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第601回 安田記念に中距離実績は必要か?

2012/5/28(月)

今週は春のマイル王決定戦・安田記念が行われる。その安田記念の舞台となる東京芝1600m、特にG1は他のマイル戦に比べ厳しいレースになりやすく、中距離適性が必要との声も耳にする。そこで月曜掲載分の今回は、果たして本当に中距離実績が必要なのかどうかにポイントを絞り、過去10年の結果を振り返ってみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JV馬天楼 for データde出〜たを利用した。なお、安田記念のその他のデータについては、木曜掲載分で分析を行う予定である。

同じ東京芝1600mのG1といえば、ほかにNHKマイルCとヴィクトリアMが行われている。ヴィクトリアMはまだ歴史が浅いが、NHKマイルCは創設年の96年に中距離路線組が1、2着。その印象が強かったためか、当初は中距離実績に触れられることが多かった。ただ近年のNHKマイルCは、「第594回 3歳マイル王決定戦・NHKマイルC分析」で触れたように、1700m以上での好走がない馬も上位に多く食い込んでおり、今年もマイル以下の実績しかない馬が1〜3着を独占した。では、今週の安田記念はどうだろうか。

■表1 安田記念1〜3着馬の芝1700〜1800m、芝2000m上成績

馬名
芝17〜18(国内)
芝20〜(国内)
成績
3着内率
重賞連対
成績
3着内率
重賞連対
02 アドマイヤコジーン 1-0-0-2
33.3%
東スポ杯1着 0-0-0-2
0.0%
ダンツフレーム 0-1-0-0
100.0%
きさらぎ賞2着 0-2-0-2
50.0%
ダービー2着
ミレニアムバイオ 0-0-1-1
50.0%
0-0-0-2
0.0%
03 アグネスデジタル 0-0-0-0
0.0%
1-0-0-0
100.0%
天皇賞(秋)1着
アドマイヤマックス 1-0-1-0
100.0%
東スポ杯1着 0-1-1-1
66.7%
セントライト記念2着
ローエングリン 2-1-0-2
60.0%
中山記念1着 3-0-1-2
66.7%
04 ツルマルボーイ 2-0-0-2
50.0%
3-5-3-6
64.7%
金鯱賞1着
テレグノシス 0-1-0-1
50.0%
スプリングS2着 0-0-0-1
0.0%
バランスオブゲーム 1-1-0-0
100.0%
毎日王冠1着 2-1-0-6
33.3%
弥生賞1着
05 アサクサデンエン 1-1-2-0
100.0%
0-0-0-2
0.0%
スイープトウショウ 0-0-0-0
0.0%
1-1-1-1
75.0%
秋華賞1着
サイレントウィットネス
外国馬
06 ブリッシュラック
外国馬
アサクサデンエン 1-1-2-0
100.0%
0-0-0-3
0.0%
ジョイフルウィナー
外国馬
07 ダイワメジャー 1-1-1-1
75.0%
毎日王冠1着 2-0-1-4
42.9%
天皇賞(秋)1着
コンゴウリキシオー 3-0-0-0
100.0%
きさらぎ賞1着 2-4-1-6
53.8%
金鯱賞1着
ジョリーダンス 0-2-0-2
50.0%
1-0-0-1
50.0%
08 ウオッカ 0-1-0-0
100.0%
1-0-1-4
33.3%
ダービー1着
アルマダ
外国馬
エイシンドーバー 1-4-0-0
100.0%
中山記念2着 1-0-0-2
33.3%
09 ウオッカ 0-2-0-0
100.0%
毎日王冠2着 2-0-2-4
50.0%
天皇賞(秋)1着
ディープスカイ 2-2-0-0
100.0%
毎日杯1着 2-2-1-1
83.3%
ダービー1着
ファリダット 0-0-1-0
100.0%
0-0-1-1
50.0%
10 ショウワモダン 4-1-1-6
50.0%
0-0-0-1
0.0%
スーパーホーネット 3-0-0-1
75.0%
毎日王冠1着 0-0-0-3
0.0%
スマイルジャック 1-1-2-1
80.0%
スプリングS1着 0-1-0-4
20.0%
ダービー2着
11 リアルインパクト 0-0-0-0
0.0%
0-0-0-0
0.0%
ストロングリターン 1-0-1-2
50.0%
0-0-0-0
0.0%
スマイルジャック 1-1-2-2
66.7%
スプリングS1着 0-1-0-5
16.7%
ダービー2着

2010/6/6 東京11R 安田記念(G1)1着 17番 ショウワモダン

表1は、過去10年の3着以内馬について、芝17〜1800m実績、そして芝2000m以上での実績をそれぞれ調べたものである。まず、左側の17〜1800mで連対走実績がなかった馬は日本馬26頭中5頭のみ(背景青、または緑)。そのうち、03年1着のアグネスデジタルと05年2着のスイープトウショウは2000mでG1を制していた馬。また、ミレニアムバイオやファリダットは1800mで3着はあり、残る1頭・リアルインパクトは3歳で例外とも言える存在である。重賞連対までは必ずしも要求されないが、17〜1800mの連対実績くらいは欲しいところだ。また、出走経験があった馬で芝17〜1800mの3着内率が50%を割っていたのは10年前のアドマイヤコジーン1頭のみ。そう何度も崩れていない安定感があることも、好走条件に挙げられる。

対して、2000m以上での実績をみると、日本馬26頭中9頭に3着以内がなく、連対がなかった馬は10にのぼる。さらに、重賞連対実績がない馬は半数の13。芝1700m以上の重賞連対実績がない馬8頭(背景青)から5頭増え、「中距離実績が必要」とまでは言い難い結果が出ている。ここ2年のスマイルジャックなどのように、好走実績こそあっても3着内率が50%を割る馬も多く見られるあたりは、芝17〜1800mとの大きな違いだ。加えて、芝2000m以上で重賞連対実績を持つ馬同士の1、2着で決着した年も、過去10年で3度のみ。以上のことから、安田記念は17〜1800mの実績や安定感こそある程度は必要なものの、芝2000m以上の実績を持たない馬でも十分に好走は可能だ。

■表2 安田記念の勝ち時計、ラップタイム等

馬場
時計
ラップタイム
前3F−上3F
前後半3F差
02
1.33.3
12.3-10.8-11.3-11.5-11.7-11.7-11.6-12.4
34.4-35.7
-1.3
03
R1.32.1
12.1-10.9-11.5-11.5-11.7-11.2-11.5-11.7
34.5-34.4
0.1
04
1.32.6
11.9-10.4-11.4-11.9-11.9-11.3-11.6-12.2
33.7-35.1
-1.4
05
1.32.3
12.2-10.7-11.0-11.7-11.8-11.4-11.3-12.2
33.9-34.9
-1.0
06
1.32.6
12.4-11.0-11.4-11.6-11.7-11.5-11.4-11.6
34.8-34.5
0.3
07
1.32.3
12.3-10.7-11.1-11.8-11.6-11.3-11.5-12.0
34.1-34.8
-0.7
08
1.32.7
12.1-11.1-11.4-11.6-11.7-11.4-11.4-12.0
34.6-34.8
-0.2
09
1.33.5
12.0-10.6-10.8-11.9-12.1-12.1-11.6-12.4
33.4-36.1
-2.7
10
1.31.7
12.0-10.7-10.9-11.3-11.4-11.3-11.7-12.4
33.6-35.4
-1.8
11
1.32.0
12.3-10.7-10.9-11.5-11.6-11.2-11.6-12.2
33.9-35.0
-1.1

表1で気になったのは、芝2000m以上の重賞連対実績馬同士の1、2着だった03、07、09年になにか共通点があるかということ。たとえば、ペースが速くて中距離向きのスタミナが必要だったとか、逆にペースが緩く中距離以上でよく見られる瞬発力の問われる展開になったのか、といったあたりである。
そこでラップタイムや上がりなどを調べると、ウオッカ−ディープスカイで決着した09年は前半3ハロンと上がり3ハロンが2.7秒差と上がりがかかる展開で、差し切ったウオッカでも上がりは35秒7。この年だけなら、前半が速くスタミナや持続力が問われたためにダービー馬が……、とも考えられる。しかし、これに次ぐ2番目の前後半1.8秒差だった10年は、芝2000m以上の実績を持たないショウワモダンとスーパーホーネットでの決着。逆に、中距離重賞実績のあるアグネスデジタル−アドマイヤマックスの03年は、全体的に淀みこそなかったものの、前半3ハロンより上がり3ハロンの方が速かった。過去10年の結果を見るかぎり、展開と距離適性をリンクさせて考えるのは難しそうな印象だ。

■表3 芝2000m以上G1連対実績馬の成績(国内)

馬名
人気
着順
芝2000m上G1主な実績
02 ダンツフレーム
2
2
ダービー2着
アメリカンボス
16
13
有馬記念2着
ダイタクリーヴァ
8
17
皐月賞2着
03 アグネスデジタル
4
1
天皇賞(秋)1着
ダンツフレーム
3
5
宝塚記念1着
ローズバド
13
14
オークス2着
04 ツルマルボーイ
6
1
宝塚記念2着
ファインモーション
3
13
エリザベス女王杯1着
05 スイープトウショウ
10
2
秋華賞1着
ダイワメジャー
2
8
皐月賞1着
ダンスインザムード
3
18
天皇賞(秋)2着
06 ダイワメジャー
2
4
皐月賞1着
ダンスインザムード
4
5
天皇賞(秋)2着
07 ダイワメジャー
2
1
天皇賞(秋)1着
08 ウオッカ
2
1
ダービー1着
09 ウオッカ
1
1
天皇賞(秋)1着
ディープスカイ
2
2
ダービー1着
スマイルジャック
5
9
ダービー2着
10 スマイルジャック
5
3
ダービー2着
トライアンフマーチ
2
4
皐月賞2着
キャプテントゥーレ
3
7
皐月賞1着
リーチザクラウン
1
14
ダービー2着
11 スマイルジャック
3
3
ダービー2着
アパパネ
1
6
オークス1着
リーチザクラウン
14
17
ダービー2着

2009/6/7 東京11R 安田記念(G1)1着 3番 ウオッカ

最後に表3は、表1とは逆のような形で、2000m以上のG1連対実績馬が出走した場合にどんな成績を残しているか調べたものである。該当馬は25頭で、トータルすると5.3.2.15】勝率20.0%、連対率32.0%、複勝率40.0%という、まずまずの成績になる。安田記念は人気馬の信頼性が今ひとつのレースで、1〜2番人気の合計で【3.2.1.14】勝率15.0%、連対率25.0%。1〜5番人気では【5.6.6.33】勝率10.0%、連対率22.0%という成績。人気馬を買うよりは、人気を問わず芝2000m以上のG1連対実績馬を買った方が、馬券に絡む確率が高いことになる。また、表にあるように06年以外は芝2000m以上のG1連対実績馬が3着以内に最低1頭は食い込んでいるため、このタイプをまったく無視した馬券作戦は避けたい。

以上をまとめると、安田記念では芝2000m以上の実績の有無を「消し」の材料とするのは危険。しかし、2000m以上のG1連対実績馬なら好走確率がやや高くなるため、馬券候補選定の際の「もうひと押し」の材料として利用する手はありそうだ。木曜掲載分ではこの傾向も踏まえた上で、他のデータも参考に有力候補を探ってみたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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