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第759回 前走上がり1位馬が強いコース、弱いコースを調査する

2013/12/9(月)

競馬場やコースによって違いはあるが、通常、「レースの上がり」といえば勝負どころとなる3〜4コーナーあたりからゴールまでの3ハロン(600m)を指す。当然ながら着順に直結する部分で、予想においても「前走の上がり順位が何番目だったか」は、前走着順と同じぐらい重要なファクターとなりうる。そこで今回は「前走上がり1位馬が得意とするコース、苦手とするコース」を芝、ダート別で調べてみたい。集計期間は2012年1月5日〜2013年12月1日で、この期間に前走上がり1位馬が30回以上出走した平地コースを集計対象とし、ランキングは複勝率順とした。なお、前走上がり1位馬には、1位タイだった馬も含んでいる。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 前走上がり1位馬が得意とする芝コース(複勝率順・出走30回以上)

順位 コース 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1 小倉・芝1800m 11-  7-  7- 31/ 56 19.6% 32.1% 44.6% 154% 145%
2 中京・芝1600m 8-  8- 10- 35/ 61 13.1% 26.2% 42.6% 103% 95%
3 新潟・芝1800m 12- 10-  7- 43/ 72 16.7% 30.6% 40.3% 64% 90%
4 中山・芝1600m 15- 21- 16- 81/133 11.3% 27.1% 39.1% 57% 105%
5 阪神・芝2000m 12- 11- 11- 53/ 87 13.8% 26.4% 39.1% 151% 87%
6 阪神・芝2200m 2-  5-  7- 22/ 36 5.6% 19.4% 38.9% 16% 87%
7 東京・芝2000m 18- 14- 14- 74/120 15.0% 26.7% 38.3% 83% 72%
8 京都・芝1400m外 5-  5-  9- 32/ 51 9.8% 19.6% 37.3% 26% 94%
9 京都・芝2400m 3-  7-  3- 22/ 35 8.6% 28.6% 37.1% 96% 77%
10 新潟・芝1000m 6-  6-  6- 31/ 49 12.2% 24.5% 36.7% 65% 127%

まずは「前走上がり1位馬が得意とする芝コース」について調べてみよう。「前走上がり1位馬が強い芝コース」と聞くと、東京や新潟外回りのような最後の直線が長いコースを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。ところが、表1を見ると、実際には直線の長いコースばかりが上位を独占しているわけではない。1位となった小倉芝1800は差し・追い込み馬がなかなか届かない典型的な小回りコースで、上がりの脚が重要というイメージはあまりないのだが、実際には複勝率44.6%と半数近くが好走するほど前走上がり1位馬に有利となっている。好走確率だけでなく、単複の回収率も非常に優秀で、前走で上がり1位を記録しながらあまり人気になっていないような馬がいるようなら、積極的に狙ってみたい。

2012/10/27 新潟10R きんもくせい特別 1着 8番 ゴットフリート

G1が行なわれるコースでは、4位の中山芝1600が最上位となった。このコースも、一般的には速い上がりを使える馬にとって有利なコースというイメージはないが、実際には複勝率39.1%と好走確率はかなり高い。ただし、回収率は単勝が57%と低く、複勝が105%と高くなっているので、いわゆるヒモ穴を狙ってみるとよさそうだ。なお、このコースで行われるG1である朝日杯フューチュリティSは、2014年から阪神開催となることが先日発表された。昨年のこのレースでも、前走のきんもくせい特別で上がり1位を記録していたゴットフリートが3着に入っており、現コースではラストチャンスとなる今年も狙ってみる価値があるのではないだろうか。

意外なところでは、直線コースの新潟芝1000も10位に入っている。究極のスピードを競うコースだけにスタート直後のダッシュ力にばかり目が向いてしまうところだが、実は前走上がり1位馬も好成績を収めていることは知っておいて損はしないはず。このコースも複勝回収率のほうが高い傾向にあるので、2、3着の穴馬として前走上がり1位馬に着目すると好結果につながりそうだ。

■表2 前走上がり1位馬が苦手とする芝コース(複勝率順・出走30回以上)

順位 コース 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1 中京・芝1200m 2-  4-  3- 40/ 49 4.1% 12.2% 18.4% 18% 60%
2 福島・芝1200m 7-  7-  6- 68/ 88 8.0% 15.9% 22.7% 43% 43%
3 京都・芝1200m 7-  8-  3- 57/ 75 9.3% 20.0% 24.0% 49% 62%
4 京都・芝1600m外 13-  4-  7- 69/ 93 14.0% 18.3% 25.8% 68% 60%
5 阪神・芝1200m 4-  1-  4- 25/ 34 11.8% 14.7% 26.5% 77% 49%
6 福島・芝1800m 8-  3-  3- 36/ 50 16.0% 22.0% 28.0% 67% 54%
7 阪神・芝2400m 4-  5-  4- 33/ 46 8.7% 19.6% 28.3% 98% 62%
8 函館・芝2000m 7-  6-  4- 42/ 59 11.9% 22.0% 28.8% 56% 72%
9 中山・芝1800m 2-  8-  9- 46/ 65 3.1% 15.4% 29.2% 13% 52%
10 中山・芝2000m 14- 12-  7- 80/113 12.4% 23.0% 29.2% 67% 72%

2013/2/24 阪神11R 阪急杯(G3)1着 3番 ロードカナロア

では、逆に「前走上がり1位馬が苦手とする芝コース」はどこだろうか。ワースト1位となったのは、G1の高松宮記念が開催される中京芝1200で、複勝率18.4%はワースト2位の福島芝1200mを4ポイント以上も引き離している。このコースでは前走で上がり1位をマークするような鋭い末脚を持った馬でも、その武器を披露できずに敗れてしまうケースが多いと考えたい。ちなみに、今年の高松宮記念で完勝を飾ったロードカナロアも、その前走の阪急杯における上がり順位は7位と、上位の上がりを使っていたわけではなかったのだが、かえって高松宮記念での好結果につながった可能性はある。この中京芝1200mを筆頭に、ワースト5位までのうちの4つを芝1200mのコースが占めたのは理解しやすいかもしれない。距離が短いコースは前半からハイペースになりやすく、そのぶん、どの馬も速い上がりを使えなくなる。相対的に上がりの脚の価値が低下するからだ。

そう考えた際に注目に値するのは、ある程度以上の距離を持ち、しかも直線の長い外回りコースを使用していながらワーストランキングに入った京都芝1600m外阪神芝2400である。いかにも前走上がり1位馬が有利に見えるコースだが、この2コースでは過信しないほうがいいだろう。このうち京都芝1600m外に関して補足しておくと、複勝率こそ低いものの、勝率14.0%は決して悪いものではなく、表1の「前走上がり1位馬が強い芝コース」に比べても見劣らないほどだ。とはいえ、単勝回収率は68%にとどまっており、前走上がり1位馬は過剰人気になりやすいことが読み取れる。その点からも、やはり前走上がり1位馬を重視しすぎないほうがいいコースと考えられるだろう。

■表3 前走上がり1位馬が得意とするダートコース(複勝率順・出走30回以上)

順位 コース 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1 札幌・ダ1700m 13-  9-  4- 33/ 59 22.0% 37.3% 44.1% 88% 82%
2 小倉・ダ1000m 6-  6-  4- 22/ 38 15.8% 31.6% 42.1% 101% 72%
3 京都・ダ1400m 24- 18- 24- 92/158 15.2% 26.6% 41.8% 171% 100%
4 函館・ダ1700m 16- 22- 20- 83/141 11.3% 27.0% 41.1% 60% 86%
5 函館・ダ1000m 7-  5-  6- 29/ 47 14.9% 25.5% 38.3% 44% 56%
6 小倉・ダ1700m 21- 16- 13- 84/134 15.7% 27.6% 37.3% 107% 89%
7 東京・ダ1300m 13-  6-  4- 39/ 62 21.0% 30.6% 37.1% 154% 72%
8 東京・ダ2100m 14-  9- 11- 58/ 92 15.2% 25.0% 37.0% 81% 97%
9 阪神・ダ1200m 17- 13- 12- 73/115 14.8% 26.1% 36.5% 137% 100%
10 京都・ダ1900m 9-  7-  8- 42/ 66 13.6% 24.2% 36.4% 43% 103%

今度は「前走上がり1位馬が得意とするダートコース」について調べてみたい。一般的には「上がりの脚が重要なのは芝で、ダートでは上がりの脚をあまり必要とされない」というイメージがあるかもしれないが、実はそうでない。集計期間における前走上がり1位馬の全体成績を芝とダートで分けると、芝の勝率11.9%、複勝率33.2%に対して、ダートでは勝率13.8%、複勝率34.7%となっている。つまり、実際に前走上がり1位馬の好走確率が高いのはダートなのだ。であれば、前走上がり1位馬の取捨がより重要なのもダートと考えるのが自然だろう。

そこで表3の「前走上がり1位馬が得意とするダートコース」を見ると、札幌や小倉、函館といった最後の直線が短いコースが多くランクインしており、意外な印象を受けるかもしれない。ただし、回収率に目を向けると、札幌ダート1700m、函館ダートの1000mと1700mという北海道の3コースでは単複の回収率がすべて100%を割り込んでおり、特に函館の両コースでは単勝回収率が低く、前走上がり1位馬が過剰評価されやすい面があるようだ。一方、小倉ダートの1000mと1700の単勝回収率はいずれも100%を超えており、馬券的にはこちらのほうが狙いやすくなっている。

そして、前走上がり1位馬の馬券的な価値がさらに高いのが、単勝回収率171%の京都ダート1400、同154%の東京ダート1300、同137%の阪神ダート1200といった中央場の短距離コース。ダートの短距離戦には先行して粘り込む馬が有利というイメージがあるため、これら3コースでは前走上がり1位馬が意外な盲点となって高い単勝回収率につながっているのかもしれない。

■表4 前走上がり1位馬が苦手とするダートコース(複勝率順・出走30回以上)

順位 コース 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1 福島・ダ1150m 5-  6-  3- 39/ 53 9.4% 20.8% 26.4% 80% 66%
2 中京・ダ1200m 4-  3-  4- 29/ 40 10.0% 17.5% 27.5% 62% 66%
3 福島・ダ1700m 13-  8- 11- 83/115 11.3% 18.3% 27.8% 44% 69%
4 東京・ダ1400m 28- 20- 19-171/238 11.8% 20.2% 28.2% 55% 63%
5 中京・ダ1400m 7-  7- 11- 54/ 79 8.9% 17.7% 31.6% 41% 74%
6 京都・ダ1200m 24- 10- 12- 99/145 16.6% 23.4% 31.7% 151% 84%
7 東京・ダ1600m 39- 33- 32-212/316 12.3% 22.8% 32.9% 67% 76%
8 中山・ダ1200m 29- 24- 20-148/221 13.1% 24.0% 33.0% 89% 83%
9 新潟・ダ1200m 12- 11-  9- 65/ 97 12.4% 23.7% 33.0% 67% 67%
10 阪神・ダ1800m 28- 30- 20-157/235 11.9% 24.7% 33.2% 67% 73%

最後に「前走上がり1位馬が苦手とするダートコース」を確認しておきたい。つまり、表4で上にあるほど、前走で上がり1位をマークしたような鋭い末脚を持った馬でも届かないことが多いコースと言える。目を引くのが、福島ダートの11501700がそれぞれワースト1位と3位に入ったこと。この2コースは福島ダートのなかでも使用される機会が多いことを考えると、福島のダートコースでは全体的に前走上がり1位馬が苦戦する傾向にあると考えてよさそうだ。また、中京ダートの12001400がそれぞれワースト2位と5位に入っており、中京のダート短距離も前走上がり1位馬にとっては厳しいコースと言える。

そのほか、表4のなかで注意したいのが京都ダート1200の扱いだ。複勝率ベースのランキングではワースト6位となってしまったが、勝率16.6%、単勝回収率151%は、表3のランキングに混じっても上位に入るほどの数字となっている。つまり、このコースでは前走上がり1位馬が勝ち切ることも多いが、安定感はなく、4着以下に敗れるケースもしばしばある、という極端な傾向があるのだ。したがって、京都ダート1200mで前走上がり1位馬を狙うのであれば、思い切って馬単や3連単の1着固定で勝負するのが有効な作戦となるだろう。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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