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第611回 夏の福島最終週では本当に「外差し」が決まるのか

2012/7/2(月)

夏の福島最終週に行なわれる名物レースといえば七夕賞。前回(2010年)の勝ち馬ドモナラズも、11番人気のダークホースながら4角16番手から大外を通って豪快な追い込みを決め、「夏の福島、最終週の芝は外差し」というイメージどおりのレースとなった。

2010/7/11 福島11R 七夕賞(G3)1着 8番 ドモナラズ

そうしたイメージに、データの裏付けをとることができれば鬼に金棒となる。そこで今回は、枠順別、脚質別のデータから「夏の福島の最終週では本当に外差しが決まるのか?」を改めて分析してみたい。対象とするコースは芝1200m。隊列の入れ替わりが激しく、コース取りの選択もある程度は自由になる中〜長距離のレースに比べると、芝1200m戦などの短距離戦では枠順どおりの隊列で直線を向くことが多く、そのぶん枠順の影響が着順に反映されやすいからだ。

その夏開催の福島芝1200m戦の枠順別、脚質別データを「開幕週」「2週目」「3週目」「最終週」に分けて傾向を分析し、今週末に迎える「最終週の福島」に活用しようというのが今回の狙いである。集計期間は2006〜2010年の夏の福島開催5年分。さらに、従来の傾向とズレがないかどうかを確認するために、今年の開幕週〜3週目が実際にどのような傾向になっていたかも併せて調べた。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 夏開催・福島芝1200m枠番別成績

2006〜2010年
2012年
枠番
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
枠番
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
開幕週
1枠
4- 8- 3-41/56
7.1%
21.4%
26.8%
46%
82%
1枠
1- 0- 2- 6/ 9
11.1%
11.1%
33.3%
176%
408%
2枠
3- 3-10-42/58
5.2%
10.3%
27.6%
33%
175%
2枠
1- 1- 0- 8/10
10.0%
20.0%
20.0%
21%
24%
3枠
1- 3- 1-53/58
1.7%
6.9%
8.6%
3%
24%
3枠
0- 0- 0- 9/ 9
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
4枠
6- 4- 4-46/60
10.0%
16.7%
23.3%
34%
67%
4枠
0- 1- 1- 9/11
0.0%
9.1%
18.2%
0%
45%
5枠
10- 1- 3-48/62
16.1%
17.7%
22.6%
189%
184%
5枠
1- 2- 1- 7/11
9.1%
27.3%
36.4%
174%
117%
6枠
2- 7- 5-49/63
3.2%
14.3%
22.2%
51%
73%
6枠
0- 0- 0-11/11
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
7枠
2- 3- 3-56/64
3.1%
7.8%
12.5%
9%
32%
7枠
1- 1- 1- 9/12
8.3%
16.7%
25.0%
22%
31%
8枠
5- 2- 3-54/64
7.8%
10.9%
15.6%
49%
39%
8枠
2- 1- 1- 8/12
16.7%
25.0%
33.3%
114%
85%
2週目
1枠
2- 4- 1-37/44
4.5%
13.6%
15.9%
36%
68%
1枠
1- 1- 0- 6/ 8
12.5%
25.0%
25.0%
30%
35%
2枠
2- 6- 5-34/47
4.3%
17.0%
27.7%
14%
419%
2枠
0- 0- 1- 8/ 9
0.0%
0.0%
11.1%
0%
52%
3枠
1- 3- 4-39/47
2.1%
8.5%
17.0%
23%
55%
3枠
1- 0- 1- 7/ 9
11.1%
11.1%
22.2%
14%
92%
4枠
3- 1- 3-41/48
6.3%
8.3%
14.6%
157%
81%
4枠
0- 2- 0- 7/ 9
0.0%
22.2%
22.2%
0%
88%
5枠
5- 2- 6-36/49
10.2%
14.3%
26.5%
45%
72%
5枠
0- 1- 1- 7/ 9
0.0%
11.1%
22.2%
0%
74%
6枠
3- 4- 0-43/50
6.0%
14.0%
14.0%
28%
32%
6枠
2- 0- 1- 6/ 9
22.2%
22.2%
33.3%
84%
60%
7枠
5- 2- 2-41/50
10.0%
14.0%
18.0%
115%
74%
7枠
0- 1- 1- 7/ 9
0.0%
11.1%
22.2%
0%
43%
8枠
4- 3- 4-39/50
8.0%
14.0%
22.0%
32%
81%
8枠
1- 0- 0- 9/10
10.0%
10.0%
10.0%
95%
23%
3週目
1枠
4- 1- 0-55/60
6.7%
8.3%
8.3%
101%
39%
1枠
0- 0- 2- 9/11
0.0%
0.0%
18.2%
0%
29%
2枠
3- 3- 4-52/62
4.8%
9.7%
16.1%
78%
47%
2枠
0- 0- 0-11/11
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
3枠
1- 3- 4-56/64
1.6%
6.3%
12.5%
2%
41%
3枠
0- 2- 2- 8/12
0.0%
16.7%
33.3%
0%
135%
4枠
4- 3- 4-54/65
6.2%
10.8%
16.9%
29%
49%
4枠
0- 1- 1-11/13
0.0%
7.7%
15.4%
0%
23%
5枠
5- 2- 5-55/67
7.5%
10.4%
17.9%
114%
75%
5枠
2- 0- 1-10/13
15.4%
15.4%
23.1%
69%
31%
6枠
6- 7- 8-49/70
8.6%
18.6%
30.0%
47%
89%
6枠
1- 0- 1-12/14
7.1%
7.1%
14.3%
25%
23%
7枠
5- 7- 3-56/71
7.0%
16.9%
21.1%
25%
49%
7枠
1- 3- 0-10/14
7.1%
28.6%
28.6%
67%
97%
8枠
8-10- 8-45/71
11.3%
25.4%
36.6%
113%
167%
8枠
3- 1- 0-10/14
21.4%
28.6%
28.6%
235%
73%
最終週
1枠
0- 0- 2-38/40
0.0%
0.0%
5.0%
0%
8%
 
2枠
5- 0- 2-36/43
11.6%
11.6%
16.3%
95%
56%
3枠
2- 2- 4-38/46
4.3%
8.7%
17.4%
10%
92%
4枠
5- 8- 5-29/47
10.6%
27.7%
38.3%
94%
108%
5枠
3- 4- 5-39/51
5.9%
13.7%
23.5%
22%
110%
6枠
5- 3- 3-40/51
9.8%
15.7%
21.6%
56%
61%
7枠
3- 5- 3-40/51
5.9%
15.7%
21.6%
64%
58%
8枠
4- 5- 3-41/53
7.5%
17.0%
22.6%
48%
96%

表1は、夏開催の福島芝1200mコースの枠順別成績を、週別に区切ったものである。順を追って「開幕週」から見ていこう。まずは複勝率に注目。1〜6枠までは(3枠を除いて)20%台を記録しているのに、7、8枠はいずれも10%台にダウンしているのだ。また、1〜6枠のなかでも1、2枠の複勝率は若干高くなっている。やはり、芝の生えそろった開幕週では内枠有利、外枠不利と考えて間違いなさそうだ。では、今年はどうだったかというと、8枠の馬が従来に比べて健闘しており、やや異なる傾向になっていた。ただし、回収率で際立った数字をマークしていたのは1枠。計9頭に1、2番人気馬は1頭もおらず、好走した3頭は6、7、14番人気という穴馬ばかりだったことを考慮すると、やはり内枠のメリットは少なからずあったと考えるほうが自然だろう。

「2週目」になると、開幕週に比べて枠順ごとの差は小さくなってくる。1枠はかなり数字を下げているし、2枠も複勝率こそ高いものの勝率が低い。好走が多い5枠も回収率が低く、上位人気馬が順当に走っているだけとも言える。今年の傾向を見ても、極端な偏りは見られない

大きな変化が見られるのが「3週目」。なんと、単勝回収率を除く4項目で8枠がトップの数字をマークし、6、7枠の好走も高く、一気に外枠有利の様相を呈してくるのだ。反対に厳しいのが1〜3枠。1枠は単勝回収率こそ101%を記録しているが、複勝率はわずかに8.3%。2、3枠の数字も強調できるものではない。そして、今年もこの傾向を踏襲し、1〜4枠は1勝もできず、7、8枠の好走率が高かった。

「最終週」の傾向も興味深い。なんといっても驚くのが、40頭走って2頭が3着を確保するのが精一杯という1枠の大不振である。3着に入った2頭も1、2番人気が1頭ずつなのだから、期待を下回る走りしかできなかったことになる。夏の福島最終週の芝1200m戦で1枠に入ってしまった場合は、よほど気になる馬でない限りは狙いを下げたほうがいいだろう。それでは、外枠がさらに有利になるのかといえば、そうとは言えないのがおもしろいところ。好走率が高いのは、むしろ真ん中あたりの4、5枠となっている。データからの推測だが、3週目に6〜8枠の馬が数多く好走したことをジョッキーたちがコース取りに活かしてインコースを避けるため、思ったほど外枠有利という傾向にならないのではだろうか。また、そうしたことがわかっていても1枠に入ってしまうと外に持ち出すのは非常に難しくなるため、大苦戦を強いられてしまうのだろう。

もちろん、今年の最終週のデータはない。しかし、開幕週〜3週目の傾向に関しては、ほぼ従来の傾向どおりと言ってもいい結果が出ていた。であれば、最終週の狙い目は4、5枠。そのように、データからは予測してみたい。

■表2 夏開催・福島芝1200m脚質別成績

2006〜2010年
2012年
脚質
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
脚質
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
開幕週
逃げ
9-  3-  3- 17/ 32
28.1%
37.5%
46.9%
125%
164%
逃げ
3- 2- 0- 1/ 6
50.0%
83.3%
83.3%
506%
231%
先行
18- 16- 15- 65/114
15.8%
29.8%
43.0%
136%
176%
先行
3- 2- 3-12/20
15.0%
25.0%
40.0%
116%
235%
中団
6-  9- 13-150/178
3.4%
8.4%
15.7%
33%
81%
中団
0- 2- 3-31/36
0.0%
5.6%
13.9%
0%
28%
後方
0-  3-  1-156/160
0.0%
1.9%
2.5%
0%
6%
後方
0- 0- 0-23/23
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
マクリ
0-  0-  0-  0/  0
マクリ
0- 0- 0- 0/ 0
2週目
逃げ
8-  4-  3- 10/ 25
32.0%
48.0%
60.0%
265%
192%
逃げ
2- 1- 0- 2/ 5
40.0%
60.0%
60.0%
216%
110%
先行
12-  8-  9- 64/ 93
12.9%
21.5%
31.2%
66%
79%
先行
3- 2- 3-13/21
14.3%
23.8%
38.1%
47%
78%
中団
4- 12- 11-111/138
2.9%
11.6%
19.6%
17%
187%
中団
0- 2- 1-21/24
0.0%
8.3%
12.5%
0%
64%
後方
1-  1-  2-125/129
0.8%
1.6%
3.1%
52%
31%
後方
0- 0- 1-20/21
0.0%
0.0%
4.8%
0%
22%
マクリ
0-  0-  0-  0/  0
マクリ
0- 0- 0- 0/ 0
3週目
逃げ
5-  5-  1- 25/ 36
13.9%
27.8%
30.6%
88%
136%
逃げ
1-  1-  0-  5/  7
14.3%
28.6%
28.6%
177%
90%
先行
22- 16- 16- 72/126
17.5%
30.2%
42.9%
178%
135%
先行
3-  3-  4- 19/ 29
10.3%
20.7%
34.5%
64%
76%
中団
6- 11- 17-170/204
2.9%
8.3%
16.7%
27%
63%
中団
3-  2-  2- 28/ 35
8.6%
14.3%
20.0%
68%
45%
後方
3-  4-  2-154/163
1.8%
4.3%
5.5%
16%
19%
後方
0-  1-  1- 29/ 31
0.0%
3.2%
6.5%
0%
30%
マクリ
0-  0-  0-  1/  1
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
マクリ
0- 0- 0- 0/ 0
         
最終週
逃げ
4-  3-  5- 15/ 27
14.8%
25.9%
44.4%
72%
96%
 
先行
12- 13- 11- 70/106
11.3%
23.6%
34.0%
44%
89%
中団
8-  9-  6-102/125
6.4%
13.6%
18.4%
64%
80%
後方
3-  2-  5-114/124
2.4%
4.0%
8.1%
33%
55%
マクリ
0-  0-  0-  0/  0
※脚質は TARGET frontier JV による分類

続いて、夏開催の福島芝1200mコースの脚質別成績を週別に区切ったものを確認していくが、「後方」の馬はどの週をとってもちょっと手を出せない。やはり、直線の短い福島コースで後方から追い込むのは、馬場状態を問わず至難の業であることを確認しておきたい。

まず、「開幕週」に関しては、とにかく「逃げ」「先行」が有利。そして、今年はその傾向が顕著だったようだ。

「2週目」になっても「逃げ」が有利なのは同じだが、「先行」は好走率を若干落とす。そのぶん「中団」の好走例が増えるが、それでもなかなか勝ち切るには至らないようだ。ただし、今年に関しては、「先行」が開幕週とほぼ同等の好走率を残す一方、「中団」からは勝ち馬が出なかった。今年の「2週目」は、従来に比べて「逃げ」「先行」に有利な馬場状態だったと言えるだろう。

「3週目」になると「先行」が「逃げ」を逆転するのが見逃せないポイントである。インコースを通る逃げ馬が残りづらくなり、その後ろにつけた先行馬に有利な展開になることが多いようだ。今年も、複勝率ベースでは「先行」が「逃げ」を逆転。さらに、「中団」の成績も従来以上と言えるものだった。つまり、「2週目」までは例年以上に「逃げ」「先行」が有利だったのに、「3週目」になると例年より差しやすい馬場に転じていたことは見逃せないポイントである。

ところが、おもしろいことに「最終週」になると「逃げ」がすこし持ち直す傾向が出ている。これはおそらく、表1の項で述べたことと同じ理由があるはず。すなわち、3週目のレース結果を受けてジョッキーたちがコース取りを工夫するため、逃げ馬も内ラチ沿いにこだわらず、なるべく馬場のいいところを選ぶようになるからではないだろうか。とはいえ、「中団」や「後方」は成績をアップさせており、ジョッキーの工夫は別として、馬場自体は3週目よりも差しや追い込みが効きやすくなっていると考えるべきだろう。

【結論】

表1の枠順別データからは1枠が大不振であること、表2の脚質別データからは「中団」や「後方」の成績がアップすることがわかった。つまり、福島最終週の芝コースは外差し」決まりやすいというイメージにはデータの裏付けもあると考えて言えるだろう。

ただし、「外差し」の「外」の部分に関しては注意が必要で、最終週だからといって単純に外枠を狙えばいいというわけでもない。実は、外枠の7、8枠がもっとも優秀なのは3週目のことで、最終週になるとむしろ4、5枠のほうが好成績を残しているからだ。まさに、実際のレースはジョッキーの思惑などが絡み合う生き物であることを改めて痛感させられるデータである。とはいえ、「夏の福島最終週では外差しが決まる」のは事実でも、「だからといって無闇に外枠を狙えばいいわけではない」ことがわかっただけでも大きな収穫だったと考えてもいいはずだ。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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