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第799回 今話題の「名牝の孫」について調べてみる

2014/5/5(月)

春の3歳クラシック戦線もいよいよ佳境を迎えつつある。その中で見逃せないのが、馴染み深い「名牝の孫」が活躍を見せていることだ。牝馬路線を席巻するハープスターが93年の牝馬二冠を制したベガの孫ということは有名で、先だっての青葉賞を勝ったショウナンラグーンはG1を5勝したメジロドーベルの孫にあたる。そこで今回は「名牝の孫」についてさまざまなデータを調べてみたい。集計期間は2012年1月5日〜2014年5月4日。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

2014/4/13 阪神11R 桜花賞(G1)1着 18番 ハープスター
2014/5/3 東京11R テレビ東京杯青葉賞(G2)1着 11番 ショウナンラグーン

■表1 「名牝の孫」条件別成績

条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
82- 83- 66-728/959 8.6% 17.2% 24.1% 80% 80%
ダート 34- 40- 40-458/572 5.9% 12.9% 19.9% 32% 51%
障害 5- 5- 6-19/35 14.3% 28.6% 45.7% 120% 85%

「名牝の孫」について調べるというと、ものすごく大変な作業に思えるかもしれない。ところが、しかし、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用すれば比較的容易にピックアップすることが可能だ。「名牝」の定義が難しいところだが、ここではわかりやすく「中央競馬のG1を勝った牝馬」とした。

表1は、集計期間における「名牝の孫」の出走成績を芝、ダート、障害で分けたもの。これを見ると、「名牝の孫」は芝に向いていることが一目瞭然だろう。当然といえば当然の傾向で、フェブラリーSがG1に昇格した97年以降、中央競馬のダートG1を勝った牝馬は1頭もいない。つまり、今回「名牝」の定義とした「中央競馬のG1を勝った牝馬」は「芝のG1を勝った牝馬」と同義で、だとすれば「名牝の孫」が芝で好成績を収めるのも当たり前といえるだろう。言い換えれば、名牝の芝適性は孫の代になってもしっかりと受け継がれている、ということでもある。

また、母数が少ない点には留意が必要だが、「名牝の孫」が障害レースで抜群の成績を残していることにも注目したい。これは昨年の夏以降に顕著なってきた傾向で、サンライズロイヤル(祖母ダンスパートナー)、アドマイヤトライ(祖母エアグルーヴ)、ヤマカツハクリュウ(祖母リンデンリリー)といった「名牝の孫」が障害戦で次々に好走を果たしている。この3頭の祖母はいずれも芝2400mのG1を勝っており、そこから障害戦に向いたスタミナを受け継いでいるのかもしれない。

■表2 「名牝の孫」年度別成績(芝コースのみ)

着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
2012年 31- 31- 24-315/401 7.7% 15.5% 21.4% 67% 74%
2013年 40- 39- 28-306/413 9.7% 19.1% 25.9% 95% 84%
2014年 11- 13- 14-107/145 7.6% 16.6% 26.2% 76% 81%

前項で「名牝の孫は芝向き」ことがわかったので、ここから取り上げるデータは芝に限ったものとしたい。表2は年度別成績で、ここで注目したいのが「名牝の孫」の芝コースにおける好走率が2013年になって大きく上昇したことである。今年(2014年)も複勝率がさらに上昇していることから、この傾向は現在も継続中で、ハープスターやショウナンラグーンの活躍もその延長線上にあると考えられるのではないだろうか。

■表3 「名牝の孫」競馬場別成績(芝コースのみ)

場所 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
札幌 5-  3-  3- 21/ 32 15.6% 25.0% 34.4% 107% 100%
函館 5-  7-  6- 34/ 52 9.6% 23.1% 34.6% 65% 86%
福島 3-  6-  3- 59/ 71 4.2% 12.7% 16.9% 14% 69%
新潟 10- 10-  2- 68/ 90 11.1% 22.2% 24.4% 159% 92%
東京 11- 12- 11-131/165 6.7% 13.9% 20.6% 103% 75%
中山 18- 13- 11-116/158 11.4% 19.6% 26.6% 103% 99%
中京 5-  6-  6- 66/ 83 6.0% 13.3% 20.5% 29% 60%
京都 9- 12- 13- 94/128 7.0% 16.4% 26.6% 65% 89%
阪神 9-  9-  3- 94/115 7.8% 15.7% 18.3% 62% 36%
小倉 7-  5-  8- 45/ 65 10.8% 18.5% 30.8% 58% 106%

表3は、芝コースにおける競馬場別成績。「名牝の孫」はどの競馬場を得意にしているのかと調べてみたところ、明らかに好走率が高いのは札幌、函館という洋芝コースということがわかった。逆に、もっとも成績が悪いのは福島で、札幌や函館に比べると複勝率が半減してしまっている。ただし、福島以外の関東圏3場(東京、中山、新潟)の好走率は悪くなく、単勝回収率は3場とも100%以上となっている。どちらかといえば福島のほうが例外で、むしろ関東圏を得意としている点には注意しておきたい。

■表4 「名牝の孫」年齢別成績(芝コースのみ)

距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1000m〜1300m 14- 15- 17-129/175 8.0% 16.6% 26.3% 61% 96%
1400m〜1600m 37- 29- 20-229/315 11.7% 21.0% 27.3% 74% 81%
1700m〜2000m 20- 27- 14-277/338 5.9% 13.9% 18.0% 81% 59%
2100m〜2400m 11-  8- 11- 73/103 10.7% 18.4% 29.1% 154% 98%
2500m〜 0-  4-  4- 20/ 28 0.0% 14.3% 28.6% 0% 145%

表4は、芝コースにおける距離別成績。それぞれの好走率と回収率から判断する限り、「名牝の孫」は2100〜2400mの芝レースで狙うのがベストだ(※注:現在の中央競馬10場には2100mの芝コースは設定されていないので、実際には2200〜2400m)。このデータを見ると、芝2400mの青葉賞で10番人気という評価に甘んじていたショウナンラグーンは、馬券的には絶好の狙い目だったと判断してもいいだろう。

■表5 「名牝の孫」年齢別成績(芝コースのみ)

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
2歳 24- 19-  8- 91/142 16.9% 30.3% 35.9% 154% 99%
3歳 25- 33- 26-333/417 6.0% 13.9% 20.1% 62% 73%
4歳 21- 15- 14-135/185 11.4% 19.5% 27.0% 80% 79%
5歳 10- 14- 10-108/142 7.0% 16.9% 23.9% 96% 87%
6歳 2-  0-  5- 39/ 46 4.3% 4.3% 15.2% 22% 50%
7歳以上 0-  2-  3- 22/ 27 0.0% 7.4% 18.5% 0% 92%

表5は、芝コースにおける年齢別成績。やや意外な感もあるが、「名牝の孫」は2歳戦で抜群の成績を残している。日本に根付いた牝系の産駒はジワジワと成長してくるようなイメージもあるが、少なくとも「名牝の孫」に関しては当てはまらない。回収率も優秀なので、競馬新聞などで「名牝◯◯の孫」といった表現を2歳の芝レースで見かけたら、積極的に狙ってみたいところだ。

■表6 「名牝の孫」現役馬(平地収得賞金順・2014年5月4日現在)

馬名 性齢 収得賞金 祖母
ハープスター 牝3 9350 ベガ
ヴェルデグリーン 牡6 8450 ウメノファイバー
エーシンホワイティ 牡7 3375 タレンテイドガール
ショウナンラグーン 牡3 3000 メジロドーベル
ブレイズアトレイル 牡5 2450 ファビラスラフイン
ヤマカツハクリュウ 牡7 2450 リンデンリリー
マイネルロブスト 牡5 1675 スエヒロジョウオー
モンストール 牡5 1600 イソノルーブル
トラストワン 牡6 1550 イソノルーブル
ナリタハリケーン 牡5 1550 ファビラスラフイン
サンライズウェイ 牡4 1500 アドラーブル
ジャイアントリープ 牡4 1500 ファビラスラフイン
ラーストチカ 牝4 1500 イソノルーブル
マコトナワラタナ 牝5 1450 ブゼンキャンドル
ラロメリア セ6 1300 ビワハイジ
サンブルエミューズ 牝4 1150 キョウエイマーチ
ヤマニンボンプアン 牝6 950 ヤマニンパラダイス
ラフィングインメイ 牡5 950 ファビラスラフイン
ルシャンベルタン 牡6 950 シンコウラブリイ
アドマイヤキンカク 牡4 900 エアグルーヴ
オアフライダー 牡4 900 エリモエクセル
ゴールドメイン 牡4 900 シンコウラブリイ
シャンパーニュ 牡3 900 ファビラスラフイン
ダンスアミーガ 牝3 900 ダンスパートナー
ダンツアトラス 牡4 900 チアズグレイス
ピュアソルジャー 牡4 900 ピースオブワールド
ヒラボクプリンス 牡4 900 チョウカイキャロル
ホワイトフリート 牡4 900 ビワハイジ
レネットグルーヴ 牝4 900 エアグルーヴ
ヒラボクダッシュ 牡5 785 チョウカイキャロル

もっとも、「名牝の孫」を狙うといっても、競馬新聞やスポーツ新聞の馬柱に祖母まで掲載されているのはレアケース。スペースの関係上、全馬というわけにはいかないが、現役の「名牝の孫」を(平地の収得賞金順)で30頭まとめてみたので、表6を参照にしていただければと思う。

■表7 「名牝の孫」2歳馬

祖母 性別
アグネスデジタル メジロヒラリー メジロドーベル
ウォーエンブレム ラフィンムード ファビラスラフイン
エンパイアメーカー イソノフォーティ イソノルーブル
エンパイアメーカー エスフライト ノースフライト
キングカメハメハ アグネスファスト ファイトガリバー
キングカメハメハ アドマイヤグルーヴ エアグルーヴ
キングカメハメハ ヤマカツリリー リンデンリリー
キングカメハメハ レディミューズ シンコウラブリイ
クロフネ レディベローナ シンコウラブリイ
サクラバクシンオー マザーウェル シンコウラブリイ
ジャングルポケット シュペリユール ファビラスラフイン
ジャングルポケット ダンスオールナイト ダンスパートナー
ジャングルポケット レディーダービー ウメノファイバー
シンボリクリスエス ラブアンドピース ピースオブワールド
スウェプトオーヴァーボード イソノスワロー イソノルーブル
ステイゴールド ウィンヒストリー タレンテイドガール
ゼンノロブロイ ラフィントレイル ファビラスラフイン
ダイワメジャー ダイイチビビット ダイイチルビー
ダイワメジャー レディハピネス レディパステル
チチカステナンゴ アーデルハイト ビワハイジ
チチカステナンゴ トップエクセレント ファイトガリバー
ディープインパクト ヴィートマルシェ キョウエイマーチ
ディープインパクト サムワントゥラブ シンコウラブリイ
ディープインパクト ハウオリ ノースフライト
ディープインパクト フェルメールブルー ノースフライト
ディープインパクト ポルトフィーノ エアグルーヴ
ネオユニヴァース ソニックグルーヴ エアグルーヴ
ハービンジャー ニシノマナムスメ ニシノフラワー
ハービンジャー ピサノグラフ シンコウラブリイ
ハービンジャー メジロルルド メジロドーベル

また、今の時期はペーパーオーナーゲーム(POG)の指名候補を探すのが楽しみ、いう方も少なくないはずだ。ハープスターやショウナンラグーンが活躍したとなれば、今年の2歳馬でも「名牝の孫」に注目してみる価値はあるはず。そこで、リーディング上位種牡馬の産駒を中心に「名牝の孫」である2歳馬を30頭ピックアップしてみたので、表7を参考にしていただけると幸いである。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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