第607回 大逃げ馬について考えてみる|競馬情報ならJRA-VAN

JRA公式データ配信サービス JRA-VAN

  • メール:office@jra-van.jp
  • 受付時間:10:00〜17:00
  • ※競馬開催のない土日祝・火曜を除く
  • ホーム
  • サイトマップ
  • JRA-VAN広場

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第607回 大逃げ馬について考えてみる

2012/6/18(月)

勝負事は必ずしも前評判通りには決まらない。競馬の場合は特に「展開」が勝負の行方を左右するケースが多々ある。誰も予想できない展開を作ることができるのは逃げ馬。特に後続を大きく引き離すような大逃げを打った場合は、予期せぬ結末が生まれることがある。すでに今年、浅田氏が当コラム第583回「穴馬の逃げ切りが多いコースは?」で逃げ馬について分析をしている。それも参考にしていただき、今回は「大逃げ馬」について考えてみることにしてみたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 大逃げ馬のクラス別成績(2002年以降)

クラス
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回収率
複回収率
新馬 9-  7-  1-  3/ 20
45.0%
80.0%
85.0%
480
199
未勝利 38- 14-  9- 42/103
36.9%
50.5%
59.2%
583
218
500万下 39- 15- 13- 69/136
28.7%
39.7%
49.3%
381
211
1000万下 25- 10- 12- 54/101
24.8%
34.7%
46.5%
358
220
1600万下 6-  8-  4- 17/ 35
17.1%
40.0%
51.4%
622
260
OPEN特別 6-  0-  0- 15/ 21
28.6%
28.6%
28.6%
306
109
G3 2-  2-  1-  7/ 12
16.7%
33.3%
41.7%
240
184
G2 2-  3-  0-  6/ 11
18.2%
45.5%
45.5%
1831
294
G1 4-  1-  2- 12/ 19
21.1%
26.3%
36.8%
1296
436

2012/4/29 京都11R 天皇賞(春)(G1)1着 1番 ビートブラック

まずはTarget frontier JVで「大逃げ馬」を検索・集計し、クラス別成績をまとめたものが表1。集計期間は2002年から今年6月10日の開催終了時まで。芝・ダートの平地レースのみを対象とした。短距離でもスローペースになりやすい新馬戦での大逃げというのはそれほど多くない印象。しかし、思い切って行き切ってしまえばそのまま残る確率は全クラスの中で最も高い。勝率は45%、連対率は80%、複勝率は85%となっている。未勝利戦に比べるとかなりの好成績だ。勝率、連対率、複勝率ともにクラスが上がるごとに下がっていく傾向。しかし、重賞になると少し面白い傾向が出てくる。レース数としてはG1よりもG3の方が圧倒的に多いのだが、大逃げ馬の出現回数はG3よりもG1の方が多い。勝ち馬もG3が2に対してG1は4。G1・4勝のうち一つは今年の天皇賞(春)、ビートブラックが該当する。ジョッキーの心理を考えると、とっておきの秘策(大逃げ)は大きな舞台でこそ出したいもの。思い切った大逃げ馬が出る可能性はG1の方が高くなるのも納得がいく。そして、注目は単・複の回収率。逃げ馬はそもそも回収率が高くなるのだが、全クラスにおいて100%以上の成績を残している。高配当の妙味も十分というわけだ。

■表2 大逃げ馬の騎手別成績(2002年以降)

順位
騎手
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回収率
複回収率
1
中舘英二 14- 4- 1- 5/24
58.3%
75.0%
79.2%
403
187
2
横山典弘 6- 3- 0- 4/13
46.2%
69.2%
69.2%
677
239
3
福永祐一 5- 2- 0- 1/ 8
62.5%
87.5%
87.5%
662
236
4
藤岡康太 4- 1- 0- 1/ 6
66.7%
83.3%
83.3%
560
376
5
石橋脩 4- 0- 2-12/18
22.2%
22.2%
33.3%
1338
321
6
小野次郎 4- 0- 0- 4/ 8
50.0%
50.0%
50.0%
1135
261
7
吉田豊 3- 5- 1- 4/13
23.1%
61.5%
69.2%
446
420
8
藤田伸二 3- 1- 2- 5/11
27.3%
36.4%
54.5%
223
274
9
武豊 3- 1- 2- 2/ 8
37.5%
50.0%
75.0%
80
101
10
松岡正海 3- 1- 1- 5/10
30.0%
40.0%
50.0%
204
129
11
佐藤哲三 3- 1- 0- 2/ 6
50.0%
66.7%
66.7%
523
338
12
熊沢重文 3- 0- 0- 3/ 6
50.0%
50.0%
50.0%
428
116
13
国分恭介 3- 0- 0- 1/ 4
75.0%
75.0%
75.0%
1472
377
14
荻野琢真 3- 0- 0- 3/ 6
50.0%
50.0%
50.0%
1250
325
15
本田優 3- 0- 0- 1/ 4
75.0%
75.0%
75.0%
1037
240
16
川田将雅 2- 3- 0- 2/ 7
28.6%
71.4%
71.4%
194
182
17
江田照男 2- 2- 2- 9/15
13.3%
26.7%
40.0%
1140
236
18
津村明秀 2- 1- 2- 2/ 7
28.6%
42.9%
71.4%
145
312
19
田中勝春 2- 1- 1- 4/ 8
25.0%
37.5%
50.0%
86
440
20
武士沢友治 2- 1- 1- 3/ 7
28.6%
42.9%
57.1%
1684
452

次は騎手別成績。どんなジョッキーが大逃げ馬で好成績を残しているか。結果はやはりというべきか中舘英二騎手がダントツの1位。「逃げ」という代名詞が最もふさわしい騎手で、実際に思い切っていくケースは多い。2位は横山典弘騎手。同騎手で思い出すのが04年天皇賞(春)。10番人気のイングランディーレで鮮やかに逃げ切り勝ちを果たした。若手では藤岡康太騎手石橋脩騎手が上位。石橋脩騎手は前述のビートブラックでG1初制覇。後々考えてみると、元々大逃げは得意な騎手だったのだ。ベテランで注目は江田照男騎手。今年の日経賞をネコパンチでアッと言わせた。

■表3 大逃げ馬によるコース別成績

順位
コース
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回収率
複回収率
1
中山・ダ1800 8- 2- 2- 5/17
47.1%
58.8%
70.6%
481
184
2
札幌・ダ1700 6- 2- 0- 5/13
46.2%
61.5%
61.5%
555
202
3
京都・ダ1800 6- 1- 3- 2/12
50.0%
58.3%
83.3%
563
245
4
福島・ダ1700 6- 1- 0- 4/11
54.5%
63.6%
63.6%
1525
377
5
中京・ダ1700 5- 2- 0- 2/ 9
55.6%
77.8%
77.8%
181
118
6
阪神・芝1600外 5- 1- 1- 5/12
41.7%
50.0%
58.3%
601
294
7
新潟・芝1800外 4- 4- 2-10/20
20.0%
40.0%
50.0%
708
245
8
新潟・ダ1800 4- 2- 2- 3/11
36.4%
54.5%
72.7%
212
178
9
阪神・芝2000 4- 2- 0- 5/11
36.4%
54.5%
54.5%
561
144
10
中山・芝2500 4- 1- 0- 3/ 8
50.0%
62.5%
62.5%
2382
450
11
東京・芝2400 4- 0- 2- 4/10
40.0%
40.0%
60.0%
593
612
12
東京・芝1800 3- 4- 2- 9/18
16.7%
38.9%
50.0%
77
159
13
京都・芝1800外 3- 2- 2- 4/11
27.3%
45.5%
63.6%
187
240
14
函館・ダ1700 3- 1- 0- 2/ 6
50.0%
66.7%
66.7%
1545
343
15
函館・ダ1000 3- 1- 0- 0/ 4
75.0%
100.0%
100.0%
145
107
16
札幌・ダ1000 3- 1- 0- 0/ 4
75.0%
100.0%
100.0%
380
130
17
中山・芝1600 3- 0- 1- 9/13
23.1%
23.1%
30.8%
211
85
18
小倉・ダ1700 3- 0- 1- 2/ 6
50.0%
50.0%
66.7%
170
108
19
新潟・芝2000外 3- 0- 0-10/13
23.1%
23.1%
23.1%
1436
230
20
札幌・芝2000 3- 0- 0- 0/ 3
100.0%
100.0%
100.0%
4876
1100

表3はコース別成績。トップは中山ダート1800mで、以下ベスト5までダートの中距離が並ぶ。ダートは元々「前へ行ってなんぼ」というレースなので当然といえば当然か。逆に言うと逃げ切り・逃げ粘りは常に警戒されるので意外性は低いかもしれない。意外性という意味では芝の方があるだろう。芝で上位は阪神芝1600mと新潟芝1800mともにコーナーが2回で広々とした条件。前に意識がいく小回りよりも、最後の直線が長いコースの方が後方からのマークは薄らぎそうだ。東京コースも芝2400m、芝1800mが20位以内にランクインしているが、上記2コースの方が嵌まりやすいと言えそうだ。

■表4 大逃げ馬の枠順別成績(2002年以降)

枠番
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回収率
複回収率
1枠 15-10- 0-31/56
26.8%
44.6%
44.6%
653
201
2枠 16- 7-10-24/57
28.1%
40.4%
57.9%
247
182
3枠 13- 6- 2-29/50
26.0%
38.0%
42.0%
497
194
4枠 17- 9- 9-22/57
29.8%
45.6%
61.4%
539
308
5枠 14- 3- 4-25/46
30.4%
37.0%
45.7%
815
219
6枠 16-10- 8-25/59
27.1%
44.1%
57.6%
278
241
7枠 15- 6- 5-29/55
27.3%
38.2%
47.3%
264
144
8枠 25- 9- 4-40/78
32.1%
43.6%
48.7%
754
275

■表5 大逃げ馬の馬番別成績(2002年以降)

馬番
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回収率
複回収率
1番 14-  9-  0- 25/ 48
29.2%
47.9%
47.9%
758
225
2番 10-  6-  5- 18/ 39
25.6%
41.0%
53.8%
252
140
3番 12-  5-  3- 15/ 35
34.3%
48.6%
57.1%
391
186
4番 11-  5-  5- 18/ 39
28.2%
41.0%
53.8%
314
183
5番 6-  6-  6- 15/ 33
18.2%
36.4%
54.5%
461
242
6番 9-  4-  4- 14/ 31
29.0%
41.9%
54.8%
599
326
7番 9-  5-  3- 13/ 30
30.0%
46.7%
56.7%
288
265
8番 10-  6-  4- 19/ 39
25.6%
41.0%
51.3%
735
292
9番 7-  4-  2- 11/ 24
29.2%
45.8%
54.2%
195
160
10番 8-  2-  1- 15/ 26
30.8%
38.5%
42.3%
530
155
11番 10-  1-  3- 13/ 27
37.0%
40.7%
51.9%
422
165
12番 8-  1-  2- 11/ 22
36.4%
40.9%
50.0%
534
236
13番 4-  0-  0- 13/ 17
23.5%
23.5%
23.5%
416
89
14番 6-  1-  2-  7/ 16
37.5%
43.8%
56.3%
1468
486
15番 3-  3-  2-  5/ 13
23.1%
46.2%
61.5%
760
483
16番 4-  2-  0-  7/ 13
30.8%
46.2%
46.2%
639
166
17番 0-  0-  0-  3/  3
0.0%
0.0%
0.0%
0
0
18番 0-  0-  0-  3/  3
0.0%
0.0%
0.0%
0
0

表4は枠順別成績。一目見ると、8枠の優勝回数が目立つ。勝率や連対率はどの枠も大きな差がなく、特徴というのは探しにくい。しかし、これで枠順は関係ないと決めつけるのは早計。それは表5の馬番別成績を見ると明らかになる。好走馬の数が多かった8枠だが、17番、18番ゲートから大逃げを打つケースは圧倒的に少ない。競馬は基本的に内枠が有利。そして、外枠よりも内枠の方が主導権を奪いやすい。内目の枠から前に行くケースの方が多くなる。だが、一方で内枠からの大逃げだからといって好走率がアップするわけではない。二ケタ馬番でも勝率や連対率は十分に高い。思い切って行き切ってしまえば、最初の枠順はあまり関係ないのだ。

■表6 大逃げ馬の次走成績(脚質別)

脚質上り
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回収率
複回収率
逃げ 34- 20-  8-126/188
18.1%
28.7%
33.0%
83
65
先行 6- 12-  8-110/136
4.4%
13.2%
19.1%
34
44
差し 4-  2-  2- 48/ 56
7.1%
10.7%
14.3%
33
36
追い込み 0-  0-  0- 27/ 27
0.0%
0.0%
0.0%
0
0
マクリ 1-  0-  0-  0/  1
100.0%
100.0%
100.0%
240
140

次に視点を少し変えてみたい。大逃げ馬の次走についてだ。表6はその次走の脚質別成績。結論から言うと、次のレースも逃げることができた馬の方が成績はいい。先行はともかく前走大逃げした馬が次走差しや追い込みに回ってしまうケースも案外多いこともわかる。元々逃げ馬ではなかった馬が、前走たまたま大逃げに出たというケースもあるので、意外というほどではないが。ただ、追い込み回って好走した馬はいない。また、回収率はもう一つ。勝つことによってクラスが上がる、または好走したことで次走人気になる。この2点の要因から配当妙味はかなり下がるようだ。

■表7 大逃げ馬の次走成績(クラス別)

クラス
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回収率
複回収率
新馬 0-  0-  1-  0/  1
0.0%
0.0%
100.0%
0
100
未勝利 9- 11-  3- 40/ 63
14.3%
31.7%
36.5%
48
61
500万下 19- 11-  5-105/140
13.6%
21.4%
25.0%
54
49
1000万下 8-  7-  7- 83/105
7.6%
14.3%
21.0%
24
51
1600万下 4-  2-  0- 32/ 38
10.5%
15.8%
15.8%
77
41
OPEN特別 3-  3-  0- 19/ 25
12.0%
24.0%
24.0%
212
65
G3 1-  1-  0- 15/ 17
5.9%
11.8%
11.8%
13
14
G2 1-  0-  0- 10/ 11
9.1%
9.1%
9.1%
62
24
G1 0-  0-  2-  9/ 11
0.0%
0.0%
18.2%
0
46

2012/4/22 京都11R 読売マイラーズカップ(G2)1着 17番 シルポート

最後も大逃げ馬の次走について。表7はクラス別成績だ。やはりここでも回収率は軒並み低い。オープン特別の単勝以外は見るべきところがない。重賞での好走例も大きく減る。ちなみにG2での優勝1回はシルポート。今年の中山記念を大逃げで2着に粘った後、次走マイラーズCを逃げて優勝。その次の安田記念は敗れてしまったが、非常にレアケースというべき成績を残したという意味では、今春のパフォーマンスは価値あるものと言えるのではないだろうか。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
小田原智大の完全なる買い方ブログ

データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)

ページトップへ戻る

競馬予想のJRA-VAN