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第454回 ラジオNIKKEI杯からG1を勝つ馬を見極めてみる

2010/12/20(月)

2009/12/26 阪神11R ラジオNIKKEI杯2歳S(Jpn3)1着 3番 ヴィクトワールピサ

中央競馬の掉尾を飾る大一番といえばもちろん有馬記念だが、その前日に阪神競馬場で行なわれるラジオNIKKEI杯2歳S(05年までラジオたんぱ杯2歳S)も毎年高い注目を集める暮れの名物だ。現在の条件となった91年以降、のちにG1を勝つ馬を21頭も送り出している屈指の出世レースで、昨年も1着のヴィクトワールピサと4着のヒルノダムールが皐月賞でワンツーを決め、3着のダノンシャンティがNHKマイルCを勝利。2着のコスモファントム、5着のアドマイヤテンクウも重賞2着の活躍を見せている。そこで今回は、ラジオNIKKEI杯2歳Sを経由してG1ホースにまで上り詰めた21頭がここでどのようなレースを見せていたのかを振り返り、そうした“のちのG1ホース”たちの共通点や特徴などを探ってみることとしよう。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 のちにG1ホースとなるラジオNIKKEI杯2歳S勝ち馬

年度
馬名
人気
着差
タイム
馬場
上がり
前走
キャリア
レース名
着順
92
ナリタタイシン
5
-0.1
2.05.8
  千両賞(500万下)
2
6戦目
94
タヤスツヨシ
2
0.0
2.03.4
35.2
エリカ賞(500万下)
1
6戦目
96
メジロブライト
2
-0.3
2.03.1
37.1
デイリー杯3歳S(G2)
2
4戦目
98
アドマイヤベガ
1
-0.1
2.04.1
34.8
エリカ賞(500万下)
1
3戦目
00
アグネスタキオン
2
-0.4
2.00.8
34.1
新馬
1
2戦目
02
ザッツザプレンティ
2
-0.7
2.04.5
35.2
京都2歳S
2
3戦目
03
コスモバルク
4
-0.2
2.01.6
34.9
百日草特別(500万下)
1
6戦目
04
ヴァーミリアン
2
-0.2
2.03.5
33.7
京都2歳S
2
4戦目
08
ロジユニヴァース
2
-0.7
2.01.7
37.1
札幌2歳S(G3)
1
3戦目
09
ヴィクトワールピサ
1
0.0
2.01.3
34.2
京都2歳S
1
4戦目
※92年は上がりデータなし

表1は、のちにG1ホースとなる21頭のうち、ラジオNIKKEI杯2歳Sを勝った馬の一覧である。21頭のうち約半数の10頭がこのレースを勝っていた。ところが、意外にもこのレースで1番人気に支持されていたのは04年のアドマイヤベガと09年のヴィクトワールピサの2頭しかいない。この点から察するに、このレースでピークを迎えるというのではなく、レース前にまだ底を見せておらず、前評判を上回るようなパフォーマンスを見せるような馬のほうがG1ホースになる可能性が高い、と考えることもできるのではないだろうか。

2000/12/23 阪神11R ラジオたんぱ杯3歳S(G3)1着 2番 アグネスタキオン

この10頭のうち、もっとも速い勝ち時計をマークしていたのが00年のアグネスタキオン。2分00秒8は現在も破られていないレースレコードである。しかも、全体時計が速いだけでなく、自身の上がりも34秒1と非常に優秀だ。また、09年のヴィクトワールピサは、勝ち時計がアグネスタキオンに次ぐ2位、上がりも0秒1遅いだけの34秒2だった。両馬はこのあと弥生賞と皐月賞を連勝するのだが、これらはすべて右回りの芝2000m戦。ラジオNIKKEI杯2歳Sで勝ち時計、上がりタイムともに優秀な記録をマークして勝つようなら右回りの芝2000m適性は相当に高く、皐月賞制覇にグッと近づくと言えるだろう。

また、00年と09年に共通するのが、勝てなかった馬たちもその後に大活躍していることだ。09年については前述したとおりだが、00年も翌年春のG1を勝つジャングルポケット、クロフネが2、3着に入っていた。もし今年も「勝ち時計:2分1秒0前後、勝ち馬の上がり:34秒台前半」という数字が記録されるようならレースレベルが高く、勝ち馬のだけでなく負けた馬たちもすぐに活躍する可能性が十分。そうした馬を追いかけていけば馬券的な見返りも期待できるはずだ。

37秒1という遅い上がりタイムで勝ったのが96年のメジロブライトと08年のロジユニヴァース。そして、不良馬場を勝ったのが02年のザッツザプレンティ。こうしたレースではスタミナや持久力を要求される度合いが高くなるが、メジロブライトは天皇賞・春、ザッツザプレンティは菊花賞、ロジユニヴァースは史上まれに見る道悪馬場となったダービーを勝っており、ラジオNIKKEI杯2歳Sでの勝ちっぷりとリンクしてくる。上がりタイムや馬場状態に注目することでどのG1に適性が高そうなのか、ということも見えてくるのではないだろうか。

■表2 のちにG1ホースとなるラジオNIKKEI杯2歳S敗退馬

年度
着順
馬名
人気
着差
タイム
馬場
上がり
前走
キャリア
レース名
着順
95
2
イシノサンデー
1
0.0
2.02.7
35.0
黄菊賞(500万下)
1
4戦目
3
ダンスインザダーク
2
0.6
2.03.3
35.5
新馬
1
2戦目
11
タイキフォーチュン
11
1.3
2.04.4
36.3
葉牡丹賞(500万下)
1
4戦目
97
2
キングヘイロー
1
0.2
2.04.0
36.4
東京スポーツ杯3歳S(G3)
1
4戦目
00
2
ジャングルポケット
3
0.4
2.01.2
34.5
札幌3歳S(G3)
1
3戦目
3
クロフネ
1
0.6
2.01.4
34.8
エリカ賞(500万下)
1
4戦目
01
3
アドマイヤマックス
1
0.1
2.03.5
34.7
東京スポーツ杯2歳S(G3)
1
3戦目
05
2
アドマイヤムーン
1
0.0
2.01.9
34.8
札幌2歳S(G3)
1
4戦目
06
2
ヴィクトリー
3
0.0
2.02.1
35.0
新馬
1
2戦目
5
アサクサキングス
4
0.4
2.02.5
35.1
百日草特別(500万下)
1
3戦目
09
3
ダノンシャンティ
7
0.2
2.01.5
34.4
新馬
1
2戦目

今度は、ラジオNIKKEI杯2歳Sでは負けてしまったものの、その後にG1を勝った馬たちを見ていこう。この11頭は、大きく2つのパターンに分けることができる。それは「前走で走りすぎた馬」「新馬戦を勝ち上がったばかりの馬」である。

前者の「前走で走りすぎた馬」というのは妙な言い方かもしれない。ただ、ラジオNIKKEI杯2歳Sは2歳戦最長距離となる2000m戦。多少なりとも余力を残しておきたいところである。たとえば、前走で重賞を勝っていたのが、97年2着のキングヘイロー、00年2着のジャングルポケット、01年の3着のアドマイヤマックス、05年2着のアドマイヤムーン。その重賞が芝1800m戦だったことでも共通している。ロジユニヴァースのように札幌2歳Sからの連勝を達成する馬もいないわけではないが、基本的には1800mや2000mの重賞を連勝するのは簡単なことではないと考えていいのではないか。

95年11着のタイキフォーチュン、00年3着のクロフネの前走は500万下だったが、いずれも芝2000mで当時の2歳レコードをマークしてから中2週での出走という厳しいローテーションだった。また、95年2着のイシノサンデーも前走の500万下でのちの朝日杯2着馬エイシンガイモンを好タイムで下しているし、06年5着のアサクサキングスも前走の百日草特別で史上2番目の時計(2010年時点)で勝っていた。つまり、前走で重賞勝ちやレコード勝ちといった厳しい競馬をしていた馬が、ハイレベルな一戦となるラジオNIKKEI杯2歳Sで連勝を達成するのは難しいことなのだ。そうした厳しい条件にも関わらず、表2に掲載した馬のほとんどが2、3着に踏ん張っていることを思えば、厳しい条件にも関わらず大きく崩れなかった馬だからこそ、のちにG1を勝つことができたと考えられるだろう。

もうひとつの「新馬戦を勝ち上がったばかりの馬」については、それほど多くの説明を要さないはずだ。新馬戦を勝ったばかりの馬が、レベルの高いラジオNIKKEI杯2歳Sでも好走するのは大変なこと。新馬戦を勝ったばかりで3着以内に入るような馬は、基本的には高い資質を秘めていると考えていいはずだ。

最後に、表2のなかで4着以下に敗れた馬が2頭いるが、そのタイキフォーチュンとアサクサキングスについて補足しておこう。まず、タイキフォーチュンは11月に新馬戦を連闘で2走し(※当時は同一開催内なら何度でも新馬戦に出走できた)、中2週で葉牡丹賞、さらに中2週で関東から関西への輸送も挟むかなり厳しいローテーションだった。アサクサキングスはデビュー2戦でいずれも関西から関東への輸送を経験し、レース本番では大きな不利を受けている。つまり、両馬ともに明確な敗因が存在しており、やむをえない敗戦ではあった。逆に言うと、これといった敗因もなく敗れるようでは……とは考えたほうがいいかもしれない。

■表3 G1を勝てなかったラジオNIKKEI杯2歳S勝ち馬

年度
馬名
人気
着差
タイム
馬場
上がり
前走
キャリア
レース名
着順
91
ノーザンコンダクト
1
-0.3
2059
エリカ賞(500万下)
1
4戦目
93
ナムラコクオー
6
-0.7
2057
37.6
500万下
1
6戦目
95
ロイヤルタッチ
4
-0.0
2027
34.8
新馬
1
2戦目
97
ロードアックス
2
-0.2
2038
35.9
葉牡丹賞(500万下)
1
3戦目
99
ラガーレグルス
2
-0.1
2037
36.0
朝日杯3歳S(G1)
7
5戦目
01
メガスターダム
6
-0.0
2034
35.1
500万下
2
8戦目
05
サクラメガワンダー
2
-0.0
2019
34.6
エリカ賞(500万下)
1
5戦目
06
フサイチホウオー
1
-0.0
2021
34.3
東京スポーツ杯2歳S(G3)
1
3戦目
07
サブジェクト
4
-0.0
2070
35.3
朝日杯フューチュリティS(G1)
13
5戦目
※91年は上がりデータなし

まだ現役のサクラメガワンダーには失礼な話ながら、ラジオNIKKEI杯2歳Sを勝ったにも関わらずG1を勝てなかった馬についても調べてみる。ラジオNIKKEI杯2歳Sには「偶数年の勝ち馬はG1を勝ち、奇数の勝ち馬はG1を勝てない」というジンクスもあり、実際かなりそれは当てはまるのだが、ジンクスで終わらせてしまうのではなくもうすこし考えてみたい。

もっとも、単純に故障に泣いた馬が多いという部分もかなりある。表3の9頭のうち、古馬になって中央競馬で5走以上した馬となると、ロイヤルタッチ、ロードアックス、メガスターダム、サクラメガワンダーの4頭だけで半分もいない。この4頭のなかでもロイヤルタッチは4歳で現役を終えているし、長期休養を余儀なくされたロードアックスやメガスターダムも満足な競走生活を送ったとは言いがたい。

ただし、故障のことを度外視してもいくつの共通点は見出せる。まず、表3の馬はラジオNIKKEI杯2歳Sまでに多くのキャリアを積んでいる傾向がある。表1と表2の計21頭を見ると、ほとんどラジオNIKKEI杯2歳Sがキャリア4戦目以内。例外は92年のナリタタイシンと94年のタヤスツヨシ、それに03年のコスモバルクだが、前の2頭は集計期間のなかでも早い時期のものだし、コスモバルクは道営所属のため規則そのものが別。ほかの18頭はここでキャリア4戦目という馬である。ところが表3には、ラジオNIKKEI杯2歳Sがキャリア5戦目以上という馬が半数以上の5頭もいる。こうした、叩き上げ的なイメージの強いラジオNIKKEI杯2歳S勝ち馬は、やや上積みに乏しい面があるのかもしれない。

2006/12/23 阪神11R ラジオNIKKEI杯2歳S(G3)1着 3番 フサイチホウオー

では、95年に新馬戦を勝ったばかりの身でイシノサンデーやダンスインザダークを下したロイヤルタッチや、06年に東京スポーツ杯2歳Sからの重賞連勝を飾ったフサイチホウオーはどう見ればいいのか。表2の項で、「前走で走りすぎた馬」か「新馬戦を勝ち上がったばかりの馬」はラジオNIKKEI杯2歳Sでは勝てない、と書いたばかりだが、この2頭はむしろ勝っている。であれば、G1を勝つ以上の成績を収めてもよさそうなものなのに、結局はG1を勝てなかった。この2頭は次走でも重賞を勝ち(ロイヤルタッチはきさらぎ賞、フサイチホウオーは共同通信杯)、皐月賞で上位人気を背負いながら敗れたことでも共通している。こうしたことを考えると、この2頭はラジオNIKKEI杯2歳S時点での完成度が高すぎたのではないだろうか。非常に完成度が高かったからこそ、新馬戦を勝ち上がったばかりや、前走で重賞を勝ったあとでもラジオNIKKEI杯2歳Sを勝てた反面、他馬の成長が追いついてくると存在感をなくしていってしまった。そんなふうには考えられないだろうか。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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