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第428回 秋前半の重要キーワード「北海道帰り」を分析

2010/9/21(火)

2000/10/15 京都11R 秋華賞(G1)1着 4番 ティコティコタック
2005/10/30 東京10R 天皇賞(秋)(G1)1着 1番 ヘヴンリーロマンス

秋競馬前半戦のひとつのテーマとなるのが、いわゆる「北海道帰り」の馬の取捨だ。「北海道帰り」の馬が馬券的な狙い目となる理由としては、夏競馬のなかでも新潟や小倉に比べて函館や札幌の出走馬のレベルが高いことや、涼しい気候のアドバンテージがあげられる。日本列島全体が酷暑に見舞われた今年は北海道もかなりの暑さだったとも聞くが、とはいえ多少なりとも本州よりは過ごしやすかったはず。例年以上に、「北海道帰り」の馬を狙ってみる価値がある、という推測も十分に成り立つのではないだろうか。

近年の「北海道帰り」の馬では、00年秋華賞のティコティコタックや05年天皇賞・秋のヘヴンリーロマンスなどが、G1レースで大仕事を成し遂げている。あるいは、それぞれ中山・阪神でトライアルレースを挟んではいるが、01年菊花賞のマンハッタンカフェや02年秋華賞のファインモーションらも「北海道帰り」の馬の範疇にくくることができるだろう。まもなく始まる秋のG1戦線に備える意味でも、「北海道帰り」の傾向をつかんでおくことは有益になるはずだ。集計対象は、過去5年(05〜09年)の4回中山・阪神(主に9月)および4回東京・京都(主に10月)に出走した馬のうち、前走が札幌か函館だった馬(※阪神が改修中だった06年は、3回中京と5回京都が対象)。データ分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 「北海道帰り」競馬場別成績(近5年)

場所
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
東京
46-  58-  63- 612/ 779
5.9%
13.4%
21.4%
75%
81%
中山
55-  56-  51- 508/ 670
8.2%
16.6%
24.2%
53%
73%
中京
3-   5-   1-  75/  84
3.6%
9.5%
10.7%
70%
60%
京都
49-  41-  44- 436/ 570
8.6%
15.8%
23.5%
128%
99%
阪神
21-  31-  31- 231/ 314
6.7%
16.6%
26.4%
79%
107

表1は競馬場別成績。関東でいえば、中山=主に9月の4回中山、東京=主に10月の4回東京(いずれも平年開催時)と考えていただきたい。目を引くのが、好走率では競馬場ごとの差がさほどないのに対し、回収率には比較的隔たりが見られること。関東、関西ともに、主に9月開催の中山・阪神より、主に10月開催の東京・京都の回収率の回収率が高くなっているのは注目に値する。

一般的に「北海道帰り」が強調される時期は、秋競馬が始まってすぐの中山・阪神開催だ。開催が東京・京都に移ると、夏場を休養にあてた有力馬の復帰も増えてくることもあって、「北海道帰り」という言葉を聞くケースは少なくなる。つまり、9月は「北海道帰り」の馬が人気になりやすく、10月になると人気を落としやすい。9月→10月の回収率の動きからは、そんなことが読みとれる。なかでも、優秀な回収率を残している10月の4回京都開催で「北海道帰り」に注意したいところだ。

■表2 「北海道帰り」前走着順別成績(近5年)

前走着順
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
前走1着
18- 33- 23-226/300
6.0%
17.0%
24.7%
59%
68%
前走2着
28- 25- 29- 86/168
16.7%
31.5%
48.8%
45%
81%
前走3着
31- 25- 18-107/181
17.1%
30.9%
40.9%
75%
77%
前走4着
18- 21- 21-141/201
9.0%
19.4%
29.9%
71%
70%
前走5着
16- 15- 18-130/179
8.9%
17.3%
27.4%
60%
92%
前走6〜9着
39- 49- 52-605/745
5.2%
11.8%
18.8%
123%
97%
前走10着〜
23- 23- 28-559/633
3.6%
7.3%
11.7%
65%
87%

「北海道帰り」の馬の前走着順別成績が表2。原則的に昇級戦となる前走1着馬を除いて、前走着順が良いほど好走率が高くなっているが、回収率を考えると、単純に前走着順が良い馬を狙えばいいというものではない。特に、前走2着の「北海道帰り」馬の単勝回収率は45%という厳しい数字だ。回収率で注目したいのは「前走6〜9着」の組で、単勝回収率は120%を超え、複勝回収率も100%に迫っている。期待の新馬が北海道で多数デビューすることからもわかるように、北海道シリーズに参戦する馬のレベルは夏競馬のなかでも高い。そうしたハイレベル戦で掲示板には載れなかったものの、大負けしたわけでもない「前走6〜9着」馬が人気の盲点になりやすいことを意味しているのではないだろうか。

■表3 「北海道帰り」前走コース別成績(近5年・勝率順)

前走コース
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
函館・芝1800
6-  7-  3- 30/ 46
13.0%
28.3%
34.8%
94%
69%
札幌・芝1800
31- 17- 31-174/253
12.3%
19.0%
31.2%
101%
120%
札幌・芝2000
23- 16- 16-134/189
12.2%
20.6%
29.1%
97%
79%
札幌・芝1500
19- 28- 21-151/219
8.7%
21.5%
31.1%
90%
92%
札幌・芝1200
26- 23- 22-284/355
7.3%
13.8%
20.0%
62%
84%
函館・ダ1000
4-  3-  4- 55/ 66
6.1%
10.6%
16.7%
91%
76%
札幌・芝2600
5- 10-  7- 68/ 90
5.6%
16.7%
24.4%
22%
58%
札幌・ダ1700
34- 52- 39-489/614
5.5%
14.0%
20.4%
97%
80%
札幌・ダ2400
1-  0-  2- 16/ 19
5.3%
5.3%
15.8%
31%
104%
函館・芝1200
6- 12- 13- 90/121
5.0%
14.9%
25.6%
164%
128%
函館・ダ1700
7-  7-  8-125/147
4.8%
9.5%
15.0%
33%
60%
札幌・ダ1000
10- 13- 18-179/220
4.5%
10.5%
18.6%
39%
81%
函館・芝2600
1-  2-  3- 26/ 32
3.1%
9.4%
18.8%
144%
82%
函館・芝2000
1-  1-  3- 35/ 40
2.5%
5.0%
12.5%
59%
40%
函館・ダ2400
0-  0-  0-  6/  6
0.0%
0.0%
0.0%
0%
0%
前走場所
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
札幌
149- 159- 156-1495/1959
7.6%
15.7%
23.7%
80%
87%
函館
25-  32-  34- 367/ 458
5.5%
12.4%
19.9%
92%
80%

前走、札幌・函館のどのコースを走っていた馬が好走しやすいのかを示したのが表3。下部分には、全コースをまとめた「前走札幌」「前走函館」のデータも付記した。「前走札幌」に比べてレース間隔が開く「前走函館」は、やや好走率が下がるものの回収率は高くなっていることを、基本事項として覚えておきたい。

勝率が10%を超えている上位3コースは、いずれも芝1800〜2000mの中距離戦となった。考えてみれば、00年秋華賞を勝ったティコティコタックの前走は札幌1800mの大倉山特別(当時900万下)だったし、05年天皇賞・秋を勝ったヘヴンリーロマンスの前走も札幌2000mの札幌記念だった。「北海道帰り」の馬は芝中距離戦を使われていた馬に要注意。大レースでの激走例と関連づけて覚えておけば、いざというときに役立てやすいはずだ。一方、出走例は多いものの、ダート戦は軒並み低い好走率にとどまっている。これは、函館と札幌のダート戦でメインとなっている1000、1700mという距離が、中山、東京、阪神、京都のいずれにも設定がないことも影響しているのだろう。

■表4 「北海道帰り」今走コース別成績(近5年・勝率順)

コース 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
阪神・芝1600
2-  0-  1-  5/  8
25.0%
25.0%
37.5%
575%
155%
京都・芝1600
5-  1-  1- 19/ 26
19.2%
23.1%
26.9%
290%
96%
阪神・芝2000
4-  2-  2- 15/ 23
17.4%
26.1%
34.8%
83%
70%
京都・芝1600外
6-  4-  4- 24/ 38
15.8%
26.3%
36.8%
228%
119%
中山・芝1800
5-  5-  3- 26/ 39
12.8%
25.6%
33.3%
36%
61%
東京・芝2000
7-  2-  7- 39/ 55
12.7%
16.4%
29.1%
225%
99%
京都・芝1200
4-  3-  5- 20/ 32
12.5%
21.9%
37.5%
69%
208%
阪神・芝1800外
5-  7-  5- 26/ 43
11.6%
27.9%
39.5%
39%
127%
京都・芝2400外
3-  2-  3- 18/ 26
11.5%
19.2%
30.8%
126%
91%
中山・芝1200
11-  5-  9- 74/ 99
11.1%
16.2%
25.3%
100%
68%

こちらは、「今走」のコース別成績。全コースとなるとかなりの数になるので、勝率順で上位10コースを抽出したが、すべて芝コースとなった。前項で、前走芝中距離コースを使っていた「北海道帰り」の馬の好走が多いことを説明したばかりだが、そのことを思えば、今走でも芝での好走例が多いのは当然とも言えるだろう。

■表5 「北海道帰り」休養明け○走目別成績(近5年)

○走目
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
明け2戦目
18- 31- 26-287/362
5.0%
13.5%
20.7%
33
58
明け3戦目
21- 23-  9-216/269
7.8%
16.4%
19.7%
74
58
明け4戦目
18- 19- 14-138/189
9.5%
19.6%
27.0%
83
85
明け5戦目
13-  6- 15-110/144
9.0%
13.2%
23.6%
58
70
明け6戦目〜
25- 35- 27-353/440
5.7%
13.6%
19.8%
95
81

休み明けのレースを北海道で1戦叩いて、中央場所へ。秋競馬へ向けてのローテーションとしては理想的とも思えるパターンだが、実は意外なほど好走率が低いのだ。表5でいう「明け2戦目」がこれに該当するのだが、勝率、連対率ともに目立ったところはなし。むしろ、理想的というイメージがあるために人気になってしまうこともあってか、回収率も単複ともに冴えない。過剰評価されやすいパターンとして覚えておいたほうがよさそうだ。

一方、使い詰めの状態と言っていい「明け6戦目〜」。勝率などの好走率は「明け2戦目」と同程度だが、回収率では「明け6戦目〜」のほうがはるかに良好だ。涼しい気候に加えて滞在競馬ということもあって、使い詰めでも無駄な消耗を最小限に抑えることができる面があるのだろう。使い詰めだからと軽視せず、警戒だけは忘れないようにしたい。

■表6 「北海道帰り」年齢別成績(近5年)

年齢
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
2歳
50-  47-  56- 343/ 496
10.1%
19.6%
30.8%
100
116
3歳
53-  56-  67- 681/ 857
6.2%
12.7%
20.5%
66
76
4歳
43-  53-  39- 387/ 522
8.2%
18.4%
25.9%
88
86
5歳
17-  24-  19- 248/ 308
5.5%
13.3%
19.5%
100
74
6歳
7-   6-   7- 118/ 138
5.1%
9.4%
14.5%
58
78
7歳以上
2-   3-   1-  65/  71
2.8%
7.0%
8.5%
64
51

最後に年齢別成績だが、明らかに優秀なのが2歳馬。よく言われることだが、このデータからも北海道デビューの2歳馬のレベルが高いことがわかるだろう。データの内訳を確認すると、特に、前走で芝1800m戦(函館・札幌問わず)を走っていた2歳馬が上位人気に支持されたときは非常に信頼性が高く、1番人気時の勝率は54.5にも達する。単勝回収率も115%としっかりした数字が残っているので、人気でも臆せず狙っていきたい。

ただし、9月の4回阪神に出走した2歳馬だけは勝率、単勝回収率ともに大きく下がってしまうので要注意。日程的にもっとも余裕がないうえに、北海道から関西への長距離輸送が挟まれることもあって、2歳馬にとっては厳しい条件となってしまうのかもしれない。ここは過信禁物だ。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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