第554回 「距離とハイペース」経験を重視したい阪神JF|競馬情報ならJRA-VAN

JRA公式データ配信サービス JRA-VAN

  • メール:office@jra-van.jp
  • 受付時間:10:00〜17:00
  • ※競馬開催のない土日祝・火曜を除く
  • ホーム
  • サイトマップ
  • JRA-VAN広場

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第554回 「距離とハイペース」経験を重視したい阪神JF

2011/12/8(木)

2006/12/3 阪神11R 阪神ジュベナイルF(G1)1着 2番 ウオッカ

06年に阪神競馬場が改修されてから5年。新コースでの阪神ジュベナイルフィリーズ(以下、阪神JF)も大まかな傾向が見えてきた感もある。改修後の5年で、前半1000mの平均通過タイムが59秒4(1F換算で平均11秒9)で、残り600mのタイムが35秒2(1F換算で平均11秒7)。この数字からは、前半はあまりスローなペースにはならず、勝負どころの上がり3Fではそれまで以上の脚を使わなくてはならない、ということが読みとれる。つまり、コース改修後の阪神JFは、緩みのない流れから最後の長い直線(Aコース時で473.6m)でもしっかりとした末脚が要求される、2歳牝馬には厳しいレースとなったのだ。また、そうした厳しいレースになることが、06年のウオッカ以降、阪神JFの勝ち馬が3歳以降も活躍する根拠となってもいるのだろう。今回の『データde出〜た』では、こうした傾向に基づいて「距離経験」と「ハイペース経験」から今年の有力を探っていきたい。集計対象は06年以降の5年で、データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
1番人気 2- 1- 0- 2/ 5
40.0%
60.0%
60.0%
76%
68%
2番人気 1- 0- 2- 2/ 5
20.0%
20.0%
60.0%
92%
122%
3番人気 1- 1- 0- 3/ 5
20.0%
40.0%
40.0%
132%
96%
4番人気 1- 1- 1- 2/ 5
20.0%
40.0%
60.0%
222%
170%
5番人気 0- 1- 0- 4/ 5
0.0%
20.0%
20.0%
0%
52%
6番人気 0- 0- 1- 4/ 5
0.0%
0.0%
20.0%
0%
60%
7番人気 0- 0- 0- 5/ 5
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
8番人気 0- 1- 1- 3/ 5
0.0%
20.0%
40.0%
0%
246%
9番人気 0- 0- 0- 5/ 5
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
10番人気 0- 0- 0- 5/ 5
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
11番人気 0- 0- 0- 5/ 5
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
12番人気 0- 0- 0- 5/ 5
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
13番人気 0- 0- 0- 5/ 5
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
14番人気 0- 0- 0- 5/ 5
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
15番人気 0- 0- 0- 5/ 5
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
16番人気 0- 0- 0- 5/ 5
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
17番人気 0- 0- 0- 5/ 5
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
18番人気 0- 0- 0- 5/ 5
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%

コースが改修された06年以降の人気別成績が表1。5頭の勝ち馬は4番人気以内に収まっており、2着馬も5頭中4頭が5番人気以内、3着馬も5頭中4頭が6番人気以内。もっとも人気のないところでも8番人気から2、3着馬が1頭ずついるだけで、ふたケタ人気馬の激走は1頭もいない。05年までは波乱の決着も少なくなかった阪神JFだが、コース改修によって人気傾向も大きく変わったようだ。

■表2 枠順別別成績

枠番
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
1枠 1- 1- 0- 8/10
10.0%
20.0%
20.0%
111%
43%
2枠 0- 1- 1- 8/10
0.0%
10.0%
20.0%
0%
54%
3枠 0- 1- 0- 9/10
0.0%
10.0%
10.0%
0%
26%
4枠 0- 0- 0-10/10
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
5枠 0- 2- 2- 6/10
0.0%
20.0%
40.0%
0%
112%
6枠 1- 0- 0- 9/10
10.0%
10.0%
10.0%
16%
11%
7枠 2- 0- 1-12/15
13.3%
13.3%
20.0%
58%
45%
8枠 1- 0- 1-13/15
6.7%
6.7%
13.3%
30%
62%

ざっくり真ん中より内、外で分けると、1〜4枠は【1.3.1.35】で勝率2.5%、複勝率12.5%で、5〜8枠は【4.2.4.40】で勝率8.0%、複勝率20.0%。どちらかといえば外寄りの5〜8枠から好走するケースが多くなっている。

■表3 脚質別成績

脚質
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
逃げ 0- 0- 1- 4/ 5
0.0%
0.0%
20.0%
0%
42%
先行 0- 1- 1-18/20
0.0%
5.0%
10.0%
0%
42%
中団 4- 3- 2-27/36
11.1%
19.4%
25.0%
66%
58%
後方 1- 1- 1-26/29
3.4%
6.9%
10.3%
7%
31%
マクリ 0- 0- 0- 0/ 0          
※TARGET frontier JVによる分類

前項で見た「やや外枠有利」とも関係してきそうなのが脚質別データ。中団からレースを進めた差し馬の好走が計9頭ある一方、逃げ・先行で好走したのは計3頭のみ。緩みのない流れになりやすい展開や最後の直線が長いコースレイアウトを考えれば、中団でじっくりと脚を溜めたほうが好走しやすいのは納得できるのではないか。極端に後方からのレースになるようだと苦しいが、過去に逃げた経験しかない馬や、逃げたときに好走が集中している馬は若干狙いを下げたほうがよさそうだ。

■表4 過去5年で1600m以上の経験があった1〜3着馬一覧

年度
着順
馬名
芝1600m以上で前半1000m通過がもっとも速かったレース
レース名
前半1000m通過
上がり3F(順位)
着順
06年 1着 ウオッカ
新馬
60秒5
34秒5(1位)
1
3着 ルミナスハーバー
未勝利
59秒3
34秒1(1位)
1
07年 1着 トールポピー
黄菊賞(500万下)
59秒3
35秒1(2位)
2
2着 レーヴダムール
新馬
59秒9(稍重)
35秒2(1位)
1
08年 1着 ブエナビスタ
未勝利
59秒5
34秒5(1位)
1
2着 ダノンベルベール
芙蓉S(OP特別)
59秒3
35秒3(3位)
2
3着 ミクロコスモス
新馬
63秒3
33秒4(1位)
1
09年 1着 アパパネ
赤松賞(500万下)
59秒9
33秒6(1位)
1
2着 アニメイトバイオ
未勝利
58秒3
35秒9(2位)
1
3着 ベストクルーズ
未勝利
59秒9
34秒6(2位)
1
10年 1着 レーヴディソール
デイリー杯2歳S(G2)
59秒0
33秒7(1位)
1
2着 ホエールキャプチャ
芙蓉S(OP特別)
60秒5
34秒8(2位)
1

基本的なデータを確認したところで、冒頭で述べた「距離経験」と「ハイペース経験」に関する傾向を見ていきたい。なお「ハイペース経験」は前半1000mの通過タイムを基準とするが、昨年の阪神JFを分析した第451回「RPCIで阪神JFを考える」も非常に参考になるので、合わせてそちらもご覧いただけると幸いである。

表4は、過去5年の阪神JF1〜3馬のうち、芝1600m以上の経験があった馬を抜き出したものだが、好走馬15頭のうち12頭までがここに該当し、勝ち馬5頭はすべて含まれている。コース改修後の阪神JFでは、1600m未満のレースしか経験していない馬はその時点で大きなハンデを背負っているということになる。

もちろん、芝1600m以上のレースを経験していればそれでいいということではなく、内容も伴っていなければならない。確認しておきたいポイントは3つ。まず、1600m以上で連対経験があることで、これは表4の12頭すべてがクリアしている。逆に言えば、1600m以上のレースへの出走歴がありながら連対できなかった馬は大きな減点材料となる。

次に、前半1000m通過タイムが60秒を切った芝1600m以上のレースでの好走実績。繰り返しになるが、阪神JFは緩みのないペースになりやすいため、「芝1600m以上の好走歴はあるが、それがスローペースのみ」という馬には全幅の信頼を置くことはできない。これをクリアできなかったのはクリアできなかったのは06年1着のウオッカ、08年3着のミクロコスモス、10年2着のホエールキャプチャの3頭。このうち、ウオッカとホエールキャプチャは「牡馬混合の芝1600m以上(500万下もしくはオープン)で連対」という実績で補ったかたちだろう。その点、ミクロコスモスは前半1000m通過が63秒3のスローペースとなった新馬戦しかレース経験がなく、これが阪神JFで4角17番手という位置どりの悪さにつながり、追い込んだものの2着に2馬身半差の3着が精一杯だった、と考えられるのではないだろうか。

3つめは、前半1000m通過が60秒を切った芝1600m以上のレースで、メンバー中2位以内の上がり3Fタイムをマークして連対していること。これも繰り返しになるが、「緩まない流れから速い上がりを使わなくてはならない」06年以降の阪神JFの特徴に合致する条件と言える。表12のとおり、好走馬の多くは前半1000m通過が60秒を切ったレースでメンバー中2位以内の脚を使った実績を持っていた。表3の脚質別データで確認したとおり、阪神JFは逃げ・先行馬には厳しいレース。ハイペースを先行して粘り込みを狙うタイプではなく、じっくりと脚を溜めて末脚を活かすタイプの馬を狙うべきだろう。

■表5 1600m以上の経験がなかった1〜3着馬一覧

年度
着順
馬名
芝1400mで前半1000m通過がもっとも速かったレース
レース名
前半1000m通過
着順
06年 2着 アストンマーチャン ファンタジーS(G3)
57秒2
1
07年 3着 エイムアットビップ ファンタジーS(G3)
56秒9
1
10年 3着 ライステラス サフラン賞(500万下)
57秒6
1

基本的には、芝1600m以上戦の好走経験がない馬では厳しい。これに反して好走したのは表5の3頭で、いずれも前半1000m通過が58秒を切った芝1400mのレースを勝ったことがあるという共通項があった。つまり、1600m以上のレース経験がないというスタミナ面の不安を、ハイペースの1400m戦勝利で補っているという構図だ。とはいえ、のちに古馬相手のスプリンターズSを勝つほどのアストンマーチャンでも2着どまり。エイムアットビップとライステラスでは3着までだった。1600m以上のレースを未経験という弱点を完全に補うまでには至らないようだ。

【結論】

■表6 2011年阪神ジュベナイルフィリーズ・登録馬一覧(カッコ付きの馬は抽選対象を示す)

●芝1600m以上経験あり

馬名
芝1600m以上で前半1000m通過60秒を切ったレースでの実績
レース名
前半1000m通過
上がり3F(順位)
着順
(アナスタシアブルー)
新馬
59秒5
34秒5(2位)
1
エピセアローム
未勝利
60秒8(稍重)
36秒2(1位)
1
(カネトシカトリーヌ)
未勝利
61秒4
35秒5(2位)
5
(グインネヴィア)
白菊賞(500万下)
58秒7
36秒0(4位)
3
サウンドオブハート
芙蓉S(OP特別)
60秒8
34秒2(1位)
1
(ジョワドヴィーヴル)
新馬
62秒0
34秒1(2位)
1
スイートスズラン※
新馬
61秒2
35秒4(7位)
1
スタリア※
白菊賞(500万下)
58秒7
36秒4(9位)
7
トーセンベニザクラ
未勝利
59秒8
33秒7(1位)
2
ニコールバローズ※
芝1600m以上の出走歴があるものの連対なし
ハッピーウィーク※
未勝利
60秒6
35秒5(2位)
1
ヒーラ※
札幌2歳S
61秒6
37秒0(5位)
5
フレイムコード※
白菊賞(500万下)
58秒7
36秒3(8位)
2
プレノタート
芝1600m以上の出走歴があるものの連対なし
マイネボヌール※
未勝利
60秒8(不良)
35秒9(1位)
1
ラシンティランテ
白菊賞(500万下)
58秒7
34秒9(1位)
1
※1000m通過60秒を切るレースに出走経験がない馬は、通過が最速だったレースの実績

●芝1600m以上経験なし

馬名
芝1400mで前半1000m通過58秒を切ったレースでの実績
レース名
前半1000m通過
着順
アイムユアーズ
ファンタジーS(G3)
57秒7
1
アラフネ
芝1400mで1着なし
アンチュラス
ファンタジーS(G3)
57秒7
2
アンリヴィールド※
芝1400mで1着なし
イチオクノホシ
サフラン賞(500万下)
59秒4
1
エイシンキンチェム
ファンタジーS(G3)
57秒7
7
ガーネットチャーム※
新馬
61秒2
1
ナオミノユメ※
芝1400mで1着なし
ファインチョイス
芝1400mで1着なし
リアライズキボンヌ※
芝1400mで1着なし
レディーメグネイト
ファンタジーS(G3)
57秒7
10
※1000m通過58秒を切るレースに出走経験がない馬は、通過が最速だったレースの実績

表6は、阪神JFに登録のある35頭のうち、12月7日(水曜)時点で回避予定の9頭を除く27頭を、「芝1600m以上のレース経験」の有無によって分けたものである。何度も言ってきたように、06年以降の勝ち馬5頭はすべて芝1600m以上のレースを勝ったことがあったので、まずはこちらの16頭から見ていこう。

2011/11/27 京都9R 白菊賞 1着 6番 ラシンティランテ

芝1600m以上のレース経験があった馬で大事なのは「前半1000m通過タイムが60秒を切り」「出走メンバー中2位以内の上がり3Fタイムをマークして」「連対したことがある」ことである。これを完全にクリアするのは、アナスタシアブルー、トーセネンベニザクラ、ラシンティランテの3頭である。この3頭でもっとも強調できるのはラシンティランテ。前走の白菊賞の前半1000m通過58秒7という厳しいペースながら、メンバー中1位の上がり3F34秒9という脚を使って2着には3馬身半もの差をつけて圧勝を飾っている。トーセンベニザクラは着順が2着のぶんラシンティランテより評価を下げたが、この未勝利戦より前半通過が0秒2遅く60秒0だった赤松賞では上がり33秒2(メンバー中1位)の鋭い脚もマーク。ほぼ互角といってもいいだろう。抽選対象のアナスタシアブルーも、出走できればおもしろい存在になりそう。牡馬相手の萩S(OP特別)では4着に敗れたが、着差は0秒2とわずかだった。

エピセアロームとマイネボヌールはいずれも道悪だった点を考慮した。芝1600mで勝ち上がったあとに芝1200mの小倉2歳Sを勝ったエピセアロームは、過去に例がないパターンで取捨に迷うところ。芝1600mの2戦はともに上がり1位、小倉2歳Sでは前半1000m通過が56秒8のハイペースにも対応しており、休み明けをこなせれば好走の可能性は十分。賞金が足りて出走可能な12頭のなかでは3番手としたい。不良馬場だったマイネボヌールは数字以上の価値がある。抽選を通れば一発に注意したいが、阪神JFの好走は8番人気までとなっているので、あまりにノーマークだとかえって買いづらくはなる。

1番人気という予想もあるサウンドオブハート。その根拠となっているのが牡馬を破った芙蓉S(OP特別)だが、唯一の1600m以上戦となった同レースの前半1000m通過が60秒8というのが難点。牡馬相手の実績で補う可能性もあるが、より好走データに合致した馬がいる以上はそちらを上位としたい。2、3着候補に。ブエナビスタの半妹という血統背景から出走できれば注目を集めるであろう1戦1勝のジョワドヴィーヴルも、新馬戦の前半1000m通過が62秒0とスローペースの経験しかない。このパターンだと、07年のミクロコスモス同様に好走しても3着までということになる。

芝1600m以上の経験がなかった馬は、「前半通過1000m通過が58秒を切る芝1400mを勝っている」ことが条件になるが、これを満たすのはファンタジーS勝ち馬のアイムユアーズのみ。2、3着には加えておきたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)

ページトップへ戻る

競馬予想のJRA-VAN