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第445回 中距離実績の有無がマイルCSの勝敗を分ける

2010/11/18(木)

2009/11/22 京都11R マイルチャンピオンシップ(G1)1着 4番 カンパニー

昨年は1番人気のカンパニーがしっかり人気に応えたマイルチャンピオンシップ。もっとも、8歳馬のG1制覇が快挙である一方、8歳馬が1番人気に推されること自体が王者不在を象徴していたかもしれない。今年に入り、春のマイル王決定戦・安田記念でも8番人気の伏兵、ショウワモダンが勝利。秋の大一番、マイルチャンピオンシップ(以下マイルCS)を迎えても、絶対的な本命と呼べる存在は見当たらない状況だ。ただし、だからこそ馬券的にはやりがいのあるレースとも言えるし、近年のマイルCS好走馬を調べていくと意外なほど明快な傾向や共通点も見つかってきた。今回はそのあたりのデータを紹介していこう。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 マイルチャンピオンシップ1着馬(00年〜)

年度
馬名
性齢
人気
前走
レース名
着順
00
アグネスデジタル
牡3
13
武蔵野S・G3
2
01
ゼンノエルシド
牡4
4
スプリンターズS・G1
10
02
トウカイポイント
セ6
11
富士S・G3
5
03
デュランダル
牡4
5
スプリンターズS・G1
1
04
デュランダル
牡5
1
スプリンターズS・G1
2
05
ハットトリック
牡4
3
天皇賞(秋)・G1
7
06
ダイワメジャー
牡5
1
天皇賞(秋)・G1
1
07
ダイワメジャー
牡6
1
天皇賞(秋)・G1
9
08
ブルーメンブラット
牝5
4
府中牝馬S・G3
1
09
カンパニー
牡8
1
天皇賞(秋)・G1
1

近10年のマイルチャンピオンシップ勝ち馬を列記したのが表1だが、前走レースから「天皇賞(秋)出走馬」「スプリンターズS出走馬」「その他」の3パターンに分けることができそうだ。

なかでも注目が、近5年で4頭の勝ち馬を送り出している「前走天皇賞(秋)出走馬」。06年ダイワメジャーと09年カンパニーは、天皇賞を勝ってからの転戦で見事にG1を連覇。07年のダイワメジャーは天皇賞(秋)で9着に敗れたもののマイルCSではあっさりと巻き返し、05年ハットトリックも天皇賞(秋)7着からの参戦だった。天皇賞(秋)を勝つような馬はもちろん、層の厚い中距離G1でそれなりの走りを見せられる馬であれば、王者不在のマイル路線に転じて十分に勝ち負けできそうだ。

次に、「前走スプリンターズS出走馬」を見ていくが、スプリント路線とマイル路線は以前に比べて明確に分かれるようになっており、両路線にまたがって活躍する馬は少なくなっている。03、04年に勝ったデュランダルは、00年以降に1200mと1600mのG1をともに勝った唯一の馬。一方、01年のゼンノエルシドは、スプリンターズSでは10着に大敗。ただし、前々走の京成杯AHでは当時の日本レコードで4馬身差の圧勝を飾っていた。このことから察するに、前走スプリンターズS組からは「G1級の馬」か「本来はマイル路線に適性があり、近走で圧倒的なパフォーマンスを見せていた馬」なら狙えると考えられるだろう。

もうひとつは、「その他」でひとくくりにしてしまったが、共通点はある。もっともわかりやすいのは、前走で関東圏の重賞で5着以内に入っていたことなのだが、もうすこし細かく見ていこう。02年のトウカイポイントは同年春に1800mの中山記念を勝ち、前々走でも2000mの札幌記念でテイエムオーシャンの2着に好走していた。また、08年のブルーメンブラットも前走で1800mの府中牝馬Sを勝利。このときの2着馬はカワカミプリンセスだった。つまり、この2頭はG1級の馬たちと中距離戦で好勝負していたことで共通している。そういう意味では「前走天皇賞(秋)出走馬」に準ずる位置づけにあると言えるのではないだろうか。もう1頭、00年に大穴をあけたアグネスデジタルに関しては、マイルCS出走時点では説明がつかないが、翌01年の天皇賞(秋)でテイエムオペラオーをくだしたのはご存じのとおりだ。

■表2 マイルチャンピオンシップ2、3着馬(00年〜)

年度
着順
馬名
性齢
人気
前走
レース名
着順
00
2
ダイタクリーヴァ
牡3
1
富士S・G3
3
3
メイショウオウドウ
牡5
12
天皇賞(秋)・G1
10
01
2
エイシンプレストン
牡4
2
毎日王冠・G2
1
3
タイキトレジャー
牡5
10
スワンS・G2
2
02
2
エイシンプレストン
牡5
3
天皇賞(秋)・G1
8
3
リキアイタイカン
牡4
15
スワンS・G2
2
03
2
ファインモーション
牝4
2
毎日王冠・G2
7
3
ギャラントアロー
牡3
10
スワンS・G2
1
04
2
ダンスインザムード
牝3
4
天皇賞(秋)・G1
2
3
テレグノシス
牡5
5
天皇賞(秋)・G1
11
05
2
ダイワメジャー
牡4
4
毎日王冠・G2
5
3
ラインクラフト
牝3
2
秋華賞・G1
2
06
2
ダンスインザムード
牝5
3
天皇賞(秋)・G1
6
3
シンボリグラン
牡4
8
スワンS・G2
2
07
2
スーパーホーネット
牡4
4
スワンS・G2
1
3
スズカフェニックス
牡5
5
スプリンターズS・G1
9
08
2
スーパーホーネット
牡5
1
毎日王冠・G2
1
3
ファイングレイン
牡5
10
スワンS・G2
5
09
2
マイネルファルケ
牡4
14
富士S・G3
9
3
サプレザ
牝4
2
サンチャリオットS・G1
1

次に2、3着馬の共通点を見ていくのだが、実は1着馬とそう大きく変わるわけではない。1着馬で見た3パターンに加えて「前走スワンS出走馬」が加わり、4パターンになるだけなのである。

この「前走スワンS出走馬」の取捨はわかりやすく、基本的にはスワンSの連対馬でなければいけない。唯一の例外がスワンS5着から巻き返した08年3着のファイングレインで、この馬は同年の高松宮記念を勝っていたG1馬だった。しかも、「前走スワンS出走馬」で馬券に絡んだ6頭のうち5頭は3着どまり。着順も3着で決め打ちしてもいいぐらいだ。しかも、スワンS→マイルCS3着のパターンには8番人気、10番人気2頭、15番人気と人気薄が多いので、高配当にもつながってくる。今年もスワンS連対馬が人気を落としているようなら、3着にはぜひとも加えておきたい。

「前走天皇賞(秋)出走馬」に関しては、1着馬の項で述べたこととほぼ同様と考えていい。02年2着のエイシンプレストン、04、06年で2着のダンスインザムード、04年3着のテレグノシスは、いずれもG1馬かつ1800m以上の重賞を勝っていたことで共通する。00年3着のメイショウオウドウは12番人気の穴馬だったが、この馬も同年に2000mのG2である大阪杯を勝っていたように中距離での実績を持っていた馬だった。やはり、マイルではなく中距離重賞での実績が重要になってくるのである。

「その他」にしても、中距離実績を持った馬ばかりなのは同じこと。03年2着のファインモーション、05年2着のダイワメジャーは2000m以上のG1を勝っていた馬だし、00年2着のダイタクリーヴァ、05年3着のラインクラフトもやはり2000mG1の連対馬。01年2着のエイシンプレストンと08年2着のスーパーホーネットは前走で1800mの毎日王冠を勝っていた。09年3着のサプレザはマイルまでの勝ち鞍しか持たない馬だったが、芝の深い欧州でのマイルG1勝ちなら、マイル以上の価値があると言っても筋が通らない話ではないはずだ。例外は、09年2着のマイネルファルケ。データ分析の原稿でこんなことを言うのも恐縮ではあるのだが、逃げ粘っての人気薄2着だけに展開の利も大きかったのではないだろうか。さらに言えば、8歳馬が1番人気に推されるような手薄なメンバー構成でもあった。

「前走スプリンターズS出走馬」は07年3着のスズカフェニックスのみ。同馬は同年の高松宮記念勝ち馬で、やはりこの組はG1級の馬でなければ厳しいようだ。

■表3 10年マイルチャンピオンシップ出走登録馬

賞金順
馬名
性齢
前走
主な1800m以上実績
レース名
着順
1
サプレザ
牝5
サンチャリオットS・G1
1
特になし
2
キンシャサノキセキ
牡7
スプリンターズS・G1
2
特になし
3
ショウワモダン
牡6
天皇賞(秋)・G1
16
10年中山記念3着
アリゼオ
牡3
天皇賞(秋)・G1
14
10年スプリングS1着
マルカフェニックス
牡6
スワンS・G2
1
特になし
4
ライブコンサート
セ6
富士S・G3
2
特になし
エイシンアポロン
牡3
天皇賞(秋)・G1
17
10年毎日王冠2着
5
ファイングレイン
牡7
スワンS・G2
7
特になし
6
エーシンフォワード
牡5
スワンS・G2
8
特になし
7
ダノンヨーヨー
牡4
富士S・G3
1
特になし
8
オウケンサクラ
牝3
天皇賞(秋)・G1
4
10年フラワーC1着
9
テイエムオーロラ
牝4
府中牝馬S・G3
1
10年府中牝馬S1着
10
マイネルファルケ
牡5
富士S・G3
12
特になし
11
スマイルジャック
牡5
天皇賞(秋)・G1
8
09年スプリングS1着
シンボリグラン
牡8
京洛S
5
 
12
アブソリュート
牡6
安田記念・G1
12
特になし
13
トゥザグローリー
牡3
カシオペアS
1
10年青葉賞2着
13
ワイルドラズベリー
牝3
秋華賞・G1
4
10年ローズS2着
ショウナンアルバ
牡5
オーロC
13
08年共同通信杯1着
15
キョウエイストーム
牡5
富士S・G3
9
特になし
16
ゴールスキー
牡3
清水S・1600万下
1
特になし
17
ガルボ
牡3
富士S・G3
3
特になし
サンカルロ
牡4
富士S・G3
8
特になし
18
ジョーカプチーノ
牡4
スワンS・G2
3
特になし
19
スピリタス
セ5
富士S・G3
6
特になし
※灰色がついている馬は回避予定

それでは、ここまで述べてきたマイルCS好走のポイントを今年の出走予定馬に当てはめていこう。表3では、好走条件に合致する馬に色をつけている。

2010/3/20 中山11R フラワーカップ(G3)1着 12番 オウケンサクラ

まず、前走天皇賞(秋)出走馬は、回避予定の馬を除くと3頭。このうち、ショウワモダンはさすがに近走内容が厳しい。天皇賞2ケタ着順から巻き返した04年3着テレグノシスの例もあるが、同馬は前々走の毎日王冠を勝っていた。ショウワモダンは秋の3戦が9→14→16着。中距離重賞実績も今年の中山記念3着がベストと過去の好走馬に比べると見劣る。ここは見送りたい。

よって、天皇賞組ではオウケンサクラスマイルジャックの2頭。この2頭では、古馬になってからは中距離実績に乏しいスマイルジャックより、古馬に混じって天皇賞4着に健闘した3歳牝馬オウケンサクラを上位にとりたい。近10年のマイルCSで好走した3歳馬5頭はすべて重賞を勝っていた。オウケンサクラはフラワーCの勝ち馬。同じ3歳馬にはトゥザグローリーやゴールスキーといった将来性豊かな良血馬や秋華賞4着のワイルドラズベリーも控えているが、いずれも重賞勝ちがない。シンザン記念勝ちのガルボは中距離実績が皆無である。

このガルボを富士Sで下したのがダノンヨーヨー。4連勝の破竹の勢いからも人気の一角を占めそうだが、この馬も中距離実績がないのがネックとなる。過去11戦のうち、500万下(芝1800m2着)の一戦以外はすべてマイル戦。単に出走したことがないだけで、父ダンスインザダークという血統を考えても中距離にも適性があるのかもしれないが、現時点ではわからないとしか言えない。また、富士SがマイルCSへのステップレースとなった00年以降、勝ち馬10頭が1頭も3着以内に入っていない点も気がかりだ。

2010/3/28 中山11R 高松宮記念(G1)1着 6番 キンシャサノキセキ

前走スワンS組では、連対したマルカフェニックス、ショウナンアルバがともに回避予定となっており、好走条件に合致する馬はいないのだが、3着のジョーカプチーノはG1馬。08年10番人気3着のファイングレインのようにG1馬が人気を落とすようなら、買い目に加える価値はある。G1馬といえば、忘れてはならないのがキンシャサノキセキ。セントウルSの回避を余儀なくされ、ぶっつけでの出走となったスプリンターズSでも2着(3着からの繰り上がり)にしっかりとまとめたように、7歳を迎えた今年は充実が著しい。マイル戦出走は久しぶりとなるが、G1馬なら圏内と見たい。

「その他」の組では、府中牝馬Sを勝ったテイエムオーロラ。過去の「その他」の好走馬に比べて対戦相手が軽い印象はあるが、今年に入って6戦5勝の勢いは見くびれない。あとは昨年3着のサプレザだ。先週のエリザベス女王杯でスノーフェアリーが圧勝したように、欧州馬にとっては現在の京都の馬場が走りやすいものになっている可能性も高い。

以上、まとめると、近10年のデータから好走可能性が高そうなのはオウケンサクラ、スマイルジャック、キンシャサノキセキ、サプレザ、ジョーカプチーノ、サプレザとした。さらに絞るなら、1着候補はオウケンサクラ、キンシャサノキセキ、サプレザの3頭としたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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