝ち馬を表3では記載している。まず連覇では09〜10年にネヴァブションが達成している。そして、勝ち馬の中で宝塚記念でも好走を果たしたことがある馬は2頭。ダノンバラードとシルクフェイマスがいる。宝塚記念との関連性という意味では、「ある」とは言えるものの、決して強く結び付いているわけもなさそうだ。それは京都記念との比較で明らかになる。

■表4 過去11年の京都記念の勝ち馬

馬名 性別 年齢 人気
14年 デスペラード 6 6
13年 トーセンラー 5 6
12年 トレイルブレイザー 5 5
11年 トゥザグローリー 4 1
10年 ブエナビスタ 4 1
09年 アサクサキングス 5 3
08年 アドマイヤオーラ 4 1
07年 アドマイヤムーン 4 2
06年 シックスセンス 4 1
05年 ナリタセンチュリー 6 2
04年 シルクフェイマス 5 1

表4は過去11年の京都記念の勝ち馬。これらの中で、宝塚記念で好走を果たしたのはブエナビスタ、アドマイヤムーン、ナリタセンチュリー、シルクフェイマスの4頭。シルクフェイマスはAJC杯と重複しているが、数で言えば京都記念の方が多く好走馬を出している。

■表5 過去11年のオールカマーの勝ち馬

馬名 性別 年齢 人気
13年 ヴェルデグリーン 5 9
12年 ナカヤマナイト 4 2
11年 アーネストリー 6 1
10年 シンゲン 7 5
09年 マツリダゴッホ 6 3
08年 マツリダゴッホ 5 1
07年 マツリダゴッホ 4 1
06年 バランスオブゲーム 7 4
05年 ホオキパウェーブ 4 4
04年 トーセンダンディ 6 9

古馬混合の芝2200m重賞は、もう一つオールカマーがある。同レースの過去11年の優勝馬は表5の通り。その中で、宝塚記念で好走経験があるのはアーネストリーとバランスオブゲーム。数ではAJC杯と同じく2頭だった。オールカマーでは07〜09年に3連覇を果たしたマツリダゴッホの存在が光る。同馬は有馬記念の勝ち馬。現役時代はとにかく中山コースで強さを発揮した馬だった。また、G1勝ちはなかったものの、バランスオブゲームも中山重賞での実績は豊富だった。

戻って表3のAJC杯の勝ち馬を振り返ると、同じようなことが言える。エアシェイディ、ネヴァブション、ヴェルデグリーン。そしてマツリダゴッホの名前もある。「つまり中山巧者」と呼ぶにふさわしい馬が非常に多いのだ。そう考えると、中山芝2200mの重賞は、中山コースの適性が強く問われる場となっていることがわかる。同じ距離であっても、阪神の宝塚記念との関連性はそれほど強くない。むしろ、有馬記念や中山記念といったレースとの関連性が非常に強くなっている。

本来であれば、もう少し他の重賞との関連性も調べておきたいところだ。だが、現在中央競馬で行われている2200mの重賞はG2以上でしか組まれていない。3歳限定重賞を含めてもそうだ。芝2200mのG3競走というものが、なぜか存在しない。古馬混合のオープン特別も全く組まれていない。しかしながら、条件クラスのレースでは芝2200mの番組は多く組まれている。マイナーと言うほどの距離ではないのだ。だが、早くから実績を積んでしまった馬にとっては、どうしても経験値を積みにくいというのが現状だ。

2003/11/2 東京11R 天皇賞(秋)(G1)1着 18番 シンボリクリスエス

ただ、それは有馬記念にも言えること。芝2500mの重賞も非常に少なく、G2以上のレースに限られている。にもかかわらず、前述したように有馬記念は連覇や複数回優勝のケースが多々ある。では、宝塚記念がなぜ連覇が鬼門となっているのか。ここからはあくまでも推測となるが、距離に秘密があるように感じる。具体的に言うと、「芝2500mよりも短い、中距離のレースだから」ではないだろうか。

一般的に芝2000m前後の中距離は、最も競走馬の層が厚い。天皇賞(秋)を例に取ると、マイラーからステイヤーまで幅広いカテゴリーの強い馬が集まる舞台となっている。グレード制が導入された84年以降、天皇賞(秋)で複数回優勝を果たしたのは、02〜03年に連覇を果たしたシンボリクリスエスしかいない。つまり、天皇賞(秋)も連覇が非常に難しい、過酷なレースとなっているのだ。過去にはウオッカやブエナビスタ、ダイワメジャー、アグネスデジタル、バブルガムフェローといった馬たちが、連覇に挑み涙をのんでいる。

そうした事実を考えると、宝塚記念だけが特別連覇が難しいというわけではないのかもしれない。これまで達成されていないのは、単なる偶然か、はたまた巡り合わせによるものか。振り返れば、ジャパンカップも創設以来、しばらく連覇はなかった。が、昨年ジェンティルドンナが快挙を達成した。記録やジンクスは、いつかは破られるもの。果たして宝塚記念で史上初の連覇が見られるのはいつになるだろうか。そうした点にも注目し、上半期のグランプリを楽しみにしたい。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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