第412回 2〜3歳春の重賞連対馬の新馬戦成績を考察|競馬情報ならJRA-VAN

JRA公式データ配信サービス JRA-VAN

  • メール:office@jra-van.jp
  • 受付時間:10:00〜17:00
  • ※競馬開催のない土日祝・火曜を除く
  • ホーム
  • サイトマップ
  • JRA-VAN広場

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第412回 2〜3歳春の重賞連対馬の新馬戦成績を考察

2010/7/26(月)

ディープインパクトの初産駒で注目を集める今年の2歳新馬戦。これまでにデビューしたディープインパクト産駒は、期待どおり、あるいは期待以上の走りを見せており、来年の3歳クラシック戦線の盛り上がりに大きく貢献しそうな雰囲気だ。

人間には「栴檀は双葉より芳し」という言葉があるが、のちに活躍するような馬は(仮に負けたとしても)デビュー戦でキラリと光る素質の一端を見せることが多いもの。そこで今回の「データde出〜た」では、2〜3歳春の重賞路線で好走した馬が、新馬戦で競走馬としての第一歩をどのような形で記していたのかについて考察してみたいと思う。つまり、どういうデビューをした馬がクラシック路線で活躍しやすいのか、という分析である。そういう見方ができれば新馬戦を見る楽しみも増すし、遠くない将来に活躍しそうな馬を早めに見極めることで馬券作戦にも活かせるはずだ。集計対象は、2003年産(現7歳)から2007年産(現3歳)の5世代分で、2歳最初の重賞である函館2歳Sから翌年のダービーに至る重賞で連対した馬(のべ340頭、実数231頭)。その新馬戦について分析してみた。

■表1 人気別成績

人気
着別度数
勝率
連対率
複勝率
1番人気
45- 18-  6-  9/ 78
57.7%
80.8%
88.5%
2番人気
24-  8-  5-  7/ 44
54.5%
72.7%
84.1%
3番人気
20-  8-  5-  4/ 37
54.1%
75.7%
89.2%
4番人気
6-  6-  3-  3/ 18
33.3%
66.7%
83.3%
5番人気
6-  1-  2-  7/ 16
37.5%
43.8%
56.3%
6番人気
2-  1-  3-  7/ 13
15.4%
23.1%
46.2%
7番人気
2-  2-  0-  4/  8
25.0%
50.0%
50.0%
8番人気
1-  1-  0-  2/  4
25.0%
50.0%
50.0%
9番人気
2-  0-  0-  2/  4
50.0%
50.0%
50.0%
10番人気
0-  0-  0-  0/  0
11番人気
1-  1-  0-  0/  2
50.0%
100.0%
100.0%
12番人気
1-  0-  0-  0/  1
100.0%
100.0%
100.0%
13番人気
0-  0-  0-  1/  1
0.0%
0.0%
0.0%
14番人気
0-  0-  0-  0/  0
15番人気
0-  0-  0-  0/  0
16番人気
0-  0-  0-  0/  0
17番人気
0-  0-  0-  0/  0
18番人気
0-  0-  0-  1/  1
0.0%
0.0%
0.0%

まずは人気別成績だが、さすがにクラシック戦線で活躍するような馬は新馬戦でも上位人気に支持されることが多い。約3分の1が1番人気に推されており、半数以上は3番人気までに収まっている。そして3番人気までに推された馬の半数以上は勝ち上がり、8割以上の確率で3着以内に入る。逆に、デビュー戦で10番人気以下だったような馬はごくわずかしかいない。この背景には、ペーパーオーナーゲーム(POG)の普及などで新馬戦への関心が高まっていることが考えられる。たとえば、血統は地味でもデビュー前に調教でいい動きを見せた馬なども、新馬戦でしっかり上位人気に推されるようになっている。まずは新馬戦で3番人気以内に推されること。これがクラシックへの第一歩と言えそうだ。

■表2 馬番別成績

年齢
着別度数
勝率
連対率
複勝率
2歳
6月
6-  3-  5-  9/ 23
26.1%
39.1%
60.9%
7月
26- 12-  5- 12/ 55
47.3%
69.1%
78.2%
8月
12-  4-  4-  5/ 25
48.0%
64.0%
80.0%
9月
12-  8-  3-  8/ 31
38.7%
64.5%
74.2%
10月
17- 10-  6-  5/ 38
44.7%
71.1%
86.8%
11月
14-  6-  0-  4/ 24
58.3%
83.3%
83.3%
12月
6-  1-  1-  2/ 10
60.0%
70.0%
80.0%
3歳
1月
10-  2-  0-  0/ 12
83.3%
100.0%
100.0%
2月
5-  0-  0-  2/  7
71.4%
71.4%
71.4%
3月
2-  0-  0-  0/  2
100.0%
100.0%
100.0%
4月
0-  0-  0-  0/  0
5月
0-  0-  0-  0/  0

2010/5/30 東京10R 東京優駿(G1)1着 1番 エイシンフラッシュ

次に、デビューした月別の成績を見ていこう。ここで注目したいのが、2歳の6、7月にデビューしていた馬の多さだ。最多は55頭の2歳7月。2歳馬のデビューが開催カレンダー的に6月半ばからになることを考えれば、23頭の2歳6月は実数の倍程度に相当すると考えられる。早くデビューすればするほど2〜3歳春重賞に出走する機会が多くなるため、今回の集計で有利なのは当然ではある。しかし、かつてはこうした早期デビューの馬は、2歳重賞では活躍しても3歳になる劣勢に押しやられることが多かったのも事実。しかし近年は3歳になってもしっかりと活躍しており、2歳6、7月にデビューした集計対象馬のうち、3歳春のG1を勝ったのがメイショウサムソン、ピンクカメオ、ローブデコルテ、キャプテントゥーレ、トールポピー、ロジユニヴァース、アパパネ、エイシンフラッシュと8頭もいる。なかでも、近5年のダービー勝ち馬のうち3頭も含まれているのは特筆ものだ。また、3歳秋以降に初G1勝利を飾った馬もコイウタ、アドマイヤムーン、ローレルゲレイロ、アストンマーチャンと4頭おり、もはや早期デビュー馬=早熟馬という単純な図式は成立しない。デビュー前からの調整が順調に進み、その結果として早期にデビューすることができたというメリットにこそ目を向けるべきだろう。

第2の波と言えるのが、2歳10月デビューの組。開催でいえば、秋の東京・京都連続開催の前半でデビューした馬たちだ。ここから3歳G1を勝った集計対象馬はロジック、ウオッカ、ディープスカイ、ブエナビスタ、アンライバルド、ヴィクトワールピサの6頭。よく知られているように、ブエナビスタ、アンライバルド、ヴィクトワールピサの3頭は菊花賞同日の京都芝1800mでデビューしており、今年もこの時期の新馬戦は注目されることだろう。一方、アグネスタキオン、ディープインパクトなど「12月の阪神開催に大物がデビューする」と言われた時期もあったが、2歳12月デビューで3歳G1を勝った集計対象馬はキストゥヘヴンが唯一。また、年明けの3歳デビュー馬ではカワカミプリンセスとサンテミリオンのオークス馬2頭だけとなっている。

近年、特に牡馬クラシック路線では賞金のボーダーラインが非常に高くなっていることもあり、1勝馬ではトライアル戦にすら出走がおぼつかない現状がある。早期デビュー馬の活躍が目立つ反面、2歳12月や3歳になってデビューした馬が苦しい状況にあるのは、以前にも増して賞金面で不利な立場になっているからであろう。

■表3 競馬場別成績

場所
着別度数
勝率
連対率
複勝率
札幌
8-  4-  2-  7/ 21
38.1%
57.1%
66.7%
函館
7-  2-  3-  4/ 16
43.8%
56.3%
75.0%
福島
6-  2-  2-  3/ 13
46.2%
61.5%
76.9%
新潟
13-  3-  1-  3/ 20
65.0%
80.0%
85.0%
東京
18-  6-  2-  4/ 30
60.0%
80.0%
86.7%
中山
4-  2-  2-  3/ 11
36.4%
54.5%
72.7%
中京
3-  0-  0-  1/  4
75.0%
75.0%
75.0%
京都
24- 12-  5-  8/ 49
49.0%
73.5%
83.7%
阪神
17-  8-  5- 10/ 40
42.5%
62.5%
75.0%
小倉
10-  7-  2-  4/ 23
43.5%
73.9%
82.6%

「若駒だから広いコースでデビューさせたい」と言う調教師は少なくない。競馬慣れしていない馬たちばかりのレースだけに思いも寄らないアクシデントが起こる可能性があり、デビュー戦でレースに対してマイナスイメージを持たせたくないと考えるからだ。幅員があり、直線も長い競馬場のほうがそうしたアクシデントは起こりにくい。表3のとおり、いわゆる中央場所が行なわれる東京、中山、京都、阪神の4場のうち、もっとも小回りの競馬場である中山デビューの馬が11頭と少なくなっているのは、そうした考えに基づいてのことだろう。同じ関東圏で比較しても、広々としたコースの新潟デビュー馬が多いのはわかるが、福島よりも少ないとは実に意外だった。

■表4 上がり3Fタイム順位別成績

上がり
着別度数
勝率
連対率
複勝率
3F 1位
63-  7-  5-  4/ 79
79.7%
88.6%
94.9%
3F 2位
24- 23-  4-  2/ 53
45.3%
88.7%
96.2%
3F 3位
13-  8-  6-  9/ 36
36.1%
58.3%
75.0%
3F 4〜5位
9-  6-  6-  8/ 29
31.0%
51.7%
72.4%
3F 6位〜
1-  2-  3- 24/ 30
3.3%
10.0%
20.0%

表4は、新馬戦の上がり3Fタイムが出走メンバー中何位だったか、というもの。こうしてみると、231頭のうち約3分の1はメンバー中1位の脚を使い、約3分の2は3位以内の上がり3Fタイムを記録していたことがわかる。もちろん、上がりタイム順位が速いほど勝率も高い。現代競馬では最後の直線でどれだけ瞬発力を発揮できるかということが重要視されるが、クラシックをにぎわせるような馬は、やはり新馬戦から速い上がりを使っているようだ。このことを裏返すと、派手な新馬勝ちをしたのだが、実は上がりの脚自体はそれほどでもなかったというような馬に関しては、あまりその勝ちっぷりを過信せず、2走目以降のレースを注意深く見守る必要がある、とも考えられるだろう。

■表5−1 2戦目の未勝利戦・前走着順別成績

前走着順
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
前走2着
24-14- 4- 4/46
52.2%
82.6%
91.3%
102
116
前走3着
12- 4- 2- 6/24
50.0%
66.7%
75.0%
237
117
前走4着
7- 4- 3- 1/15
46.7%
73.3%
93.3%
246
146
前走5着
6- 3- 1- 0/10
60.0%
90.0%
100.0%
319
195
前走6〜9着
8- 3- 1- 5/17
47.1%
64.7%
70.6%
405
262
前走10着〜
4- 0- 0- 0/ 4
100.0%
100.0%
100.0%
4267
1127

■表5−2 2戦目の未勝利戦・前走着差別成績

前走着差
着別度数
勝率
連対率
複勝率
単回率
複回率
負0.0
7- 5- 2- 0/14
50.0%
85.7%
100.0%
104
128
負0.1〜0.2
18- 9- 2- 5/34
52.9%
79.4%
85.3%
175
116
負0.3〜0.5
12- 3- 2- 3/20
60.0%
75.0%
85.0%
177
118
負0.6〜0.9
14- 7- 2- 3/26
53.8%
80.8%
88.5%
271
168
負1.0〜1.9
6- 2- 3- 3/14
42.9%
57.1%
78.6%
480
313
負2.0〜2.9
4- 0- 0- 2/ 6
66.7%
66.7%
66.7%
2748
640
負3.0〜3.9
0- 2- 0- 0/ 2
0.0%
100.0%
100.0%
0
275

2008/4/13 阪神11R 桜花賞(Jpn1)1着 15番 レジネッタ

のちの三冠馬とて、新馬戦では負けることがあるのが競馬である。のちに2〜3歳春の重賞戦線をにぎわせるような馬が新馬戦で負けてしまった場合、2戦目の未勝利戦でどのような成績を残しているのか。新馬戦の着順と着差を元に考えてみることとする。

結論から言うと、2〜3歳春の重賞で連対するような馬の場合、新馬戦で負けたとしてもその内容はあまり関係がない。表5−1、2のふたつを確認していただきたいが、前走(新馬戦)の着順が悪くても、着差が離れていても、勝率は5割前後でほぼ変わらず、複勝率も多少下がる程度。新馬戦大敗馬でも3着以内に巻き返す可能性はかなり高く、回収率を考えれば、デビュー戦大敗馬のほうが馬券的にはむしろ狙い目と言えるぐらい。特に新馬戦で10着以下に負けていた4頭は、すぐに巻き返して4頭すべてが勝ち上がっているほどだ。そのなかには08年の桜花賞馬レジネッタも含まれている。

これはこうも考えられるだろう。新馬戦で大敗したとしても、のちに2〜3歳春重賞で連対するような能力を本来は持っているだけに、その大敗には明らかな敗因があるはず。その敗因さえつかむことができれば、2戦目の未勝利戦ではしっかりと巻き返してくる。逆に言うと、2戦目でも巻き返せないようだと、2〜3歳春の重賞戦線での活躍は厳しいということにもつながってくる。これは好むと好まざるとにかかわらず、生まれたときから競争社会にさらされるサラブレッドの宿命を表す、ひとつのデータでもあるのだろう。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)

ページトップへ戻る

競馬予想のJRA-VAN