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第663回 本命度の高いコース、波乱度の高いコースを知ろう

2013/1/7(月)

レースが終わったあとに反省するパターンでよくあるのが「ガチガチの本命決着なのに穴馬から馬券を買ってしまった」あるいは「大波乱に終わったのに上位人気馬しか買わなかった」といった、そもそもの見込み違い。「どの馬が強いのか」を予想するのはもちろん重要だが、「そのレースが堅いのか、荒れるのか」を予想することも同じぐらい大切なことは、みなさんご承知のことだろう。

ところで、馬券を買っていると「このコースはよく荒れる」あるいは「このコースでは1番人気が強い」といったコースごとの違いに気づくのではないだろうか。そこで今回は「本命馬が強いコース」や「波乱が起こりやすいコース」について調べてみたい。コースごとの「本命度」「波乱度」を把握できれば、「そのレースの決着が堅いのか、荒れるのか」を予想するうえで大きな手助けになるはずだ。

コースごとの「本命度」「波乱度」の判定については単勝回収率を利用する。一般的に回収率は、上位人気馬が多く勝つほど低くなり、人気薄が多く勝つほど高くなる。つまり、単勝回収率が高いコースは波乱度が高く、低いコースほど本命度が高いと考えていい。集計期間は10年1月5日〜12年12月24日の3年分で、その期間内に20レース以上行なわれた平地コースを集計対象とする。また、12年3月に改修されたばかりの中京競馬場の各コースについては対象外とした。データ分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 「本命度」の高い芝コース(単勝回収率が低い順・10位まで)

順位 出走全馬 1番人気馬
コース 単回率 複回率 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1 小倉・芝2600m 42% 60% 13-  4-  4-  9/ 30 43.3% 56.7% 70.0% 126% 102%
2 福島・芝2600m 53% 76% 10-  9-  5-  4/ 28 35.7% 67.9% 85.7% 100% 120%
3 阪神・芝1600m外 54% 74% 50- 26- 18- 48/142 35.2% 53.5% 66.2% 83% 86%
4 京都・芝2000m 54% 69% 42- 15- 21- 35/113 37.2% 50.4% 69.0% 81% 84%
5 東京・芝2000m 54% 81% 40- 19- 17- 32/108 37.0% 54.6% 70.4% 83% 90%
6 札幌・芝1500m 54% 77% 25- 14-  6- 19/ 64 39.1% 60.9% 70.3% 83% 83%
7 新潟・芝2000m外 54% 73% 16-  6-  7- 25/ 54 29.6% 40.7% 53.7% 77% 72%
8 中山・芝2000m 55% 67% 34- 25- 15- 47/121 28.1% 48.8% 61.2% 76% 80%
9 新潟・芝1800m外 56% 66% 35- 24-  9- 34/102 34.3% 57.8% 66.7% 91% 90%
10 札幌・芝1800m 59% 76% 35- 11-  8- 21/ 75 46.7% 61.3% 72.0% 95% 86%

まずは「本命度が高い芝コース」から見ていこう。興味深いのが、本命度の高い上位10位までに1400m以下の芝短距離コースがひとつも入らなかったこと。その一方、8コースを1800m以上の中〜長距離コースが占めた。後述するように中距離以上でも波乱度の高いコースはあるので、判断はあくまでコースごとに下すのが原則ではあるが、全体的には芝コースでは中距離以上のほうが堅い傾向があるとは言えそうだ。

本命度の高いコースの1位と2位には小倉と福島の芝2600mが入った。やはり、どちらのコースも併記した1番人気馬の成績が優秀で、小倉芝2600mでは勝率43.3%と1番人気馬が勝つ確率が高く、福島芝2600mでは複勝率85.7%と確実に3着以内に入ってくることがわかる。ローカルの芝2600mは施行レース数が多くないのでイメージをつかみづらい部分もあるが、小倉と福島については1番人気が強い本命度の高いコースと覚えておきたい。

単勝回収率の観点から見たもっとも本命度が高いコースは小倉芝2600mだが、もっとも1番人気が強いという観点からは10位の札幌芝1800mが逆転してトップとなる。このコースの1番人気馬は勝率46.7%。2回に1回近くは勝ち切る計算になるので、取捨に迷うレースなどではとりあえず1番人気から馬券を買ってみても的中につながりやすいコースとも言えるだろう。

ここまではローカルのコースについて触れてきたが、中央場のコースでは東京、中山、京都の芝2000mがいずれも上位10位までに入っている。中央場のもうひとつ、阪神の芝2000mはランク外だが、単勝回収率66%でどちらかと言えば本命度の高いコースとなっている。この阪神を含めて、中央場の芝2000mコースは堅い決着になりやすいと考えてもよさそうだ。

■表2 「波乱度」の高い芝コース(単勝回収率が高い順・10位まで)

出走全馬 1番人気馬
コース 単回率 複回率 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
新潟・芝1400m 102% 81% 20- 20- 11- 32/ 83 24.1% 48.2% 61.4% 58% 82%
函館・芝2600m 99% 105% 10-  1-  3- 10/ 24 41.7% 45.8% 58.3% 91% 72%
京都・芝2400m外 95% 77% 12- 13-  8- 16/ 49 24.5% 51.0% 67.3% 51% 85%
阪神・芝1400m 93% 84% 31- 23- 18- 53/125 24.8% 43.2% 57.6% 60% 76%
札幌・芝2600m 93% 87% 4-  3-  4- 11/ 22 18.2% 31.8% 50.0% 48% 66%
東京・芝1400m 89% 79% 43- 28- 18- 75/164 26.2% 43.3% 54.3% 68% 74%
函館・芝1200m 86% 85% 43- 24- 14- 49/130 33.1% 51.5% 62.3% 79% 82%
中山・芝2500m 86% 70% 8-  3-  9-  7/ 27 29.6% 40.7% 74.1% 68% 97%
京都・芝1400m内 85% 80% 16- 14- 10- 24/ 64 25.0% 46.9% 62.5% 60% 82%
新潟・芝2000m内 85% 90% 7-  7-  8- 16/ 38 18.4% 36.8% 57.9% 46% 75%

次に「波乱度の高い芝コース」について見ていこう。単勝回収率からもっとも荒れるコースと判断できるのは新潟芝1400mとなった。単勝回収率102%ということは、集計期間内に出走したすべての馬の単勝馬券を買っても、それでもなおプラスになることを意味するのでかなり荒れるコースと考えて間違いない。また、新潟以外にも、阪神、東京、京都内回りと4つの芝1400mが荒れるコースの上位10位に入ったのも興味深いところ。東京芝1400mの京王杯SCや京王杯2歳S、阪神芝1400mの阪神Cやフィリーズレビューなど1400mで行なわれるG2には高配当が出やすい印象があるが、それはコースそのものの波乱度が高いからという面もあるのではないだろうか。

もうひとつおもしろいのが、本命度の高いコースで1位、2位に入った小倉、福島の芝2600mは異なり、同じローカルの芝2600mでも洋芝で行なわれる函館と札幌は波乱度が高いこと。ただし、その函館と札幌でも、その内容が異なる点には注意しておきたい。波乱度2位の函館芝2600mは単勝回収率99%と非常に荒れやすい傾向があるにも関わらず、1番人気馬の勝率も41.7%と高い。そこでさらに細かくデータを確認してみると「1番人気が勝つことの多いコースだが、1番人気が敗れたときに2、3番人気が繰り上がるのではなく、もっと人気のない馬が勝つことが多いため波乱度が高い」ことがわかった。一方、札幌芝2600mでは1番人気馬の勝率が18.2%と低く、「そもそも上位人気馬があまり勝たないため、波乱度が高くなっている」ようだ。今年は札幌競馬場がスタンド改修のため開催があるのは函館のみだが、函館と札幌の芝2600mにおける「荒れ方の違い」について知っておいて損はないだろう。

■表3 「本命度」の高いダートコース(単勝回収率が低い順・10位まで)

出走全馬 1番人気馬
コース 単回率 複回率 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
東京・ダ1600m 54% 79% 100- 51- 38-103/292 34.2% 51.7% 64.7% 78% 83%
京都・ダ1900m 57% 69% 13- 13-  5- 28/ 59 22.0% 44.1% 52.5% 49% 68%
新潟・ダ1200m 61% 75% 83- 54- 28- 78/243 34.2% 56.4% 67.9% 82% 90%
阪神・ダ1800m 63% 85% 114- 68- 28- 96/306 37.3% 59.5% 68.6% 81% 86%
京都・ダ1200m 63% 75% 93- 43- 25- 96/257 36.2% 52.9% 62.6% 84% 81%
中山・ダ1800m 65% 79% 123- 77- 50-117/367 33.5% 54.5% 68.1% 77% 87%
中山・ダ1200m 65% 70% 124- 62- 40-118/344 36.0% 54.1% 65.7% 84% 85%
阪神・ダ1400m 65% 73% 67- 35- 24- 72/198 33.8% 51.5% 63.6% 81% 83%
札幌・ダ1000m 66% 100% 21- 17-  6- 18/ 62 33.9% 61.3% 71.0% 69% 87%
小倉・ダ1000m 70% 71% 57- 35- 21- 47/160 35.6% 57.5% 70.6% 83% 91%

2011/2/20 東京11R フェブラリーS(G1)1着 12番 トランセンド

今度はダートコースについて見ていこう。「本命度の高いダートコース」では、芝と違ってトップテンの10コースのうち6コースが1400m以下の短距離コースが入った。一般的にダートの短距離戦では逃げ・先行馬が有利で、また、前に行けるスピードを持った馬が人気を集めやすいことを考えても、こうした結果が出るのも納得できるところだ。

単勝回収率の観点から、もっとも本命度が高いダートコースと考えられるのは東京ダート1600。実際、集計期間内に行なわれた4回のG1レース(10〜12年フェブラリーS、11年南部杯)のうち3回は1番人気馬が制している。ダートG1をいくつも勝ったエスポワールシチーやトランセンドが1番人気に推されていたこともあるが、全盛期を迎えたチャンピオン級のダートホースがもっとも本命度が高い東京ダート1600mに出走してくれば、勝つのは当然だったとも言える。

表3に入ったダートコースのほとんどで1番人気馬が優秀な成績を残しているなか、京都ダート1900mだけは1番人気馬が勝率22.0%と不発気味。勝率だけでなく連対率や複勝率も水準未満で、1番人気が振るわないのに本命度が高いという珍しいコースになっている。この京都ダート1900mの人気別成績を詳しく確認したところ、1番人気馬の不振を勝率27.1%の2番人気が補うかたちになっていることがわかった。この京都ダート1900mで常時レースが組まれるようになったのは最近のこと。レース数もそれほど多くないのでまだ傾向をつかみあぐねている面もあるかもしれないが、本命度が高いわりに1番人気が振るわず、2番人気がそれ以上に強いという特徴は知っておきたい。

■表4 「波乱度」の高いダートコース(単勝回収率が高い順・10位まで)

出走全馬 1番人気馬
コース 単回率 複回率 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
福島・ダ1700m 102% 79% 34- 25- 32- 51/142 23.9% 41.5% 64.1% 56% 87%
中山・ダ2400m 96% 72% 5-  3-  5-  7/ 20 25.0% 40.0% 65.0% 76% 90%
京都・ダ1800m 85% 82% 110- 63- 32-126/331 33.2% 52.3% 61.9% 76% 79%
新潟・ダ1800m 83% 75% 91- 51- 41- 82/265 34.3% 53.6% 69.1% 77% 88%
小倉・ダ2400m 81% 69% 7-  5-  3-  7/ 22 31.8% 54.5% 68.2% 77% 99%
函館・ダ1700m 77% 75% 52- 36- 24- 57/169 30.8% 52.1% 66.3% 70% 83%
東京・ダ1300m 77% 68% 17- 27- 12- 31/ 87 19.5% 50.6% 64.4% 49% 83%
阪神・ダ2000m 77% 77% 14-  3-  1- 12/ 30 46.7% 56.7% 60.0% 121% 83%
東京・ダ2100m 76% 77% 19- 19- 11- 26/ 75 25.3% 50.7% 65.3% 56% 88%
東京・ダ1400m 75% 77% 79- 48- 23- 89/239 33.1% 53.1% 62.8% 72% 80%

最後に「波乱度の高いダートコース」を見ていこう。もっとも荒れるコースは福島ダート1700となっているが、それ以上に目に入ってくるのが、ダートとしては長距離戦となる2000m以上のコースが10位までに4つも入っていること。どの競馬場でも2000m以上のダート戦はレースが少なく、前走などでは2000m未満の距離を使っていることが多い。しかし、距離が違う前走で好走していたとしても2000m以上になるとその実績が直結せず、逆に、そこで凡走していた本来は2000m以上に適性のある馬が巻き返して波乱を呼ぶケースが多いのではないかと考えられる。

また、本命度の高いダートコースには1400m以下の短距離コースが多く入っていたが、波乱度の高いダートコースには東京のダート1300mと1400mのふたつしか入らなかった点にも注目したい。JRAの競馬場では芝コースの内側にダートコースが設置されていることもあって、最後の直線距離が短いコースが多い。しかし、東京だけはダートコースも最後の直線距離が500m以上と非常に長くなっている。そうしたコース形態の違いがあるため他の競馬場のダート短距離コースで残してきた実績があまり参考にならず、東京ダート1300mと1400mが荒れるコースとなっているのではないだろうか。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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