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第512回 アイビスSDで狙うべき「牡馬」を探す

2011/7/14(木)

2010/7/18 新潟11R アイビスサマーダッシュ(G3)1着 9番 ケイティラブ

直線コースで行なわれる日本唯一の重賞として知られる、夏の名物競走・アイビスサマーダッシュ。もっとも、データ分析をせずとも「牝馬が強い」や「外枠が有利」といったセオリーはすでに非常に有名になっているのではないだろうか。2001年の第1回からの2010年まで、10年で8勝と牝馬の優位は圧倒的。昨年も牝馬のケイティラブが優勝している。となると、いまさら「牝馬」や「外枠」のデータを紹介しても……ということになってしまうかもしれない。

ただし、1着に関しては牝馬優位の傾向は動かないとしても、2、3着では牡馬の取捨がカギとなるのも忘れてはならない事実だ。08年はシンボリグランが10番人気2着、アポロドルチェが6番人気3着。このアポロドルチェは09年も6番人気で2着に入り、10年は16番人気のマルブツイースターが3着と、3年連続でさほど人気のない牡馬が馬券に絡んでいるのだ。話題沸騰中のWIN5であればセオリーどおりに牝馬を狙うのが確実だとしても、3連複や3連単を的中させるためには牡馬を上手に絡めなくてはならないということ。特に、穴党ファンにとっては2、3着に人気薄の牡馬をいかに拾えるが的中を大きく左右するはずだ。そこで今回は近10年のデータから、アイビスサマーダッシュで狙うべき牡馬についての分析を試みてみたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 牡馬・年齢別成績

年齢
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
3歳
0- 0- 3- 4/ 7
0.0%
0.0%
42.9%
0%
172%
4歳
1- 2- 1-11/15
6.7%
20.0%
26.7%
17%
57%
5歳
0- 1- 1-16/18
0.0%
5.6%
11.1%
0%
106%
6歳
1- 3- 1-22/27
3.7%
14.8%
18.5%
8%
49%
7歳以上
0- 0- 0-28/28
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%

前述のとおり、今回は「アイビスサマーダッシュで狙うべき牡馬」がテーマ。これから紹介するデータは牡馬(セン馬含む)についてのもので、牝馬に関しては該当しない点に注意していただきたい。

まず、目についたのが年齢別成績だ。表1のとおり、7歳以上の牡馬は28走で馬券絡みは1頭もなし。ここは真っ先に除外することができる。買うとしたら6歳までだ。勝ち馬こそ出ていないが、3歳が複勝率42.9%、複勝回収率172%と優秀。3歳馬といえば、どうしても51キロで走ることのできる牝馬に目が行ってしまうかもしれないが、当然ながら53キロの牡馬も斤量の恩恵はあるのだ(古馬に比べて3キロ軽い)。

■表2 牡馬・斤量別成績

斤量
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
53kg
0- 0- 3- 4/ 7
0.0%
0.0%
42.9%
0%
172%
56kg
2- 5- 3-69/79
2.5%
8.9%
12.7%
6%
45%
57kg
0- 1- 0- 4/ 5
0.0%
20.0%
20.0%
0%
108%
58kg
0- 0- 0- 3/ 3
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
59kg
0- 0- 0- 1/ 1
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%

斤量も重要なファクターだ。なにせ直線1000mの競馬。重い斤量を背負った馬はダッシュガつきにくく、当然ながら不利になる。このレースで牝馬が強いのも、2キロもらえる斤量面でのアドバンテージが大きく関係しているはずだ。牡馬の場合、リミットは57キロまで。58キロ以上では4走してすべて馬券圏外に終わっている。53キロの7頭はすべて3歳馬のもの。前項でも触れたが、要注意の存在だ。

■表3 牡馬・前走距離別成績

前走距離
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
1000m
0- 0- 1- 8/ 9
0.0%
0.0%
11.1%
0%
26%
1200m
2- 5- 2-62/71
2.8%
9.9%
12.7%
6%
31%
1400m
0- 1- 1- 4/ 6
0.0%
16.7%
33.3%
0%
46%
1600m
0- 0- 2- 6/ 8
0.0%
0.0%
25.0%
0%
317%
1800m
0- 0- 0- 1/ 1
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%

前走距離もおもしろい傾向が出ている。圧倒的に多いのは前走で1200mを使っていた馬だが、複勝率12.7%、複勝回収率31%。出走例が多いので好走例もここが最多とはなっているが、工夫なく買うと大きなマイナスになりかねない。また、アイビスサマーダッシュと同じ前走1000mは複勝率11.1%、複勝回収率26%とさらに数字が下がってしまう。一方、前走1400mは複勝率33.3%、前走1600mは複勝率25.0%、複勝回収率317%。前走1400mや1600mから距離短縮で臨む馬がいれば狙ってみる価値がありそうだ。なお、前走の距離を問わず前走でダートを使っていた馬は【0.0.0.10】と好走例がまったくない。新潟芝直線1000mのひとつのセオリーとして「ダート実績のある馬が強い」というものもあるが、アイビスサマーダッシュに関しては前走でダートを走っていた牡馬は結果を残していない。

■表4 牡馬・前走着順別成績

前走着順
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
前走1着
0- 0- 2- 8/10
0.0%
0.0%
20.0%
0%
47%
前走2着
0- 2- 1- 7/10
0.0%
20.0%
30.0%
0%
45%
前走3着
2- 0- 1- 4/ 7
28.6%
28.6%
42.9%
68%
67%
前走4着
0- 0- 0- 6/ 6
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
前走5着
0- 2- 0- 3/ 5
0.0%
40.0%
40.0%
0%
104%
前走6〜9着
0- 2- 0-22/24
0.0%
8.3%
8.3%
0%
36%
前走10着〜
0- 0- 2-29/31
0.0%
0.0%
6.5%
0%
81%

「夏は格より調子」というのも有名な格言だが、アイビスサマーダッシュの牡馬も例外ではないようだ。表4を見ればわかるように、前走で1〜5着だった馬と、6着以下だった馬の好走率には大きな隔たりが出ている。「前走5着以内」と「前走6着以下」に区切ると、前者は複勝率26.3%、後者は複勝率7.0%とその差は歴然。基本的には前走でしっかり掲示板に載っていた好調馬を狙うべきだろう。

前走6〜9着から巻き返したのは08年2着のシンボリグランと09年2着のアポロドルチェ。どちらもG2を勝ったことのある実績上位馬というのが共通項となる。また、前走10着以下から好走したのは、03年3着のトーセンオリオンと10年3着のマルブツイースター。この2頭はともに前走が1600m戦だったが、両馬ともに1400m以下に良績が集中しており、前走は適性外の一戦だった。逆に言うと、前走も適性に合ったレースで10着以下に敗れているような牡馬では、アイビスサマーダッシュの好走はおぼつかないということになる。いずれにしても、前走6着以下からは勝ち馬は出ていない。買うにしても前走6〜9着で2着まで、前走10着以下なら3着で十分とは言えるだろう。

■表5 牡馬・前走着差別成績

前走着差
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
勝0.3〜0.5
0- 0- 0- 1/ 1
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
勝0.1〜0.2
0- 0- 2- 5/ 7
0.0%
0.0%
28.6%
0%
67%
勝0.0
0- 0- 0- 2/ 2
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
負0.0
0- 1- 1- 4/ 6
0.0%
16.7%
33.3%
0%
46%
負0.1〜0.2
1- 2- 0- 6/ 9
11.1%
33.3%
33.3%
28%
56%
負0.3〜0.5
1- 1- 1-11/14
7.1%
14.3%
21.4%
15%
48%
負0.6〜0.9
0- 2- 1-24/27
0.0%
7.4%
11.1%
0%
58%
負1.0〜1.9
0- 0- 1-21/22
0.0%
0.0%
4.5%
0%
81%
負2.0〜2.9
0- 0- 0- 3/ 3
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
負3.0〜3.9
0- 0- 0- 2/ 2
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%

前走着差もひとつの基準となるデータだ。前走で0秒6以上負けると好走率が落ち、前走で1秒以上負けているとさらに落ち込む。前走で1秒以上負けていた馬で唯一好走した10年3着マルブツイースターの前走着差も1秒0というもの。前項の前走着順と合わせて、前走大敗馬は大きくマイナスと考えてよさそうだ。

■表6 牡馬・前走上がり別成績

前走上がり
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
3F・1位
1- 1- 3- 8/13
7.7%
15.4%
38.5%
16%
91%
3F・2位
0- 2- 0- 1/ 3
0.0%
66.7%
66.7%
0%
216%
3F・3位
1- 0- 1- 5/ 7
14.3%
14.3%
28.6%
37%
122%
3F・4〜5位
0- 1- 1- 8/10
0.0%
10.0%
20.0%
0%
35%
3F・6位〜
0- 2- 1-59/62
0.0%
3.2%
4.8%
0%
36%

意外な傾向が出ているのが、この前走上がり別成績。一般的に短距離戦ではそれほど上がりのタイムは重視されないが、アイビスサマーダッシュの牡馬については別。前走で速い上がりを記録していた馬の好走率が明らかに高いのだ。前走でメンバー中3位以内の上がりをマークしていると、複勝率39.1%、複勝回収率117%と非常に優秀。一方、前走上がりがメンバー中6位以下だと複勝率4.8%とまったくの不振だ。さほど重視されないファクターだけに、ここに着目するとおもしろい穴馬が浮上するのではないだろうか。

■表7 牡馬・出走間隔別成績

出走間隔
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
連闘
0- 0- 0- 1/ 1
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
中1週
1- 2- 1-16/20
5.0%
15.0%
20.0%
13%
134%
中2週
0- 1- 1-17/19
0.0%
5.3%
10.5%
0%
35%
中3週
0- 1- 1-15/17
0.0%
5.9%
11.8%
0%
25%
中4〜8週
1- 2- 2-12/17
5.9%
17.6%
29.4%
12%
47%
中9週〜半年
0- 0- 1-10/11
0.0%
0.0%
9.1%
0%
67%
半年以上
0- 0- 0-10/10
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%

最後に出走間隔別の成績。これもまた一目瞭然で、前走から中9週以上開くと明らかに成績がガタ落ち。出走間隔が開いてレース感覚が鈍るとダッシュ力などに影響が出るケースがあるが、この直線1000m重賞ではわずかな反応の遅れが致命傷になってしまうのだろう。

【結論】

アイビスサマーダッシュで狙うべき牡馬について7つのファクターを見てきたが、「この条件に該当していると好走率が非常に低い」というパターンが多かった。そこで、消去法的に今年の牡馬に関しての取捨を考えていきたい。

■表8 2011年アイビスサマーダッシュ・登録牡馬一覧

馬名
性齢
斤量
前走
出走間隔
距離
着順
着差
上がり
アポロドルチェ 牡6
56
1200
8
0.7
2位
中3週
アポロフェニックス 牡6
56
1200
4
0.5
3位
中3週
エーブダッチマン 牡5
56
1200
2
0.2
4位
中3週
シャウトライン 牡7
56
1200
3
0.4
7位
中3週
ジェイケイセラヴィ セ7
57
1200
9
0.7
12位
中4週
ストロングポイント 牡5
56
1000
2
0.1
1位
中6週
スピニングノアール 牡10
56
1200
11
0.5
3位
半年以上
テイエムキューバ 牡3
53
1200
15
2.0
15位
中2週
ヘッドライナー セ7
58
1200
2
0.1
10位
中4週
マルブツイースター 牡6
56
ダート1400
14
1.8
12位
中10週
※サンエムパーム、レッドストラーダは回避予定

今年登録のある牡馬は表8のとおり(回避予定の2頭を除く)。08年2着、09年3着のアポロドルチェや、昨年の2、3着馬であるジェイケイセラヴィとマルブツイースターといったすでにアイビスサマーダッシュで好走歴のある馬もいるが、このなかでもっとも人気を集めるのはおそらくヘッドライナーだろう。しかし、すでに7歳という点、そして実績ゆえに斤量が58キロというのは減点材料とせざるをえない。また、逃げ馬なので仕方のない面もあるが、前走の上がりもメンバー中10位と好走パターンからは外れている。58キロを背負ってダッシュがつかずに先行できないようだと、それを補う上がりの脚もないだけに苦戦しそう。前走2着というプラス材料はあるものの、人気になるようなら消しで臨みたい1頭だ。

このレースで実績のあるアポロドルチェ、ジェイケイセラヴィ、マルブツイースターの3頭も減点材料が目立つ。このなかで買うとしたら、前走8着でもメンバー中2位の上がりをマークしたアポロドルチェのみで、強調材料が見当たらない残る2頭は見送りたい。シャウトラインも前走3着以上に7歳や前走上がり7位というマイナス材料のほうが気になる。すでに10歳、さらに約2年ぶりのレースとなるスピニングノアールもさすがに見送りだろう。

ということで、今年の牡馬で狙うべきなのは減点材料のないアポロフェニックスエーブダッチマンストロングポイント。押さえでアポロドルチェまで。そして、前走着順・着差には目をつぶって3歳・53キロが魅力のテイエムキューバを大穴として挙げておきたい。もちろん、実際の馬券には牝馬を絡めることもお忘れなく。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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