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第735回 芝の道悪で好走した馬の次走を考える

2013/9/16(月)

雨や道悪な競馬場のイメージ写真

今年の函館は3カ月あまりの連続開催だったことに加えて後半戦は降雨の影響もあって、芝コースの馬場状態が歴史的なレベルまで悪化。また、夏の小倉でも最後の2週は大半が重、不良でのレースとなった。こうした芝の道悪レースで力走した後となると、疲労や反動を心配する向きもあるのではないだろうか。そこで今回は「芝の道悪(重、不良)で1〜3着に好走した馬の次走成績」がどのような傾向にあるのか、データを分析してみたい。集計期間は10年1月5日〜13年9月9日で、次走については前走と同じく芝のレースに出走した場合のみを集計の対象とする。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 前走馬場状態別1〜3着馬の次走成績

前走条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走芝・重、不良 153- 108- 121- 629/1011 15.1% 25.8% 37.8% 74% 79%
前走芝・良、稍重 2356- 1984- 1713- 9858/15911 14.8% 27.3% 38.0% 80% 82%

まずは、全体的なデータを確認しておきたい。表1は「前走で重、不良の芝レースに出走して1〜3着だった馬の次走成績」と「前走で良、稍重の芝レースに出走して1〜3着だった馬の次走成績」を比較したものである。これを見る限り、前走が道悪であってもなくても、次走の好走率はほぼ同等となっている。つまり、全体的な傾向としては、重や不良の芝レースで1〜3着に力走した後の次走であっても疲労や反動を心配する必要は意外とない、と判断してもよさそうだ。

■表2 芝の重、不良1〜3着馬・牡牝別・次走成績

性別 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
牡・セン 100- 73- 79-394/646 15.5% 26.8% 39.0% 80% 79%
53- 35- 42-235/365 14.5% 24.1% 35.6% 63% 78%

全体的な傾向としては、反動の心配はあまりないことがわかったが、もちろん、実際には個性や個体差がある。そこでここからは、どのような馬に反動が出やすいのか、逆にどのような馬であれば反動が出にくいのかを探っていきたい。表2は牡牝別の成績で、牝馬のほうが道悪の反動が出やすいイメージがあるのではないだろうか。しかし、表2の通り、実際のデータとしては極端な差は出ていない。牡馬の好走率が若干高くなってはいるが、一般的に牡馬のほうが高い好走率が出やすいもので、ここでの差もその範疇に収まる程度のもの。道悪で1〜3着に力走した後の反動については、牡牝の差はあまりないと考えてよさそうだ。

■表3 芝の重、不良1〜3着馬・馬体重別・次走成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
〜399kg 0-   1-   1-   2/   4 0.0% 25.0% 50.0% 0% 282%
400〜419kg 2-   2-   4-  25/  33 6.1% 12.1% 24.2% 26% 129%
420〜439kg 13-   8-   8-  66/  95 13.7% 22.1% 30.5% 64% 66%
440〜459kg 33-  23-  22- 155/ 233 14.2% 24.0% 33.5% 52% 65%
460〜479kg 56-  33-  35- 190/ 314 17.8% 28.3% 39.5% 108% 83%
480〜499kg 25-  19-  26- 113/ 183 13.7% 24.0% 38.3% 60% 73%
500〜519kg 19-  16-  18-  59/ 112 17.0% 31.3% 47.3% 68% 95%
520〜539kg 3-   5-   5-  20/  33 9.1% 24.2% 39.4% 66% 61%
540kg〜 2-   1-   2-   1/   6 33.3% 50.0% 83.3% 138% 128%

表3は馬体重別の成績で、これは差が出ている。サンプルの少ない540キロ以上や400キロ未満は別として、「400キロ以上〜420キロ未満」の好走率が明らかに下がっており、また、複勝率ベースで見ても「420キロ以上〜440キロ未満」と「440キロ以上〜460キロ未満」の数字がやや低い。対して、460キロ以上の場合は40%前後かそれ以上の安定した複勝率を記録していることからも、馬体重の軽い馬ほど道悪で力走した後の反動が出やすいようだ。具体的には、芝の道悪で1〜3着で好走した馬の次走では、馬体重が460キロ未満ではやや割引、420キロ未満ではさらに割引と考えたい。

■表4 芝の重、不良1〜3着馬・年齢別・次走成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
2歳 24- 18- 21-110/173 13.9% 24.3% 36.4% 45% 69%
3歳 76- 51- 54-272/453 16.8% 28.0% 40.0% 82% 84%
4歳 34- 19- 22-108/183 18.6% 29.0% 41.0% 90% 87%
5歳 12- 15- 14- 77/118 10.2% 22.9% 34.7% 57% 70%
6歳 5-  3-  8- 41/ 57 8.8% 14.0% 28.1% 97% 78%
7歳以上 2-  2-  2- 23/ 29 6.9% 13.8% 20.7% 36% 45%

表4は年齢別の成績で、好走率は2歳、3歳、4歳までは上昇していくが、4歳をピークにして、今度は5歳、6歳、7歳以上と下降していく。一般的に競走馬が完成するのは4歳と言われているとおり、芝の道悪で1〜3着に好走した後の反動がもっとも小さいのも4歳と考えていいのではないだろうか。また、回収率ベースでは、2歳の若駒と7歳以上の高齢馬が振るわないことを併せて考慮すると、肉体的に未完成の2歳馬および年齢を重ねて回復力が衰える7歳以上の高齢馬は道悪で好走した反動が出やすいようだ。

■表5 芝の重、不良1〜3着馬・出走間隔別・次走成績

出走間隔 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
連闘 1-   1-   1-  12/  15 6.7% 13.3% 20.0% 39% 46%
中1週 35-  18-  22- 111/ 186 18.8% 28.5% 40.3% 88% 80%
中2週 40-  37-  46- 190/ 313 12.8% 24.6% 39.3% 56% 75%
中3週 30-  16-  23- 111/ 180 16.7% 25.6% 38.3% 76% 86%
中4〜8週 31-  20-  15- 106/ 172 18.0% 29.7% 38.4% 111% 80%
中9〜24週 12-  13-  12-  79/ 116 10.3% 21.6% 31.9% 46% 66%
中25週以上 4-   3-   2-  22/  31 12.9% 22.6% 29.0% 69% 118%

表5は出走間隔別の成績。芝の道悪で力走した後では、出走間隔を空けてしっかりと疲れをとったほうがいいようなイメージがあるかもしれないが、実際には中1週から中8週までの出走間隔であれば明確な好走率の差は出ていないようだ。また、中9週以上の出走間隔になると一般的な休養明けのレースと同じく好走率は下がる。ただし、連闘の場合は要注意で、サンプル数は少ないものの、はっきりと好走率が下がっている。さすがに芝の道悪で力走した後に連闘となると厳しいようだ。

■表6 芝の重、不良1〜3着馬・前走距離別・次走成績

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1000m〜1300m 22-  16-  20- 134/ 192 11.5% 19.8% 30.2% 53% 68%
1400m〜1600m 53-  32-  33- 177/ 295 18.0% 28.8% 40.0% 80% 79%
1700m〜2000m 61-  50-  55- 249/ 415 14.7% 26.7% 40.0% 79% 85%
2100m〜2400m 15-   7-  10-  52/  84 17.9% 26.2% 38.1% 83% 75%
2500m〜 2-   3-   3-  19/  27 7.4% 18.5% 29.6% 36% 68%

表6は前走距離別の成績で、注目したいのは前走で2500m以上の長距離戦で1〜3着に入っていた馬の好走率が他の距離に比べて明らかに落ちていること。芝長距離の道悪レースを激走した場合は、他の距離より反動が出やすい面があるようだ。また、前走が1000m〜1300mの短距離戦だった場合の好走率も若干下がっており、このケースでも注意したい。

■表7 芝の重、不良1〜3着馬・前走斤量別・次走成績

前走斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
〜49kg 1-  0-  0-  0/  1 100.0% 100.0% 100.0% 730% 200%
49.5〜51kg 1-  2-  0-  6/  9 11.1% 33.3% 33.3% 48% 76%
51.5〜53kg 7-  4-  6- 39/ 56 12.5% 19.6% 30.4% 71% 59%
53.5〜55kg 70- 52- 53-321/496 14.1% 24.6% 35.3% 70% 78%
55.5〜57kg 72- 49- 62-259/442 16.3% 27.4% 41.4% 76% 81%
57.5〜59kg 2-  1-  0-  6/  9 22.2% 33.3% 33.3% 192% 58%
59.5kg〜 0-  0-  0-  0/  0          

表7は前走斤量別の成績で、重い斤量を背負って道悪を激走した後は反動が出やすいようなイメージもある。しかし、実際のデータにはそうした傾向は出ておらず、前走斤量55.5キロ〜57キロの馬のほうがかえって好走率は高いほど。サンプルの少ない前走斤量57.5キロ〜59キロの馬にしても勝率は22.2%と高いことを考えても、道悪で重い斤量を背負いながら激走した馬は反動が出やすい、という傾向は、少なくともデータからは読み取ることができない

■表8 芝の重、不良1〜3着馬・前走枠番別・次走成績

前走枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1枠 20- 11-  7- 71/109 18.3% 28.4% 34.9% 76% 62%
2枠 12-  9- 10- 71/102 11.8% 20.6% 30.4% 44% 59%
3枠 22- 17- 17- 67/123 17.9% 31.7% 45.5% 101% 91%
4枠 17-  7- 19- 65/108 15.7% 22.2% 39.8% 57% 80%
5枠 13- 20- 13- 79/125 10.4% 26.4% 36.8% 50% 87%
6枠 20- 14- 16- 84/134 14.9% 25.4% 37.3% 61% 85%
7枠 19- 14- 24-107/164 11.6% 20.1% 34.8% 65% 70%
8枠 30- 16- 15- 87/148 20.3% 31.1% 41.2% 124% 90%

極度に馬場が悪化した今年の函館後半の芝レースでは、差し馬の場合、外に出すのではなくインコースぴったりを通った馬しか好走できない、といったケースがしばしば見られた。どこを通っても馬場が悪化しており、レースの消耗度も激しいため、最短距離を走らなければ勝負にならないような状態だったのだろう。そのことに関連して注目したのが表8の前走枠順別の成績。ご覧の通り、前走で8枠だった馬の成績が優秀なのだ。芝の道悪で不利なアウトコースを通らざるをえない8枠から1〜3着に好走していた馬というのは、能力そのものが高かった可能性があると言えるのではないだろうか。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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